2009年04月23日
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カテゴリ: BALLET
「ESPRIT~Les Ballets de Roland Petit~」
Tamiyo Kusakari Farewell Gala
22-24 Apr. 2009
Second night in Tokyo
Bunkamura Orchard hall, Shibuya Tokyo


「エスプリ~ローラン・プティの世界~」
2009年4月23日
(東京公演二日目)
Bunkamuraオーチャードホール



M.M.M.(マッシモ・ムッル・祭り)《裏》
一日だけじゃさびしすぎる。

(元祖M.M.M.(マッシモ・ムッル・マニア)ほみさまのサイトは常時祭り開設中です。)

エスプリ Day2

皆様に朗報です!
きょうNHKさんのHDの収録カメラが何台も入っていました。
放送が期待できます。
さすが草刈民代さまです。
きょうは芸能人の方もいらっしゃいました。

きょうは2回目だったのでムッルがん見に専念。
(いやきのうもそうでしたが)



アルルの女、すばらしかった~
きょうのフレデリは実にすばらしかったです。
草刈さんも良かったです。

感動しました~

ムッル、クライマックスですごく感情が入っていた。

彼の悲しみは誰にも救えない。

ムッルはルティレでピルエットするとき、足がアン・ドゥオールにならないんです。閉じている。これは昔からの癖のようで、こういうのは直らないものなんですね。骨盤のせいもあるかも。

+++

そして

スワン・レイク

オデットのソロ。
チェロです。
実にテンポがゆっくりの音楽で
後半のテンポUPするところも相変わらずゆっくり。

何度見ても頭が真っ白になる。
なぜかわかりました。
見惚れているからです。
理性が入る余地がないからです。

美しすぎるオスの白鳥を眺めているだけでソロが終わってしまいます。

それに音楽に気を取られているからです。

存在感を誇示するように美しく踊るオスの白鳥が憑依した人間。
透きとおった瞳。
表情は静謐そのもの。
感情を浮かべる必要がないとき、
マッシモは美しすぎる。

神が与え給うた美しい体。
長い四肢。
美しい筋肉。

片手を床につけ片手を上にあげ、片足を開いて上に伸ばし、そのまま横に倒れる。

片手をつき両足のつま先を立てて、床の上で体を回転させる。

時々羽ばたいて見せる。

僕はホントは白鳥なんだよ、と見せるように。

ソロの最後の部分のパもジャンプしながら下手(しもて)に移動するものだが美しすぎて見惚れてしまう。

彼にぴったりの演目としかいいようがない。

屈みこんで静止すると拍手がわく。

女性が現れる。
ハープが流れる。

床にうずくまる。
女性が背中を踏んで越えていく。

鳥のしぐさのように彼女の足に頬ずりしていた~

クライマックスの女性のリフト。
差し上げてそのまま上で女性は体まっすぐのまま後ろに倒れこむ。
ダイナミック。

かと思うと女性をリフトするかと思いきや床に引きずり、自分は美しく前転する。

女性の体を引き寄せて、
座り込んで前に抱える。
ここは妙にエロティック。

同じスワンのポーズをとる。
すなわち片手を白鳥の首のように上にさしあげて床に座っている。
シンメトリーに。
そして前に伏せる
暗転、終了。

+++

Related Links

Altynai Asylmuratova
and Roland Petit, a new Swan Lake, the Kirov Ballet


Le Lac des Cygnes et Ses Maléfices (Swan Lake and Its Evil Spells){Mar.1998}

ムッルの写真が2枚あります。
そしてこの記事にはきわめて興味深い記述があります。
白鳥は全部オスなので、「マシュー・ボーンのスワン・レイク」が思い浮かぶだろうが、と書かれています。
マシューボーンのスワンレイクの初演は1995年 。プティ版スワンレイクは詳細は不明ですが1986年の「マ・パヴロヴァ」ですでに登場しています。
男性のスワンの発想はプティが先だったということになります。

+++

ムッルの最後の演目

モレルとサンルー。

いや~いいです。
何とも言い難い。
刺すような激しい視線のモレル。
同じようにきりっとした視線で対抗するサンルー。

しかしコルプのモレルは荒々しいだけでなく妙に色っぽいところもあるんだ。
これでこそ魔性の男。
まあ魔性と言えばビュヨンの方がそう感じましたが…

とにかくこの2人のコンビは抜群でした。

二人が並んで立っている。
ほんの少し、ムッルの方が背が高いが、
コルプがつま先立ちするとコルプの方がやや大きくなる。

肌色のレスリングのユニフォームみたいな衣装なので、
裸に見える。
初見だったら、いいんだろうか?と狼狽しちゃう感じ。

チェロのぐわ~という押し出しの強い演奏とともに二人の絡みが始まる。

コルプがサンルーの首を締めあげるように抱え、
サンルーが斜めになって手を伸ばすあれ、
首は絞めてないんですね~
抱え合っている。

とにかくエロチックなパが満載です。

二人の関係性ですけど、
ビュヨンとマチュー・ガニオだと完全にビュヨンがその悪魔のような美しさで美しいサンルーを支配している感じがわかった。
サンルーのマチューは感情の起伏が激しく、ドラマティックだった。
ムッルは違うんですよね~
同じ男として激しく対峙するんです。
視線もすごく男らしいし、かといってマチューのように感情をむき出しにするわけでもない。
そこがコルプと対照的で実に良かった。
コルプは今にも飛びかかってきそうな野犬で、ぐるぐる獲物の周りを回っている感じ。
しかし絡むとしなやかなオス猫になるコルプ。
ムッルは正統派でコルプは悪魔。
まさに天使と悪魔。
ラングドン教授の出番か~
(話が違うから)

