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かわばたさんより、ムエックスが造るプロヴィダンス・ポムロル[2006]同じくかわばたさんのタルラン・ブリュット・ナチュレ・ゼロ同じくかわばたさんのレ・オー・ド・スミス[2015]みちのくさんよりベルナール・デュガ・ピィの[2018] ブルゴーニュ・ルージュとフィクサンみちのくさんよりベルトラン・アンブロワーズの17ヴォーヌ・ロマネ オー・ダモード同じくみちのくさんよりジャン・グリヴォの16ヴォーヌ・ロマネみちのくさんよりダニエル・リオンの16クロ・ヴージョ ル・プティ・モーペルテュイ 特級 ダニエル・リオンもう19VTなんですね。AWCさんよりユドロバイエの[2019] ブルゴーニュ ルージュAWCさんよりバローの[2019] プイィ・フュッセ レ・クレイ同じくAWCさんのプイィ・フュッセ アン・ビュラン(バロー)AWCさんよりフェブレの旨安モノポール[2019] メルキュレ プルミエ・クリュ クロ・デ・ミグラン同じくAWCさんよりフェブレの[2019] メルキュレ ラ・フランボワジエール。こちらもモノポールですドメーヌ・バローのプイィ・フュイッセ・アン・ビュラン。割田屋さんにもあります割田さんの18ローラン・ポンソ。ACブル、シャンボール、ジュブレ最近飲んでませんが。割田さんよりフィリップ・ルクレールの18ブルゴーニュ・ルージュ『レ・ボン・バトン』同じく割田さんよりジャック・フレデリック・ミュニエの18ニュイ・サン・ジョルジュ 1erCru『クロ・ド・ラ・マレシャル』割田さんよりロベール・シュヴィヨンの18ニュイ・サン・ジョルジュ・レ・ヴォークラン割田屋さんのエシェゾー [2018] ジャック・カシューウメムラさんのクリュッグ クロ・ド・メニル [1998]。木箱入り同じくウメムラさんよりドメーヌ・ラモネの16シャサーニュ・モンラッシェ 1er ブードリオットウメムラさんより奥出雲ワイン SYMBIO 小公子 [2016]ウメムラさんよりドメーヌ・アンドレ・ペレのコンドリュー シェリー [2018]子供のVTなので気になります。ウメムラさんのペスケラ・レゼルヴァ エスペシアル [2003]1500ml 木箱入り同じくウメムラさんのオー・ボン・クリマ シャルドネ サンタ・バーバラ ツバキラベル [2018]ヒグチワインさんよりマッキオーレ のパレオ ロッソ [2017] 同じくヒグチさんよりロベール・アンポーの ムルソー ラ・ピエス・スール・ボワ [1996] 河野酒店さんの19ヴァンサン・ドーヴィサ河野酒店さんのムルソー・プルミエ・クリュ・シャルム[1996](ロベール・アンポー)エスカルゴさんの[2018]オレリアン ヴェルデエスカルゴさんのル カノン ミュスカ ダレクサンドリー[2020]ウメムラさんの決算特別価格09ラ・ミッション・オー・ブリオン同じくウメムラさんよりテデスキのアマローネを含む イタリア赤ワイン 3本セット。A〜Cセットありますウメムラさんのシャトー・パプ・クレマン・ブラン [2008]すむらさんよりプリュレ・ロックの18ヴァン・ド・フランス・ガメイ ワインではありませんが。パリ16区さんより百年の孤独正規品ヴェリタスさんよりフェブレの19メルキュレ・クロ デ ミグラン 安いですね。ヴェリタスさんのパイパー エドシック ブリュット 箱なしその他著名シャンパンいろいろ。ヴェリタスさんより
2021年05月30日
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ハイキングにはまっていた頃なので、2016年ごろに書いた記事と思われます。ピーク時には年間30回近く行っていたものですが、2018年に右膝の靭帯断裂という大アクシデントに見舞われ、リハビリに多大な時間を要すこととなり(ちなみに山歩きではなく地下鉄の構内で階段を踏み外したのが原因でした)、それ以来、山歩きとも疎遠になってしまいました。コロナ禍が一段落したら、ワイン同様、徐々にまた再開できればと考えていますが、今では、体がついていきそうにありません。まずは、都内近郊の公園などを少し長めに歩くことからですかね〜。【山歩き・ハイキング】カテゴリの記事 https://plaza.rakuten.co.jp/szwine/diary/ctgylist/?ctgy=15******************「今週もまたピクニックに行くの?」最近、週末が近づいてくると、カミさんが決まって私に言う言葉です。この言葉だけを聞くと、家族みなで週末にワイワイと出かける姿を想像するかもしれませんが、実際はそうではありません。「週末また家族をほったらかして一人で出歩いてくるの?」というやや批判的なニュアンスが言外に含まれています。もっとも、私は決して家族を「放ったらかして」いるわけではなく、一緒に行こうとなるべく声をかけるようにしているのです。ただ、歩くことが嫌いなカミサンや朝早く起きるのが苦手な子供たちが私の誘いに乗ってこない、というだけのことです。そもそもカミさんは「ピクニック」といいますが、私が出かけているのは「ハイキング」です。ピクニックとハイキングって、いったいどこが違うのでしょうか?日本ではいずれも遠足的な使い方をされていて、その境界は曖昧ですが、英語圏では明確に区別されています。ハイキング(hiking)とは「徒歩旅行」のことで、健康維持や自然を楽しむため、山野を歩くこと。外国に駐在していた人が「ハイキング」に行こうと誘われて、軽い気分で行ったら、思いの外本格的な山歩きで驚いた、なんていう話も聞いてことがあります。一方のピクニック(picnic)は、直訳すると「食事を持参しての遠足」。自然を楽しみながら、野外で食事をすることが目的の中心であるため、移動手段は特に重視されておらず、徒歩であるとは限らないとのこと。使い方が曖昧といえば、「ハイキング」と「トレッキング」「登山」の違いも曖昧です。私の頭の中では、日帰りの山歩きは総じてハイキング、ハイキングの中でも中級者向け以上と言われるランクのもの(歩行時間が5〜6時間以上だったり、ちょっとした岩場やロープ場などがあるようなコース)がトレッキング、両手や道具を使って登るレベルものものや山小屋に宿泊して頂上をめざすようなものを登山という線引きをしています。 私が週末出かけている山は、高尾、奥多摩、丹沢、山梨などのおおむね往復5時間以内で登って下りてこられるような初心者向けコースばかりですので、基本的にはハイキングです。ただ、「ハイキング」という言葉には、カミサンが間違えたように「ピクニック」にも似た牧歌的な響きがあって、正直、50を過ぎたオヤジが趣味はなんですか?と聞かれて、「ハイキングです。」と答えるのはやや憚られます。なので、このような質問に対しては、もっぱら「山歩きです。といっても山登りというほど本格的なものではありません。」と毎回、言い訳をしながら答えています。まるで「ワインエキスパート」の資格について、ソムリエとの違いを説明するときのようです。■無理やりワインと山歩きを比べてみる。そんなわけで、カミさんからはやや冷ややかな視線で見られがちなハイキングですが、今年に入ってから週末山歩きに行った回数はといえば、10月末の時点ですでに25回を数えます。特別が用事がなく、天気の良い週末にはほぼ毎週出かけている計算になります。(これでは冷たい目で見られても仕方ありませんよね‥)というわけで、今やワインと並んで、私がもっとも力をいれている趣味と言ってもよい山歩きについて、若干(かなり?)無理やり感がありますが、ワインとの比較をしてみたいと思います。■比較その1:家計にはどちらがやさしいか?今のところ、山歩きに軍配が上がります。最近ワイン会などに出かけなくなり、ワイン収集の意欲も衰えたことから、ワイン関連の費用はかつてほどかからなくなりました。とはいえ、なんだかんだで年間100本の消費ペース自体はあまり変わっておらず(実はこれが大きな課題だったりします)、今もってデイリーワインをちょこまかと買い足している日々です。一本あたりの単価が安い分、つい数本まとめて購入してしまいがちで、気づけばセラーの中のワインの本数は一向に減っていないという有様。安価なワインばかりとはいえ、コンスタントに購入し続けているわけですから、年間ではそれなりの金額になります。それに比べれば(あくまで相対的なものですが)山歩きにはそこまで金はかかっていません。凝りだすにつれて、やれウエアだのリュックだの靴だのその他アイテム類だのと、出費が嵩み始めていますが、今のところ目玉が飛び出るような金額にはならずに済んでいます。ウエアなどは、普段着にも使いまわせるし、余ったリュックは防災用品を入れておけるので、それなりに重宝します。イニシャルコストに加えて、ランニングコストが安いことも魅力です。週末一日がかりで山を歩いても、かかる費用は交通費と昼食代ぐらいのもの。街中で散財しない分、トータルとして節約に役立っている感すらあります。もっともこれも程度の問題で、テント泊や冬山登山等始めれば、イニシャルコスト、ランニングコストともに違ってくるのだろうと思われます。とりあえず私の場合は、基本的に「日帰り」という縛りがありますし、体力の不安やほとんどソロで歩いていることもあって、今のところあまりチャレンジングなコースに挑もうという意欲はありませんが。■比較その2:家族のウケはどちらのほうがよいのか?我が家の場合は僅差で山歩きだと思います。山歩きが家族の不興を買うのは、週末ひとりで家を空けることと、泥だらけになって帰ってきて、洗濯物が増えることぐらいです。一方でワインについては、長年部屋の一角に鎮座しているワインセラーや、日々届く宅急便、洗い物の障害となるとカミサンの不興を買い続けている巨大なグラスなど、多く前科?があります。「ワイン会=家族を置いてひとりだけ豪勢なコース料理を楽しんでくるもの」という微妙に妬みの混ざった刷り込みがカミサンの中にあるのも心象を悪くしている要因かもしれません。もっとも、夫婦でワインを嗜む家庭ならワインに対する心象はもっと良いでしょうし、この辺はいかに家族を巻き込むかで全然違って来るのだと思いますが。■比較その3:職場の同僚や友人との話題に事欠かないのは?これは、ワインでしょうね。山歩きの場合は両極端で、周囲を見回しても、成人して以来、ほとんど山に登ったことのない人という大半な一方で、「学生時代に山岳部に所属していた」とか「ワンゲルのサークルに入っていた」というような本格派の方も少なくありません。私自身がまだ初心者ゆえ、そういう人たちとはなかなか話がかみ合わないのが辛いところです。ワインについてはどうでしょうか?資格をもっているような愛好家も社内に数人いますし、そこまでのマニアでなくても、ワイン人口の裾野の広がりを反映してか、「こないだどこそこのレストランで飲んだなんとかという銘柄が美味しかった」とか、「◯◯というワインがオススメだ」などという日常会話が聞こえてきたりします。ちなみに、最近ワイン関連の活動に関しては鳴りを潜めているせいか、職場には私がワイン愛好家であることを知らない人も増えてきました。先日たまたま会社にジェロボアムのシャンパーニュが送られてきて、「Jeroboamってどういう意味なんだろうね?」と若い人たちが話していたので、シャンパーニュのボトルサイズについて説明したら、「なんでそんなに詳しいんですか〜」と妙に感心されたりしました。(笑) ■比較その4:健康によいのは?そもそも運動とアルコール飲料を比べること自体ナンセンスですが、ここは言うまでもなく「山歩き」でしょう。よくワインは健康によいと言われます。「フレンチパラドックス」、「ポリフェノール」、「リスベラトロール」といった言葉は今さら当誌の読者に解説するまでもありませんが、ワインが健康に良いというのは、どこまで行っても所詮は「酒としては」という注釈つきの話であって、大量にアルコールを摂取しつづければ、健康を害する可能性が高まることは言うまでもありません。では、体によいという場合のワインの適量はどれくらいなのかというと、たいてい「グラス1~2杯」などと書かれています。しかし、愛好家がワインを飲み始めたら、グラス1~2杯では終わるとは思えないし、そもそも保存性に難のあるワインを一日1~2杯に留めるというのも厳しい話です。加えて、ワインのつまみとしてつい脂っこいものを食べてしまうことも各種の数値を悪化させる要因となります。山歩きを始める前は、週末、一日5キロ程度ウォーキングをすることを習慣づけてていました。なぜウォーキングを続けていたのかといえば、年々悪化の一途をたどっている血糖値やコレステロール、血圧といった数値の改善のためというのが大きな理由で、これらの数値の悪化の背景のひとつに、長年続けてきたワインライフがあることは疑いの余地のないところです。 そんな折、昨年の秋に、木の根につまずいて足の甲を剥離骨折するというアクシデントに見舞われました。一か月ほど足首を固定していたおかげですっかり足の筋肉が弱ってしまい、少し負荷のかかるリハビリをと思って、高尾山に登ってみたのが、山歩きにはまるきっかけでした。山歩きの効果はてきめんでした。ここ数年続けていた「糖質制限」がこのところすっかり有名無実化してきているにもかかわらず、夏前に受けた血液検査の結果は、すべての数値が基準内に収まっていました。これも冬場から夏前にかけて毎週のように山歩きに出かけた賜物だと言えます。週末の街中ウォーキングは、1時間も歩けばかなり退屈しますが、山歩きであれば、たとえ低山であっても、登山口までの往復や登り下りで3〜4時間程度は楽に歩きます。それに標高差500mもしくはそれ以上のアップダウンが加わるわけですから、当然消費カロリーは増えます。初級向けと言われる高尾山ですら、60キロ台後半の私が登ってるだけで、おにぎり5個分程度のカロリーを消費するというデータもあるそうです。さらに、山歩きによって筋肉がついて基礎代謝が上がるということもありますし、土の上を歩くことで、膝にも結果的には優しいと思われます。というわけで、最近は忙しい週末であっても、長めにウォーキングする気持ちで、我が家から近い高尾山界隈まで足を延ばすことにしています。これが週末の山歩きの回数が増えている理由です。■比較その5:メンタルによいのは? 前項と関連しますが、ことメンタル面への影響ということではどうでしょうか。どちらも大いに寄与してくれているという面では引き分け、過去からの積み重ねという意味ではワインに軍配をあげたいと思います。ワインを飲み始めたのは30代半ば。当時は仕事のプッシャーがキツく、残業も今とは比べ物にならないほどこなしていました。余暇の時間にひたすらワインにのめり込むことで、結果的にオンオフを上手く切り替えられました。40代前半は職場環境に恵まれず、ストレスから鬱状態になりかけたこともありました。そんな時に、最終的に私の心の均衡を保ってくれたのはワインという趣味でした。そういう意味ではワインと出会うことができたのは本当によかったと思っています。一方で、酒量が増え始めたのもこの頃からでした。純粋にワインを愉しむということ以上に、気づけば日常のストレスから逃れるための手段としてワインを毎晩飲むようになっていたという側面は否定できません。そんな中、健康のために始めた山歩きですが、始めてみると、精神的にとてもリフレッシュできるのを実感するようになりました。少し負荷のかかるコースで一途に山頂を目指し、適度に汗をかくことで、積もったストレスが雲散霧消します。ことさら山頂をめざさなくても、ハイキングコースを数時間歩くだけでも実に爽快な気分になります。この文章で表現しずらい「リフレッシュ」感覚はいったい何なのだろうと思っていたのですが、先日、「森林浴」に関する記事を読んでいてはたと合点がいきました。山歩きを通じて、知らず知らずのうちに、私は週末に森林浴をしているのだと思います。 森林浴の効能については、フィトンチッドという成分によるリラックス効果、NK細胞の増加や免疫力アップなど、ネットで検索するといろいろと出てきます。ワインにおけるアントシアニンとかリスベラトロールの効能といった議論を思い出しますが、あまりここでは深入りしないことにします。とはいえ、総論としてリラックスやストレス軽減といった効果があることについては、大いに共感できるものがあります。そういうことで、平日はワインを飲んで仕事のストレスを忘れ、週末には山にでかけて思いきりリフレッシュする、というのが最近の私のスタイルです。では、山歩きの休憩中にワインを楽しむのはどうだろうと声も聞こえてきそうですが、山を歩いている途中で飲むと、トイレに行きたくなったり、足元がふらついて怪我をしかねません。ボトルがユサユサとリュックで揺られるのも好ましくないし、グラスも碌なものを用意できない、ということで、山歩きの途中でワインを、というのはお勧めできるものではありません。同様に、山歩きから帰ってきた後で飲むワインも、アルコールの吸収がよくなるせいか、あるいは疲れているせいか、普段より酩酊しやすいので、適量を守るよう気を付けるようにしています。■比較その6:リスクは?考えたくありませんが、直接命に係わるようなリスクという意味では山歩きのほうがリスクが高い気がします。前項で書いたとおり、ワインはアルコールですから、多量に飲み続ければ、健康へのリスクは避けられないでしょう。とはいえ、急性アルコール中毒にでもならない限り、すぐに命の危険にさらされるようなことにはなりません。一方で、山歩きには(あまりないこととはいえ)「怪我」「遭難」「クマ、蛇、スズメバチなどとの遭遇」といった、まったく別のリスクがあります。命にかかわらないまでも、山上で怪我をして動けなくなったりすれば、山岳救護隊を呼ぶといった悲惨な事態になりかねません。私のような経験の浅い初心者でも、下りで膝を痛めて這う這うの体になったり、ひとけのないところで巨大なハチと一対一になって焦ったことがありました。とくに今の私はソロで(ひとりで)行くケースがほとんどなので、大げさと思われるかもしれませんが、雨具や救急用品、ライト、熊除けの鈴など、いざというときの用意は怠らないようにしています。■比較その7:長く続けられるのは? 私より一足先に定年になった職場の先輩はここ数年、週末に絵画教室に通うのを楽しみにしています。先日、彼の書いた絵を見せてもらったところ、プロの作品と見まごうような出来栄えに驚かされました。老後も長く続けられる趣味という意味では、実によい趣味を見つけたものだなぁと感心しました。(※Sugar7さんのことですが、今ではほとんどプロです。) ワインについて、最近当コラムでネガティブなことばかり書いたり、ワインを飲む頻度と量を減らそうと頑張ったりました。多少は効果が上がったとはいえ、やはり日々のワインはやめられないよなぁと、最近は逆にワインのありがたさを実感しています。とりあえず健康面で許される限り、細く長くワインを飲み続けていきたいと思っています。 山歩きは昨年末から凝りだした新たな趣味ですが、リラックス効果やストレス軽減だけでなく、より積極的に健康増進に寄与してくれるという意味で、ワインと相互補完の関係を築けるように思います。経済面でもそれほど負担にならないというのも魅力です。そういう意味では、今回のコラムのタイトルは「微妙な関係」ではなく、実は「絶妙な関係」なのかもしれません。ただし、ワイン以上にこちらも、「健康であること」とくに足腰が健康であることが続けていく上での絶対条件になります。ペースを上げすぎたり、調子に乗ったりして怪我で長期離脱するのは最悪です。 ワインと山歩き、いずれも長く続けるためには、ペースを上げすぎず、節度をもって、というのが肝要でしょう。
2021年05月30日
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このところ悩まされている体調不良については、何度となくこちらで言及してきました。全身の筋肉痛やコリ、倦怠感、前立腺炎、酷い口内炎、不眠などの慢性的な不調に悩まされ、私はそれをコロナの後遺症ではなかろうかと疑っていることも書きました。コロナの後遺症でないかという疑惑コロナの後遺症ではないかという疑惑~その2疑いはいまだ晴れないのですが、それとは別線で、この2ヶ月ほど特に酷い全身のコリや筋肉痛、倦怠感の原因のひとつに、長年飲んでいるLDLコレステロール薬「リピトール」が関連しているのではないかという疑念を最近抱くようになりました。というのも、かれこれリピトールを15年近く飲み続けてきたのですが、・職場の診療所がコロナで一時閉鎖となり、代わりに近隣のクリニックで(リピトールの)ジェネリック薬品「アトルバスタチン」を処方してもらうようになった。(←ジェネリックに変えた時期と体調が悪化した時期が一致。)・ここにきて、LDLの数値が再び上昇傾向にあることから、クスリの処方が1錠から2錠に変更となった。(←2錠に変更して以来、倦怠感がさらに酷くなった気がする。)リピトール自体は、長年服用してきて、実際LDLコレステロール低下の効果は少なからずありました。(最近再び数値が上がっているのは、在宅勤務による運動不足と不摂生だと思います)今になって急に副作用が出るとは考えずらいのですが、たまたままジェネリックに代えたタイミングだったというのが気になるのです。そんなことって起こりうるのでしょうか?服用量を増やしたら倦怠感が増したというのもたまたまだったのかもしれず、本当に因果関係があるのかどうかはわかりません。自分自身、半信半疑です。とはいえ、服用をやめて2〜3日、明らかに肩や体のコリが減っているのはたしかです。とりあえずあと2週間ほどは服用を控えて、体調の変化を観察したいと思います。追記:薬局に電話をして、(ジェネリックでない)リピトールに代えてもらいました。薬剤師さんは、私の電話を受けてから医師に問い合わせをしてくれたそうで、当面注意深く服用して、尿が赤くなったりしたらすぐにクリニックを受診するように、とのことでした。早晩、リピトールに戻すにしても、しばらくの間は服用を控えておこうと思います。
2021年05月28日
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85歳の母親が今日、新型コロナワクチンの1回目の接種だったので、私が付き添ってきました。有給休暇までとって同行する必要があるだろうかとは思いましたが、母は耳が遠く、薬剤アレルギーの既往症があるので、念には念を入れることにしました。行ってみると、会場の対応は十分信頼のおけるものだったので、私がいなくても大きな問題はなかっただろうと思われます。とはいえ、私が同行したことが母親にとっては大きな安心材料となったようなので、結果オーライでした。接種場所は千歳烏山駅前の区民センター。予約時間15時40分の10分前に着いたら、すぐに会場階に通してもらえました。エレベーターを降りると、係員が案内してくれて、予診の受付→予診→接種とそれぞれ別の部屋に進みます。導線はやや複雑ですが、いたるところに係員がいるので、迷ったり混乱することはありませんでした。ところがウチの母親ときたら、予診の受付でさっそく、身分証明証(保険証)を持参し忘れたことが判明。代わりに申し込み時の電話番号で照合してくれることになったものの、自宅の電話番号や母の携帯番号を申告しても申し込みの番号と一致せず、難儀しました。(申し込み時に私の弟が代行したため、電話番号が弟の携帯のものになっていたのでした。)この場面、耳の遠い母親だけでは苦労しただろうなと思うと、とりあえず私が同行した甲斐はあったかなと思います。受付の担当の方々はとても懇切丁寧で、お役所的な杓子定規の対応でなかったのは救いでした。土砂降りの雨の中、保険証を取りに帰れと言われたら、相当凹むところでした。予診では、あらかじめ記入した問診票をもとに確認、前述の通り薬剤アレルギーの既往症があるので、接種後通常の15分でなく、30分会場で様子をみるように言われました。隣の部屋に移り、いよいよワクチン接種。担当は看護師と思しき若い女性でした。ニュースなどで良くみる、腕に垂直に針を打ち込む映像は一見恐ろしげですが、実際に目の当たりにすると、本当に一瞬で、インフルエンザの予防接種よりも短く感じられました。接種後は会場内におかれた椅子に座って、所定の時間まで待機します。母親がうつらうつらとしだしたので、30分予定のところ結局50分ぐらい座っていましたが、特に具合が悪くなることもなく、無事帰宅と相成りました。ちなみに、その間、結構な数の方々が接種を終えて、先に帰っていきましたが、具合が悪くなった人は見かけませんでした。ちなみに、万一具合が悪くなった人が出たとしても、レイアウト上、これから接種する人たちの前を通らずに担架や車椅子搬出できる配置になっています。そう思うと、やや複雑に思えた導線にも合点がいきました。接種に来ていたのは、一瞬本人なのか付き添いなのか判らないくらい「若めの老人」が多かった印象です。ご夫婦で来ている方々も結構目にしました。総じて、導線がやや複雑なため、トラブルがあったりすると混雑しそうでしたが、この日の待ち時間はほとんどゼロ、係員の応対もよく、スムーズに終わりました。また、付き添いの私はすべての行程で同行を許されました。母親は前日の晩ほとんど眠れなかったとのことで、接種を終えて、見るからに安堵していました。とはいえ、翌日翌々日に副反応が出ることもあるようなので、数日無理をしないようにと釘をさしておきました。問題は約3週間後の二度目の接種ですね。次回私は付き添えませんが、まあ今から心配しても仕方のないことです。無事終わってくれることを祈るだけです。追記:翌日電話してみたら、接種した方の腕が少し痛むものの、特段体調が悪いということもなさそうです。
2021年05月27日
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デリバリーのピザに合わせて。ピザとワインとのマリアージュは、なかなか難しいものがあります。塩気が強く、トマトの酸味などもあって、繊細なワインだと香味がマスキングされてしまいがちだからです。とはいえ、私はあまり深く考えずに、ビールの代わりぐらいの軽い気持ちで、おおらかなボルドーやイタリアのキャンティ、スタンダードクラスの泡モノなどを開けています。モンペラは値段も安く、こういうシチュエーションにはうってつけの選択肢になります。2K内外のボルドーでも、探せばこれより美味しい銘柄は見つかると思いますが、なんといっても、「どこででも買える」手軽さと、「予測の範囲内の香味」を確実に提供してくれる安定性は捨てがたいものがあります。このボトルは2016年ということで、市場に出回っているものに比べると少し古め。チョコレートっぽい樽香とブラックベリー的果実味、ユーカリなどの奥にほんの少しピーマンっぽいニュアンスがまだ見え隠れしています。飲んでみると、例によって甘く豊満な果実味とよく熟したタンニン、適度な酸とで均整のとれた味わいです。良くも悪くも、ワインってこれで十分じゃん!と思わせる説得力があります。例によって小瓶に移して保存したところ、4日目も初日と変わらぬ美味しさをみせてくれました。赤白揃えてセラーに常備しておきたい銘柄ですね。★★★★楽天でモン・ペラを検索する
