2009年02月15日
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カテゴリ: BALLET
ハンブルク・バレエ日本公演2009

ジョン・ノイマイヤー振付「人魚姫」
Day2
2009年2月15日 日曜マチネ
東京・渋谷 NHKホール

キャスト
人魚姫:エレーヌ・ブーシェ
詩人:イヴァン・ウルバン
王子:カーステン・ユング

海の魔法使い:アミリカー・モレット・ゴンザレス

2回目のキャストは意外にも王子と詩人はそのままという布陣でキャスト違いをみるという楽しみは半減した。その分、木曜に見た人魚姫の初回を反芻するような見方になったと言えるだろう。
相変わらずイヴァンはすばらしい。演技も細かいし、優しいし、なにしろ役になりきっていた。繊細な魂を抱えた男性で人魚姫の導き手、救い主として機能していた。
彼がこのお話を作りだし、人魚姫を苦悩させる。だから彼が後悔しながら、苦しみながら人魚姫を眺めているのがせつない。一方なぜアンデルセンは王子をこんなおバカに作ったのか?エドヴァルトはそんなにおバカだったのか?それともエドヴァルトは詩人の気持ちに気付かないふりをしなくてはいけなかったのか?そうでないと関係性が壊れてしまうから?いずれにせよエドヴァルトは彼の苦しみを彼と分かち合うことはなかった。
エレーヌ・ブーシェもとても良かった。
シルヴィアを見ていなければ人魚姫はこれだ!と思っただろう。でもあの異様な異形のETのようなシルヴィアの人魚を見てしまったらもうヤバい。きょうのは美しい寓話だったが、木曜のシルヴィアのは恐怖映画だった。ニジンスキーのように彼女の精神が崩壊して発狂していくのを私たちは見た。だからきょうのようにほんわかとはできない。
いずれにせよ私たちはどっぷりノイマイヤーワールドにつかってしまった。
あの重い重い音楽、ものがなしいクラリネット、気が狂った人魚姫の精神を表すテルミン、ヴァイオリンの出す悲鳴、木琴の激しいリズム、もしくは木魚のようなパーカッションの音、鉄の琴…音楽が耳にこびりついてしまった。
それから海の底の世界を和風にするのは西洋ではいいかもしれないがやはり私たちには違和感があった。海の底は和風なのか?というと違うでしょう。海の底をダンスにする一つのアイディアではあるだろうが…おかげで動きが非常にゆっくりなテンポになって感じられた。


第1幕

青いネオンチューブ


船の白い壁に貼りつく詩人
壁には詩が書いてある(読めない…!)
本が落ちる
人々の笑い声
王子と友人たち

詩人の頭に花嫁のヴェールがかかる
ぐぐーと引っ張られてのけぞる
ヴェールが外れた瞬間!

ベニスに死すの出だしに似ている(そう言われればそうだ)
しかし決定的に違うのは。
アッシェンバハはまだこの時点では理性的だった
詩人の精神はすでにここでもう崩壊している。
エドヴァルトの結婚を認められない。
エドヴァルトに近づく
エドヴァルトは彼に例の親愛を示すしぐさをする。
鼻をつまんでグー
そのグーであごをちょん。
上を向かされる。
言ってみればあっち向いてほい。
日本でもある手遊び。

詩人は
海の底に落ちていく
ななめについている傾斜した道をでんぐり返ししながら下に行く
舞台が広がり、ディープブルーの海底の世界が広がる

人魚たちは手をひらひらひらとさせる。
これはもちろん「ひれ」をイメージしているんだろう。
袴の裾を蹴立てて歩く。
転がって尾びれを立てる。
この尾びれを立てて顔を上げた人魚姫の決めポーズは、鯛の生き造りにそっくりだ。
ノイマイヤーさんは日本食店でヒントを得たのだろうか。

音楽は人魚のテーマとでも愛のテーマとでも言うのか
重々しい耳に残る音楽

エレーヌの人魚は無表情。
とても美しい人魚だ。
そして可愛らしい
シルヴィアは不気味な魚類、いや爬虫類、いやETだったが。

一方海上では、水兵たちが訓練を行っている。
詩人が笛を鳴らしている。
上官である王子がやってくる。
王子は訓練そっちのけでゴルフを始める。
部下が球を置く。
ボールが海に飛び込むと自分も飛び込んで泳ぐ。
人魚姫が王子に近づいてきていっしょに泳いでいる。
王子は気付かない。
ここの表現が難しくて、もちろん人魚は魚で王子は人間
水槽で収録しているわけではないから
重力というものがある
結局人魚が王子に絡まるときは王子はリフトしないといけない
王子のまたの下から顔を出したりユニークなリフトが見られる