アポロとディオニュソス。
天使と堕天使。

キリスト教的なものがバックグランドにある展開だったのかも。

最後のサンルーがモレルの足のふくらはぎを枕にして手をチューリップのように開き、モレルの背中を支えてるように見えるあれ、
手は背中につけていないんです。



+++

タマラ・ロホ・プチ・祭り 《プティだけに》《これも裏》

ノートルダム・ド・パリ

きょうもエスメラルダが抜群でした~
残念なのはこれがマッシモのスワンの直後だったこと。
マッシモの幻影を頭の中で反芻中にもうカジモドが出てきちゃうもんで…
でもロホの踊りが素晴らしすぎてそちらに引き込まれてしまう。

カジモドは背中のこぶのせいで体が湾曲している。
右手が不格好に吊り上ってしまっている。
これが彼のコンプレックス。
でもエスメラルダは笑い飛ばす。
彼女は彼を恐れないし笑わないし、忌み嫌いもしないし利用もしない。

腕をだらだら垂らして振っているカジモドの真似をする。
そして二人はシンクロして踊りだす。
この瞬間がいちばん好き!
音楽のテンポにぴったりあった二人の不思議な動き。

カジモドは彼女と踊っている時だけは普通の姿勢に戻れる。
まるで魔法のようだ。

性急に腕をひっぱり
痛いわ!という顔もされるが。

カジモドの人間的な大きさ、頼りがいのあるところに
エスメラルダは安心して身を投げ出している。

バランスも完璧なのを2回見せてくれた。
2日目は立ってましたね、ずっと。
初日は振り付け通り立ったら後ろに傾いて男性のホールドを待つんです。
2日目は垂直。
でも嫌味なほどのキープはしません。
そういうとこさすがタマラ、心得てます。
彼女は超絶技巧のひけらかしは今回いっさいなかったです。
自分の役どころをわきまえているんですね。
プティだということもあるのでしょうが、
私には意外でした。
つまりいつものはじけたタマラでなく、
お嬢様系私…を演じているタマラだったのよ~

カジモドが振り子のように、鐘つきの棒のように、
彼女を地面と平行に抱えて揺らすと、
エスメラルダは眠くなって寝てしまう。
そっと地面に横たえるカジモド。
カジモドの腕は魔法が解けたようにまた元に戻ってしまう…

あ~せつない
カジモド版シンデレラです。
もちろんエスメラルダはフェビュスという兵士の恋人がいるのだが
セクシーでもてすぎるため、ちょっと天狗入っている。
彼女の心のすきまはカジモドの愛で埋められたのだ。
愛を与えるものこそが愛を与えられるのだ。

+++

ヴァントゥイユの小楽節。

美しい音楽に合わせて踊る男女。
ピアノとヴァイオリン。

その男女も楽器になっている。
ピアノとヴァイオリンになっている。

これはまさに音楽。
見ているだけで幸せな音楽を聴いている感じと似ている。

というか音楽が美しすぎて音楽の方が立っちゃってるんですよね。

タマラのお尻の下に手を入れて垂直に上に持ち上げるリフトがある。
ここだったか初日は降ろす時にちょっとひやっとしたシーンが。
ここ以外は完璧だった。
コルプさんはリフトは苦手なのでしょうか。

女性をリフトすると見せかけて実は男性のまたの下をくぐるというプティらしいファニーな振付もあってにやっとする。

コンビネーションとしては2人とも濃い! 隠してても濃い!ので
う~んという感じはありました。
でもすてきでした~
コルプのムーヴメントがとにかくきれいなんで見とれてしまうんですよね。

+++

タイス

これもすごくよかった~
これはカルフーニと比べてはいけないです。
タマラはタマラの良さがある。
手足は短いが
完璧なバランスに完璧なピルエット。
男性より多くきっちり3回転、常に回ってました。
しかも3回転めがゆ~っくりになって余韻を残して止まるの。
もちろんまだまだ回れるのよ~ということで。
まるで女版、ホセ・マヌエル・カレーニョでしたわ。


+++


イーゴリ・コルプ・プチ・祭り 《プティだけに》《これも裏》

ヴァントゥイユは上記。

なんといっても切り裂きジャック君でしょう~!

きょうも異様さ炸裂してました~
どんだけ怪しいんじゃお前という演技で
もう圧倒されます!
ホントにストレートプレイのようでした。

草刈さんがまるでセルロイドの人形のように可愛くてはまってました。
なぜかというとまったく微笑とか恐怖とか女は表情を浮かべないんです。
同じ顔なんです。常に。

美女と野獣を通り越して、人形と異常者
でしたわ~
めちゃ倒錯!

リフトで彼女の股間をもろ持って、もう片手で彼女の足を上げてなで上げるという
バレエ界において反則!みたいなパもあって、もうレッドカード!でした~

彼女を刺すのは唐突でえ?という感じ。
長く伸ばす女性の悲鳴でそれがわかる。
彼がいつナイフをどこから出したのか、きょうもわからなかった。
すぐにナイフを投げ捨てる。
手をひっぱるが、ダランと人形のように元に戻る。
そしてその後の狂気。
狂気がおさまったあと襟を正してゆっくり上手(かみて)に歩いていく。
暗転。

あのコルプをまじかで見たお子ちゃまは夢に出てきてこわいんじゃないかしら。
私はけっこう受けてましたが~

+++

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最終更新日  2009年04月25日 20時50分10秒


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