2021年05月26日
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割田さんの蔵出しグリオット・シャンベルタン [2017] ルネ・ルクレールバックビンテージです。割田さんの蔵出しジュヴレ・シャンベルタン 1erCru『ラ・コンブ・オー・モワンヌ』[2012]フィリップ・ルクレール同じく割田さんよりアンリ・マニヤンの19ジュヴレ・シャンベルタン 1erCru『レ・カズティエ』もうひとつ割田さんよりフィリップコランの15シャサーニュ・ヴェルジェとレ・ショーメカツダさんのモエ エ シャンドン グラン ヴィンテージ 2012。箱で買うと安くなりますヴェリタスさんのDRC入り福袋懐かしいです。みちのくさんよりアントワーヌ・ジョバールの14ブルゴーニュ・ブラン ワッシーさんよりダックホーン デコイ&キャンパスバック 4本セットウメムラさんの家飲み応援・特別価格シャンパーニュ&スパークリング 4本セット第二弾ウメムラさんのシャトー・ラフィット・ロートシルト [2018]ウメムラさんよりルネ・ルクレールの ジュヴレ・シャンベルタン 1er ラヴォー・サン・ジャック [2016]たまにこういうカジュアルな白もよいかと。うきうきさんのヴェルディッキオ デイ カステッリ ディ イエージ クラッシコ 2019マル源さんのドメーヌ・ド・ヴェルニュス。ルジェの甥のギョーム・ルジェがコンサルを務めるボジョレーのドメーヌだそうです(遠!)エスカルゴさんよりフィリップ パカレの19ブルゴーニュ ピノ ノワールV.V同じくエスカルゴさんよりパカレの19ムルソー1級ペリエールソムリエさんのシャトー・デュクリュ・ボーカイユ 1986年。33K同じくソムリエさんの17シャトー・ムートン・ロートシルト同じくソムリエさんのローラン・ペリエ・グラン・シエクル 化粧箱付き河野さんよりシャルル・ノエラの09サントネイと02ACブル同じく河野さんよりミシェル・ニーヨンのシャサーニュ〜シュバリエ・モンラッシェ[2018]同じく河野さんのジャクソン・キュヴェ742・エクストラ・ブリュットウメムラさんよりロベール・シュヴィヨンのニュイ・サン・ジョルジュ 1er レ・カイユ [2017]AWCさんよりローラン・ポンソの18ブルゴーニュ ルージュ・キュヴェ・デ ププリエール同じくAWCさんよりローラン・ポンソの18ブルゴーニュ・ブラン キュヴェ デュ パルス ネージュAWCさんよりジャック・フレデリック・ミュニエの13ミュジニー入りセット同じくAWCさんよりシャンボルミュジニー・フュエ入りセットアルマジロさんの共栄堂アルマジロさんオススメのクロ・デ・グリヨン2019ワッシーさんよりトレフェッセンのドライ リースリング エステート ナパ ヴァレー [2018]フィッチさんよりマシャール・ド・グラモンの19ヴォーヌ・ロマネ・ゴーディショ同じくフィッチさんのギイ・シャルルマーニュフィッチさんよりビルカール・サルモンの06”キュヴェ ニコラ・フランソワ・ビルカール”ココスさんのオーダーメイド6本ワインセットすむらさんよりプリューレロックの18ガメイすむらさんよりジョルジュ・ジャイエの18エシェゾー入りセットドラジェさんよりグロフレールのヴォーヌ・ロマネ [2017]どこかで見たお顔と思ったら!!。パリ16区さん独占販売のセンシーズ割田さんのシャトー・ラフィット・ロートシルト[2014]WA100だそうです。割田さんのシャトー・パヴィ [2016]こちらもWA100だとか。シャトー・オー・ブリオン [2015] 箱入りこちらは16年のエール・ダルジャンこれは面白いですね。古武士屋さんより インポーターラフィネによる南アフリカワインコレクションセット。クリスタルム、サディ、AAバーデン ホースト、ラール、アルヘイト、ソーンドーターズウメムラさんよりビルカール・サルモンのキュヴェ・エリザベス・サルモン ブリュット・ロゼ [2008]ウメムラさんのシャトー・オー・ブリオン [2018]ウメムラさんの家飲み応援・特別価格飲み頃ボルドーワイン 5本セット (赤4・白1)。ラグランジュやラトゥールマルティヤックのセカンドなどなんとか手の届く価格です。カツダさんよりドメーヌ ルロワのブルゴーニュ アリゴテ 2015こちらはコシュ デュリのアリゴテ 2018。2017年もありますラベルが黒です。アーベンさんのシャトー・マルゴー[2015]年アーベンさんの名門 シャンパーニュ ハーフ6本セット A 。送料無料同じくアーベンさんのブルゴーニュ村名 白ワイン4本セット。送料無料
2021年05月23日
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2018年の夏に書いた記事です。記事上では、飲んだワインの本数をカウントした表を添付していたのですが、手元に見当たらないので割愛します。**********いや、それにしても暑い。地球温暖化が叫ばれて久しい昨今、少しぐらいの暑さには驚かなくなったが、今年の夏は別格だ。おかげで定期的に通っていた低山ハイキングもすっかりご無沙汰だ。せめてもの運動不足解消にと、週末2時間ほどウォーキングをしたら、軽い熱中症に罹ったらしく、帰宅後酷い頭痛に襲われた。ウォーキングをするのも命がけとは、本当に災害レベルといってよい暑さだよなぁと思ってしまう。ワイン愛好家たるもの、こう暑いと心配になるのがワインセラーの冷え具合だが、幸い我が家の16年目のサイレントカーブと10年目のユーロカーブはいずれも12~13度の設定温度を保ってくれている。今年はあまりに暑いので、家の中ではほぼ終日エアコンが稼働状態だ。セラーのある部屋も例外でなく、例年よりエアコンの稼働率が高いことが、セラー温度の安定に役立ってくれているのかもしれない。さて、このような天候ではワインには手が伸びないかといえば、そんなことはない。いつもどおり1週間に2~3本程度のペースで、自宅でボトルを開け続けている。飲むワインの種類については、例年、梅雨明けから7月中ぐらいはもっぱら泡もの中心、8月に入ると、エアコンの効いた室内に体がなじんで、だんだんと赤ワインが恋しくなるのが常だ。しかし、今年はいかんせん暑すぎて、どこまでいっても泡ものにしか手が伸びない。そもそも、現在私が飲んでいるワインは、1年を通じて泡もの、特にシャンパーニュがかなりの比率を占めている。幅広い食事に合わせやすい万能性、炭酸ガスによる良好な保存性、ボトル差やロット差などにあまり悩まなくて済む均質性、それでいて品種や作り手、地域の違いによる香味の多様性など、私のシャンパーニュへの興味と傾倒はまだまだ収まりそうもない。もっとも、シャンパーニュを積極的に楽しむようになったのはここ数年のことで、それ以前は「ワイン会の乾杯酒」程度にしか考えていなかったものだ。では、たとえば5年前、10年前にはどのようなワインを飲んでいたのだろうか?ふと思い立って、今年(2018年)と、5年前(2013年)10年前(2008年)の上半期(1~6月)に飲んだワインの種類や内容を比較してみた。■飲んだワインの本数と赤白比率(単位:本) ※表割愛 まず、各年上半期に開けた本数と赤白泡の種別をまとめたのが上の表(割愛)である。本数については、自宅の晩酌で開けたものと持ち寄り会の際に自分が持ち込んだもののみをカウントして、その他のワイン会や有料試飲で飲んだもの、外食時に店で注文したものなどは数に入れていない。2008年の合計本数は62本とかなり多かったが、5年前の2013年と2018年とを比べると、2018年の方が3本多いという結果になった。最近めっきり酒量が減ったと吹聴しているわりにはペースが落ちていないじゃないかと突っ込まれそうだが、そういうことではない。表からは判らないが、2013年当時は今より外食で飲む機会がはるかに多かったのだ。例えば2013年は、上期だけで8回ワイン会に参加していたし(ちなみに2008年は6回、今年は0回)、仕事絡みの会食予定も毎週のように入っていた。半年で50本前後という本数は、1週間あたりに換算すると2本弱ということになる。現在は自宅でボトル1本を2日か3日に分けて飲み、間に1~2日休肝日を挟むというペースが定着しているが、2013年はそこにワイン会や会食の予定が入っていたわけだ。それでいて自宅で開けた本数が2018年とほぼ同数ということは、今ほど休肝日をきちんととっていなかったということなのだろう。たしかに、この頃は「2週間で1日も休肝日を設けていない」などということがざらにあったような気がする。よく肝臓が悲鳴を上げなかったものだ。 また、最近シャンパーニュばかり飲んでいるとばかり思っていたが、集計してみると2018年においても泡の比率は25%に過ぎなかった。もっともこれは夏場が含まれていないことによる区切りの問題も多分にあって、通年でカウントすれば泡の比率はもっと上がると思われる。それにつけても、10年前の2008年には半年間でわずか1本しか泡ものを開けていなかったというのは驚きだ。もっともこの当時は、ワイン会の乾杯時などでプレステージクラスのシャンパーニュを味わう機会は今よりも多かった。我ながら、全くもって「馬の耳に念仏」だったなぁと思う。 色別の比率を見ると、どの時期においても赤ワインが最大勢力であるのに変わりはない。特に2013年は赤の比率が8割を超えていた。2018年は泡が増えた分、相対的に赤ワイン比率も減ったが、それでも飲んだワインの半数以上が赤ワインだったということになる。2008年については後述するが、いろいろなジャンルや産地を試していた一環で、白ワインを開ける機会も多かったのだと思う。■産地 次は産地別の表を見てみよう(割愛)。フランス産がもっとも多いのは、この10年間変わっていない。そしてフランスの中でもブルゴーニュの割合が圧倒的に高い。例えば2018年は、ここまで52本開けたうちの86.5%にあたる45本をフランスワインが占め、その68.8%にあたる31本がブルゴーニュ、残りのほとんどはシャンパーニュだった。2008年を見ると、比較的いろいろな産地のワインを開けているが、これには大きく二つの理由があったと記憶している。ひとつは前年の2007年にシニアワインエキスパートの資格を取得して、その流れで意識的にいろいろなエリアのワインに接しようとしていたこと。もうひとつは、リーマンショックの影響が深刻化する中、わが家もワイン関連費用を削減しようとしていたことだ。ブルゴーニュだけを見ても、2008年はACブルゴーニュなどの一般広地域名ワイン、俗にいう「裾もの」の比率が51.6%と最も高かったが、そこからさらに踏み込んで、より安価に楽しめるエリアや品種を開拓したいと試行錯誤していた時期だった。国産ワインにも入れ込んでいて、某社がブロガー向けに主催する勝沼ツアーに参加させていただいたりもしたものだ。とはいえ、この目論見は結局長続きしなかった。ブルゴーニュ以外に目を向ければ、CPが良好で美味しいワインがいろいろあることは頭で理解できても、それらが自分自身の中で確固たるポジションを築くところまでは至らなかったということなのだろう。5年後の2013年にはブルゴーニュ一辺倒に戻ってしまったのが、表からも一目瞭然だ。この年はなんと、上半期に飲んだ総本数49本のうち41本がブルゴーニュだった。「裾もの」比率も34.1%と私にしては低めで、自宅で村名以上の銘柄を開ける機会が多かったことを表している。円安が進行する一方でブルゴーニュワインが今ほど値上がりしておらず、07年や08年のような、村名でも4~5000円未満で購入できて比較的早くから飲めるバックビンテージも出回っていた。思い返せばブルゴーニュ好きには良い時期だった。■購入価格やセラー保存年数など 今度は切り口を変えて見てみたい。飲んだワインのうち、購入価格が概ね5000円を超えるものを(記憶している範囲で)カウントしたのが上の表の列「①」、3年以上自宅または寺田倉庫のセラーで保存していたボトルの数と割合が列「②」だ。(表はいずれも割愛)通常、我が家の晩酌ワインは概ね3千円台までを目安としているが、1~6月という期間でみれば、正月休み、上の子の誕生日(1月)、結婚記念日(4月)、カミサンの誕生日(4月)、ゴールデンウイークなど、普段よりもよいワインを飲みたくなるタイミングがいくつかある。これらのボトルの多くはそうした休日や記念日にかこつけて開けたものか、もしくは持ち寄りワイン会等に持参したものだ。2008年はリーマンショックの影響か、5000円以上のボトルは全体の1/4以下(24.2%)に抑えられていた。一方、2018年は36.5%と高めだった。②の「3年以上セラー保存」のボトルの比率は、どの年においても2割を少し上回る程度だが、これらのボトルは相対的に高額なものが多い(でなければ3年も待たずに飲んでしまう)ので、実質的にほとんどのアイテムが「5000円以上のボトル」と重複している。たとえば、2008年は「3年以上セラー保存」も「5000円以上のボトル」も15本と同数だった。あらためて内訳を調べてみると、そのうち14本が同一銘柄だった。ところが2018年になると、「3年以上セラー保存」が11本なのに対して、「5000円以上のボトル」は19本と開きが大きくなった。裾ものですら5000円を超える銘柄が増えてきたことや、セラー内の比較的新しい(3年未満の)ボトルを積極的に開けたことなどが原因だ。表の右端列「③」は、飲んだボトルのうち、福袋やセットなどのセール品の本数と割合だ。なんと2018年はトータル52本のうち、4割弱にあたる20本が「セットや福袋で購入」したボトルだった。具体的には、年初に購入したシャンパーニュの福袋、ACブルの赤白それぞれのセット、自然派ワインの福袋などだ。これらの一本当たりの金額を計算すると、2600円程度とコストパフォーマンス的には良好だった。しかし、セラーに保存したワインたちが、記念日等を除いてなかなか消費されないまま、寺田倉庫の保管料が毎月引き落とされ、その一方で日常消費用のワインを別途セールでちまちまと購入しているというのは、健全な姿とは言い難い。そう、これがまさに我が家のワイン消費の構造的な問題なのだ。■わが家のワイン消費の問題点例えばブルゴーニュワインであれば、毎年新しいビンテージの村名や地域名の銘柄を手広く購入してセラーに保存しておき、ビンテージや生産者、畑の特性などにより、徐々に飲みごろを迎えたボトルから日々の晩酌で開けていく。そうしたサイクルを自宅で実現できることが理想だ。ところが、我が家の場合はどうしても「セラーで長期保存するワイン=高額なワイン」という発想になってしまい、村名クラスのボトルなどは、熟成させるところまでいかずに早開けしてしまうということの繰り返しだった。片や特級クラスなどのボトルは、寝かせておいてもなかなか飲み頃は訪れないし、ようやく飲みごろを迎えても、そうしたボトルたちに対して日常の晩酌では役不足の感がある。といって、最近はワイン会にも出かけないし、一年の中で記念日がそうそうたくさんあるわけでもないので、これらのボトルの出番は滅多に回ってこない。こうしてセラーの中身の大半が不動のラインナップと化して循環せず、一方で日常消費用のワインはセラーの中にはほとんどないので、別途日々購入するというパターンが続いているのだ。まあ、そういう視点で見れば、2018年の上半期などは、比較的セラーのボトルを消費したほうではあるのだが。そろそろ終わりの見えてきた私自身のサラリーマン生活と照らし合わせた時、毎月引き落とされ続けている寺田倉庫のロッカー費用をなんとかしておかねばならないという思いは常にある。さらには、購入後それぞれ16年と10年になる我が家のセラーがいったいいつまで現役でいられるのかという問題もある。(どちらかが壊れたときは1台にまとめるようにとカミサンから厳命されている。)自分でワイン会を主催して、手持ちのワインたちをどんどん開けていくとか、飲む予定のないボトルをオークションなどで処分するとか、抜本的な対処法を考えなければならない時期に来ていることは、頭ではわかっていることなのだが、なかなか重い腰を上げられずにいる。ミニマリスト的なワインライフに変えていくのが、今後の私のテーマだと毎回のように書いているが、実はこれって結構難しいことなのかもしれない。コロナ禍でワイン会の開催は難しく、体調不良で自宅での晩酌のペースも上がらず、相変わらずセラーのストックをもてあましています。オークションや個人売買などで本格的に在庫を整理しようと思いつつ、なかなか気力がわかず、実行できずにいます。そうこう言っているうちに、子供たちが酒を飲める年齢が近づいてきたので、子供のビンテージのワインを開ける機会は増えそうですが。気付いたら子供達にガンガン飲まれていたりして・・笑
2021年05月22日
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ローヌの白には前々から興味があるのです。ワイン会で言葉にならないほどすばらしいエルミタージュブランを飲ませていただいたこともありますし、ワインバーのグラスワインでも、ハッとするほど美味しいヌフパプのブランやコンドリューに出会ったことがあります。ところが、その片鱗を感じたいと思って、自宅で3K前後のボトルを買ってみても、なかなか「コレだよ、コレ!」というものに巡り会えません。単に私のリサーチ不足かもしれませんが。今回購入してみたのは、表題のとおりシャプティエのサンジョゼフ。『デシャン』とは、アルデッシュ地方の言葉で「畑」を意味するそうです。ザルトのユニバーサルグラスに注いでみると、色調は少し麦わら色がかった中程度のイエロー。パイナップルやパッションフルーツなどの熟れた果実、蜂蜜、へーゼルナッツ、マロン、それにミネラル。味わいはかなり芯に甘さを感じます。酸は角がとれていて丸く、後半にかけてナッティなフレーバーと苦味が加わります。この苦味のアクセントがなかなかよいと思うのですが、味わいが総じて甘みが目立ち、酒躯の締まりのなさもマイナスポイント。もう少しタイトかつドライに仕上げた方が好みです。冷蔵庫で少し冷やしたら、かなり味わいに締まりが出ました(が、香りが閉じてしまいました。)途中から、木村硝子15オンスに変えたところ、こちらの方が相性がよいのか、香りが立つようになって、酸味もザルトより前面に出てきたように感じられました。グラスの形状による香味の感じられ方の違いって面白いですね。★★★左がザルト、右が木村硝子。名入れ ワイングラス Zalto ユニバーサル DENKART木村硝子店 Cava サヴァ 15oz ビール/ワイン 460ml 1脚GS305KC ※ラッピング不可商品
2021年05月21日
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9年生きた和金が☆になったあとの自室60センチ水槽はブラックエンゼル1匹となり、灯の消えたような寂しさです。あまりに殺風景なので、近所の熱帯魚店で水草を買ってきて植えてやろうかと思います。一方、玄関の60センチ水槽の方は、コケ取り用に導入したオトシンクルスやヤマトヌマエビのおかげでコケ地獄から脱却できて、ずいぶん小綺麗になりました。エンゼルフィッシュたちが追い回してしまうので、セパレーターは外せないままです。導入した最初の1週間でエビとオトシンそれぞれ数匹ずつ☆になりましたが、その後は落ち着いてきてみな元気にコケを掃除してくれています。水草や土管を追加して、セパレーターの位置も少し真ん中よりに変えてみました。もっぱらコケ掃除用として購入したオトシンクルス、意外に表情があって可愛いのです。いずれエンゼルフィッシュたちを自室60センチ水槽に移し、こちらの水槽はネオンテトラなども加えて、小型魚を中心に飼育しようかと考えています。これって、セラーのどのボトルをレンタルセラーで保管して、どれを自宅に残すかと悩んでいたときと似た感覚です。笑
2021年05月19日
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PCR検査の結果は陰性でした。お騒がせしました。明日からまた仕事に復帰です。以下のコラムは、4年近く前に書いたものです。時節柄、あまり適切でないかもしれませんが、過去の記事ということでご容赦ください。*****************この3年ぐらい山歩きに凝っていて、週末にかなりのハイペースで出かけている。概ね2週間に1回ぐらいのペースだろうか。行き先はもっぱら日帰り圏内の低山なので、どこまでいっても(登山ではなく)ハイキングの範疇である。最初のうちは下山時に膝が痛くなったり、転んでケガをしたり、翌日筋肉痛になったりしたが、回数を重ねるごとに、少しは体力やノウハウがついてきたのか、ある程度距離が長かったり標高差があったりしても問題なく歩けるようになってきた。一方で、山歩きをするたび、いくばくかの寂しさを感じているのも事実だ。稀に家族がつきあってくれる以外、もっぱらソロで出かけているので、同好の士との交流が全くないのだ。一人で出かけるのは気軽でよいのだが、時には誰かと感動や苦労を共有したくなる。その点が、これまで趣味の柱だったワインとの大きな違いだ。ワインにおいては、有料試飲やワイン会、いきつけのショップやレストランなど、コミュニケーションに事欠くことはなかった。だったら、ワイン同様、ネットで同好の士を探したり、サークル活動に参加すればよいじゃないかという話になりそうだが、あまり気が進まないのは、山の中でよく出くわす傍若無人な老人たちの集団を見るたび、「ああはなりたくないよなぁ。」と思っているからだ。ん?これって考えてみれば、ワイン会で大きなグラス並べてグルグルとスワリングしている姿も、端からは同じような目で見られているということだろうか?かつては暇さえあれば有料試飲やワイン会に出かけていた。ワインに凝りだして、自宅でいろいろと飲むようになっても、ひとりで飲むことのできるバリエーションは限られる。ワインバーなどで飲むのもよいが、回数を重ねると結構な出費になる。私の場合、それで足を運ぶようになったのが有料試飲だった。試飲といっても、デパートのワイン売り場で見かけるような、プラスチックの小さなコップに注いで立ち飲みするようなものではない。一杯数百円から数千円程度を支払って、日ごろ手の届かない銘柄や新規リリースの銘柄などをテイスティングするものだ。この点、三軒茶屋在住という地の利は大きかった。なんといっても、愛好家の聖地(のひとつ)、「東急渋谷本店」ワイン売り場の有料試飲カウンターが徒歩圏内なのだ。毎週末、カウンターでソムリエの方と雑談しながら、ロブマイヤーのグラスで厳選されたアイテムをテイスティングできるということで、一時は週末になるとここに入り浸っていたものだ。90年代の後半には「エノテカ」広尾本店の有料試飲にもよく出かけていた。当時はボルドーの著名銘柄のビンテージ違いを一同に並べて比較する垂直試飲会が定期的に開催されていて、5大シャトーをはじめ、さまざまな銘柄の垂直試飲の会に参加することができた。会費はそれなりに嵩んだが、70~90年代前半の各ビンテージの個性が明確になって興味深かった。「やまや」も当時勢いがあり、毎週末「ラトゥールの垂直試飲」とか「82年のボルドー水平試飲」などといったテーマで、驚くほど安い価格で銘醸ワインを試飲することができた。カウンターや椅子もなく完全な立ち飲みで、グラスもあまりほめられたものではなかったが、そんな環境でアンリ・ジャイエのリシュブールなどもテイスティングしたものだ。こうした有料試飲はいろいろなワインを飲んでみたいという自分の欲求を満たしてくれたし、経験値の向上にも大きく寄与してくれたが、愛好家との交流という意味では、大きな広がりはなかった。転機となったのは、ネット繋がりのワイン会に参加するようになってからだ。ひとくちにワイン会といっても言葉の定義は曖昧で、レストランやワインバーが主催するもの、ショップやインポーターが主催するもの、同好の士やサークルによるものなど、様々なバリエーションがある。ワインの供給方法も、幹事が一手に引き受けて調達するものや、コレクターが自慢のコレクションから放出するもの、参加者がそれぞれワインを持ち寄るもの(いわゆる持ち寄りワイン会)など様々だし、内容についても、単に食事とワインを楽しみましょうというライトなものから、吐器やテイスティングメモが用意された勉強会的なものまである。 私が最初に参加したワイン会は、行きつけのワインレストランが主催するものだった。店主の解説を聞きながら、食事とワインが供されるというもので、参加者のほとんどはカップルやグループだった。それなりに楽しかったし勉強にもなったが、店主の独演会になりがちで、参加者同士の交流はほとんどなかった。 ネットのコミュニティのワイン会に初めて参加したのは、西暦2000年のことだった。インターネット上ではまだブログやSNSは登場しておらず、個人が解説しているワインサイトやそこに設けられた「掲示板」での交流がメインだった。「定期巡回」ルートの掲示板でワイン会を開催するという話を見つけて、参加させてもらうことにしたのだ。メンバーの中では私だけが初参加とあって、最初緊張したが、そこは愛好家同士、温かく迎えてもらえたし、コミュ障の私にしては珍しくすんなりと会話に入っていくことができた。当誌レビュワーの山地氏と出会ったのもこの時だった。いったんネットのコミュニティに足を踏みいれると、その後は加速度的に交流の輪が広がっていった。山地さんの紹介で「ワインショップ平野弥」の勉強会にも足繁く通うようになった。こうして、上の子どもが生まれるまでの数年間、ほぼ毎週末ワイン会に参加する日々が続いた。高価なワインや貴重なワインを自分で購入することを思えば、ワイン会はたしかにリーズナブルだが、毎週のように参加していれば、会費だけでも馬鹿にならない額になる。今思い返してもずいぶん散財したものだと思うが、同好の士との人脈を広げられたという意味では、私のワイン歴の中で大きな意味のある時期だった。 