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2022.05.08
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カテゴリ: 長歌行 全49話



第37話「全権掌握」

李長歌(リチャングァ)は漠北王と漠南王に令牌を示し、実は鷹団の軍師で阿詩勒隼(アシラシュン)の側近だと明かした。
牙張の使者が自分に気づいて逃げ帰ったが、それは砂漠と鷹団が結託したと判断したからだという。
「このまま帰せば砂漠の災いとなるわ」
すると牙張から妻や娘を差し出すよう強要された漠南王が立ち上がった。
しかし漠北王が止める。
「ここは漠北、漠南王が判断するには及ばん」
漠北王はついに決断し、牙張の使者を始末した。


そこで自分が残って策を講じる代わりに仲間に紫草を持ち帰らせて欲しいと頼む。
漠北王は取り引きに応じ、弥弥古麗(ミミクリ)たちは無事に解放された。
すると図伽(トジャ)郡主が人質となった長歌の代わりに見送りにやって来る。
経緯を聞いた秦(シン)老は若主公に判断に従うと決め、直ちに出発した。

長歌は砂漠で最大の部族である漠北と漠南のわだかまりを解くことにした。
「漠北が祖先の領土を返すと言ったらどう?…旧怨は捨てて共に戦わなくては」
もはや避けられなくなった牙張との衝突、すると頑なだった漠北王が譲歩し、領土を返すと決める。
こうして漠北と漠南が手を組むと、次に長歌は砂漠中を団結させて大軍を集めると決めた。

牙張に長歌が漠北と漠南を懐柔、すでに仲間が紫草を手に入れて帰還中だと報告が届いた。
奕承(エキショウ)公主はやはり李長歌を殺しておくべきだったと後悔したが、そろそろ弥弥古麗が使えると思い出す。
すると雷蒙(レイモン)が辺境へ遠ざけていた熊団と狼団をそろそろ帰しても良い頃だと進言した。

「土喀設(トカシャー)が戻ってくる前に延利(イエンリー)を黙らせておかないと…」

奕承が可汗の天幕にやって来た。
薬湯と香の毒で起き上がることもできなくなった可汗、しかも側近はおろか寵姫の錦瑟(キンシツ)も死んでしまったと知る。
すると奕承はついに恐ろしい企みを教えた。
「以前、こう仰いましたね?私と隋(ズイ)室のために裁きを下すと…約束を覚えていますか?」

「わしを殺すつもりだな?あの時、兄長を殺したように…」
「あなたは殺しません、あたには号令を発してもらわなくては…」
例え鷹団と熊団を排除しても、まだ若い息子の推戴を各部族が承伏するはずがない。
奕承はそのために延利を生かしておく必要があった。
「支配される屈辱とままならぬ苦しみが身に沁みるでしょう?」

一方、鷹団では穆金(ムージン)の容体が悪化していた。
神医の孫思邈(ソンシバク)でもお手上げ、高熱が引かなければ今夜は乗り越えられないという。
そこで阿隼は一か八か穆金を水風呂に入れた。
穆金は寒さで意識が戻ったが、今回ばかりは持ちこたえられそうにないと弱音を吐く。
その頃、弥弥たちは馬を休ませるため休憩することになった。
弥弥は薪を集めてくると言って独りで草むらに入ったが、そこに矢文が飛んでくる。
…紫草を燃やせば歩真(ブジェン)は死なない…

弥弥たちは食事を取りながら暖を取っていた。
すると暗闇から刺客が現れ、襲撃されてしまう。
秦老は緒風(ショフウ)と羅十八(ラジュウハチ)に弥弥と紫草を守るよう頼んで先に逃した。
しかし追っ手が現れ、緒風と羅十八も馬車から飛び降り、弥弥に紫草を託して応戦する。
弥弥は無我夢中で馬を走らせていたが、やがて荒野で馬を止めた。
ここで紫草を燃やせば弟が助かる…。
弥弥は発火筒を手にしたが、ふと穆金の顔が浮かんで思い留まった。
「穆金まで失うわけにいかないわ…そうよ!」

弥弥がついに紫草を持って鷹団に帰還した。
そこで急いで紫草を煎じて飲ませることにしたが、もはや虫の息となった穆金は薬を飲み込む力さえない。
すると弥弥は人目もはばからず、口移しで穆金に薬湯を飲ませた。

一方、奕承は抵抗できなくなった可汗に無理やり薬を飲ませていた。
「いい知らせですよ?牙張を別の地に移します、可汗の命として発令しました」
口が利けなくなった可汗は必死に奕承の袂をつかんだが、簡単に振り払われてしまう。
すると雷蒙がやって来た。
実は紫草が鷹団に渡ってしまったという。
奕承は弥弥も当てにならないと落胆したが、弟はまだ生かしておくことにした。
「で漠北へ送る軍は?」
「熊ちゃんが外で待機しています…」

↓( ;∀;)この対比がもうねえ~w


土喀設は可汗と可敦(カトゥン)に謁見した。
可汗は助けを求めて土喀設を見つめるが、土喀設は何の疑いもなく可敦から偽の命令書を受け取ってしまう。
「可汗、挽回の時を待っていました!期待通り漠北を平定してみせます!ではお身体をおいたわりに」
可汗は必死に手を伸ばそうとするも奕承に遮られ、土喀設を引き止めることができなかった。

弥弥の帰還から遅れて秦老たちが鷹団へ到着した。
阿隼はようやく詳しい事情を知り、長歌が人質として漠北に残ったと知る。
その頃、穆金は弥弥のおかげで一命を取り留めていた。
2人は互いの想いが通じ合い急接近、一方、共に戦った緒風と羅十八も互いに意識し合うようになる。
そんな中、牙張から鷹団にも漠北への出征命令が届いた。
熊団と一緒だと知った穆金は阿隼を監視させるつもりだと警戒する。
「…長歌の提案も考える余地はあるな」
阿隼は牙張が今やすっかり変わってしまったと肩を落とした。

奕承は自分の天幕に土喀設を呼んだ。
「可汗の密命よ、可汗が重篤なのは見ての通り…今の牙張は平穏そうに見えて内憂外患だわ」
「外患は分かりますが内憂とは?」
そこで奕承は最強の鷹団では可汗ではなく阿詩勒隼に人心が向いていると指摘する。
可汗の病が重く、舵取りがいなくなった牙張、もし鷹団が野心を持てば大変なことになるだろう。
「可汗が私に命じたの、漠北を平定する時、鷹師の手を借りて漁夫の利を得よと…」

雷蒙は公主の妙策に敬服した。
しかし奕承は軽率な土喀設だけでは心配が残る。
そこで死士を遣わし、土喀設がし損じた時は代わりに阿詩勒隼を殺すよう命じた。

長歌は次々と砂漠の部族と結盟、漠北と漠南を合わせて総勢8万以上の大軍となった。
しかしこれだけ多くの部族を統率するのは難しく、一歩間違えれば烏合の衆になりかねない。
するとついに阿詩勒部が攻めて来たと報告が来た。
「鷹師と熊師の戦旗が見えます!」
「鷹師?!」
長歌は阿隼が来たと聞いて好都合だと喜んだ。

つづく


(  ̄꒳ ̄)ちゅおびー…残念すぎるw





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最終更新日  2022.05.08 14:00:04
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