2006年03月24日
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カテゴリ: OPERA
Tokyo Opera Nomori 2006 Verdi and his time
Opera
Verdi: Otello 
*new production / Co-production with Wien Staatsoper
Mar. 24 (Fri) 2006
Tokyo Bunka Kaikan Main Hall

Librettist: Arrigo Boito
Based on the play Othello by William Shakespeare

Conductor: Philippe Auguin
Director: Christine Mielitz

Lighting Design: Rudolf Fischer

Otello: Janez Lotric (Tenor)
     (Clifton Forbis cancelled)
Desdemona: Krassimira Stoyanova Soprano
Jago: Lado Ataneli Baritone
Cassio: Marian Talaba Tenor
Lodovico: Dan Paul Dumitrescu Bass
Emilia: Mayumi Makino Mezzo-Soprano
Roderigo: Yasuhiro Okamoto Tenor
Montano: Koji Yamashita Bass
Un araldo: Makoto Narita


Choir: Tokyo Opera Nomori Chorus

東京のオペラの森
ヴェルディ「オテロ」
2006年3月24日 東京・上野 東京文化会館

指揮: フィリップ・オーギャン

装置/衣装デザイン: クリスチャン・フローレン
照明デザイン: ルドルフ・フィッシャー
オテロ: クリフトン・フォービス → ヤネス・ロートリッチ
デズデモーナ: クラッシミラ・ストヤノヴァ
イアーゴ: ラード・アタネッリ

演奏: 東京のオペラの森管弦楽団
合唱: 東京のオペラの森合唱団



オテロ役のキャスト、クリフトン・フォービスが降板。
ありえない。「オテロ」でオテロが降板じゃ、しゃれになりません。しかも事前アナウンスなし。会場での張り出しだけ。代役の、ヤネス・ロートリッチはがんばってはいましたが、しょせん、代役。ほかの主要な役の二人と違いすぎる。
「レクイエム」の方は大丈夫でしょうかね~

ミーリッツの新演出、現代的な演出でした。「あしたのジョー」かよっ。まったくありがちで、退屈な演出。絢爛たるヴェルディの世界が闇に沈んだまま。
この上記の点を補ってあまりあったのが、イヤーゴ役のラード・アタネッリとデスデモーナ役のクラッシミラ・ストヤノヴァ。この二人はすばらしかったです!
ほかには、合唱も演奏も指揮者も良かったです。

※内容を書きますので未見の方はご注意ください。

Atto 1 :
第1幕

オーケストラが音合わせをしている。ステージ上におかれた、ボクシングのリングのような大きさの正方形の、高さ80センチぐらいのステージ。その周りをぐるぐる回る人々。
指揮者が入場する。

"Una vela! Una vela!"
いきなり嵐の音楽。嵐に苦しむ人々。
イヤーゴとロデリーゴ、カッシオ。
しかし舞台上には嵐は起きていないし、船もない。ボクシングリングにファイトを見に来た人々? ここの合唱はすばらしい! DVDなどの映像と違って生の舞台がいい点は、やはり合唱の迫力が段違いなことだ。きょうはかなり上の階で見たが、音は天井に反響するので音がすばらしくよく聴こえる。さすがヴェルディ!とうなるシーンだ。

"Esulate!"
カッシオとロデリーゴ、オテロはボクシングのファイター。勝利したのはオテロ。(ここは演じられていない)満身創痍のオテロはデスデモーナに抱きかかえられる。

"Roderigo,ebben che pensi?"
一方負けた?ロデリーゴは悔しい。デスデモーナに横恋慕しているロデリーゴ。イヤーゴは彼を利用すること思いつく。イヤーゴはボクサーのマネージャーかセコンド? オテロはボクサー(プロレス? K-1?)の団体のボスで、副官が悪そうなカッシオ。イヤーゴは戦うより頭脳で勝負するタイプ。カッシオを自分より取り立てたオテロが憎くなる。
「私は実はオテロに忠義な振りをしているがオテロが大っ嫌いだ。必ずデスデモーナはお前のものになる。俺の言うことを聞くのだ(アスコルタ)。」
イヤーゴのアタネッリ、すばらしい声。存在感も演技もすばらしい。全体を通じて、彼とデスデモーナが主役みたいだった。

カッシオは、太りすぎて戦えなくなったヘビー級のボクサーみたい。とてもハンサムな副官殿には見えない。でも声はよいです。

このボクシングの囲いのないリング、見たときにもう、これはデスデモーナの寝室、死の床になるベッドに使い回しするなと予測できたもの。

Roderigo,beviam!
イヤーゴはカッシオに酒を飲ませ、酔わせて騒ぎを起こさせようとする。
ここのイヤーゴの歌は楽しくて大好き。
人々の合唱が加わる。みなさんの酒は紙のパックに入っている。飲むのは紙コップ。なんでやねん? 拳闘場は危ないからペットボトル持ち込み禁止なの?サッカー場はそうですが。ぽんぽん紙のパックをリズミカルに放り投げ、人々がキャッチする。ステージの中央に立ったイヤーゴが紙パックを受け取ってぽんぽん投げ渡す。
酔っ払ったカッシオにロデリーゴが絡み、モンターノが傷を負う。ここがまるでプロレスで、カッシオはチェーンを振り回しながらモンターノを追っかけ、ぼこぼこに殴りつける。