ワイン会に参加するメリットはいろいろとある。日ごろ飲むことのできない高価なワインや貴重なワインを飲むことができること、一度にいろいろなアイテムを飲むことができること、(会によっては)「垂直」「水平」など網羅的体系的にワインを飲むことができること、日ごろ飲みつけないようなジャンルのワインを飲むことができることetc.同好の士との交流を深めたり、人脈を広げられることは言うまでもない。さまざまな知識や雑学、業界動向などを仕入れられるし、文章や口頭説明ではピンとこない知覚を共有できるということも大きい。たとえば、「ブショネ」についていくらネット上で説明を読んでも、同じグラスの香りを嗅ぎながら、「これがブショネだよ。」と説明される機会が無いままだと、いつまでたってもブショネの確実な判断は下しにくいものだ。一方で、ワイン会もよいことずくめではない。一本のワインを数人、多いときには10人以上で分けるので、どうしても一人あたりの飲む量は限られる。時の経過とともに刻々と表情を変える熟成ワインなどにおいては(たとえば会の前半に出てくる熟成白ワインなど)、本当の実力を発揮する前に飲み干してしまうことも少なくない。酒量が多くなりがちなことも人によってはしんどい点だ。私が参加していた持ち寄りのワイン会では、ひとり一本持参するのが常だったが、二本持参してくれる人がいたり、差し入れがあったりして、たいてい酒量はひとり一本以上、時には一本半や二本近くになることもあった。そもそもテイスティングという観点からすれば、吐器を用いて吐き出さない限り、二杯目以降の精度は大幅に低下するわけだが、ワイン会というのはえてして「テイスティング会+飲み会」的な性格のものなので、吐き出しながら飲むのはあまり一般的でないし、正直「もったいない」(勉強会的などであればその限りではない)。日頃の酒量がボトル半分程度の私にとっては、会の後半の記憶が半ば飛んでしまったりするのは日常茶飯事だった。 参加者間でワインのコンディションに関する考え方や許容度に隔たりがある場合も悲劇の元だ。ボトルの提供者がワインのコンディションに無頓着だったりすると、出されるワインのコンディションがどれも今ひとつ(と感じる)などという笑えない状況も起こりえる。といって、判別できるかできないか程度のブショネや熱劣化をとらまえて、鬼の首をとったように「ブショネだ!」「熱劣化だ!」と騒ぐのも誉められた行為ではないだろう。 メンバーの中に著しく非常識な輩や酒癖の悪い輩がいたりすると、それだけで楽しい会がぶちこわしになるケースも起こりえる。会の最初から終わりまで終始自慢話を聞かされたり、セクハラ行為を連発するような御仁も過去にいた。そういうリスクを避けるために、ワイン会の募集方法がクローズドになったり、紹介制になったりするのは致し方ないことなのだろう。 ちなみに私は自分自身でワイン会を開催するということは滅多にない。急な仕事や体調不良など、ドタキャンのリスクをどうしても排除できないことと、参加者の中にやたらとコンディションにうるさい人がいた場合、自分が供出するワインの水準に満足してもらえる自信がないこと、それに、前述の通り私自身あまり酒に強くないので、会費をきちんと集められなかったり、幹事の役割を全うできなかったりしかねないからだ。そうした苦労を乗り越えて、長年に亘って定期的にワイン会を主宰している方々には本当に頭が下がる思いである。あらためてブログをチェックしてみると、かれこれ1年以上、ワイン会や有料試飲に出かけていないことに気づいた。理由はシンプルで、50歳を過ぎて私自身の酒量がさらに減ってきたことにつきる。会の途中で完全に「寝落ち」してしまったり、帰りに電車を寝過ごしてしまったり、夜中に頭痛で苦しんだりということが続くうちに、参加すること自体がすっかり億劫になってしまった。だったら一杯当たりの酒量を減らすなどコントロールすればよいじゃないかとの反論を受けそうだが、自分をストイックに律してまで参加しようというモチベーションが湧いてこないのだ。有料試飲の場合、新リリースのグランクリュなどがラインアップされていても、自分にはもはや縁がない話だというのも足が遠のいている原因だ。 とはいえ、ワイン会や有料試飲に行かなくなったことで、昨今のワイン関連や業界の動向に疎くなってきていることも実感している。正直、私のワインの知識や常識は10年前ぐらいで止まってしまったままだ。この先の私のワインライフは、日々の晩酌を淡々と続けていくのが中心になりそうだが、4人~5人ぐらいの気のおけない仲間で、おいしい料理を食べながら集まった人数を少し欠けるぐらいの控えめな本数を開けるような会があれば、たまには出かけてみたいとは思う。あるいはまたワインスクールなどに通ってみるのもよいかもなどと漠然と思っている今日この頃である。*************・・コロナ禍で飲食業もみなさんもさぞご苦労されていることと思います。感染云々を気にせず、ワインを楽しめる日が早く戻ってきてほしいものですが、コロナが収束しても、衛生観念についてはコロナ前と同じというわけにはいかないかもしれませんね。「とも洗い」とか、さすがにもうできないかも・。
2021年05月17日
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昨日のPCR検査の結果ですが、やはり今日はクリニックが休みのため、正式な連絡は明日の午前中になるようです。陽性の場合は、今日のうちに保健所から直接連絡があるかもとのことでしので、なんの連絡もないところをみると、たぶん陰性ということでしょう。体調そはといえば、発熱もなく、喉の痛みや咳も減りましたが、倦怠感はあいかわらず残っています。まぁ、倦怠感は今回に限ったことではりませんが。みちのくさんよりメゾン・ロッシュ・ド・ベレーヌのクレマン・ド・ブルゴーニュ ブリュット キュヴェ・ベレノス。安いですね。どこかの売れ残りの在庫ですかね?みちのくさんの08トリエンヌ。2150円同じくみちのくさんのオーストリア赤。レオ・ヒリンガーの15ツヴァイゲルトと14ブラウフレンキッシュすむらさんより[2018] エシェゾー / ジョルジュ・ジャイエ(エマニュエル・ルジェ)、[2018] ジュヴレ・シャンベルタン・ル・フォントニー / セラファン・ペール・エ・フィスを含む3本セット同じくすむらさんより[2018] ニュイ・サン・ジョルジュ / ジョルジュ・ジャイエ(エマニュエル・ルジェ)、[2018] ジュヴレ・シャンベルタン / セラファン・ペール・エ・フィスを含む3本セット先日私が飲んだのと同じロットですかね?ドラジェさんよりセインツベリーの08ピノ・ノワール リー・ヴィンヤーズカツダさんよりオーパスのセカンド、オーヴァチャー NV同じくカツダさんのオーパスワン 2017なんか節操のないセットですね。すむらさんよりルーミエの18ボンヌマールとヴォギュエの93アムルーズのセット同じくすむらさんの03サントネイ / メゾン・ルロワウメムラさんよりフレデリック・エスモナン ジュヴレ・シャンベルタン ヴィエーユ・ヴィーニュ レ・ジュイーズ [2016]。5350円昔よく飲みました。ウメムラさんよりドメーヌ・バローのプイィ・フュイッセ アン・ビュランとレクル ウメムラさんのダラ・ヴァレ マヤ [2016]ウメムラさんよりドゥーツのクラッシック エクストラ・ブリュット同じくウメムラさんのシャンパーニュ 3本セット (ボランジェ、ドゥーツ、カナール・デュシェーヌ)同じくウメムラさんのドメーヌ・フェヴレ シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ [2014]父の日用に。ヴェリタスさんよりサンテステフ・ドカロンセギュールと+グラス2客 送料無料ラッピング&メッセージカードつきかわばたさんよりドニ・モルテのバックVTかわばたさんよりマシャール・ド・グラモンのヴォーヌ・ロマネ・1er・レ・ゴーディショ[2019]かわばたさんよりドメーヌ・フェヴレのメルキュレ・ラ・フランボワジエール[2019]私の好きな作り手、マル源さんの17ジャン・マルク・ミヨ。河野酒店さんよりマルクテンペの16ゲヴュルツトラミネール・ツェレンベルグ河野酒店さんの18ニコル・ラマルシュカツダさんよりフレデリック ミュニエの18NSGクロ ド ラ マレシャル。白もありますカツダさんよりドゥニ バシュレの18ジュヴレ シャンベルタン ヴィエイユ ヴィーニュ キタザワさんよりショーヴネ・ショパンの18クロヴジョ同じくキタザワさんの18ミッシェル・グロマルシェまるやまさんの18アルヌー ・ラショー。ピノ・ファン、VR,CMなど同じくマルシェまるやまさんよりショーヴネ・ショパンのクロ・ヴージョ[2015]すごいプライスですね。割田さんよりコント・ラフォンの17モンラッシェこちらはルイ・ラトゥールの09モンラッシェ割田さんよりクロード・デュガの18ジュヴレ・シャンベルタン同じく割田さんのロマネ・サン・ヴィヴァン [2017] ラルロ割田さんよりルジェ(GFA LES GENEVRAYS)mpサヴィニー・レ・ボーヌ [2017] ウメムラさんよりシャルル・エドシックのブラン・デ・ミレネール [2004]同じくシャルル・エドシックのブリュット・レゼルヴ箱入り同じくウメムラさんよりフィリップ・コランのシュヴァリエ・モンラッシェ [2017]「いちびこ」のタルト・モンブラン。激旨です!高いですけど。
2021年05月16日
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カミサンが木曜日あたりから、熱はないのだけれども、身体中の関節が痛くて倦怠感がある、喉も痛い、ということで、たまたまネットで見つけたこの症状にそっくりじゃないか?という話になりました。「36.5度でこの関節痛?」⇒ 新型コロナ陽性。大沖さんの体験マンガに反響新型コロナ感染判明までを描いた大沖さんの体験マンガまさにその通りの症状だと慄いたカミさんが、金曜日の夕方に近所のクリニックを受診したところ、区の保健センターを紹介されて、その日の19時にPCR検査を受けることになりました。クリニックをはしごしても、なかなかPCR検査を受けさせてもらえなかった昨年の今頃と比べればまさに雲泥の差です。当初他人事のように鷹揚にとらえていた私ですが、なんと自分自身も、金曜日の夜になって咳と痰、鼻水が出るようになりました。加えて私の場合、GW明けから全身の倦怠感や関節痛が継続しています。熱は36.5度と全くの平熱でしたが、PCR検査のハードルがそこまで下がっているのなら、私も受けておこうと思って、今朝、カミさんと同じクリニックを受診しました。クリニックでは、他の患者とは別の診療室に通され、問診のみ(喉すら診られませんでした)。すぐに区のセンターに電話で予約を取ってくれました。土曜日とあって、センターが混んでいるとイヤだなと多少緊張しつつ、アルコールスプレーや予備のマスクなどを携えていったのですが、行ってみると、広い待合スペースには私の他に若い男性が1人だけ。ナースとのやりとりを聞くともなく聞いていたら、その男性も熱はなく、念のため受けにきたとのことでした。ドクターやナースはいうまでもなく完全防護。検査は、民間で主流の唾液をとるタイプでなく、鼻に綿棒を突き刺すタイプのものでした。インフルの検査と似た感じですが、それよりかなり長時間鼻の中をグリグリとやられるので、気持ちの良いものではありません。とはいえ、あっという間に終了して、流れもスムーズでした。人は本当に最小限しかおらず、消毒アルコールも各所に置かれていて、ここまで徹底しているのなら検査場で感染するリスクはあまり考えなくていいだろうなと思いました。結果は、受診したクリニック経由で伝えられるとのこと。明日が休日なので、判明するのは月曜日の午前中になりそうです。陽性の場合は、保健所から直接、明日のうちに連絡が入るかもしれないとのことでした。・・と書いているうちに、カミサンの結果の連絡があって、「陰性」とのことでした。この分なら私も十中八九、大丈夫だろうと思いますが、結果が判明するまではおとなしくしていようと思います。
2021年05月15日
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久しぶりに飲むオボンクリマのベーシックグレード。以前は、カレラのセントラルコーストを飲むならこちらの方がずっと美味しいと思っていましたが、その後、WA誌などで低評価がついたりして、実際、私が飲んだ中にも樽のローストばかりが目立つものもありました。今回久しぶりに飲みますが、さてどうでしょうか。グラスに注ぐと、薄いとまではいいませんが、思いのほか透明感のあるガーネットの色調。香りはブラックチェリーやブラックベリーなどの果実、バラの花束、アールグレイなどアロマチックなもの。飲んでみると、色調から想像するよりもずっと果実味が甘く凝縮されており、滑らかなタンニンとあいまって、今の時点で美味しく飲めるピノに仕上がっています。決して深みのある味わいではりませんが、ベーシックグレードであればこうしたわかりやすさも重要と思います。下手に寝かせようなどと思わず、購入後ボトルが落ち着くのを待ってすぐに飲んでよい(というかその方がよい)味わいです。ワインに興味を持ち始めた人たちとの飲み会などに持ち込むと喜ばれると思います。小瓶に分けて、3日後、5日後にそれぞれ飲みましたが、いずれも美味しくいただけました。★★★★オー ボン クリマ ピノ ノワール 椿ラベル ツバキラベル サンタバーバラ カウンティー 2018 日本正規代理店品 赤ワイン 辛口 フルボディ 750ml オーボンクリマAu Bon Climat Pinot Noir [2018] Tsubaki Santa Barbara County (Jim Clendenen)
2021年05月14日
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先日天に召された和金への手向けとして、大昔にRWGに書いたコラムを再掲します。それにしてもワイン雑誌にこんな突拍子もないコラムを寄稿するとは、攻めていたなあ>当時の私(笑)。**************金魚の飼育に凝っている。 昨年、地元の祭りの金魚すくいですくってきたのが2匹、今年また採ってきたのが6匹。むざむざ死なせてしまうのもしのびないということで、仕方なく飼い始めた金魚たちだが、いざ飼ってみると、ワインと同様にマニアの世界があって、実に奥が深い。そして、これがまたいろいろな意味でワインの世界と似ているなあと思ったりもする。ワインと金魚の一体どこが?と思われるかもしれないが、それは追々書いていくとして、年季の入った熱帯魚マニアの友人にいわせると、金魚飼育なんて、「実に簡単なもの」で、熱帯魚の飼育は「その10倍難しい」。さらに海水魚の飼育は「さらにその10倍難しい」そうである。(友人がそう言っているだけで、真偽のほどは定かではない)。おそらく、ワインとの類似点を挙げようとすれば、よりマニアックでスノビッシュという点で、熱帯魚と比較する方がふさわしいのかもしれない。しかし、残念ながら私は熱帯魚に関しては門外漢なので、今回は金魚との比較で話を進めたい。また、ワインと同様、金魚についても、愛好家としてはまだ駆け出しなので、至らぬ点はご勘弁いただきたい。さて、金魚飼育とワインのどこが似ているかである。まず感じたのは、両者とも「間違った常識が世の中に流布している」ことだ。たとえば「子供が生まれた年のワインを買って、20年後に一緒に飲みましょう」という謳い文句。当誌の読者なら、セラーのない一般家庭でワインを20年間保存することがいかに無謀かは、今さら言及するまでもないだろう。また、ワインは熱や光に弱いデリケートな飲み物で、生鮮食品と同様の扱いが必要なことも愛好家の間ではもはや常識だが、管理の悪い酒屋やスーパーなどでは、未だに日の当たる屋外にワインの木箱を並べて売っている姿を見かけたりする。 金魚飼育にも似たような事例がある。雑誌や映画に出てくるインテリアには、優雅な金魚鉢の中で泳いでいる金魚たちがよく登場する。我々はそれを見ても、ごく通常の光景として何の疑問も持たないが、実際はよほど手をかけない限り、小さな金魚鉢では金魚を長く飼うことは出来ないのだ。なぜだろうか?まず第一に、酸素を供給しなければ、金魚はすぐ酸欠になってしまう。エアレーションをしてやるか、ポンプにつないで空気がブクブクと出てくる通称『ブクブク』(正確には投げ込み式フィルタ)を入れてやる必要があるのだ。第二に、金魚鉢では容量が狭すぎる。飼育している個体数に対する水の量が少ないと、前述のように酸欠になりやすいだけでなく、金魚自身の排泄物から発生するアンモニアにやられてしまう。アンモニアは金魚にとって猛毒なのだ。この部分、ワインネタから少しそれるが、丁寧に解説してみたい。ワインの世界でいうところの酵母のようなもので、自然界には多くのバクテリアが存在している。このうち、ある種のバクテリアが、魚類の排泄物によって発生するアンモニアを、これよりは毒性の低い「亜硝酸塩(NO2)」に分解する。次に、また別の種類のバクテリアが、NO2をさらに毒性の低い「硝酸塩(NO3)」に分解する。そして硝酸塩は、土中の窒素などと反応して吸収される。こうした自然界の働きによって、魚たちは、自分のフンからのアンモニアを気にすることなく生き続けられるわけだ。しかし、真新しい金魚鉢にはこういう作用をしてくれるバクテリアが棲みついていないので、アンモニアを処理することができない。容量の大きな水槽なら、アンモニアは拡散するのでまだ被害は小さいが、狭い金魚鉢では、あっという間にアンモニアの濃度が上がってしまう。 本来金魚を新しく飼おうというときは、金魚を買って来る前に、水槽を仕立ててバクテリアが棲みつくのを待つか、水槽内にバクテリアが定着するまでの間(数週間~1ヶ月程度か?)は、2日~3日に1回、あるいはそれ以上のペースで頻繁に水換えをしてやる必要があるのだ。1~数週間に一度の水換えでも大丈夫になるのは、1ヶ月ほどして、水槽やろ材の中ににバクテリアが充分繁殖し、アンモニアや亜硝酸塩を処理できるようになってからのことである。(この状態を『水が出来ている』という)。 金魚すくいですくってきた金魚がおなかをすかせているだろうからと、新しい水槽にいれて、すぐにエサをやるのも大きな間違いである。なぜかというと、環境が変わったばかりで体力を消耗している金魚に、一度に大量にエサを与えると、胃のない金魚は、すぐに消化不良などのトラブルを起こしてしまうからだ。さらに、前記の解説に関連するが、エサをすればその分フンをする。フンをすれば、前述のようにまだ「水ができていない」水槽内にアンモニアが発生してしまう。金魚は通常半月ぐらいエサをやらなくても死ぬことはない。(考えてみればこれも意外に知られていないことだろう。)新しくもらってきた金魚は最低でも2~3日絶食させるというのがセオリーなのだ。どうだろう?愛好家の間では半ば常識となっているこのようなことも、一般にはほとんど知られていないと思う。それで、数日から1週間ぐらいで死んでしまう金魚をみて、「金魚すくいの金魚はやっぱり弱いねえ。」などという話になってしまうのだ。これって、扱いの悪い店で買った劣化したワインばかり飲んで、「ワインって高いだけで美味しくないよねぇ。」というのに似ていませんか。いやいやちょっと待てよ、俺のところはそのような知識もなかったし、特別なこともしていないのに金魚たちはピンピンしているぞ、という反論があるかもしれない。そう、これもワインの世界に似ていると思うのだが、怪我の功名のごとく、たまたま無知で放ったらかしておいたらよい方向に行った、ということが結構あるのだ。ワインでいえば、数ヶ月から1年程度の常温保存の結果、ほどよく熟成が進んで美味しく飲めたというケース。金魚でいえば、庭の池や睡蓮鉢に入れっぱなしで世話も何もしていないのに何年も生きているとか、どんどん大きくなった、というケースだ。 私がワインにはまりはじめたのは、昔、『ワインの保存』の連載にも書いたように、「たまたま」茶箪笥の中に置き去りになっていたシャルドネがすばらしい熟成を遂げていたことがきっかけだったが、今にして思えば、これは偶然が重なった結果だと認識している。いわく、いただきもののワインがオーストラリアからのハンドキャリーで、もともと状態がよく、アルコール度も高くてしっかりしたものだったとか、実家の居間は日あたりが悪く、温度が上がりずらい上に、夏場はほとんどずっとエアコンが稼動していたとか、そもそもいただいたことを忘れて数年暗所でピクリとも動かさなかったとか、まさに幸運が重なった結果だったのだと思われる。(まあそれでも、大なり小なり熱の影響を受けていたとは思うが、当時の私ではそれを識別できなかった。)実は、金魚の飼育に関しても、このような偶然は起こりえる。というか、「ワインをセラーや冷蔵庫に入れずに常温で何年も保存しておく」ケースに比べれば、こちらのほうがずっと成功確率は高いと思われる。よくあるのが、前述のように、庭の池や大きな睡蓮鉢で飼っている場合。これにはれっきとした理由があって、池とか、睡蓮鉢の類は、金魚鉢に比べれば、圧倒的に水量が多い。水量が多ければ、エアレーションをしなくても酸素は十分に供給されるし、水草があれば光合成によって酸素を発生してくれる。アンモニアや亜硝酸だって、濃度が薄まるから影響を受けにくいし、自然に近い環境であれば、バクテリアが棲息しやすくなる。加えて、ほったらかしにしているということは、エサをやりすぎないということでもあるので、金魚にはかえって好ましい。金魚を病気にさせたり死なせたりする大きな原因は、水の汚れと、エサのやりすぎなので。ワインでいえば、「『勝沼のトンネルカーブ』にずっと預けっぱなしにしてく」ようなものだろう。『凝りはじめるとすぐに容量不足に悩まされる』ことも共通点に挙げられるだろう。ワインの場合は、セラーの収容本数、金魚の場合は、水槽の容量がそれにあたる。 大き目のセラーを買ったつもりでも、すぐセラーがいっぱいになってしまい、そこからあふれたワインたちをどうやって夏場を乗り切らせるかで頭を悩ますワイン愛好家は多いと思う。翻って、金魚愛好家にとっての悩みの種は水槽の容量だ。金魚を飼う場合、一般的なのは60センチ水槽(容量50~100?程度)といわれる。しかし、この60センチ水槽は一般家庭にとってはかなりの大きさなので、我が家では45センチ水槽を使っている。ところがこちらは、容量が30?程度しかない。金魚1匹あたりどの程度の水量が必要かは、金魚の大きさにもよるし、諸説あるようだが、一説には1匹あたり10?と言われることが多い。したがって、30?程度の我が家の水槽で、8匹飼おうなどというのは、愛好家の目から見たら『論外』なのだ。とりあえず、我が家の場合、今年すくってきた金魚たちがまだ非常に小さいので、なんとかやりくりしているが、遠からず60?水槽を導入しなければならないだろう。そういえば、セラーにしても、水槽にしても、家の中でそれなりの場所を占拠する上に、重量が半端でなく重い、といことも似ている点だ。ワインセラーも大型になると床の補強などを検討しなければならなくなるが、金魚水槽も90センチクラス以上になると同様の問題が出てくる。もっとも、私自身は、水槽があまり大きくなると定期的な水換えが格段に大変になるので、せいぜい60センチ水槽で留めておこうと思っている。ワインの場合は懐事情、金魚の場合は労力と手間が抑止力になっている私である。「たとえ金魚が水草を食べなかったとしても、上部濾過中心の金魚水槽では、立派な水草水槽を仕立てるのは難しい。」ある時、金魚関連の掲示板でこの一文を読んだ。何の解説も付加されておらず、掲示板の他のメンバーもそれを当然のことのように話を進めているので、当時初心者だった私には「???」だった。この一文について解説したいところだが、ここで解説しようとすると、それだけで原稿の文字数を超過してしまうので、やめておく。(実は途中まで書いて挫折した。)要は、この一文には、非常に多くの前提となる知識があって、それをわかっていないと読んでもチンプンカンプンだとうことだ。「カロンセギュールとはいえ、92ですからねえ。」こちらは今でも忘れられない、まだワインの知識が乏しかったころに行ったワインバーでのひとコマ。グラスワインとして出ていた92カロンセギュールを注文しようか悩んでいた私に対して、店主からの禅問答のようなアドバイスがこれだった。カロンセギュールは、ハートの可愛らしいラベルとは裏腹に、その土壌は粘土質主体で、熟成にかなりの時間を要する銘柄だけれども、92年はあまり作柄がよくないことが逆に幸いして、それほど凝縮されて「渋渋」というわけでもなく、早飲みしてもそこそこ飲めるだろう、そう思って俺はグラスワインとして出したんだ、と言いたかったのだろう。しかし、それを理解するには、当時の私はまだ知識が乏しすぎた。アドバイスするなら、もったいぶらずにきちんとアドバイスしてもらいたいものである。このように、マニア同士の会話は一般人には解説なしでは理解しにくいことも両者で似ている点だと思う。(笑)種類がバラエティに富んでいて価格がピンキリであることも共通点として挙げられる。「らんちゅう」という品種がある。この品種は背びれがなく、丸っこい独特の形をしているが、上から見た姿がことに美しく、「金魚の王様」などと呼ばれることもある。品評会も盛んで、入賞した個体には、1匹数万の値段がつく。(ちなみに、金魚すくいですくってくるフナ型の「和金」などは数匹で100円などというものもいる。)ただし、「らんちゅう」のような品種は、フナ型の和金などに比べると、デリケートで病気などに罹りやすいといわれる。金魚は、もともと緋ブナがルーツで、そこから突然変異した品種を固定してきた中で、いろいろな種類が生まれたそうだが、やはり原型のフナ型から遠い体躯のものは、生命力の点でやや劣るといことなのだろう。その点、金魚すくいなどですくってきた「和金」は、初期の不安定な時期を脱して環境に馴染みさえすれば、水換えなどかなりルーズにやっても大丈夫な場合が多いようだ。ワインでいえば、ピノとボルドーのようなものだろうか。とまあ、こじつけがましくいろいろ書いてきたが、両者の共通点として、最後に挙げたいのは、「手元において育てる(=熟成させる)楽しみがある」ということだ。 金魚は、水の中をヒラヒラと泳いでいる姿や、エサを求めて寄ってくる姿など、日常の中で大いに我々を癒してくれるが、うまく飼えば10年ぐらい生きたり、品種によっては、20センチ以上に育ったり、卵をかえらせて稚魚を育てたりといった楽しみもある。ワインにしても、大きなセラーが家の中に陣取っていて、しかも中身の大半はまだ飲めないというのは、一般の方から見ればなんて非合理な世界だろうと思われるかもしれない。しかし、リリース直後の争奪戦?を勝ち抜いてなんとか手に入れたボトルたちを、手元においていつか飲む日を楽しみに熟成させるのも、愛好家冥利につきるというものである。ということで、最後に、金魚とワインで決定的に異なる点がひとつあるが、賢明な読者諸氏は、もはやおわかりだろう。そう。ワインという趣味は、金魚飼育よりもずっと、金がかかる、ということだ。 今は熱帯魚も飼育しているので、広く「アクアリウム」という目線でみると、これまた結構共通点があるなぁと改めて思います。・間口は広いが、奥が深く、愛好家の間でディープな世界が展開される・種類が豊富でバリーションに富んでいる・機材などに凝りだすとキリがない・やたらとコンディションの維持に気を遣う(ものもいる)・温度管理が大切。災害への備えに悩まされるなどなど。「機械式時計」「ジャズやクラシック」「オーディオ」「カメラ」などでも類似のコラムが書けそうです。笑