海の魔法使いが嵐をおこし、船が沈む。
王子と人魚姫
人魚姫は王子から去ろうとして止まる
王子を振り向く
王子は奇妙なポーズで静止している
ここで音楽が静止する。
静寂が支配する中、
人魚は王子に近づく。
2人のパドドゥが再開される。
人魚姫は王子に恋をしてしまった。
重々しい愛のテーマが響く

人魚姫は王子を浜辺に導く。
人魚姫は自分の唇に手をつけ王子の唇に当てる。
間接キッス。
しかし人間の女性がやってくる。
詩人と人魚姫は下手の奥に消える

王女。
王女は王子の胸を押して人工呼吸をする。
王子の胸が上下し、目を覚ます
王子はいっしょけんめい泳ぎ始める
まだ自分がおぼれていると錯覚しているのだ。
王女は王子をなだめる。
額に手を置く。

王子は王女に恋してしまった。
自分が見た夢に出てきたのはこの人だと思ってしまった。
王女は走り去り
王子は反対方向の下手の袖に走っていく。

人魚姫は人間になりたいとの願望を持つ。
詩人の後ろに立ち、
にゅっと鼠色の制服を差し出す。
詩人はおどけるように右足をロン・ドゥ・ジャンブ・アン・レールする。
「このドレスが着たいの!」
ちょっと困った顔の詩人

詩人は海の底へ人魚姫を連れていく(泳がして)

海の魔法使いは人魚姫を人間にする。
帯をほどき、(人魚姫を床でごろごろ転がし)
袴を脱がし、
青い袴を広げる。
うろこのような全身の青いレオタードも脱がす。
人魚姫は痛みに叫んでいる。
肌色のレオタードだけの人魚姫は裸のようだ

人魚は浜辺で奇妙なかっこうで倒れている。
足が奇怪な形で広げられている
これは普通のバレエではありえない光景。
痛みに苦しみながらも人魚姫は浜辺で自分の手足の感触を再発見し喜んでいる。
私の手!
指があるわ!水かきじゃない。
そして…足があるわ!
でも足先をさわるとアウチ!痛いわ!
でもすてき!足があるなんて。

しかしその足で歩こうとするともっとひどく痛い。
耐えられない痛みが襲ってくる。

王子は何者か(詩人)に連れられるように浜辺に来て
裸の女(人魚姫)を見つける。
実は彼はゴルフの練習に来たのだ。
ゴルフボールを拾う人魚姫。
王子は人魚姫の手にゴルフボールを握らせる。
人魚姫は子供のようにボールと遊ぶ。
人魚姫と踊る王子。
自分のコートの裾をはらって、彼女を自分のひざに乗せたリフト。
人魚姫は上手方向に腕と足を伸ばす。
王子は姫の腰を支えている

王子は上に来ている白いコートをぬいで彼女に着せかける。

魔法の影が車いすを押してきて、白いコートを車いすに乗せる

多分月日が流れたんだろう
豪華客船の甲板
船の上では学校を卒業した王女がいる
ショッキング・ピンクのパンツスーツにピンクの傘
明らかにノイマイヤーは海のブルーの対極に位置する地上の女の色としてピンクを使っている。それもどぎついドピンク。

車いすにのった人魚姫は背を丸めて彼らを見ている
王子と王女が踊るのを見ている。
王子と王女はあの海のテーマで踊り、恋に落ちていく。

2人で踊る王子と王女
詩人は人魚姫を王子の反対側のサイドに連れてく
3人で踊る。
詩人がまじって4人で踊る
王子は人魚姫には目もくれず王女と歩き去る

はだかでふらふらしている人魚に男たちは耐え切れず、服を着せようと思う。

水兵たちが大笑いしている。
人魚姫は水兵の服を着せられ帽子をかぶらされ、踊らされる
おどけたような踊り。片足を上げて手を上から下に揺らしながら降ろす。
ファニーな踊りは王子のお気に入り。

また数日たって
お召しかえしたピンクのドレス姿の王女
王子と婚約する
キスしようとする

邪魔するように王子の肩に手を置く人魚姫
じっと見据えられ、人魚は思わずおどけたあの踊りを踊ってしまう。
なんだいつもの冗談か!
王子は王女に向きなおるとキスする。
瞬間人魚姫は気絶して詩人に抱きかかえられる

暗転

第1幕了





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最終更新日  2009年02月17日 20時23分05秒


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