"Abbaso le spade!"
騒ぎを聞いて出てきたオテロ。あれ~なんか? これがオテロ? 配役変更を知らなかったのでびっくり。オテロの迫力がない。声量もイヤーゴと比べると少ない。何より、カリスマ性が皆無だ。
オテローは右手にゴールデンの手袋をつけている。これが群れのボス、いや集団のボスの証。
オテロはイヤーゴに聞く。
「パルラ(話してくれ)何があったか。」
「ノン・ソ(いや、その)…」
カッシオは謝るが、免職になる。
デスデモーナが現れ、オテロは人々を解散させる。
デスデモーナは白人で光り輝く金髪の巻き毛。

"Gia nella notte densa"
ここからが1幕の最高なシーン。オテロとデスデモナの愛の二重唱。
ステージは二人の寝室のベッドになる。
天蓋のように幕が降りて来て、ベッドを包む。
「あなたは亡命生活(?)と苦難について話してくれた…」
「私はあなたの逆境に同情したのよ(ピエタ)」
「君は私の苦労に同情して私を愛してくれた。」
ヤネス・ロートリッチはこういうアリアとか二重唱とか有名な部分はそこそこに歌う。練習しているのだろう。しかし普通の会話で歌うシーンとかがセリフが入ってないのか、自信なさげで声が小さい。うう~ん。
最後の最も高音を出すシーン。う~ん。苦しそう。

オテロは幸せすぎて怖いと歌う。オテロは自らデスデモーナから離れて、ステージの周りを歩く。
デスデモーナはオテロの左手の血だらけの包帯を巻き取ったり。ベッドの上で大胆に身体を投げ出したり。挑発的なデスデモーナ。二人は歌い終わって幸せそうに身を横たえている。ベッドの端に立っているイヤーゴ。不気味。

1幕了。

Atto 2
第2幕

"Non ti cricciar"
イヤーゴはカッシオに、デスデモーナにとりなしを頼めとそそのかす。
そのとおりにするカッシオ。

Vanne! la tua meta gia vedo

Credo in un Dio crudel(Jago)
 「俺は残酷な神を信じる」


イヤーゴが一人佇んでいる。
イヤーゴの「神」の歌。彼は自分が最も卑しい存在だと歌う。これもすごい歌詞だよなー。まさに哲学的なオペラだよねえ、これは。すばらしかった。ここで拍手したかったが、拍手は出ない。

ベッドの中でデスデモーナが一人で寝ている。

"Cio m'accora""Che parli?"
オテローが登場する。
イヤーゴは口を滑らせたふりをして、オテローに疑惑を植えつける。
オテローは罠にはまる。

"Non parlo ancor di prova,"
人々が現れ、デスデモーナを称える歌を歌う。エミーリアがデスデモーナを起こす。少女合唱団がなぜかバレエシューズでチュチュを着て、歌う。この歌は地声で歌っていた。せめて裏声で歌ってください。

"D'un uom che geme sotto il tuo disdegno"
近付いてきたデスデモーナがカッシオを許すように頼むと、
オテローは「今はダメだ!」と急に怒り出す。
疑惑の芽が育ち始めた。
デスデモーナはハンカチを出してオテロの頭痛のする頭を縛ろうとする。
ハンカチを投げるオテロー。
エミーリアがハンカチを拾う。
イヤーゴはそのハンカチを奪い取る。

ここは四重唱で聞かせどころ。

オテローはデスデモーナを追い出す。

"Desdemona rea!"
イヤーゴが近付く。

"Tu?! Indietro! fuggi!!"
「証拠だ!証拠をもってこい。」
「正直者はバカを見るんですね。」
「お前は多分正直者なんだろう。」
「状況証拠ならありますよ。ハンカチです。美しい刺繍の…」
「私が彼女にあげたものだ」
「カッシオの手にあるのを見ました。」

"Ora e per sempre addio"


"Era la notte, Cassio dormia"

「夢でカッシオは語りました。…『彼女をムーア人に与えた運命を呪う』と。」
ここのセリフは本当の意味でオテローに屈辱が与えられたシーンのはずなのだ。自分のコンプレックスをつかれるところだからだ。
美しい白人の女を愛しながら、こんな美しい上物の女に自分が好かれるわけがないと思っているコンプレックス。自分が力だけでのし上がってきた野蛮な存在で、そんな中で自分の苦難に同情して愛してくれたという、デスデモーナの優しさ。デスデモーナはキリスト教的に彼を愛しているのだ。二人の住む世界はまったく違うもの。もともと相容れるはずがない。その不安がこのイヤーゴの言葉で「やっぱり!」と確信してしまったのだ。

ここはオテローは表情を見せて芝居するべきだ。今日の人には急ごしらえだから望むべくもなかったが。

"Si,pel ciel marmoreo giuro!"
オテローはイヤーゴと手を組んで復讐を誓う。
イヤーゴは二人の手のひらを切り裂き、血を出して手を握り合って血の誓いを結ぶ。


Part2 へ続く





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最終更新日  2006年03月26日 13時38分35秒
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