2021年05月13日
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我が家の最後の1匹となっていた和金が天に召されました。昨年9月あたりに一度浮き気味になってしまい、そのときはココア浴などでしのぎました。【金魚】和金の不調と治療https://plaza.rakuten.co.jp/szwine/diary/202009080000/GW明け、今度は底の方に沈んでしまうようになりました。水中でバランスがとれないらしく、じっとしていると底の方に沈んでしまうのです。床砂に体が着きそうになって、慌てて上方に泳いで上がる、しかしすぐにまた沈んでしまうという繰り返し。尾びれが充血して、背びれもボロボロになりはじめており、「尾ぐされ病」の兆候が明らかでした。これまでの苦い経験から、クスリ等は極力使いたくなかったのですが、さすがに今回はどうにもならないなと思って、水替えとともに薬剤(グリーンFリキッド)を基準量の半分ほど投入したのが土曜日。ところが、やはり薬が合わなかったのか、翌日曜日には、体が「くの字」に折れてしまって、泳ぐこともできなくなってしまいました。#ちなみに、混泳させているエンゼルフィッシュはなんともなかったので、やはり和金の体力が落ちていたのだと思われます瀕死の金魚たちを幾度となく目にしてきましたが、そうなってしまうともはや治しようがないんですよね。案の定、月曜の朝、水槽を覗くと、ヒーターの横に挟まるようにして死んでいました。様子がおかしいと気付いてからは本当にあっという間でした。月曜の朝発見した時点では、死後それほど経っていなかったようで、あたかもまだ生きているかのような目や鱗の艶が残っていました。出勤の前に、自宅の隅にいつもより深めの穴を掘って、埋めてやりました。たかが金魚とはいえ、9年間ともに過ごした和金があまりにあっけなく死んでしまったことで、未だ自分の理解が追い付いていません。オレンジの色彩の欠けた、ブラックエンゼル1匹だけの真っ黒な水槽を見るにつけ、なんというか間違い探しクイズでもしているかのような違和感と、やるせない喪失感を感じます。あのとき、薬剤を入れなければよかったなぁとか、自分の在宅勤務が増えたことで金魚の平穏な日常を乱してしまったのかもとか、食べられる時にもっと餌をあげておけばよかったかなぁ(浮き気味になって以来、餌の頻度を2日に1回に減らしていた)とか・・。唐突な別れに悔恨ばかりが募ります。在りし日の和金。我が家に来てまだ2~3年目のときはこんなに鮮やかな色でした。こちらは昨年、浮き気味になった頃。改めて写真をみると、この時点でもヒレの付け根などが充血していたようです。最近はブラックエンゼルと2匹、私の部屋の60センチ水槽で飼育していました。右上に見えるのは、苔取りように試しに投入してみたオトシンクルスです。金魚とエンゼルが追いかけ回してしまうので、結局別の水槽に入れました。
2021年05月11日
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香川県丸亀市のため池に釣りに来ていた小学1年生の男の子と33歳の父親の2人が死亡するという痛ましい記事がありましたが、関連して以下のような解説が載っていました。そういうことだったのかと納得させられました。亡くなられた親子の冥福をお祈りします。ため池に落ちると、なぜ命を落とすのかhttps://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20210510-00237132/
2021年05月11日
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そんなこんなで、コロナ拡大が続く中でしたが、試験は予定通り12月中旬に行われました。受験会場は、吉祥寺にある成蹊大学。JR吉祥寺からはバスで10分ほどです。例年、地元三軒茶屋にある日本大学や昭和女子大でも行われていたのですが、今回はコロナの関係で会場使用がNGだったのかもしれません。早めに到着して、近所の喫茶店で最後の悪あがきをしようと思ったのですが、正門の近辺には私が想像していたようなカフェや喫茶店がなく、結局イタリアンレストランに長居することになってしまいました。注文したパスタにほとんど口をつけなかったので、店のスタッフが不審そうな顔をしていました。スミマセン、食欲が湧かなかったんです。集合時間は14:30。相変わらずのものものしさに加えて、今回はさらに「マウスシールド」の装着が義務付けられました。麻生さんがよく国会答弁で使っていた、口のところだけをカバーする透明のアクリルカバーです。ほとんど効果がないと言われているアレです。面接員はネイティブと日本人女性の2名。日本人女性は若くて快活そうな人でしたが、ネイティブの男性は大人しそうな白人で、小声で早口、マスクをしたままボソボソとしゃべるため、ひどく聞き取りずらくて焦りました。与えられたプレゼンテーションのテーマは、 ①敷金礼金 ②リモート飲み会 ③刺身のつま 「刺身」ではなく、「つま」というのがいやらしい。2分間もネタが続かなそうな気がして避けました。「敷金礼金」なら、日本の賃貸住宅事情と併せてプレゼンすることもできそうでしたが、ここは無難にESDICの直前講習で学習した「リモート飲み会」を選びました。結果的に、あれだけ日本の伝統や地理について学習したのにもかかわらず、プレゼン課題は2年続けて時事ネタとなりました。どちらもESDICさんの予想がズバリでした。 コロナの影響で非常事態宣言が出され、家にいる時間が増えた。人々はステイホームの状況に飽きて退屈した結果、PCゲームやおうちカフェにハマる人が出た。「どう森」が流行ったり、インスタでカフェ風にした部屋やスイーツなどの写真をアップするのが流行した。さらに、オンライン飲み会も行われるようになった。オンライン飲み会は、自分で飲み物と食事を用意しなければならないが、いつでも参加できるし、とくに遠方の人ともコミュニケーションがとれるというメリットがある。(というようなことを話したところで終了)質疑応答内容Q:自分はオンライン飲み会をやったことがないが、参加したことはあるか?→YES(※本当はない。)Q:何人ぐらいの会だったか?→10人程度Q:酒をそれぞれ用意するというのはどんな感じなのか→自分たちの場合はあらかじめこのようなワインを持ち寄ろうと決めて持ち寄った。なぜなら、それはワインに興味がある人たちの会だったからだ。→それはオンラインパーティというより、プロフェッショナルな会だね(笑)。※実際にはオンライン飲み会に参加したことはなかったのですが、NOと答えるとそこで会話が尽きそうなので、架空の内容を話しました。別に事実にこだわる必要はありませんから。<外国語訳問題>(日本刀)日本刀は、専門の技術を持った職人によって作られるものであり、有形文化財として登録されることもあります。刀は武士の魂とされ、江戸時代までは武家社会の象徴でした。現在では、芸術品として日本国内だけではなく世界の人からも人気が高いです。<シチュエーション>お客様が日本刀を買って帰りたいと言っています。あなたは通訳案内士としてどう対応しますか?A:日本刀には私も興味がある。虎ノ門にいい店があるので紹介できる。ただし、日本刀を持ち帰るには事前に文化庁に登録が必要。それについては必要なら私が代行できる。どうしますか?→ここから先のやりとりがさらに早口でもごもごと言われて、聞き取れず。何度か聞き返したところ、レプリカで構わないとのことだったので、であれば、書類はいらないと答えました。Q:レプリカはどこで買えるか?あまり高いのでなくて構わない。→先に案内した店か、百貨店などでも買えるかもしれない。必要なら私がご一緒しますがどうしますか? と曖昧に返答。→ここでまたベラベラと一気にまくしたてられたのですが、何を言っているのか聞き取れず。※あとで思い返すと、たとえば浅草の仲見世とか、そういった回答を期待していた様子。Q:持ち帰りはどうするのか?→役所への登録は必要ないので、飛行機では預ければ問題ない。不安ならばサポートする。→→そこからさらにいろいろ言われたが、またしても聞き取れず。※あとで思い返すと、梱包をどうするかとかそういうことを答えさせたかった模様。 というような感じで、とにかく、小声で早口でまくし立てる上に、マスクで声が籠っていて、最後の方は何を話しているのか、半分ぐらい聞き取れない有様でした。もちろん数回聞き直したのですが、あまり何度も何度も聞き返しずらく、なんとなく不完全燃焼のまま会話終了となってしまいました。前年の不合格以来、それなりに頑張って勉強したつもりだったのが、通訳案内士としての知識やノウハウ以前に、基本的な会話力でつまづくという痛恨の結果に、我ながら茫然としました。会場からの帰りは、バスにも乗らず、吉祥寺駅までトボトボ歩きましたが、なんとも惨めな気分でした。********************結果の発表は約2か月後の2月でした。ネットのHPで発表になるほか、官報にも掲載されるのですが、上記のような感触から、絶対に受かっていないだろうと思っていたので、当日は結果の確認すらしませんでした。それだけに、翌日、合格通知を受け取ったときには、感慨ひとしおでした。なぜ合格通知とわかったかといえば、合格証書が同封されているので、郵便物が「大きい」のです。前年受け取った不合格通知とは大違いでした。さて、上記のような体たらくで、なぜ合格できたのでしょうか?正直なところ、試験全体の出来は、20年度より、前年の19年度のほうがよかったと思います。いくつかの大きなミスをした以外、会話はスムーズに進みましたし、雰囲気よく終わることができましたから。1点、違いを挙げるとすれば、今年度の試験では、ESDICのアドバイスに従って、とにかくゲストの役に立ちたい、そのためにできることならなんでもするという姿勢を前面に出したこと、これに尽きると思っています。前年度の私は、流ちょうに答えられればそれで合格すると勘違いして、ガイドとしてのホスピタリティの部分の踏み込みが足りなかったのだろうな、と。ESDICさんをヨイショするわけではありませんが、2次講座に2年通って、最後の最後で念を押された、上記のアドバイスがあってこその合格だったと思っています。それにしても、プレゼンのテーマが「リモート飲み会」、質疑の場面にワインの話が出てくるあたり、期せずして少しはワインブログらしいオチになりました。笑「全国通訳案内士」受験記~その1(受験のきっかけ)「全国通訳案内士」受験記~その2(1次試験)「全国通訳案内士」受験記〜その3(1次試験参考書など)「全国通訳案内士」受験記〜その4(ハロー通訳アカデミーとESDIC)「全国通訳案内士」受験記~その5(二次試験に向けて)「全国通訳案内士」受験記~その6(二次試験用教本・参考書)「全国通訳案内士」受験記〜その7(2次試験直前セミナー)「全国通訳案内士」受験記~その8(2019年度2次試験→不合格)「全国通訳案内士」受験記~その9(翌年受験の準備とコロナ)「全国通訳案内士」受験記~その10(ESDIC2次ZOOM講座)「全国通訳案内士」受験記~その11最終回(2020年度2次試験)
2021年05月10日
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お買い物マラソン限定半額ドラジェさんのワインセット プレミアム家飲みワイン9本セット。送料無料みちのくさんよりデュガピの18ブルゴーニュ・ルージュ ベルナール・デュガ・ピィ同じくみちのくさんよりアントナン・ギヨンの17ジュヴレ・シャンベルタン ラ・ジュスティス。ワインを飲み始めた頃にのんだ銘柄ですこの生産者も久しく飲んでません。みちのくさんの[2016] ヴォーヌ・ロマネ ラ・コロンビエール ファブリス・ヴィゴプレミアム銘柄ですね。みちのくさんの[2012] ヴォーヌ・ロマネ 1級 オー・マルコンソール ドメーヌ・ド・モンティーユ。送料無料面白いラベルになりましたね。ウメムラさんよりモロー・ノーデのシャブリ 1er モンテ・ド・トネール [2018]このVTは割と安いですね。ウメムラさんのシャトー・ポンテ・カネ [2014]ウメムラさんよりボランジェ8年ぶりの新キュヴェ、ヴィエイユ・ヴィーニュ・フランセーズの弟版PN VZ15。ギフトボックス入りマル源さんよりフィネスさん輸入ブルゴーニュ 、ルジェ[2018] 4本入りセットエスカルゴさんよりオレリアン ヴェルデのオート コート ド ニュイ ル プリュレ[2018]。安くてよいですね。こちらは1万超えますが美味しいと思います、オレリアン ヴェルデヴォーヌ ロマネ1級レ ボーモン[2017]エスカルゴさんの送料無料ヨーロッパ自然派ピノノワール飲み比べ6本セットエスカルゴさんよりフレデリック ミュニエ[2018]3本セット(A)(シャンボールミュジニー フュエ/NSGマレシャルR/NSGマレシャルB)河野酒店さんの16ロベール・シリュグ)同じく河野酒店さんよりJ・J・コンフュロンのコート・ド・ニュイ・ヴィラージュ・レ・ヴィニョット[2015]ウメムラさんの家飲み応援・特別価格ブルゴーニュ 赤ワイン 4本セット 第15弾世田谷通り沿いのObscura Martにて。ここのコーヒー、テイクアウトといえどもかなり美味しいです。
2021年05月09日
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最近また地震があちこちで起こって、不穏な空気を感じますね。このコラムは2016年に書いたものですが、再生可能エネルギーについては、日々進歩しているので、下記の内容はもはや古いかもしれません。機会があれば、またいろいろリサーチしてみたいと思います。*******************2011年に起きた東日本大震災から5年が経過しました。震災を契機にあらためて考えさせられたのは、わが国でワインを所有し、保管するということが、こんなにも綱渡りのような脆弱な基盤の上に成り立っていたのかということでした。地震によるボトル破損のリスク、夏場に電気が遮断されたときのリスク。頭ではわかっていても差し迫った危険として認識していなかった事象がいきなり眼前に突きつけられました。地震そのものはいうまでもなく、その後一部で実施された「計画停電」には、まさに不意をつかれた思いでした。自分のワインを守るために、いくつかの施策を施したものの、結局本質的な解決策は見出せないまま、「喉元過ぎれば・・」のことわざよろしく、いつしか地震対策のことはあまり考えなくなっていました。 そんな折に、熊本地震が発生しました。震度7が2回、震度6強が3回、6弱が3回断続的に発生、余震の回数も過去20年の地震で最多を記録するという、これまでの常識では考えられないような恐ろしい震災でした。私のワイン仲間にもこの地震で被害に遭われた方もいます。あらためてお見舞い申し上げます。 そして今、関東地方でも大地震のリスクが高まってきているようです。首都圏直下地震の発生確率が「30年以内に70%」というのは前から言われていることですが、7月には震度3〜4の地震が関東近隣で何度も発生し、地震予知で知られる某大学名誉教授が南関東の警戒レベルを過去最大に引き上げたとなどいう記事を見るにつけ、「いよいよ本当に来るかも・・」という不安が頭をよぎります。しばらく棚上げにしていたこのテーマについても、もう一度点検する時期にきているようです。■地震によるワインへのリスク地震によるワインへのリスクをあらためて整理すると、物理的なボトル破損のリスクと停電によって温度管理ができなくなるリスクの二つに集約されるかと思います。物理的な破損リスクについては、実のところ私も皮膚感覚でよくわかっていないところがあります。自分のワイン歴の中で、これまでワインボトルの破損に遭遇したことは二回しかありません。そのうち一回は輸送中の事故でした。ボジョレ・ヌーボーを何本かまとめ買いした時に送られてきたうちの一本が割れていたのです。段ボールの中は、プチプチなどの緩衝材がまったく入っておらず、ボトルが裸のままでした。もう一回は、セラーの出し入れの際に不注意でボトルを落としてしまったときです。この一回が自分の中でトラウマになっています。というのも、よほど当たりどころが悪かったのか、高さにしてほんの30センチのところから軽く床にコトンと落としただけだったのにもかかわらず、ボトルが真ん中からパックリと割れてしまったのです。それ以来、私はセラーの中に保存するときでも必ずプチプチにくるむなどして、裸でボトルを保存しないようにしています。また、セラー内にギュウギュウに詰めこむのは、冷却に時間と負荷がかかるのでよくないとよく言われますが、私は地震の時にボトルがセラーの中で暴れて破損することの方が怖いので、基本的にはセラー内には大きな隙間を作らないようにしています。<写真:ユーロカーブ>キャプション:我が家のセラー。隙間にはアイスコーヒーやミネラルウォーターのパックを入れてある。セラーの鍵をかけていなかったばかりに、地震で扉が開き、セラー内のボトルが飛び出して全滅に近い被害を被ったという話も聞いたことがあります。セラーは常日頃から施錠しておく習慣をつけたほうがよいでしょう。150~200本入りといった大型セラーの場合は、重心が高くなりがちなので、セラー自体が倒れないようにする工夫も必要になります。セラー下部の方からワインを詰めてゆくとか、天井からのつっかえ棒をしておくなどの措置をしておくことをお勧めします。東日本大震災のとき、都内の震度は「5強」でした。幸いにして我が家はセラーの上に飾ってあった空き瓶が数本落下しただけで済みましたが、震度6以上となるとそうはいかないかもしれません。まして熊本地震のように震度6や7が連発する事態になったら、もはやワインの心配をしている次元ではなく、築25年の我が家が無事乗り切れるのか、乗り切れない場合、どのように家族を守るのかをまず心配しなければならないのでしょう。さて、地震の揺れによる破損のリスクを逃れたとしても、時期によってはそれに匹敵するリスクとなり得るのが、停電によってワインの温度管理ができなくなるリスクです。この原稿を書いている8月9日の都内の最高気温はなんと38度でした。こんなときに長期間電気が供給されなくなったらと思うとゾッとします。小さなお子さんや老人のいる世帯はそれこそ(熱中症による)生命の危険と向き合わねばならなくなります。(当誌が読者の手元に届く頃には、高温のリスクは一段落していると思われますが、毎年向き合わねばな話なので、おつきあいいただければと想います。) 停電が短時間にとどまるのであれば、それほど神経質にならなくてもよいかもしれません。きちんとしたセラーに保存して、扉の開閉を避ければ、セラーの断熱性により、温度の上昇ペースはある程度抑えられるというデータがフォルスタージャパンのサイトに掲載されています。(https://www.forster.jp/blackout/)データによれば、平均外気温が26.1度の場合、1時間後の温度上昇は1.2度、3時間後で2度、6時間後で2.9度となっています。平均外気温が軽く30度を超える夏場はもっと温度上昇のペースは早くなりそうですが、いずれにしても、初動としては、慌てて扉を開閉したりしないことが肝要でしょう。サイトにも書かれているとおり、凍った蓄冷材や袋に入れた氷があれば、庫内に入れておくことで温度上昇を抑えることができそうです。停電の期間が数日単位になると、難易度は急上昇します。後程あらためて考察しますが、私が東日本大震災を機に考えたのは、「家庭用蓄電池」や「ソーラーパネル」、「(屋台などで使われる)自家用発電機」「(PC用の)UPS電源」などでした。しかし、当時はいずれも「帯に短したすきに長し」の感が否めませんでした。一方で、管理は業者任せになりますが、「非常用発電設備を備えたレンタルセラーに預ける」という方法もあります。私が東本大震災後に、最終的に選択したのはこの方法でした。■私が東日本大震災後に施した施策1.レンタルセラーの活用によるリスク分散。 資産運用でよくつかわれることわざに「卵は同じカゴに盛るな」とういうものがあります。これに倣ってというわけでもありませんが、我が家ではワインのストックを三か所に分散させることにしました。もともと利用していた品川(天王洲)のトランクルームに加えて、横浜都築のレンタルロッカーを新たに契約し、自宅のワインの一部をそちらに避難させることにしたのです(いずれも寺田倉庫)。 ただ、この時私はひとつ大きな誤解をしていました。「レンタルセラーに預けておけば、何かあったときに保険がおりるから安全だ」と思い込んでいたのです。実際は、トランクルーム規約にあるとおり、「火災」や「落雷」、「作業上の過失による事故」などは 賠償の対象となりますが、「地震」や「津波」、「高潮」などについては免責となり賠償されません。すなわち、レンタルセラーとて万全ではなく、地震が原因で割れたワインについては補償されないし、トランクルームのビル自体が倒壊するような大地震や大津波が来れば、預けてあるワインたちはすべて無に帰すということです。まあ、レンタルセラーが倒壊するような大地震に襲われれば、築25年の我が家は間違いなく無事では済まないでしょうから、私としては他に選択の余地はなかったのですが。なお、自宅・品川・横浜の「三拠点体制」は長くは続きませんでした。平時に戻るにつれて、だんだんと毎月の寺田倉庫の料金負担 が負担に感じられるようになってきたのです。結局、品川トランクルームのサービス体制が変わったのを機に、自宅と横浜ロッカーの二箇所に集約して現在に至っています。リスク分散という意味では、さらに自宅との距離が離れた「勝沼トンネルカーブ」のようなところに当面飲まないワインを保存できれば、コスト面も含めてベターなのかもしれませんが、勝沼トンネルカーブは何年も前からずっとキャンセル待ちのままです。<写真:寺田倉庫引っ越し キャプション:東日本大震災後あらたに契約した横浜都築のロッカー>2. 「脱酸素パック」の導入前号のコラムでも書いた脱酸素パック。もともとはセラーに入りきらないワインを数年間常温で保存するためのアイデアでしたが、私はセラー内のボトルたちを脱酸素パック化することで、地震による停電対策になるのではないかという点に着目しました。2年ほど運用してみた印象としては、これをもって停電対策の切り札と言い切る自信はないけれども、とりあえず気休め以上の効果はありそうだし、うまくすれば非常時にボトルへの致命傷を回避できるのかもしれないとも考えています。とはいえ、実際にセラーの電源供給がとだえるような事態に遭遇したわけではないし、長い年月に亘ってセラーで保存した時のボトルへの影響もよくわからない面があるので、試そうという人は、あくまでも自己責任でということをしつこく強調しておきます。それと、2年間使用してみた感想ですが、ガスバリアコーティングの袋の耐久性の問題なのか、私のシーリング技術の問題なのか(安物のシーラーを使っているせいかもしれません)、脱酸素パック化したつもりでいたのに、気づけばきちんと脱酸素化できていなかったというボトルが意外に多いのです。先日、サイレントカーブ内の脱酸素パックを見直してみたところ、100本弱のボトルのうち、なんと20本以上のボトルに空気が侵入しており、再度パックしなおす必要がありました。狭いスペースにギュウギュウと押し込んだりして、ボトル同士が擦れてしまったりするのがよくないのかもしれません。いったんパック化した袋の扱いはあまり雑にしないほうがよさそうです。<写真:脱酸素化作業 脱酸素パック化の作業。きちんとシーリングしないと空気が入る可能性があるので注意が必要>3. 当面飲む予定のないワインの処分(売却)一昨年の暮れに、個人売買とオークションとで、手持ちのワインの三分の一程度を処分しました。これは震災対策としてではなく、12年乗ったクルマを買い替える際の頭金を用意できないという情けない理由からでした。持ち寄りワイン会に行くことがなくなり、高額なワインや希少ワインの出番が激減したという事情もありました。かなり安値で売却してしまったものもありますが、儲けようというつもりもなかったので、結果オーライでした。今思うと、ずいぶん思い切ったものですが、(車が新しくなったことで)家族がとても喜んでくれたので、私としてはよかったと思っています。そして、結果的に「震災対策」という意味においても、このことで精神的な負担が一挙に軽減されました。そもそも保有していないのだから、失う心配もしなくてよいというわけです。まあ、これは震災対策とするにはあまりに極端な方法だし、ワイン愛好家として読者に薦めるようなものでもありませんが。■ その他に考えられる方法当時いろいろと考えたのだけれども、実現に至らなかったのが、「自宅でなんとかして保存できるようにする」方法です。もっとも理想的なのは、自宅に「勝沼トンネルカーブ」のように電気に頼らなくても済む温度湿度の安定したセラーを作り上げることでしょう。しかし現実に は、ある友人宅のセラー(地下1階)は、5月半ばでも、エアコンを稼動させないと20度を超えてしまうそうで、首都圏の一般家庭においては、相当地下深く掘らない限りは、空調設備なしのセラーは現実的ではなさそうです。まあ、自宅に核シェルターを作るとか、そういった他の目的があれば、抱き合わせで検討してみてもよいかもしれません。 酒販業などワインを生業としている方にとっては、屋台などで使われているような、自家用の発電機を導入をするのが現実的なソリューションとなるでしょう。 ただし、自家用発電機を動かすためには石油燃料が必要になってくるし、稼動時の騒音もかなりのものです。また、発電機を回している間、家を留守に出来ないなどの不自由も生じます。もっとも、最近はインバーター方式の比較的静かなものとか、カセットコンロで使えるハンディタイプのものなども出ているようなので、平時はキャンプやバーベキュー用、災害時にはワインセラー用にということで検討してみるのも「あり」かもしれません。実際にワインセラーで使えるのか、その場合何時間程度保つのかなど十分な事前リサーチが必要なことは言うまでもありませんが。東日本大震災後に私がもっとも興味を持ったのが「ソーラーパネル」による太陽光発電でした。数百万のイニシャルコストがかかるものの、自治体の補助金が期待できるし、通常時には月々の電気代の低減に貢献してくれます。使い切れずに残った電気を電力会社が買い取ってくれる「売電」というシステムもあり、それによる収入も期待できます。それでもって非常時にワインセラーを稼働させられるとなれば、悪い話ではなさそうな気がしました。しかし、当時、実際にいくつかの大手メーカーの問い合わせ窓口に問い合わせてみると、非常時の「自立運転モード」では、曇天や夜間など必ずしも安定的に電力を供給できるわけではなく、リスクを伴う用途に使うことは薦められない、という回答が大勢を占めました。 この数年で太陽光発電を巡る環境は大分変ってきているようです。初期投資のコストはかなり下がっており、一般的な家庭に導入するための設置費用としてはおよそ120~200万円程度というところのようです。一方で電力会社が買い取ってくれる「売電」価格は年々低下しています。夜間や天候不順時などに安定的に電力を供給できないという課題に対しても、最近は家庭用蓄電池と組み合わせたソリューションや製品がリリースされはじめているようです。昨年、電気自動車で知られるテスラ・モーターズが、従来の価格相場の数分の一という価格破壊を実現した家庭用蓄電池「パワーウォール」を発表しました。(国内では未発売ですが、日本語のHPもすでに設置されています)ソーラーパネルと併用し、パワーウォールに日中ソーラーパネルで発電した電気を蓄えれば、夜間その電力を活用することができるという仕組みで、エネルギー貯蔵容量は6.4 kWh、仮にワインセラー「だけ」を稼働させようと思えば、数日間は保ちそうです。安価に導入できるのであれば、かなり魅力的に感じられます。 太陽光発電と家庭用蓄電池には、まだまだコストダウンや性能向上の余地はありそうだし、「投資」としてみてしまうと不透明な要素も少なくありませんが、これから家を新築しようという方は、ワインのためのみというよりも、家庭全般のトータルの節電/災害対策ソリューションとして、このようなシステムを検討する価値はあると思います。築25年の我が家に導入する予定はさすがにありませんが、家を建て替えるタイミングになったら、我が家でも前向きに検討してみたいところです。<写真:ソーラーパネル 太陽光発電と蓄電池の組み合わせはリスク管理面で有望かもしれれない>■ 最後に最後に自分への戒めも込めて書きますが、重要なことは守るべきもののプライオリティを間違えないことです。ワインの資産がどんなに大切なものであっても、まず守らねばならないのは、自分と家族の生命です。「自宅にワインは何百本もあるのに、ミネラルウォーターは1ケースもない」という状況はシャレにもなりません。日頃からワインだけでなく、生活全般に亘った非常時への備えをお忘れなく。
