バリトン藪内俊弥冬の旅

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2015年04月30日

カテゴリ： Classical Music

Photo:©Shevaibra, courtesy of Mr. Yabuuchi

シューベルト三大歌曲の夕べ
シリーズ第二弾
～冬の旅～

4月30日（木）19：00
すみだトリフォニー小ホール

藪内俊弥［バリトン］
巨瀬励起［ピアノ］

《企画制作》ケイ・アーツ・オフィス

＊＊＊

何を隠そうシューベルトは苦手です。
冬の旅はパリのガルニエでサイモン・キーンリーサイドが変な踊り付きで歌うのを10年前ぐらいに見たきりです。
シューベルトは暗いので昔から苦手でした。
この歌曲を理解するには相当なドイツ語力が必要です。
しかし‼︎
藪内俊弥さんの表現力豊かな美しい冬の旅は実に素晴らしかったです。
大感動しました。
歌がうますぎるだろという完璧な歌唱。

酔いました。
ハイバリトンの美しい声で
とにかく七色の声と言うか
曲に合わせての声のギアチェンジがすごい。
繊細な知的な歌手です。

むしろピアノ(弱音）で歌えるだけ歌い
必要なところだけ声をはっていました。
だから効果的でした。

巨瀬さんのピアノも美しい冬の旅の世界を作りだしていました。真剣勝負でした‼︎
アンコールは巨瀬さんにお聞きしましたが同じくシューベルトのさすらい人とのことでした。ありがとうございます。

お客さんには歌手仲間が多数詰めかけていました。
客も非常によくわかっていて彼の歌に聴き入り、拍手も最後余韻を持ってからでした。
これぞ客席と舞台が一体となった公演と言えるでしょう。

＊＊＊

第1部 Erste Abteilung

1. おやすみ Gute Nacht

2番は何度か音程を上げて歌う
途中で長調に転調する。

2. 風見の旗 Die Wetterfahne

3. 凍った涙 Gefrorne Tränen

すばらしい！

4. 氷結 Erstarrung　かじかみ

低い音程あり

ピアノ速い演奏　テンポよく小気味よく速い

5. 菩提樹 Der Lindenbaum

有名曲
夢見るような表情
ピアノが菩提樹に吹く風を表現している。すばらしい！

6. 溢れる涙 Wasserflut

甘い声で歌う

7. 川の上で Auf dem Flusse

マイン・ヘルツ！
ピアノも歌もスタッカートを聴かせた演奏でなかなかすてきで斬新。
声をはったりする

8. 回想 Rückblick　顧みて

9. 鬼火 Irrlicht

難しい曲。音程の高低差がある。
うまい！

10. 休息 Rast

これも難しい音程の高低差のある曲

11. 春の夢 Frühlingstraum

美しい曲。すばらしい！

12. 孤独 Einsamkeit

声を張る
休憩せずに2部へ突入
ますます声は美しい響きを帯びる
本人の没入ぶりも高まる一方。

第2部 Zweite Abteilung

13. 郵便馬車 Die Post

14. 霜おく頭 Der greise Kopf

15. 烏 Die Krähe

すばらしい！

16. 最後の希望 Letzte Hoffnung

すばらしい！

17. 村にて Im Dorfe

18. 嵐の朝 Der stürmische Morgen

スゴイ！迫力。

19. まぼろし Täuschung

一転穏やかな声に

20. 道しるべ Der Wegweiser

意味ありげな歌詞。
淋しさ。

21. 宿屋 Das Wirtshaus

表現力極まれりといった風。

22. 勇気 Mut

声を張る

23. 三つの太陽 Die Nebensonnen

激しい。

24. 辻音楽師 Der Leiermann

いよいよ来た最後の曲。
印象的な風景。

歌詞対訳は薮内氏本人。対訳もすばらしすぎます！

客は彼が余韻を味わうのを待っている
そして万雷の拍手！
リートと言うのは普通のコンサートの曲とは明らかに違う！
これは哲学なのだ
彼が詩を読むのを聴いて意味を、人生を味わうことなのだ
彼の悲壮な精神を味わいつくすことなのだ
薮内さん見事だった
精神の高みを表現していた
ここがリートの本質である
ドイツ語とか日本語とか関係ないものがそこにあった！

彼は終始自分と対話していた。
客なんていないも同然。
客に受けるために歌うのではないからだ。
終わってもその世界から離れられない表情の彼がいた。

アンコール

シューベルトのさすらい人

ロビーで客に話しかけられても精神はまだ宙を飛翔していた
この歌曲集がいかに彼を取り込んで飲み尽くし打ちのめしていたことか！
彼は現実の世界にまだいなかった。

そんなとこまで素敵だった！

巨瀬さんは大きな存在で彼を支える風となり自然となり嵐となり大地となって Leiki Kose 11.jpg