2021年05月09日
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一度栓を抜いたワインは日保ちしない。この雑誌の読者に対しては、今更言うまでもないことだが、世間一般では意外に知られていないようで、先日実家に遊びに行ったら、数週間前に私が栓を開けて、飲み残したボトルがまだ冷蔵庫に入ったままだった。さすがに何週間も経っていれば、飲めたものでないと思うのだが、味覚音痴のわが弟は、キンキンに冷えたお酢のような赤ワインを、こんなものだと思って飲んでいるのかもしれない。 そういえば、先日、ワイン関係の知り合いのブログを読んでいたら、国内のワイナリーを訪問した記事があって、試飲に出されたワインが、ずいぶん前に開けられたと思しきボトルばかりで、このようなボトルを飲んでいたらワイナリーの良さがわからないだろうと苦言を呈しておられた。ワイナリーの方がそうした事情をご存じないわけはないだろうが、おそらくは予算と来客数の兼ね合いで、新しいボトルを試飲のためにそうポンポンとは開けられないのだろう。まあ、ワイナリーの試飲は無料だから仕方ないとして、ワインバーなどで、明らかに日にちを経過して雑巾のような臭いのするグラスを出される(ことが稀にある)のは、さすがに許しがたかったりする。ということで、今回のテーマは飲み残しのワインの保存についてである。我が家でも、余ったワインの保存については、頭を悩ませている。私の酒量はいいところボトル二分の一程度なので、ワインを開けるとどうしても半分位は余ってしまう。平日軽く済ませたいときなどは、三分の二ぐらい余ることもある。ものの本には、栓をして冷蔵庫に入れておけば1週間位もつなどと書いてあるものもあるが、現実には、まともに飲めるのはせいぜい2~3日、古酒などは当日限りというところではないだろうか。それでもたとえば、翌日で精一杯なのと3日に亘って楽しめるのとでは、大違いである。一度開けたボトルを、ひと晩でも長く楽しめないかと、我が家ではいろいろと試行錯誤を繰り返してきた。1.「バキュヴァン」などの器具。おなじみの、ボトル内の空気をシュポシュポと抜く器具だ。売価は2000円前後だろうか。 一度開けたワインが劣化する原因は、中の液体が空気に触れて酸化することが原因だ。だったら、空気を抜いてボトルの中を真空にしてしまえばいい。ということで、専用の栓とポンプを使って、ボトルの中の空気を抜く道具がいろいろ出ている。ゴム製の専用栓が弁の役割をして、一度抜いた空気が戻らない仕組みになっている。栓がプラスチックのものもある。ただ、勢いにまかせてシュポシュポやりすぎると、香りまで抜けてしまうような気がしてならない(気のせい?)ので、なんとなく控えめにしか抜かなくなる。そうすると、結局ボトル内に空気が残ってしまう。ということもあってか、我が家での効果は、まあ気休めにはなるかな、というところだろうか。2.「プライベートプリザーブ」などの窒素ガスを充填するスプレー。 窒素ガスが空気より重いことを利用して、液面と空気の間に窒素ガスの被膜を作り、空気との接触を遮断するもの。仕組みを聞くと、なるほどと思うが、コストがかかるのが難点だ。1本のスプレーで90回程度使用できるらしいが、我が家のように、「今日はおしまい。」と思ってスプレーをしたあとで、「やっぱりもう一杯」なんて飲み方をしていると、結構すぐなくなってしまう。なので、我が家ではつい一回あたりの噴霧量をケチりがちになり、そういうこともあってか、効果はまあそれなりというところだろうか。3.小瓶に移しかえる方法。コストがかからないといえば、この方法につきる。用意する小瓶は、ミネラルウオーターなどの無味無臭のものが好ましい。でないと、よく洗ったつもりでも臭いが移って台無しになる。残したワインを瓶の口ギリギリまで注いで、きっちりフタをしめることがポイントだ。もっとも、ペットボトルに詰め替えて、なにげなくテーブルの上に置いておいたりすると、家の人が、ジュースと間違えてラッパ飲みしてしまったりするので気をつけたほうがいい(実話)。きちんと密閉できれば、かなり保存は利くが、中身が何かをきちんと記録しておかないと、開けるたびに問答無用のブラインド大会となってしまう(これも実話)。もう一つ、この方式で問題なのは、手順上、デキャンティングをしているのと似たような作業になるということだろう。したがって、若いワインはともかく、年代モノのワインやデリケートなワインでは厳しい場合もあるかもしれない。4.その他の方法ビニール袋を瓶の中に入れて、中に空気を吹き込み、瓶の内側に密着させるとか、ビー玉をボトルの底に沈めて、空きスペースをなくすとか、ボトルの中でマッチをすって酸素を消費させる(!)なんて方法が紹介されているのを読んだことがあるが、どれも衛生上問題があるような気がして、試すには至っていない。5.バックINボックス(BIB)容器 最近面白いな、と思っているのは、ディスカウントストアなどで売られている「箱いりワイン」(バックINボックス)の仕組みだ。箱ワインは、概ね安価な価格帯のものだが、容量が2リットルや3リットルと多いので、一日で飲みきらずに、数日、あるいは数週間かけて飲むことが前提になる。そのための包装がどうなっているかといえば、箱の中がアルミの袋になっていて、その中にワインの液体が詰められている。袋には簡易的な注ぎ口がついていて、グラスに注ぐと、その分、アルミの袋が収縮し、結果として中の液体は酸化を免れるという仕組みだ。宣伝文句には1ヶ月保つ、と書かれているが、本当だろうか。2箱ほど購入して3週間に亘って試してみたが、結論としては、「保つともいえるし、保たないとも言える」というところだと思う。というのも、おそらく箱ワインがターゲットとする飲み手の多くは、大きいグラスでスワリングしながら微妙な香味を愉しむような人たちではないだろうから。 3週間たったワインをグラスに注いでみると、香りは死んでしまっているし、味わいも衰えているが、飲めないレベルかというとそうでもない。少なくとも何もしないで抜栓後3週間経過したボトルよりははるかに良好な訳で、そういう意味では「1ヶ月保つ」と言っても言いすぎでないかもしれない。このBIB容器、現状ではシビアな愛好家の期待値に答えられる水準ではなさそうだが、なにより仕組みがシンプルだし、さらに改善の余地があるのではないかと、ほのかな期待を寄せている私である。6.「WHYNOT?」かつって渋谷の宮益坂を上ったところに「decfive」というワインバーがあって、400種類以上のワインを50ml、100mlという単位で注文できるというのをウリにしていた。最近でこそ似たようなコンセプトの店を見かけるようになったが、当時(2002年頃だったと思う)としては、画期的なものだったと記憶している。なぜそのようなことができたのかというと、「WHYNOT?」というシステムを大々的に導入していたからだ。(「WHYNOT?」の仕組みについては後述する。)ワインの保存や状態管理に関して、おそらく今よりもこだわっていた当時の私は、本当に劣化しないのかを試したくて、この店に何度となく足を運んだものだ。結論としては、抜栓当日のワインを全く同じかどうかはわからない(比べようがない)が、少なくとも3週間経過したボトルでも大きな劣化を感じることはなかった。そういう意味では、自宅や外で飲んだ場合も含めて、私が経験した中では、この「WHYNOT?」システムがもっとも優れた保存性を示していたように思う。さて、「decfive」は閉店して久しいが、「WHYNOT?」自体はシステムとして販売されていて、そこかしこに導入されている。(http://www.whynot-btg.com/btg/index.php) 今回、改めて効果のほどを確認しようと、虎ノ門の「カーブ・ド・リラックス」さんに立ち寄ってみた。有料試飲のカウンターに腰掛けると、「decfive」でお馴染みだった、逆さまにセッティングされたボトルたちにある種の懐かしさを感じる。ボトルたちは、庫内の酸素のない空間で専用のコルクチェンジャーを使って抜栓され、専用の「プラグ」に付け替えられる。グラスに注ぐときも、ワインを抽出するシューターには、常時窒素が供給され、注がれるワインと窒素とを交換しながら抽出を行うため、ボトルの内部に酸素が侵入することはない。 自前の窒素ガス発生装置を備えており、庫内はペルチェ方式で温度管理される。ワインを酸化させまいという、凄まじいまでのこだわりを感じる装置である。ちなみに、後で伺ったところでは、現在の「WHYNOT」の外観(大きさ、色、形)はdecfiveの頃から変わったが、機能はdecfiveで使用していたものと同じとのことだ。 この日、飲んだグラスは50mlを3種類。そのうちのひとつ、「グレイス・キュベ三澤」にヒネ香が感じられ、「おや?」と思ったが、スワリングしているうちに消えて、綺麗な果実香が立ち上ってきた。おそらく、酸素から遮断された環境下で、逆に還元状態になっていたのだろう。肝心の味わいについては、開けたてのボトルと並べて検証していないので、断定的なことは書けないとはいえ、以前「decfive」で感じたのと同様、どのグラスも果実味が活き活きとしていて、口の中で立体感を失っていないのが印象的だった。 一体どの位の期間、このシステムで保存が可能なのか。理論的には半永久的に保存可能だそうで、実際8ヶ月経過したものが全く酸化していなかったという報告が寄せられているそうだ。さて、ここでひとつの期待と想像が頭をもたげてきた。 現在の「WHYNOT?」システムは、業務用で、筐体も大きいし、値段も高価だ。個人宅にはなかなか導入できるものではないが、たとえばこれをデチューンして、個人用に販売されれば、それなりのニーズがあるではないだろうか?我が家では、平日急に付き合いの飲み会などが入ることが多く、前日開けて半分冷蔵庫に残しておいたボトルを無駄にしてしまうことが多い。また、帰宅が遅めの日や疲れて帰った晩などは、気分的に1~2杯程度でいいところを、残したらもったいないとの強迫観念から、ついつい飲みすぎてしまうこともしばしばだ。「WHYNOT」が家にあれば、こうした悩みが解決されるだけでなく、毎晩赤白二種類ずつ飲んだりとか、高価なワインを〆に1杯なんていう楽しみ方も可能になる。個人的には、セラー1台分ぐらいの値段まで下がってくれれば、真剣に購入を考えたいところだ。ということで、発売元の(株)フレッシュテックさんに、家庭用の販売予定を聞いてみたところ、この冬に、冷却機能を省いて値段を抑えた4本小型タイプの発売予定があるそうで、さらに「将来的には家庭用の販売も予定しております。」という頼もしいお返事をいただいた。もっとも、家庭用は、すぐにというわけにはいかないようだ。その理由として、「WHYNOTはまだまだ周知されておりませんので、業務用販売を通じて全国の飲食店様でお使いいただくことにより、多くの方々に『酸化しないワインセーバー』の存在を実感し、知っていただいてからのステップだと考えております。」とのこと。コストダウンのためには、ある程度の台数見込みが必要なのはどこの世界も同じということか。 技術的には、やはり窒素ガスの発生装置あたりがハードルになるのだろうか? 特許が関わってくるとのことで、詳細は伺えなかったが、「現在の発生装置ですと、業務用で大型なので現実的ではありませんが、発生装置を小型化し、家庭用サイズにできれば可能だとは思います。将来の家庭用製品では、そのような簡易的に窒素を供給できるシステムを考えています。」とのこと。なるほど。私の期待もあながち的外れでなかったわけだ。それにしても、これだけのこだわりのシステムを開発してしまう会社、さぞワインの保存について、深い見識をお持ちだろうと推察した。ついでに、一般愛好家が家庭で飲み残しを保存するにあたっての現状で最良の方法はどのような方法なのか、または一般愛好家(読者)に対してなにかアドバイスはないかと伺ってみた。「一度開封したワインはすぐに栓をしてもボトル内に残留した酸素によって、大きく変化を起こす結果が出ています。開封後は早く飲むということ以外に対処は難しいと思います。 微量であっても、ボトルの中に酸素が入る、また酸素が残ることで酸化が促進されます。しかし、ボトルの中に残留する酸素量が少なければ少ないほど変化が遅れる可能性もありますので、残ったボトルの中にはなるべく酸素を残さないことで、抑制できるかもしれません。抑制の程度は、開封されている時間、再度栓をした時のボトル内残留酸素量、次に開封するまでの時間…等々、沢山の要素がありますので、そのレベルは正確な実験が必要です。」「現在の家庭用器具で残留する酸素量が一番少ないものがどれかという正確なデータがありませんのでベストな方式は解りかねますが、酸素に触れる時間、ワインに触れる酸素量がより少なければ少ないほど影響が少なくなると言えます。」やはり最良の解決方法は家庭用WHYNOT、もしくは同等製品を待つことだろうか。7.ボトルの素性とコンディションの大切さ さて、この雑誌らしく、最後は結局ここに行き着くのか、と言われそうだが、自宅で諸々試行錯誤をしてきた中で、痛い思いをしながら学習したのは、翌日以降の保存性については「ビンテージの新しさ」と「ボトルのコンディション」が大きく影響する、ということだ。私は、年代が新しくても翌日ヘタッてしまうボトルは、流通段階で熱を浴びたケースが多いと想像している。状態に敏感なブルゴーニュであっても、最良といわれるインポーターの、リリースしたてのボトルなら、初日は閉じ過ぎなぐらいで、むしろ翌日の方が向上し、3日目まで十分美味しく飲めることは、何度も経験した。「家庭用WHYNOT」のような「魔法のシステム」が実現するまでは、やはりコンディションのよいワインを探して飲むようにするのが重要だということなのだろう。え?ウチは一晩で一本飲み切るからどうでもいいって?お後がよろしいようで。追記:このあと、不活性ガスを使ったコラヴァンのワインセーバーが発売されたりと、新たな動きがあるようですが、私は追いかけていません。どんなものなんでしょうか?最近はもっぱら小瓶に移して3日に分けて飲んでいますが、自分が鈍感になったのか、それとも流通しているワインのコンディションが押し並べて底上げされたこともあるのか、あまりそれで不満に思うこともなくなってきました。
2021年05月08日
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前号では、私のワインセラー遍歴を振り返った。引き続きワインセラーについて書き綴るにあたり、まずは長年議論になってきたテーマを取り上げたい。「そもそもワインセラーは必要なものなのか?」20年近く前、私は自分のサイトのQ&Aで以下のように書いた。**************とりあえずは「絶対に必要かと問われれば必ずしも必要なものではではない。」と答えておきます…。<必要でない理由>・1~2年のスパンであれば、夏場以外は涼しく風通しの良い冷暗所に保存しておくことで十分対応できる。夏場であれば冷蔵庫に入れておけばよい。・本当に長期保存したいのであれば、レンタルセラーを利用する方法もある。 その一方で、セラーがあればあったで、ワインの楽しみ方が広がるというのもまた事実だと思います。<あると良い理由> 1.いただきものなどの貴重なワインを長期保存しておくことができる。 2.ワインを良好な状態で維持することができる。 3.セールなどでお買い得のワインや、レアものワインを買いだめしておける。 4.夏場に飲むときに、適温ですぐ飲める。ワインセラーというと、1や2の利点にばかり目が行きがちですが、私はむしろ3.の利点が大きいと思います。単に「飲む」ということから、「集める」という楽しみが増えるからです。まあ、私のようにこれがきっかけで歯止めがきかなくなる輩もいるので、それが好ましいかどうかは別ですが。あと、4も細かい点ですが、結構助かります。夏場に会社から帰ってワインをあけようと思っても、生ぬるくて冷やすのに時間がかかったり、冷蔵庫に入れたら冷え過ぎてしまっていたという経験をしたことがある人も少なくないと思います。(以下略)*****************今読み返してみて、どうだろうか?間違ったことは書いていないと思うが、この十数年で大きく変わったことがある。それは、ワインセラーの価格破壊が進んだことだ。5万円前後は普通で、中には1~2万円という製品まである。セラーを買うことはもはや「一大決心」でもなんでもなくなったわけだ。ワインに興味を持ち始めて、自宅に常時数本~1ケース程度のワインを保存しておこうと思ったら、まずは試しに安価なセラーを買って様子をみたら?というのが今の時代の標準的な回答なのかもしれない。ただし、ここでひとつ注意しなければならないことがある。それは、激安セラーの耐久性や信頼性の問題だ。ネットのレビューに目を通してみると、「長持ちしない」とか「購入後すぐに壊れた」「外気温が高いと設定温度まで下がらない」といった記述をしばしば目にする。激安商品につきまとう信頼性の問題だけでなく、(小型セラーの主流である)ペルチェ方式には「ペルチェ素子の寿命」という問題もあるらしい。まあその分安いのだからと割り切るのもひとつの見識だが、夏場にセラーが故障すると、中のワインを道連れにしかねないので注意が必要だ。なお、ペルチェ素子の寿命については、近年の技術革新により劇的に改善されている(ものもある)とも聞く。安価だからと油断せず、購入にあたっては事前にきちんと情報収集をしたほうがよいだろう。■セラー導入にあたってのTIPSより本格的な愛好家の世界に足を踏み入れるようになると、小型のセラーでは何かと物足りなくなる。しかし、中~大型のセラーとなれば、価格も数十万円のレンジだし、相応の設置スペースも必要になるだろう。故障時の被害も甚大なものになりかねない。導入に際しては入念に調査と準備をしておきたい。*床の強度は大丈夫か たとえば200本入りセラーともなれば、重量は300kgを超えるだろう。二重床のマンシ ョンなどではNGとなる可能性もあるし、私の友人にも床が湾曲してしまったという御仁がいる。我が家では対策として、縦横90センチ四方のウォールナットのパネルをセラーの下に敷いている。効果のほどは定かではないが、とりあえず10年経過した今も床は無事だ。(実は、そのパネル板が10年経て、少しずつ湾曲してきています。)*搬入が大事になるケースも新居にユーロカーブを搬入した時は、あらかじめドアを外しておいたが、それでも寸法上の余裕はわずか2センチしかなく、業者二人がかりでギリギリの作業だった。エレベーターのないビル3階へのサイレントカーブの搬入は(詳細は省くが)さらに困難を極めた。玄関から設置場所への導線や家具と干渉しないかなどもよく確認しておいたほうがよいだろう。*放熱スペースの確保セラーを設置する際におざなりになりがちなのが、放熱スペースの確保だ。壁や周囲の家具との間に相応のスペースを確保しておかないと、熱がこもって冷却能力が弱くなったり、セラーの寿命を短くすることになりかねない。必要なスペースは個々のセラーによって異なるので、パンフレットやHPなどを参照されたい。*転倒対策いわずもがなだが、大型セラーの中には上背があるものも少なくないので、地震等に備えて何らかの転倒対策を施しておきたい。鍵付きのセラーであれば、地震の際にボトルが飛び出さないよう、日ごろから施錠する習慣をつけておくとよい。*音や振動の程度は?中~大型セラーに用いられるコンプレッサー方式の中には、それなりの音や振動があるものもある。私が購入した当時に比べて、最近のセラーの静粛性は向上しているそうだが、音や振動に対する感受性は人によってさまざまだ(ちなみに私はあまり気にしない)。寝室に置く場合など、気になる人はあらかじめ実機をチェックしておけば安心だ。(現在はセラーのある部屋で寝起きしていますが、ユーロカーブのコンプレッサーはほとんど気になりません。むしろ年数を経たサイレントカーブの冷却ユニットから時折異音が発生することの方がきになっています。)*内部の仕切りをチェック セラーの収容本数は大抵ボルドータイプのボトルを基準にカウントされている。ブルゴーニュやシャンパーニュの中には胴の太いボトルも存在するため、カタログに謳われているほど本数を収容できなかったり(仕切り板を調整しないと)ボトルが入らなかったりすることもありえる。*ボトルの「遭難」に注意長期熟成向けなどの仕切り板が少ないセラーでは、ボトルを何段も重ねて積載することになる。無計画に詰み込むと、一番下の方に入れたボトルは出し入れが困難になるし(特に夏場)、ボトルが行方不明になったり、そもそもボトルの存在自体を忘れてしまうこともありがちだ。(忘れた頃にボトルが「発掘」されるという楽しみもあるにはあるが。)*二台持ちも悪くない大型セラー1台にまとめるのもよいが、事情が許すのなら、中~小型セラー2台で運用するのも悪くない。一方のセラーが故障した時のリスクヘッジになるし、温度設定を変えて一方を泡や白専用にするとか、1台をデイセラー、もう1台を熟成用に分けるなど、用途の幅が広がるからだ。まあその分、電気代と専有面積の増加、それに家人の冷たい視線には目を瞑らなければならないが。■ ワインセラーの寿命と故障対策前号で書いたように、我が家ではサイレントカーブで2回、ユーロカーブで1回故障を経験したことがある。運よく故障を免れても、機械式セラーはいつかは寿命を迎える。ある日突然セラーが作動しなくなったとしたら?室温が零下になるような寒冷地でなければ、夏場以外はあまり神経質になる必要はないと思うが、切迫感があるのはなんといっても真夏に不測の事態に見舞われた時だろう。万一セラーが正常に作動していないことに気付いたときには、まず、慌てずにセラーのコンセントを抜き、再度電源を入れなおす。それでも作動しない場合は、部屋のカーテンを閉めて、直射日光を遮り、エアコンを最大出力にして、部屋ごと冷やす。あとは販売元に連絡を入れて、修理に来てくれるのを待っている間に、セラー内のワインを外に出しておく。土日祝日を挟んでしまう場合などは、レンタルセラーに緊急避難させるという手もあるが、真夏の入出庫はできれば避けたいところだ。いずれにしても、いったん作動しなくなってしまうと、できることは限られてくる。対策としては、まずなんといってもセラーを設置している部屋のエアコンを稼働させておくこと。できれば夏場は常時稼働させておきたい。室温を低めに保っておくことで、コンプレッサーやペルチェ素子の負荷が低下し、結果的にセラーの寿命を伸ばすことにもつながる。セラーの温度表示はできるだけ毎日チェックして、異常の兆候がないか確認する習慣をつけておきたい。我が家の旧式サイレントカーブは扉を開けないと温度計が見えないので、アクアリウム用の水温計を購入して、外からも温度が判るようにしている。最近のセラーは、異常時にアラームが作動するものもあるとのことで、羨ましいことだ。セラーによっては、定期的な点検やメンテナンスサービスを実施しているところもある。中のワインをすべて出さなければならず、かなり大変な作業になるが、長年セラーを使い続けているのなら、利用を検討してみてはどうだろうか。かつて我が家で使っていたロングフレッシュは10年を迎えたときに保守点検を受けたし、16年目となるサイレントカーブも(東日本大震災の揺れで)故障した際に冷却ユニットを交換済みだ。また、前述のようにペルチェ方式のセラーの場合は、寿命についてよりシビアに考えておいたほうがよさそうだ。■レンタルセラーとの損得勘定寺田倉庫に長年預けているボトルたちをいつすべて引き取るかが、目下私の大きな懸案となっている。ほんの短期間の緊急避難のつもりで預け始めてはや17年。これまでかかった保管費用を考えただけで頭がクラクラしてくる。では、レンタルセラーを早々に解約して、自宅にもう一台大型セラーを買ったほうがよかったのだろうか? レンタルセラーの利用とワインセラー購入の損得勘定は、単純化すると「レンタルセラーの一本あたり月額保管費用」と「セラーに保存した場合の一本あたりコスト(セラー代金+月々の電気代/セラー収容本数)」の比較ということになる。この計算では、おそらく数年~10年も預け続けるのならば、セラーを購入したほうが安上がりということになるはずだが、現実はそう単純ではない。・セラーの設置により自宅のスペースが占有されるロス(金額には換算しづらいが…)・レンタルセラー利用によるリスク分散効果(ただし自然災害時の破損は補償対象外)・レンタルセラーの金額には破損時の保険も含まれる( 〃 )・機械式セラーの寿命(期間が長くなるとセラーを買い換えねばならないケースも)といった要素も勘案すると、両者の差はかなり縮まりそうな気がする現実に目を向けると、ただでさえ狭小なところに、すでに2台セラーを設置している我が家では、これ以上セラーを追加購入するという選択肢はない。結局のところ、身の丈を越えてワインを買い過ぎたことと、飲んでいるそばから新たに購入し続けて、ストックが一向に減らないことが問題の本質なのだ。「身の丈に合ったコンパクトなワインライフ」、このところ毎回書いている気もするが、2018年もこれが我が家の大きなテーマになりそうだ。
2021年05月07日
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前号では私のグラス遍歴について書いきた。同様の流れで、今回はワインセラーをとりあげようと思う。何度か書いてきたテーマだが、書き出すと話題がつきないので、今号、次号と二回に亘って掲載することとしたい。■セラーのなかった時代私がワインエキスパートの資格を取得したのは1999年のことだが、この時点ではまだワインセラーを保有していなかった。その前年の1998年に結婚、狭い賃貸マンションに二人暮らしの環境だったので、家の中にセラーを置くのに十分なスペースが無かったし、買いたいとも言い出しずらかったのだ。結婚祝いに高価なワインを何本かいただいたのだが、それらを保管するスペースもなく、「セラーがない場合は北向きの押し入れに保管」という(当時言われていた)セオリーも守らず、リビングのテレビ台の引き出しにしまっていた。ところが、当時住んでいたマンションは、狭いくせに日当たりだけは申し分なかった。カミサンも当時まだ働いていたので、夏場のリビングは日中、かなりの高温になった。正直なところ、「ワインは高温に弱い」と分かっていても、少しぐらい大丈夫だろうと嘗めていたところもあった。夏場を過ぎて、何やら風味の怪しくなったお祝いワインたちを開けて悲嘆にくれている私をみて、カミサンがセラーの購入を許可してくれたのは、結婚後1年たってからのことだった。■一台目のセラーを購入そうして最初に購入したセラーがフォルスターのロングフレッシュだった。収容本数は36本。限られた本数だったが、セラーのどの段に何を入れようかとか、どのボトルをどの機会に開けようかなどとあれこれ考えるのが楽しみだった。このロングフレッシュ、結局10年使ったところで知り合いに譲ったのだが、キッチンの脇という悪条件にもかかわらず、一度も不調に陥ることなく稼働しつづけてくれた。コンプレッサーの作動音が少しばかり猛々しいのと、コンプレッサーの作動開始時と停止時に筐体がブルっと震えるのにはやや閉口したが、現行の製品ではその辺は改善されているようだ。そもそも、このセラーで10年保存したボトルたちがいずれも綺麗に熟成していたことを思うと、この程度の振動について、あまり神経質になる必要はないのかもしれないと思ったりもする。子どもたちがガラス扉にシールをベタベタと貼ったりして、最後は見苦しい姿になってしまったが、個人的にはとても愛着のあるセラーだった。※購入したのはこれより古い型でした。【期間限定価格】6月下旬入荷ワインセラーフォルスター ロングフレッシュ ST-SV140G(P) 送料・設置料無料本体カラー:プラチナ 36本STSV140G Forster ワインセラー コンプレッサー式 業務用 家庭用 鍵付き 棚間広め■寺田倉庫の利用を開始ロングフレッシュを購入した当初、セラーの収容本数は36本もあれば十分だろうと考えていたが、すぐにこの考えが甘かったことを思い知らされた。ひとたびセラーのある生活に馴染んでしまうと、セール時や新ビンテージのリリース時についつい「まとめ買い」をしがちになる。いつしかセラーの中身は「不動のラインアップ」(=来客用にしか開けないであろう高価なワインや飲み頃がはるか先のワインをこう呼んでいた)になってしまい、寝室のクローゼットで常温保存しているボトルの数は、セラー購入前よりむしろ増えてしまった。 そんな折、持ち寄りワイン会で友人から聞いたのが、「寺田倉庫」のレンタルセラーだった。倉庫会社のレンタルセラーと聞いて、最初は敷居が高く感じたが、聞けば段ボール単位で入庫できて、保管料も1ケース月600円(当時:現在はサービス形態が異なる)とのこと。出庫料を支払えば、段ボールの中身の出し入れ(閲覧)も可能とのことだったので、まずは自宅の当面飲む予定のないワインたちを預けてみたところ、思いのほか使い勝手がよく、あれよあれよという間に20箱以上に膨れ上がってしまった。■二台目のセラーを購入二台目のワインセラーを購入したのは、計画的というよりは半ば衝動的なものだった。某ショップのセールで、ドメティック社の「サイレントカーブ」の100本収容タイプ(現在はオンリストされていない模様)が20万を切る価格で売り出されているのを知って、後先考えずに購入してしまったのだ。2001年のことだ。もとより自宅にはセラーを2台設置できるようなスペースはなかったので、購入したセラーは実家に置かせてもらうことにした。設置場所も無いのに二台目のセラーを購入してしまうとはなんて無謀な、と言われそうだが、寺田倉庫に預けていた段ボールを半減させることで、毎月の預入代金の削減になる。20万弱のセラー代金は数年で元がとれる計算だった。(実際にはセラーの電気代がかかるのでそう単純な話ではないのだが。)サイレントカーブは、アンモニアを使って冷却するタイプであるため、作動音が静かで、振動もほとんどない。ただ、コンプレッサー式に比べると冷却能力の点でやや劣り、例えば暑い季節にセラー内の整理などで長時間扉を開けておくのは憚られた(現行タイプはこの当時のモデルよりも冷却能力がアップしていると聞いている)。他にも設置棚の数が少なく、セラーの下部に入れてしまうと出すのが大変だったり、効率的にワインを詰め込むのに多少のコツが必要だったりと、ロングフレッシュほどの手軽さや便利さはなかったが、その代わり、実家で長期熟成タイプのワインを数年単位で寝かせておくのには都合がよかった。ちなみにこのセラー、これまで2度の故障に見舞われたが、いずれも春先のことで、最悪の事態にはならずに済んだ。最初の故障は購入後もうすぐ1年というタイミングだった。たまたま実家を訪れた際にセラーを開けてみたら、13度に設定していたはずの温度表示が17度になっていて、設定を変えても温度が下がらなかった。原因はサーモスタットの不良とのことだった。二度目の故障は2011年。東日本大震災のあとに発生した。おそらく地震の揺れが原因だったのだと思われるが、アンモニアが漏れて、部屋中にアンモニア臭が充満して参った。この時は冷却ユニットごと交換となったが、逆にこのタイミングで冷却ユニットを交換したのが良かったのか、その後は故障もなく、購入から15年を経た今も現役で稼働してくれている。※今は100本収容タイプは売られていないようですね。P5★ドメティック サイレントカーブ CS200B2 ワインセラー アブソープションシステム 家庭用 業務用 鍵付き■セラーを追加購入するか、自宅にセラーをつくるかの葛藤セラーを二台保有することになっても、寺田倉庫のレンタルセラーを完全に引き払うところまではいかなかった。セラー2台で合計130本程度の収容能力に対して、保有ワイン数は400本を超えていたからだ。そこで、2007年に新居に引っ越しするにあたり、2畳の納戸を改造して、自宅にセラーを作ろうと考えた。セラー部屋を作るのは長年の夢でもあり、新居購入は千載一遇のチャンスだった。一時はかなり前のめりになって検討したが、悩んだ末、結局断念した。理由のひとつは、新居が思いのほか狭く、収納スペースをまるまるワインのために潰してしまうのが憚られたこと、もうひとつは、購入した中古住宅のリフォームに想像以上の費用がかかり、セラーにまで資金が回らなかったためだ。この時の判断は正しかった。現在、我が家の納戸は足の踏み場がないほど荷物でいっぱいになっている。仮に納戸をセラーに改造していたら、収納スペース不足で家人との間に深刻な軋轢が起きていただろう。セラー部屋を作らなかった代わりとして、実家に置きっぱなしになっていたサイレントカーブを新居に引き取ることにした。こうして新居には、サイレントカーブとロングフレッシュの二台が鎮座することになった。■三台目のセラー引っ越し後3年経ったところで、10年選手となったロングフレッシュを処分して、より大きなセラーに替えた。購入したのは、当時台数限定で売り出されていた、最大170本程度収容の「ユーロカーブ エッセンシャルシリーズ」の特別仕様。ちなみにカミサンがあっさりと許してくれたのは、「ロングフレッシュが(シールなどで)汚くなってみっともないから。」というシンプルかつ明快な理由からだった。ユーロカーブに替えたおかげで、我が家の収容本数は、サイレントカーブと合わせて計算上は最大270本程度まで増えた。購入当初、温度設定が定まらない初期不良に見舞われて「やれやれ」と先が不安になったが、修理後は現在に至るまで安定して12~13度を保ってくれている。使い始めてみると、実にオーソドックスで安定感のあるセラーだと思った。コンプレッサー式だが、音はあまり気にならない。収容本数が多いわりに棚が少ないので、下の方に積んでしまうと「捜索」するのが大変なことと、奥の部分に水がたまりやすいことがやや難点だが、それ以外、特に大きな不満はない。※型番は異なりますが、概ねこんなタイプです。ワイン付★正規品 ユーロカーブ Premiere プルミエEuroCave Premiere-L-T-STD(黒)収納213本 ワインセラーコンプレッサー式 家庭用 業務用 大型機種 鍵付き 棚間広め■東日本大震災の衝撃ユーロカーブの初期不良を修理してもらい、安定稼働し始めたタイミングで起こったのが東日本大震災だった。東日本大震災では、私の住む東京都内は震度5強の揺れに見舞われた。幸い自宅の被害はほとんど無く、セラー内のワインも無事だった。しかし、そのあとの「計画停電」は全く想定外だった。我が国に居住している限り、地震など自然災害のリスクは覚悟していなければならない。自宅の倒壊を免れたとしても、地下深くにセラーを掘ったり、自家発電設備を備えたりしない限り、ひとたび長期間停電に見舞われれば(季節によっては)中のワインたちは全滅しかねない。結局、私の地域で計画停電が実施されることはなかったが、我が国でワインを趣味とすることの根本的な課題を突き付けられた思いだった。とりあえず私は寺田倉庫の天王洲トランクルームに加えて、横浜都築トランクルームのロッカーをあらたに契約し、複数の場所にワインを分散しておくことにした。毎月の預入費用は増えたが、背に腹は代えられなかった。しかし、寺田倉庫にしても、自然災害時のワインの破損等は免責事項となっており、預け入れワインの安全を保障されているものではない。電源喪失リスクに対する明快な解決策は未だに見つかっていない。その後、寺田倉庫のサービス変更に併せて、天王洲トランクルームに預けていた段ボールを解約。現在は横浜都築トランクルームのロッカーと自宅のサイレントカーブ、それにユーロカーブというラインアップに落ち着いている。ただ、サイレントカーブは15年経過しているので、そろそろ退役を視野に入れなければならない時期かもしれない。最近の私の考えは、「結局のところ、身に余る本数を持たないことが一番良いのではないか。」というミニマリズム的発思考に傾いている。横浜都築のロッカーについても、数年のうちには解約して、自宅にセラー1台、プラス(もし必要なら)ペルチェ方式のデイセラーというコンパクトなワインライフにしていきたいと思っている。セラーについては、いろいろと思うところがある。次号では、これまでの経験から得たTIPSや注意点などを私の意見を交えて紹介したい。
2021年05月06日
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つくづくワインというのは不思議な飲み物だ。同じ銘柄でも飲む時期によって開いていたり閉じていたり、供出温度や時間の経過、ボトル差、ボトルの上部下部や気象条件などによって香味が異なるように感じられたり…。そのようなことに翻弄させられ、当惑しているうちに、気がつけば奥深い迷宮にどっぷりとはまりこんでしまう。グラスによる香味の違いもまた、私たち愛好家を幻惑、いや愉しませてくれる大きな要素のひとつといえるだろう。■ワインを楽しむのに最低限必要なものは?今流行りのミニマリスト的視点でワインを楽しもうとしたら、最低限必要なものは何だろうか?まず、ワインオープナー。これがないと始まらないが、ワインの栓を抜ければよいと割り切るのであれば、100円ショップのオープナーでもまずは事足りる。ワインセラーは無いよりはあったほうが絶対によいと思うが、自宅では寝かせないとスッパリ割り切り、その都度近隣のワインショップで買ってくることにすれば、セラーのないワインライフも可能だろう。で、本題のワイングラスだ。こちらも極端な話、単にワインを飲むだけなら、湯飲みがあれば事足りる。実際、山梨では伝統的に一升瓶ワインを湯飲みで飲んできた習慣があると聞く。もっとも、このような事例は例外だろう。ワインは味わいとともに色や香りを楽しむ飲み物だ。ワイングラスに関してだけは、日々のワイン代を多少節約してでもきちんとしたものを用意したほうがよいというのが私の持論だ。きちんとしたものというのは、必ずしも高価なものというわけではない。ワインの香味を楽しむための要素をきちんと抑えたグラスということだ。■ワイングラスに必要な要素 ワインの色調は、ブドウの品種や作られた年代、健全性などを示唆する重要な情報を含んでいる。その意味で、まずワイングラスは無色透明であることが好ましい。形状については、必須条件となるのが、香りを溜められること。すなわち先端部分に向かって(程度の差こそあれ)すぼまった形状であることが何よりのポイントだ。大きさについては、ボウルの部分の容積がある程度大きいほうがよい。それだけグラス内に香りを溜められるし、液面と空気との接触面が増えることで、より香りが立ち、味わいもなめらかになるからだ。といっても、自宅で使うとなると、許容できる大きさには限度があるだろう。また、ただ大きければよいかといえば、構成要素の乏しい安価なワインでは粗ばかり目立ったり、デリケートな古酒では空気に触れすぎて酸化が促進されてしまうということもある。それぞれの環境や日ごろ飲むワインに応じて、可能な範囲で大きめのものを選ぶようにするとよいだろう。 ワインを飲むときにはグラスの脚(ステム)の部分を持つのが正しい作法だといわれている。ボウルの下部を掌で包むように持つと体温が伝わってワインの液温が上がってしまうというのがその理由だが、最近は「リーデルO(オー)シーリーズ」のような脚のないグラスも市民権を得ているので、あまり気にしなくてもよいのかもしれない。細くて長い脚は美しいが、反面、重心が高くなって倒れやすくなったり、洗浄時などにポッキリと折れやすいというリスクもある。グラスの重さはガラスの材質と大きな関連性がある。一般的に、普及品のグラスにはソーダグラスが使われ、より上質なグラスにはクリスタルガラスが使われる。クリスタルガラスの中でも、酸化鉛を含んだ鉛クリスタルガラスは輝きがあって美しく、指で弾いた時の響きもよいが、重量は重くなりがち。一方、鉛を含まないカリグラスは軽く、強度もあって後加工がしやすいと言われている。ワイングラスでいえば、前者ではリーデル、後者ではロブマイヤーが代表的なブランドだ。重さや薄さなどは、香味への影響よりはむしろ飲み手の気分の問題が大きいようにも思われるが、いったん軽くて薄いグラスに慣れてしまうと、逆戻りするのは苦痛に感じられる。なお、グラスの厚さについては、気分的な問題だけでなく、「ワインが口内に流れ込む時に厚みの幅により段差が生まれ、形状がほぼ同じグラスでも、その段差を落ちることによってワインの流れが変わる」という説もある。■リーデルとの出会いとロブマイヤーへの憧れ ワインに凝り始めた当初、「舌には、甘味、酸味、塩味、苦みを感じる味蕾が集中している部位(味覚地図)があって、リーデルのグラスはそれを意識して作られた形状なのだ」というような説明を受けて、なるほどと感心したものだが、今回記事を書くにあたって改めて調べてみると、どうやら「舌の味覚地図」というのは誤りらしい。特定の部位が他の部位に比べてわずかに敏感、ということはあっても、特定の味が特定の部位でしか感じられない、ということはないというのが今では通説のようだ。もっとも、そうだとしてもなお、リーデルの提案するそれぞれの品種の個性にあわせたグラスの形状は、総じて納得感のあるものだし、多くの愛好家に受け入れられている。私も「オーバーチュア・ボルドー」シリーズに始まり、ハンドメイドの「ソムリエ・ブルゴーニュ」に至るまで、過去に購入したリーデルのグラスは数知れない。特に、「ヴィノム・ボルドー」と「ヴィノム・ブルゴーニュ」、「ヴィノム・キャンティクラシコ」は、さまざまなグラス遍歴を経た今でも、私の中ではリファレンス的なポジションのグラスである。リーデル ヴィノム シリーズ ボルドー/ブルゴーニュ グラス 2脚セット【正規品】 6416-0-07もうひとつ、愛好家の間でカリスマ的人気を誇るブランドが「ロブマイヤー」だ。カリクリスタル製でとにかく軽く薄く、それでいてどこまでも優美な形状が飲み手を魅了する。ブルゴーニュ用の「バレリーナIII」、シャンパーニュ用の「バレリーナ・チューリップ」などは特に愛用者の多い逸品だ。都内であれば、某百貨店試飲コーナーで使われているグラス(バレリーナV)といえばわかるかもしれない。私も初めてロブマイヤーを使ったときには、サイズから想像できないような軽さと飲み口の薄さに驚かされたものだ。ネックは正規品で1脚2万円近い価格だろう。ロブマイヤー・バレリーナ ワイングラスIII 【正規品】GL27603ロブマイヤー バレリーナ 1276203 ワイングラス5 18cm 280cc 赤ワイン ギフト 食器 ブランド 結婚祝い 内祝い■グラスの検証かれこれ6年前の話だが、10種類のワイングラスを一同に集めて白ワインの試飲をする会に参加させてもらったことがある。これが実に「目からウロコ」の試飲で、同じ銘柄を飲んでいるのにもかかわらず、ブラインドで出されたら絶対に別銘柄だと答えるだろうな、というぐらい香味の違いを感じるグラスもあった。以下、気づいたことをいくつか挙げると、*グラスは大きければ大きいほどよいというものでもなく、それぞれの銘柄の特性に応じたボウルの容量というものがあると改めて実感した。*ボウルの重心というか、直径が一番大きい部分がどのあたりにくるかによって、かなり香味の印象が異なってくるようだった。*下が角ばっていて、上に向かって垂直に伸びていくタイプのグラス(意味が通じるだろうか?)は、丸っこいグラスとは香味の出方が特に異なっていた。白ワインの場合、よくいえば、穏やかで上品、悪く言うと酸がのっぺりとなるような印象だった。*重さやステム(脚)の太さで香味が変わることは本来ありえないが、実際持ち比べてみると、このような要素も大いに先入観となって影響を及ぼすと感じた。■現在のラインナップその後、シャンパーニュの「レーマン(ラ・マルヌ)」、オーストリアの「ザルト」、それに「木村硝子店CAVA(サヴァ)」などが私のお気に入りに加わり、現在は、これらをTPOに応じて使い分けている。*シャンパーニュ用左から、ロブマイヤー・バレリーナ・シャンパンチューリップA、ロブマイヤー・バレリーナ・シャンパンチューリップB、レーマン・フィリップ・ジャムス・シャンパーニュグラス。滅多にないことだが、自宅でプレステージ・シャンパーニュを開けるときには、白ワイン用のグラス(主にラ・マルヌ)を用いている。また、ロブマイヤーのチューリップBは、ブランデーを飲むときにも重宝している。ロブマイヤー バレリーナ 1276112 シャンパンチューリップ A 24cm 300cc グラス シャンパングラス ギフト 食器 ブランド 結婚祝い 内祝い【ポイント5倍設定中!】ロブマイヤー バレリーナ チューリップ トールB 200cc オーストリア ワインとともに至高の芸術 世界最高峰 一生モノ デザイン賞 プリマドンナ マーゴフォンティーン ティップトゥ 手作業 アートシャンパングラス レーマン グラン・シャンパーニュ 1脚 ギフトBOX無し*白ワイン、赤ワイン兼用左は木村硝子店のCAVA(サヴァ)22オンス、右はレーマン(ラ・マルヌ)フィリップ・ジャムス・グランブラン。どちらもカリクリスタルで軽く、値段も5000円前後と穏当だ。CAVA22オンスはボルドータイプとブルゴーニュタイプを足して二で割ったような形状。レーマン(ラ・マルヌ)の名称はブランとなっているが、ボウルの直径が大きく比較的浅めの形状は、若いブルゴーニュの赤ワインにも適している。木村硝子店 Cavaサヴァ 22ozワイン赤・白兼用 ワイングラス レーマン グラン・ブラン 1脚 ギフトBOX無し*主にブルゴーニュ用写真左は木村硝子店CAVA(サヴァ)29オンス。右はZALTO(ザルト)のブルゴーニュ。どちらもかなりの大きさだが、カリクリスタル製で、見た目よりもずっと軽い。木村硝子29オンスは、約910ccと大容量ながら、脚が短いため、日常の食卓でもさほどかさばらないのがいい。一方で、ボウルが深く、すぼまり方が急で開口部が狭いせいか、香りがやや篭って滞留しがちな印象を受ける。香味を楽しむという意味では、ZALTOがもっとも私好みに合致する。しかし、いかんせんその大きさと底面積の広い形状ゆえ、食卓で邪魔もの扱いされやすい。一回に注ぐ量が多くなりがちで、結果的に酒量が増えてしまうという悩ましさもある。そんなわけで、我が家でブルゴーニュを飲む際には、若いワインはラ・マルヌ、バックビンテージは木村硝子、グランヴァンはZALTOというざっくりした役割分担がいつしかできあがっている。木村硝子店 ワイングラス サヴァ【Cava 29oz ワイン】910ml 大量注文承ります カリクリスタル 【取り寄せ商品】【入荷次第】【送料無料】_Zalto ザルト ブルゴーニュ ハンドメイド ワイングラス 専用ボックス入り【RCP】【ワイングラス/カトラリー】【バー/カクテル】 北海道/沖縄/離島 追加送料あり*主にボルドー系用ボルドーブレンドやサンジョベーゼなどを飲むときに使っているのは、ロブマイヤー・バレリーナIV(左)、それにZALTO(ザルト)ユニバーサル(写真右)、それに写真はないが、定番のリーデル・ヴィノム・ボルドーだ。ロブマイヤーIVはややボウルの大きさこそ小ぶりだが、ほとんどの場合、このグラスでこと足りる。もう少しなみなみと注いでたっぷり空気に触れさせたいと思ったときにはリーデルの出番となる。ザルト・ユニバーサルはリースリングやソーヴィニヨンブランなどの白ワインを飲むときにも使うことがあるが、前述のとおり、これで飲むとかなり香味が違って感じられるのが面白い。ロブマイヤー・バレリーナ ワイングラスIV【正規品】GL27604【GWもあす楽】ザルト Zalto ワイングラス ハンドメイド ユニバーサル 11 301 Zalto DENK'ART Universal Clear おしゃれ プレゼント ギフト 贈り物 あす楽■あればいいなと思うものとりとめのないコラムになってしまったが、最後にもうひとつだけとりとめのないことを。ワイングラスを持ち運ぶ機会は滅多にないと思いがちだが、持ち込みワイン会や、ホームパーティ、家族旅行など、意外にグラスの運搬ニーズはある。現在はリーデル2脚用の化粧箱を抱えて出かけているが、これが結構かさばる。「ロブマイヤー・トラベラー」のようなキャリングキットがあれば言うことがないが、高価でおいそれとは手がでない。「木村硝子CAVA22オンス」や「リーデル・ヴィノム・キャンティクラシコ」などを気軽に持ち運べるような、安価で小ぶりなキャリングケースがないかと探している今日この頃である。【正規品】 ロブマイヤー バレリーナ トラベラー II バーガンディ 【smtb-F】 送料無料追記:最近は、取り回しのしやすさなどから、なんだかんだでリーデルのボルドーとブルゴーニュを使う機会が増えています。
2021年05月05日
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世の中はGW真っ只中ですが、コロナ禍で行楽という雰囲気ではありません。私はといえば、4月に入ってからの体調不良が尾を引いていて、ワインに手が伸びません。そんなわけでGW中唯一のボトルになるかもしれないと思いつつ開けたのは、13年熟成のセインツベリー。ブラウンランチ等でなく、スタンダードグレードです。物珍しさに加えて懐かしさもあって購入してみました。ブルゴーニュでいえばマイナーな村名クラスか上位の地域名AOCぐらいのポジションでしょうか。外したとしても、まあそれほど大きな精神的ダメージは喰らわないレンジの価格帯でした。グラスに注ぐと、かなり熟成の入った、それでいてアルコール度の高さを想起させる、ドロリとした色調です。濃厚なガーネットで全般に(オレンジではなく)レンガ色がかっており、透明感や艶やかさがありません。色合いを見た時点でこれはヤバイかなと思いました。香りはといえば、かなり深煎りのロースト香のアタック。このローストって何なんでしょう?樽なんですかね?いや、さすがに13年経っているので、熟成に由来する類いのものでしょうか。ちなみにロースト風味はすぐに消えて、そのあとはスワリングしても、ほとんど香りが立ちませんでした。飲んでみると、明らかに飲み頃を過ぎている印象の味わいです。果実味がドライアウトしていて液体に生気がなく、その一方で酸は結構強く、なによりタンニンが豊富に残っているので、バランスがよくありません。一方でアルコール度14.5度とボリューム感はあって甘く外向的な側面もあります。ブルゴーニュのバックVTではあまり見られないタイプの味わいです。。なるほど、十数年経過したセインツベリーはこうなるのか、と残念な方向で予想があたってしまったような味わいですが、それなりに飲みやすい面もあって、結局初日にボトル半分弱開けてしまいました。「残念な味わいなのに杯が進む」という珍しいボトルでした。以前、80年代のカレラを飲んだときも同じような印象を抱いたことがありましたが、カレラはVTによっては、素晴らしい熟成を遂げていたものもあったので、カリピノの熟成については、よくわかりません。あらためてワインの熟成って難しいなあと思いました。いや、もっとシンプルに、果物屋で青くてまだ固いフルーツを買うか、よく熟してやわらなくなったフルーツを買うか、そしてそれを冷蔵庫で一定期間保存しておいたらどうなるのかの違いのようなものなのかもしれません。まれにこちらの予想を大きく超えた銘柄やビンテージがあったりするので、話がややこしくなるのですが。笑★★☆
2021年05月04日
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これは比較的近年の記事です。今、読み返してみると、ちょっと内容がネガティブにフレすぎていますね。今さらながら、ワイン雑誌に書くような内容ではなかったですね。今はもっと気楽に、肩の力を抜いて楽しめればそれでいいと思っています。*******************「生きがい」という言葉を最近よく目にしたり耳にしたりします。本格的な高齢化社会が到来して、60歳もしくは65歳で多くの勤め人は定年となりますが、日本人の平均寿命が80年を越える今、そこから数十年間の人生をどう生きていくか。経済的な課題とともに、精神面の課題、すなわち、それまで仕事に子育てにと邁進してきた人たちが、引退後に何を生き甲斐にしていくのかということがクローズアップされているわけです。多くのコラムやエッセイで、「心の支えとなるような趣味を持つこと」が推奨されています。ああ、そういうことなら、と読者の多くの方は思うでしょう。「自分にはワインという趣味があるから、その心配は無用だ。」と。私も長らくそう思っていました。しかし、最近「ワインは、老後の心の支えとなる趣味にはなりえないのではないか」と、半ば自虐的に考えるようになりました。今回はそう思い至るようになった理由をつらつらと書きたいと思います。*これまでのワインとのつながり30代前半あたりからワインに凝り始め、多くの時間とカネと労力を注ぎ込んできました。当時は仕事のプッシャーがキツく、残業も今とは比べ物にならないほどこなしていましたが、余暇の時間にひたすらワインにのめり込むことで、結果的にオンオフを上手く切り替えられました。その後、体系的にワインを学びたいという知識欲が芽生え、ワインスクールに通い始めたのが98年のことです。ワインエキスパートの資格を取得したのが99年。ワインサイトを始めたのが2000年の初頭。ワインサイトのつながりを通じて毎週末ワイン会に参加するようになりました。当誌のテイスティングに参加しはじめたのもこの頃でした。思い返せば、98~2001年ぐらいまでがワインに対してもっとも貪欲で前のめりだった時期でした。その後、2002年に上の子、03年に下の子が生まれてからというもの、ワイン会やテイスティングなどへの参加頻度は激減し、子育てや家庭生活とワインをどう両立させるかが大きなテーマになりました。一方で、子どもの生まれ年のワインを収集したり、記念日に少し贅沢なワインを開けたりと、それまでとは異なった愉しみも生まれました。40代前半は職場環境に恵まれず、ストレスから鬱状態になりかけたこともありました。そんな時に、最終的に私の心の均衡を保ってくれたのはワインという趣味でした。この点、あらためてワインと出会えて本当に良かったと思います。その一方で、酒量が増え始めたのもこの頃からでした。そもそもワインに凝り出したころの私はボトル半分も飲めませんでした。それがだんだんと酒量が増え、40代半ば以降は晩酌でボトル一本開けることも珍しくなくなりました。純粋にワインを愉しむということ以上に、気づけば日常のストレスから逃れるための手段としてワインを毎晩飲むようになっていたという側面は否定できません。*健康面の問題→健康酒といっても所詮は…?そんなわけで、多分に自業自得的な側面もあるのですが、ワインを引退後の趣味の柱に据えることを躊躇うようになった最大の理由は「健康問題」です。「酒は百薬の長」とも言われますが、同時に「命を削るカンナ」であるとも言われます。γ-GTPや血糖値、コレステロールその他の健康指標、あるいは持病との兼ね合い。いかにしてこうした問題と折り合いをつけていくか。私の場合、先に挙げた血液指標以外に経過観察を続けなければならない懸案事項があって、それが心に重くのしかかっています。経過次第では、想像以上に早いタイミングで、ワインライフに終止符を打たねばならなくなる可能性もあります。 そもそも「フレンチパラドックス」という言葉に代表されるように、ワインは健康によい酒ではなかったのか?いやいや、それはあくまで「適量を守る限り」であって、では適量とはどの程度かといえば、おおむね「グラス2杯程度」、ボトルでいえば三分の一ぐらいまでというところだそうです。残念ながら、当誌の読者でこの量を守れる方はあまり多くないのではないでしょうか。私も前述のとおり、晩酌では最低でもボトル半分、ワイン会になれば、ボトル1本分ぐらいは開けてしまいます。つまみには脂っこい料理や食品を摂取しがちだし、ワイン会などでコース料理を頼むとそれだけで一日分以上のカロリーを消費します。それらのツケが回ってきたのかなと思っています。結局のところ、この先ワインを趣味の柱に据えようとすれば、まさに「命を削るカンナ」であることを実感しながら飲みつづけるか、あるいは「一日グラス二杯+定期的な休肝日取得」という(今の私にとっては)ひどく禁欲的な飲み方をしなければならないということになります。さらに健康が悪化して、ワインを飲めない体になってしまったらどうでしょうか。仕事や子育てに追われている今のうちはまだよいけれども、それらが一段落したときに、果たしてポッカリと空いた心の穴を埋めてくれるものがあるのでしょうか。これが最近、自分がワイン以外の趣味に比重を移そうとしている大きな理由です。*経済的な問題→どこまでもカネがかかる?健康との向き合いを抜きにしても、ワインという趣味は、いろいろな面で老後の趣味の柱に据えるにはふさわしくないのでないかと思いはじめています。 まず、向き合わなければならないのは経済的な問題です。我が家は家族四人。妻は専業主婦で、子ども二人はまだ学生、住宅ローンの残債を抱えるニッポンの典型的なサラリーマン家庭です。子育てについての手間はあまりかからなくなった一方で、教育費の負担が重くなって、今やワインにかけられる費用は独身や共働き時代の数分の一程度になってしまいました。また、50歳を越えて、勤め人としての終着点もおぼろげに見えてきました。一線を退いた後は、収入も大幅に減って、高騰した著名生産者のワインを揃えるような経済的な余力はもはやなさそうです。 もっとも、経済的な事情については、個々の置かれた状況があまりに違いすぎるので、十把一絡げに扱うのは難しいかもしれません。自由業や自営業の方の場合は定年など関係ないでしょうし、資産家だったりDINKSだったり独身だったりで、ワインに潤沢に資金を投下できる方もいることでしょう(そもそもワイン愛好家というのはそういう方が多いように見受けます)。また、この問題は、私が主に「ブルゴーニュ中心の」ワインライフを続けていることによるもので、たとえば「旨安ワイン」探しに集中するとか、発展著しい国産ワインに宗旨替えする、というように、今と違った形でワインとの関わりを持ち続けるということは可能でしょう。*収集の問題→将来家族の負担になりかねない?コレクターの方々から見れば大した本数ではありませんが、我が家には飲み頃でないボトルやワイン会持参用のボトルなど、自宅のセラーとレンタルセラーとあわせておよそ400本のワインがあります。ところが最近は、生来の貧乏性が災いして、セラーのボトルを自宅で日常的に消費するのが惜しくなってきました。といって、ワイン会への参加頻度も減っている今、セラーのワインを消費する機会はますます限られています。一方で、日常消費用のワインは常に枯渇気味なので、結果としてセラー内のボトルに触れることなく、デイリーワインだけを常に買い足し続けるという、なんとも本末転倒な構図になっています。今はともかく、将来収入が減ってもこんな形で寺田のレンタルセラー代を払い続けていくのはさすがにナンセンスな気がします。そもそも、私がポックリと逝ってしまったらどうなるのでしょうか。カミサンはワインのことなど何もわからないし、子どもはまだ10代です。セラーのストックは、きっとどこかの買取屋に安く買いたたかれて処分されるのがオチでしょう。(いずれこのような形で、国内でも「元」愛好家が収集したバックビンテージのストックが出回ると予言しておきます。)そう思うと、手持ちのワインに関しては、あまり躊躇せずにさっさと開けるなり処分するなりして、身軽になった方が、家族に余計な負担や心配をかけずにすみそうです。以前はセラーのワインの心配といえば、地震などの災害や停電への対策ばかり考えていましたが、最近はそんなことを考えるようになりました。*交友関係の問題→交流の輪はもはや広がらない?これまでワイン会やブログなどを通じて、職場の同僚や学生時代の友人とは違った、多くの方々と交流をもつことができました。しかし、最近はみな多忙だったり、健康を害したり、音信不通になってしまったりで、築いてきた交友関係は停滞気味です。十数年続けているホームページにしても、コメント欄などから想像するに、読者は初期のころとはガラリと変わってしまったようです。 私自身、年とともに保守的になってきたのか、知らない方ばかりのワイン会に参加することは正直億劫に感じますし、貴重なワインや高価なワイン飲みたさに、生活レベルの違う方々と無理してご一緒しても楽しいと思えなくなってきました。ネット上でも、(他の方のブログやHPは定期的に巡回しているものの)コメントを残したりコミュニティに参加するといったことはめったにしなくなりました。 そう考えると、私の場合、老後のワインを通じた交友関係は、過去に知り合った親密な友人たちと同窓会的に会う程度に留まるような気がします。それすらお互いワインを飲み続けられる健康体であることが前提となる話です。*ワインを学ぶモチベーションの問題 →老後も研鑽を積む意味はあるのか?ワインに対して求道的な姿勢を貫き、日々研鑽を積んでいる方々を揶揄する気は毛頭ありません。私自身も99年にワインエキスパート、07年にシニアワインエキスパートを取得するなど、それなりに体系的に学んできたという自負はあります。テイスティングの勉強会などにも足繁く通いました。しかし、業界人でもなく、将来的にもプロをめざしているわけでもない私が、この先、ワインについての研鑽を積み続ける必要があるかといえば、その理由を見いだせなくなっています。ワインについて学んだり知識を深めることに何となくしらけてしまった、というところでしょうか。よく「ワインの上級者」とか「中級者」という言葉を見かけますが、本質的に人を酩酊させるためのアルコール飲料であるワインに上級・中級・初級といった区分けが必要なのだろうか、品種や醸造、コンディションなどに関する基礎知識は無いよりはあったほうがよいけれども、あとは飲み手と対象との向き合いだけで十分なのではないのだろうか。自宅でひとりで杯を傾けることが多くなったせいか、最近はそんな醒めた見方をするようになりました。*では老後にふさわしい趣味は?私自身は、そこそこ多趣味な方だと思います。ワイン以外では、クラシック音楽鑑賞、アクアリウム(熱帯魚、金魚)などを長年続けていますし、最近おざなりになっていますが、写真や絵画鑑賞に凝っていた時期もありました。学生時代はスキー、独身時代は海外旅行に入れ込んでいましたた。ただ、いずれも今となっては「暇つぶし」にはなっても、「打ち込む」というほどのものではありません。 以下は、とある趣味のサイトで検索した「中高年者向けのおすすめの趣味」です。登山、ウォーキング、読書、刺繍、ボウリング、チェス、ゴルフ、家庭菜園、デッサン、歴史(史学)、将棋、囲碁、盆栽、書道、油絵、ガーデニング、お菓子作り、活花、ゲートボール、バイク、写真、サイクリング、神社仏閣めぐり、登山、温泉めぐり、パソコン、武道、映画鑑賞、語学、エクササイズ、ヨガ、水泳、ダイビング、DIY、楽器、ボランティア、旅行、釣り、料理、コーヒー、紅茶、食べ歩き、パン作り、漬物つくり、ハーブ栽培、手打ちソバ、バーめぐり…私の実家の母親は長い事「書道」をやっていて、香典袋などを母に代筆してもらうことがあります。これなどは実益をかねた良い趣味だと思います。私の上司は「家庭菜園」に凝っているそうです。私自身も、アクアリウムやガーデニングを通じて、経験的に土や水をいじることはよいストレス解消になることを実感しています。ボケ防止を兼ねてあらためて「語学」に打ち込むのもいいかもしれません。「料理」を趣味にして、自ら健康食を極めるというのもありでしょう。考え出すといろいろと面白そうだったり、奥の深そうな趣味の候補はありますが、とはいえ、老後の趣味というのは、カタログギフトの商品をチョイスするようにあれにしようこれにしようと選んで決める類のものでもない気がします。それに、自分の中で、今まで積み重ねてきたワインにとって代わるポジションを得るには相応の年月や経験も必要でしょう。やはり私のように骨の髄までワインに浸かってしまった愛好家は、いきなりワインを切り捨てるのでなく、ワインを軸に趣味の幅を広げていくというのというのが現実的で自然な姿なのかもしれません。たとえば、以下のようなことならあまり抵抗なく始められそうです。・旅行とのコラボ今年の夏は家族で長野や飛騨高山をクルマで観光しましたが、せっかくなら小布施ワイナリーなどを見学すればよかったなと悔やんでいます。発展著しい国内の生産者を見学して回りながら、近隣の名所旧跡などを観光をするのは、家族サービスとも両立する良いアイデアかもしれません。ただ、クルマだと試飲できなくなるのが問題ですね。・ガーデニングとのコラボ我が家でも中央葡萄酒のワインを買ったときにオマケでいただいた穂木が、玄関のプランターで毎年葉を茂らせています。場所などの問題はありますが、自宅でもっと本格的にブドウ栽培をしたり、日ごろ香りの表現に使うハーブや草花を実際に栽培してみる、なんていうのも面白いかもしれません。・文筆活動とのコラボ長年ホームページやブログを続けてきましたが、最近は多忙にかまけて、飲んだワインの記録をやっつけでアップするだけになっています。おまけに酔っぱらって書くので、文章や「てにをは」が目茶目茶です。時間的な余裕ができれば、ワイン関連情報を軸に情報発信のバリエーションを広げたり、ホームページのクオリティを上げることもできそうです。・語学学習とのコラボかれこれ10年以上欧州には行っていませんが、いつの日かドメーヌやシャトーめぐりをする時のために、フランス語や英語を一から勉強する、というのもありでしょう。海外に行く機会がなかったとしても、「クールジャパン」が喧伝される昨今、外国人観光客のためのボランディアなどに役立つかもしれません。・教育・啓蒙活動とのコラボややおこがましいのですが、たとえばボランティアやちょっとしたカルチャースクールの場などで、ワインのことを全く知らない人たち(愛好家ではなく)にワインの魅力を教えるぐらいなら、少し背伸びをすれば私にもできそうです。もちろんそのためには、自分があらためて学びなおさねばならなくなりますが、それが前に書いた「知識欲の問題・モチベーションの問題」への回答にもなるのではないかという気もします。今回のコラムはなんともとりとめのない内容になってしまいました。結局のところどうなのよ、と言われると何のオチもないのですが、とりあえず、今のうちから、少しずつ視野を広げていろいろとトライしてみようと思います。駄文におつきあいいただき、ありがとうございました。
2021年05月04日
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20年以上前のことになりますが、クルマのマーケティングリサーチにかかわっていたことがあります。「因子分析」だの「クラスター分析」だのといったなにやら小難しい分析手法も教わりましたが、そんな中で面白いと思った分析手法のひとつに、「コーホート(コウホート)分析」というものがありました。「コーホート」とは、「出生をほぼ同時期にする人間の集団」のことで、消費者の行動やニーズを「時代効果」、「年齢効果」、「コーホート(世代)効果」の三つに分解してとらえ、潜在ニーズの発見や将来の需要予測に結び付けようというものです。実際の分析方法は時系列データに基づいた定量的なものとなりますが、ここではその考え方についてのみ、簡単に触れたいと思います。・ 「時代効果」というのは、高度成長期、バブル期、といった各年代における社会環境から発生する要因を指します。好景気であれば金回りがよくなってワインの消費は増えますし、リーマンショック後のような不況時であれば、消費マインドは冷え込みます。ワインに関しては、景気の良しあしと連動しますが、後述する「ワインブーム」のファクターが大きいと思われます。さらに細かくみていくと、為替レートの変動やビンテージによる作柄の吉凶なども広義の時代効果ということになるかもしれませんね。・ 「年齢効果」というのは、人間の成長過程や加齢に伴って発生する要因のことで、いわゆる「ライフステージ」に伴うものです。たとえば独身の間は概して懐に余裕があり、外でワインを飲む機会も多く、高額なワインなども購入しますが、結婚して子どもが出来ると、子育てで時間的な余裕もなくなり、教育費などの家計負担が重くのしかかって、ワイン会などの派手な出費を控えたり、購入するワインもデイリーランクのものが中心になったりします。そして子どもが独立して住宅ローンが終わるころには再び家計にゆとりが出てきますが、今度は健康との兼ね合いが懸念材料になったりします。ワインを趣味とするにはそれなりの可処分所得が要求されることや、なんのかんの言ってもアルコール飲料であり「酒の味」を覚えるのには多少年数がかかるということもあるのでしょうか、私の周囲の愛好家がワインにはまりだした年齢は、20代よりは、30代以降の方が多いようです。・ コーホート(世代)効果というのは、戦後世代、団塊世代、すきま世代、団塊ジュニアというように、同じ時期に生まれ、同じ社会環境を共有して育ってきた人間集団から発生する要因を指します。たとえば「団塊の世代」とは、第一次ベビームームが起きた1947年〜49年生まれで、高度成長期やバブル期を支えてきた世代です。その子どもたちの世代である「団塊ジュニア」については、(いくつかの定義がありますが)概ね1971年〜74年生まれの第二次ベビーブームのことを指し、現在、40代前半〜中盤にさしかかっています。マーケティングの世界で「団塊の世代」や「団塊ジュニア」がよくとりあげられるのは、その人口ボリュームが大きいことに加えて、たとえば団塊世代では、「概して自分へのこだわりが強い人が多く、同世代間での競争意識が激しい」といった風に、世代としての特徴が語られやすいということもあります。ちなみに私は1963年生まれですが、「大学在学中に学生運動が終わった世代から、バブル景気が起こる前に成人した世代まで」ということで、「しらけ世代」などと呼ばれたりしているようです。ワインの世代効果についてはわかりませんが、たとえばビールについては「若者のビール離れ」という言い方もあるように、コーホート分析にかけると、団塊ジュニア以降の世代で飲用率が低下しているといった結果も出ているようです。 さて、もう少し突っ込んでワインの「時代効果」的な要因を見ていきたいと思います。過去、我が国には何度かのワインブームがありました。テーブルワインの消費に動きが出てきたのは東京オリンピック(1964年)頃からだと言われています。第1回目のワイン・ブームは昭和45年(1970年)の大阪万国博覧会を契機とした高度経済成長期の頃、日本人の食生活の洋風化により、ワインの消費が増大しました。以降、日本でのワイン消費は、千円ワイン・ブーム(1978年)、一升瓶ワイン・ブーム(1981年)、ボージョレ・ヌーヴォー・ブーム(1987年)、赤ワイン・ブーム(1997年)など、何回かのワイン・ブームによる急激な伸びとその後の足踏みを繰り返しながら、少しずつ階段を上がるように伸びています。 2000年代に入ってからは、ナチュラルワインや国産ワイン、シャンパーニュなど、爆発的でこそないものの、一過性に留まらない息の長いムーブメントが続いて今に至っているといってよいでしょう。当誌が創刊されたのが2002年、インターネットでブログが普及し始めたのも2002年代ぐらいから、「神の雫」の連載開始が2004年、ネットショップが広く普及したのもこの時期(ちなみに楽天市場の開設は97年、13店舗からのスタートだったそうです)ということで、とにかく97年のワインブーム以降、インターネットの普及と相まって、ワインに関する情報量が圧倒的に増えたことが近年の大きな特徴といえます。上記のようなブームの時期に、どの位の年齢でどのような生活を送っていたかが、ワインと出会いやその後のワインとの関わり方についてのポイントになっているのではないでしょうか。そう思って、あらためて「団塊の世代」や「団塊ジュニア」の人たちが、近年のブームの時に何歳だったかを表にしてみました。 ボジョレーヌーヴォーがブームだった頃、団塊の世代は30代後半から40歳と、まさに「ワインにはまる」のに適した年代でした。実際にこのブームは団塊の世代が大きく寄与したのかもしれません。この時点でボルドーやブルゴーニュに嵌っていた愛好家の方々を私は心から羨ましく思います。というのも、当時はボルドー1級シャトーやDRCなども今では信じられないような価格で購入できたし、このあとには90年という歴史的なビンテージが控えていたわけですから。 もっとも、このブームをきっかけに本格的にワイン愛好家になったという人は、ボリューム的にはあまり多くないのではないでしょうか。当時の私は大学を卒業したてで、ワインが身近になりこそしましたが、深くのめりこむとろまではいきませんでした。20代前半ということで、「酒の味」そのものにまだ開眼していなかったことに加えて、「地方勤務でクルマ通勤だった」というのも大きな理由です。仮に興味を持ったとしても、情報が乏しくて、そこから先には進みずらかったと思います。当時はまだネットもなく、本屋に行ってもワインの専門書籍は今ほど豊富ではありませんでした。たとえばブルゴーニュにおける「ドメーヌ×畑×ビンテージ」の複雑なマトリクスを理解するためのハードルは今よりずっと高かったはずだし、我々が日ごろ接しているブログやSNSなどの身近な情報や口コミ情報等も簡単には得られなかったでしょう。(そういう意味でも、私はこのころからの愛好家の方はスゴイと思います。) 団塊ジュニアの世代に至っては、この当時は未成年です。しかし、親の世代がブームによって自宅でワインを飲む機会が増えたのであれば、その姿を目にして育った彼らにポジティブな影響を与えた可能性は大いにあります。ちなみに私の実家では、両親はワインにまったく興味がなく、自宅でワインが開けられる姿を目にした事は一度もありませんでした。両親がワインを多少でも嗜んでいたなら、私ももっと早くワインに目を向けていたかもしれません。私の嗜好がワイン中心になったのは、90年代の半ばにさしかかってからです。この頃の私は、比較的柔軟に休暇を取得できたこともあって、すっかり海外旅行フリークと化していました。欧州にもよく出かけていて、イタリアやフランス、スペインなど、現地でワインを飲むうちに、自然とワインが身近なものになりました。そんなところに、たまたま自宅の食器棚の奥に6年放置してあった豪州のシャルドネを開けてみたら、トロトロに熟成して想像を絶するような香味になっていたことで、瞬く間にこの不思議な飲み物の虜になった、という話は当誌の創刊号のコラムにも書きました。海外旅行というきっかけこそありましたが、私自身が30代になって、経済的な余裕が多少出てきてワインを趣味として愉しむ土台が出来たというのも大きな要因と思います。そのあと、件の赤ワインブームがやってきました。ワインの健康効果(ワインに含まれるポリフェノールが動脈硬化や心疾患などを予防するというもの)がテレビの健康特集で大きく取り上げられ、時を同じくして、田崎真也氏がソムリエ世界大会で優勝、赤ワインが一躍ブームとなりました。安価なチリワインが数多くスーパーなどで出回るようになったのもこの頃からだと記憶しています。さまざまなメディアでワインに関する特集が組まれ、ワインを扱った書籍が数多く出版されました。この時期にワインに本格的に嵌った、という愛好家は多いと思います。かくいう私もこのブームがなかったら、今に至るまでこのようにワインにはまりこんではいなかったかもしれません。なんといっても、世の中の情報量が増えて、ワインに関する知識を得やすくなったことが、愛好家を増やした大きなファクターだったと思います。一方で、ワインの価格がいきなり高騰したのもこの時期でした。近隣のワインショップで、それまで1万円台前半だったCh.ラトゥール78が、ある日を境に突然値札が3万円台になっていたのを今でもよく覚えています。このブームの頃、団塊の世代はといえば、40代後半から50歳にさしかかるころでした。給与所得者でいえば、中間管理職となって会社を支えている立場だったことでしょう。仕事も多忙で、子どもの教育費とか、家のローンなどで、可処分所得の面ではあまり潤沢な時期ではかなったかもしれません。バブル崩壊の痛手を蒙った方もいたでしょう。外飲みで高価なワインをというよりは、自宅でチリのワインなどを開ける機会が増えたのではないでしょうか。団塊ジュニアは、この時期はまだ20代前半ということで、ワインに本格的にはまるにはやや時期尚早だったかもしれません。世代で言えば、当時30代から40代にさしかかるころだった私たちの世代がまさにブームの牽引役になっていたように思います。さて、2000年代に入ると、前述のとおりインターネットの普及もあって、ワインに関する情報量はさらに圧倒的に増えました。当誌の創刊は2002年、「神の雫」の連載が始まったのが2004年。ネットショップも普及し、またこの10年間でワインの流通環境も非常によくなって、コンディションのよいワインを手軽に入手できるようになりました。90年代にワインにはまった愛好家たちにとっては、いろいろな意味でよい時代となりました。ブルゴーニュやボルドーなどの一部銘柄が手に届かない価格になってしまった一方で、30歳を越えた団塊ジュニアを中心とした層にアピールしたのか、比較的安価に楽しむことのできるナチュラルワインや国産ワインといった新たなムーブメントが起きました。一方で「団塊の世代」の愛好家は50代となって、そろそろ健康との兼ね合いを真剣に考えなければいけない時期にさしかかってきた頃合いです。我が家では、2002年に上の子、03年に下の子が生まれ、それ以降、私のワインライフは子育てとの両立が最大のテーマになり、ワインにかける費用も漸減していきました。 さて、2015年の今はどうでしょうか。団塊世代は60代後半。この世代の愛好家は、健康との兼ね合いがますます重要になって来ていることでしょう。新たなビンテージを買って寝かせるよりも、これまで収集した貴重なワインたちを、自宅で抑えめに消費してゆくようなスタイルでしょうか。その子供たち、すなわち「団塊ジュニア」世代の人たちは、40台前半となり、まさにワインシーンを支える年代となっています。国産ワインやナチュラルワインなどが息の長いムーブメントとなっている背景には、これらの世代の人たちの支持を得ていることも大きいのではと思います。彼らにとっては、ワインというのは決して「舶来のなにやら気取ったもの」ではなく、より生活に根付いた身近な飲み物であるはずだし、40代前半の彼らには、この先10年ぐらいの間はあまりペースを落とすことなくワインを飲み続ける余力があるでしょう。アベノミクスによって(私自身は懐が豊かになっているという実感はどうも伴わないのですが)日経平均はITバブル以降初めて2万円を超えました。そう考えると、当面、我が国のワイン消費は比較的堅調に推移するのではないかという期待が持てます。とはいえ、中期的に見れば決して安心することはできません。そもそも少子化が進んでいるところに加えて、若者のアルコール離れが取りざたされる昨今、20代の若者や、あるいはこれから成人する年代が、ワインと出会い、さらにそこからワインにのめりこんでいきたくなるようなきっかけがあまり無いように思います。かつては少し背伸びをしたり、仲間内で割り勘にすれば飲むことができたボルドー1級シャトーやDRC、ドメーヌ・ルロワ、それにヴォギュエやアルマン・ルソーなども今や完全に彼岸のプライスになってしまいました。新興国を中心に世界規模でワインの需要が増えている昨今、この流れが元に戻ることは考えずらく、むしろこれからも「手の届かない作り手や銘柄」は増えていくことでしょう。ワインの裾野が広がって生活に密着したものとなる一方で、憧れのワインたちが遠い存在になってしまうという状況。マーケティングの世界で私は似たような光景を目の当たりにしたことがあります。私たちが学生の頃、クルマは若者のあこがれでした。「ソアラ」や「プレリュード」「シルヴィア」など、2ドアのクーペという型式が流行していました。「ドライブ」が趣味として成り立っていた時代でした。しかし、現在、履歴書の趣味欄に「ドライブ」と書く若者がどれだけいるでしょうか。2ドア・クーペという型式は絶滅危惧種となり、代わりにミニバンやSUVなどが主流になりました。我々の生活の中において、クルマは、それそのものを趣味とするよりは、趣味を楽しむための道具という位置づけになっています。ワインについても、我々は同じような潮流の中にいるのかもしれません。高貴なワインを収集して、手元で熟成させて薀蓄を語りながら飲むことを趣味とする人たちは、今よりさらに限られたごく一部のエクスクルーシブな層となり、ワインはより日常生活に根付いた、友人たちとの語らいや食事を楽しむための一手段になる。考えて見ればそちらのほうがより成熟したワイン文化なのかもしれませんね。私自身も50歳を越えて、ワインという趣味についていろいろと考えさせられています。子育てについてはずいぶんと手がかからなくなった一方で、教育費の負担が重くなり、ワインにかけられる費用はすっかり限られています。そんなところに、近年のブルゴーニュを中心としたワイン価格の高騰は堪えます。そもそもあと何年ワインを飲み続けられる健康な体でいられるのかと自問すると、もはや新しいビンテージのグランクリュを買おうという気力は失せてしまいました。そう、最大の問題は「健康問題」なのです。年々上がり続ける血糖値やγ-GTPその他の健康指標。いかにしてこの問題と折り合いをつけながら、長くワインを飲み続けることができるか。これがこの先の私自身の最大のテーマになりそうです。
2021年05月03日
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Armadilloさんより日本ワイン数アイテム入荷安定して安いですね。みちのくさんよりフェブレの18]ブルゴーニュ ピノ・ノワール割田屋さんよりドメーヌ・コルディエの18プイィ・フュイッセ・ジュリエット・ラ・グランド割田屋さんよりミシェル・ラファルジュの16ヴォルネイ・クロ・デュ・シャトー・デ・デュックウメムラさんよりル・パンのティエンポン家が手掛ける話題のボルドー、レートル [2018]ウメムラさんよりGW期間限定・送料無料・家飲み応援 おうちワイン堪能 8本セット ウメムラさんよりGW期間限定・送料無料・特別価格 社長お気に入り生産者 ブルゴーニュ 紅白ワイン 6本セットウメムラさんのGW期間限定・送料無料・NEW 豪華シャンパーニュ 4本セットこれはレアですね、高いですけど。ウメムラさんのブシャール・ペール・エ・フィス ボーヌ 1er グレーヴ ヴィーニュ・ド・ランファン・ジェズュ [1976]1500ml同じくブシャール・ペール・エ・フィスの64サヴィニ・レ・ボーヌ 1er レ・ラヴィエール ウメムラさんよりカレラの15ヴィリエ・ヴィンヤード。8K台です河野酒店さんのフォンセカ・ヴィンテージ・ポート[1985]憂いを払うという意味です。河野酒店さんのシャトー・シャス・スプリーン[2000]勝田さんよりジョスメイヤー アートラベル8本セットすむらさんのプリューレロック08NSGプルミエクリュ同じくすむらさんよりプリューレロックのヴァンドフランス・ガメイ18ガメイ好きとしては気になります。エスカルゴさんのムーラン ナ ヴァン[2017]フィリップ パカレ同じくエスカルゴさんのブルゴーニュ アリゴテ シャン フォレ V.V[2017]ジャン フルニエ今日の東京は昼までは抜けるような青空でしたが、午後から荒れました。
2021年05月02日
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#2007年に書いた記事です。********近所のプールで、夏の初めにヤゴすくいなるイベントがあって、子供たちがヤゴをもらってきた。私の子供時代には聞かなかったイベントだが、これには都会特有の事情がある。 都会では水辺の減少とともにトンボたちが産卯する場所がなくなってしまい、数少ない水場を求めて、学校のプールなどに産卵する。しかし夏前にプールを清掃すると、そこで生まれ育ったヤゴたちは全滅してしまう。それで1匹でも多くのトンボを救うため、学校や地域のイベントとして「ヤゴすくい」が行われるという訳だ。持ち帰ったヤゴはというと、飼育事自体はさして難しいものではないのだが、共食いの犠牲になったり、「なぜか」うまく羽化出来なかったりして、十数匹いたヤゴの中で、結局トンボになって大空に飛びたっていったのは 5匹だった。その筋に詳しい方に聞いても、初めての飼育としては上出来の部類だろうと言う。私としては「なぜか」羽化に失敗してしまった個体の「なぜ」の部分を知りたいのだが、それについては自然界の厳しさなのか、「そんなもの」らしい。さて、ワインの世界にもこうした「なぜか」がよくある。造り手、ヴインテージ、畑と、条件は満たされているのになぜか美味しくない。状態には万全を期しているはずなのになぜか劣化している。飲み頃のはずなのになぜか閉じこもっていて香りも立たない。そして私がこのとろ最も困惑しているのが、主にブルゴーニュで経験している「保存は完璧なはずなのに、思ったように熟成しない」というケ一スである。現在、我が家のストックの中でかなりの割合いを占めるのが、子どもの生まれ年である2002年と2003年のワインたちである。作柄を考慮して、2002年についてはブルゴーニュを中心に、2003年についてはブルとボルドーを半々ぐらいの割合で購入した。これらの年のボトルについては、最近アルヌーやパリソやレシュノーの村名銘柄を開けたが、いずれも熟成の入口にたったばかりという感じではあったけれども、良年にふさわしい出来映えで、美味しく飲むことができた。 問題は、これらのボトルをこの先どれ位の期間寝かせておけるかだ。子供たちの生まれ年の記念に買ったボトルたちであるから、当然、成長の区切りの年に開けてゆきたい。そうなるとグランクリュなどは、15年、20年後に飲むことも想定のうちである。 購入当時は、良年と言われた02年の、それなりの作り手のグランクリュであれば、15年~20年ぐらいは難なく熟成してくれるだろうと信じて疑っていなかった。というのも、例えば2007年の今の時点で、80年代(20年もの)のブルゴーニュのボトルはざらに入手できるし、70年代(30年もの)だって78とか76といった良年であれば結構見かけるからだ。ところが、最近私のその確信が揺らぎはじめている。というのも、我が家のストックの残りの多くを占める、90年代半ば以降のブルゴーニュを今開けてみると、何か変なのである。ワインに凝り始めてからしばらくの間、スペースの問題などで、小さなセラーしか持てなかったことや、寺田倉庫の存在を知ったのが2000年になってからだったという事情のため、我が家では90年代半ばぐらいまでのボトルは早い時期にすでにほとんど飲みつくしてしまった。ようやく、寺田倉庫に保存してある90年代後半のボトルたちが飲み頃にさしかかってきたと思い、村名クラスを中心に開けてみると、どうも思ったような熟成をしてくれていないボトルが多いのである。ざっと06年以降に飲んだものを振り返っても、期待にこたえてくれなかったボトルは下に記したように、枚挙にいとまがない。もちろんこれと同等かそれ以上の数のすばらしい熟成をとげたボトルにも出会っているのだが、ハズレの確率としては結構なものだと思う。97クロ・ド・ラ・ロッシュ(デュジャク)香り全くたたず。 -2009 98クロ・サンドニ( 〃 )香り全くたたず。98モレ・サンドニ・ブラン( 〃 )飲み頃過ぎた? 01VTの同銘柄で2003-2007 95クロ・ド・ラ・ロッシュ(ユベール・リニエ)実力発揮せず 2006-2020 96マジシャンベルタン(ルソー)実力発揮せず クロ・ド・ラ・ロッシュは2001-2007 98プイイ・フュッセ・ジュリエット・ラ・グランド (コーディエ)飲み頃過ぎた? 2001-2006 98ジュブレイシャンベルタン(クロード・デュガ)香りたたず 同年の1級でも2000-2006 00ジュブレイシャンベルタン( 〃 )香りたたず 2003-2007 99ニュイ・サンジュルジュ・オーアロー(ルロワ)異臭あり98ジュブレイシャンベルタン(ベルナール・デュガピ)異臭あり 2000-2004 00シャンボールミュジニー(ルーミエ)実力発揮せず 2003-2008 99クロヴジョ(アルヌー)酒質不安定 2004-2012 02モレ・サンドニ・キュベ・グリヴ(ポンソ)異臭02ポマール(フィリップ・パカレ)飲み頃過ぎた?02ジュブレイシャンベルタン・ベレール( 〃 )飲み頃過ぎた?97エシェゾー(E・ルジェ)実力発揮せず97モレ・サンドニ・ビシェール(ルーミエ) 実力発揮せず グランクリュクラスで-05とか-06とか97シャンボールミュジニー1er(ヴォギュエ)香りたたず アムルーズで-2007 96ヴォルネイサントノ(ルロワ)異臭、酒質不安定96ヴォーヌロマネオーマジエール(アルヌー)飲み頃過ぎた? 2000-2006 ※右の年号は、WA誌の飲み頃予想(後述)97、98のデュジャックは、同じような銘柄を開けたらすばらしかったという報告をよく耳にするので、この作り手の97,98がすべてダメだということはありえない。私が購入したボトル固有の問題だろう。クロード・デュガについては、自分で購入したボトルで熟成してよくなったというボトルに出会ったことがないのだが、ワイン会などでは、すばらしい熟成状態のデュガを経験しているので、何らかの問題なのだと思う。何らかとは何か?それは後で考察するとして、ルーミエは、同じ2000年を飲んでもよかったり悪かったりで、ボトル差が大きい生産者だなあという認識。99アルヌーは、その後飲んだ99スショなどはまだ早いぐらいだったので、コンディションの問題だろう。ただ、96の村名ヴォーヌロマネは、最早枯れ果てる寸前という味わいだった。ヴォギュエは、早すぎたのか、それともコンディション不良か、ウンともスンとも言わないボトルだった。パカレについては、正直言ってわからない。私が開けたボトルは飲み頃を過ぎつつある印象だったが、当編集部で検証したボトルは健全だったとのことだし、ネット上の他の方々の報告も、良かったという感想と私と似たような感想とが交錯している。‥とまあ、こんな感じなのだが、自分なりに大きく原因と思われるものを大別すれば、以下のような要素が大きいのではないかと思われる。A 流通(コンディション)の問題によると思われるもの結局はまたここに帰結するのか、と思われるかもしれないが、やはりこの要素が相当大きいと思わざるをえない。というのも、この時期、よく購入していた特定のショップのものが、軒並み綺麗に熟成してくれていないからだ。上に挙げた中では、デュジャックや、デュガ、一部のルーミエなどが該当する。このショップのボトル、若いうちに飲む分には、それほど大きな問題を感じなかったのだが、年数を経るうちに、若いうちに受けたキズが広がってくるということなのだろうか‥。他にも、ショップは異なるが、ルロワのヴォルネイサントノ、ユベール・リニエのクロ・ド・ラ・ロッシュなどはまず間違いなくコンディションの問題だったのだろうと思う。それにしても、10年近く後生大事に保存しておいて、開けてみるとコンディション不良、というのは、ブショネと同様、相当にヘコむものだ。→対策:コンディション管理に定評のあるショップやインポーターから購入することと、購入後の管理の徹底につきる。B ボトル差によると思われるもの この良い例が、3本同時に購入した02ポンソのキュベ・グリヴ。2本は全く以てすばらしい味わいだったのに、1本だけが、なぜか異臭が出ていた。多くのサンプルで検証したわけでないのでなんともいえないが三分の一の確率でダメボトルに当たったのでは、たまったものではない(実際はこんな確率ではないだろうが‥)。まして、1本だけ購入したグランクリュが、この何分の一かの確率にあたってしまったらと思うと‥。→対策:財布との相談になるが、本当に大事なボトルは複数本買えるものなら買っておきたい。C ヴィンテージの問題これには二つのケースがある。96年などのブルゴーニュの白ワインに散見される「Pre mature-oxidization」のように、特定のビンテージのものに、問題が起こりうるケース。もうひとつは、リリース当初良年だと騒がれたものの、年々評価が落ちている96年、評価が二転三転した93年などのように、ビンテージの評価そのものが揺らぐケース。私が購入した02年については、たぶん大丈夫だとは思うが、03年については、WA誌などが高評価を連発して、リリース時は奪い合いになったが、はたして10年後にどのような評価になっているか‥。少なくとも私の周囲のマニアの間での評価は急降下している(ように思う)。→対策:ブルゴーニュのVT評価はすぐに固まるとは思う無かれ。D 作り手の問題(SO2量など) 自然派のワインは、SO2の使用量を抑えているものが多いこともあり、コンディションには細心の注意を要する。流通過程であまり丁寧に扱われなかったボトルは、その後真っ当に熟成しなかったり、急激に落ちてしまうものもあるのかもしれない。議論の多いフィリップ・パカレについても、綺麗に熟成しているボトルが存在していることを考えると、私の開けたボトルは、おそらくそうしたケースなのだろう。→対策:自然派ワインは、扱いを熟知したショップから購入する。E 開ける時期を間違えた グランクリュなどを若いうちに空けてしまうと、真価を発揮せずもったいないとはよく言われるが、少なくともその尋常ならざるポテンシャルは理解できる。悲しくなるのは、開ける時期を後ろに外してしまう(=飲み頃を過ぎてしまう)ケースだ。ボルドーの場合、一旦熟成のピークにたどり着けば、その状態を長く高原状にキープすると言われるが、ブルの場合は、このピークが短く、落ちるときにはかなり急に落ちてしまうことが多いように思う。上に挙げた中でも、もっと早く飲んでいれば美味しく飲めたかもしれない、というものが確実に何本かありそうである。→対策:ブルゴーニュの長熟能力を過信しない。F原因不明ほとんどのボトルについての『敗因』は、今まで挙げたA~Eの中に入ると思うが、それでもやはり、原因がわからないまま結局真っ当に熟成しなかった、というボトルもある。上に挙げた中では、ルソーの96マジ・シャンベルタン、ヴォギュエの97シャンボールミュジニー、ルロワの99NSGなど。→対策:なし。冒頭のヤゴの羽化のようなものだと思って諦めるしかないのか‥。■WA誌の飲み頃予想ところで、ここで、再度注目してみたいのが、かのワイン・アドヴォケイト誌の飲み頃予想である。「パーカーさんはブルゴーニュのことをわかっていない。」「WA誌のブルの点数はあてにならない。」「熟成したブル古酒のよさを理解していない」なんて話はマニアの間でもよく聞く。ここで改めて、上に挙げた銘柄のWA誌の飲み頃予想を調べてみると、たしかに、WA誌の飲み頃予想は短めだなあと思う。(ちなみにこの時期のブルゴーニュのテイスターはパーカー氏でなくロバーニ氏)たとえば、コーディエの98プイイ・フュッセ・ジュリエット・ラ・グランド。この銘柄は、98年のブル白の中で最高得点を獲得したものだが、飲み頃については、2001-2006年と意外なほど短く予想している。98年のクロード・デュガについては、プリミエクリュでも2006年までという予想だし、96のルソーについても私が飲んだマジシャンベルタンとほぼ同格のクロ・ド・ラ・ロッシュの飲み頃予想は、2007年まで。私が長熟と信じて疑わないルーミエについても97年は、リュシュット・シャンベルタン(-06年)、シャルムシャンベルタン(-05年)という予想である。そして、これらの数字を実際に私が飲んだコーディエや、デュガのジュブレイシャンベルタン、ルーミエのモレ・サンドニ・クロ・ド・ラ・ビシェールの印象と照らし合わせてみると、妙に納得させられるものがある。また、たとえば、デュジャックの97クロ・ド・ラ・ロッシュ(デュジャク)についても、WA誌は2009年までと予想しているが、これは例えば、私が飲んだボトルのように、流通時点で丁寧に扱われなかったりして、熟成が数年分進んでしまったようなボトルであれば、すでに飲み頃を過ぎてしまっていてもおかしくない、という解釈もできるわけだ。ここでポイントとなるのは、WA誌の飲み頃予想がUS市場で流通しているボトルをテイステイングしてのものであるということ。熟成した古酒の味わいを理解していないと切り捨てるのは簡単だが、現地で熟成させるのとは同等とはいえないUSでの流通事情や保存事情等を織り込んだ上でこの数字を導き出しているとすれば、一見短めに見える飲み頃予想もそれはそれで納得がいくし、我々にとっても参考になりそうである。■ボルドーの熟成能力の再確認ところで、昨年末の話になるが、食通の方の接待で、某著名フレンチに手持ちのワインを持ち込んだことがある。何を持ち込もうか悩んだ挙句、結局家のセラーにあった94のラトゥールを選んだ。このラトゥールのボトルは多少訳ありで、実はボルドー高価なりし頃、シンガポールのショップで購入してきたものだった。日本より暑さの厳しいシンガポールでワインを購入するというのは、どうみてもセオリーから外れるが、当時は94ラトゥールといえども国内では4万円ぐらいはしたので、2万円ほどの現地プライスに惹かれて土産に買ってきたのだった。そういうことなので、ある程度、熱を浴びていることは覚悟していたが、抜栓してみると、それはそれは素晴らしい味わいで、結局このラトゥールが、06年に飲んだワインの中で、私にとってベストの1本となった。こういうボトルを飲んでしまうと、やっぱり10年以上に亘って寝かせる記念の年のワインはボルドーが無難なのかなぁ、と思ってしまう。ボルドーがプリムールやオークションなどさまざまな形で流通しえるのは、やはり、長年に亘って安定的に熟成してくれる、この頼もしさゆえのことなのだろう。冒頭にも書いたように、上の子の生まれ年の02年は、ブルの当り年ということで、ブルゴーニュばかり6ケース以上購入した(下の子はブル2ケース、ボルドー2ケース程度)。そんなに買って、子供が70歳になるまで誕生日を祝う気かという突っ込みは置いておいて、この中で 10年から15年後に、本当に美味しく飲めるボトルがいったいどれだけあるのか、となると、実はそれほどないのかもしれない。02年のボルドーはあまり注目される年ではないが、それでも、娘の大学入学祝いとか、成人祝いとか、そういった先の長いお祝い用に、ボルドーを買い足しておこうかな、と思う今日この頃である。※そうはいっても、たまに目もくらむようなすばらしい熟成を遂げたボトルに出会ってし まうから、ブルゴーニュとのつきあいはやめられないのだけど‥。 ****************上記のコラムは2007年頃のものですが、コラムを読んだ先輩愛好家の方から、「shuzさんが飲むタイミングは総じて少し早いね。」と言われました。たしかに、今では私もそう感じる部分が多々あります。村名で概ね8年前後、1級なら11〜12年前後、特級なら15~20年程度は待った方が、待ったなりの結果が得られやすいように思います。また、SO2については上で触れましたが、SO2を普通に添加している生産者においても年数が経過すればボトル内のSO2は消費されて、バリアがなくなってしまうので、できるだけリリース後間もない時期に購入した方が安全です。(逆に言うと、バックビンテージのボトルはその点で状態面のリスクを伴います。)製造方法についてもうひとつ付け加えると、個人的には「無濾過無清澄」の作りのものと多少フィルタリングをしたものとでは、長期熟成における安定感がかなり違うと思っています。#ちなみに、上で買いた「よく購入していた特定のショップ」がどこを指しているのか、今となっては自分でも覚えていません(ということにしておきます。)
2021年05月02日
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文面から察するに、2007年ごろに書いたコラムのようです。(自分でも覚えていません。笑)ブログが大流行のようである。 誰もが簡単に情報発信をすることができる、ブログといういわば簡易版ホームページの登場は、それまでなんとなく敷居の高かったホームページを開設することへのハードルを一気に引き下げた。いまやネットを見渡せば、ワイン関連のブログは星の数ほどあって、まさにブログ全盛という様相を呈している。ご存知の読者もいるかもしれないが、私はネット上で「S's Wine」というサイトを運営している。主に飲んだワインの感想を記したり、ワインにまつわる雑感などのコラムなどを書いているだけのホームページだが、サイトを開設したのが2000年の初めのことなので、あしかけ7年になる。途中更新が滞る時期もあったが、それでもなんとか続けてきた。そんな私の立場から見て、昨今のブログの普及は、実のところ、半ば嬉しくもあり、一方で半ば妬ましくもありと、いわば愛憎半ばした複雑な思いを抱いている。ということで、今回は、自分のホームページ運営の歴史?とともに、ワインサイトを運営することについての悲喜こもごもやブログについて書き連ねてみたい。 (なお、当コラムでは、自分のサイトを7年続けてきたとそこかしこで書いているが、それがことさらエライことだと思っているわけではありません。そういった部分を煙たく感じる方がいるようなら、先に申し訳ありませんと謝っておきます。)■ネットとのなれそめ、もともと私がワインサイトを作りたいと思ったのは、「ワインエキスパート」資格を受験するにあたって、関連情報をネットで検索しはじめたことから始まる。 資格を取得したのは99年だから、おおむね98年ごろの話である。当時はまだADSLや光ケーブルもなく、せいぜいISDNが最速、多くの人は、電話回線でピーヒャラヒャラと接続する「ダイアルアップ方式」でインターネットに接続していた。ワイン関連の情報を検索しても、日本語の情報は非常に乏しく、手作り感の濃いいくつかの個人サイトが存在している程度だった。この時代、私はもっぱらパソコン通信(「NiftyServe」)で酒フォーラム(FSAKE)に出入りしていた。といっても、自ら情報を発信したり発言するようなこともなく、もっぱらROM専(自ら発言せずに記事を読むだけの人)だったが、それでもワインショップだの各銘柄の素性や評判だのに関する生の情報が乏しかったこの時代、「FSAKE」で得られる情報は私にとって非常に新鮮であったし、その過去ログ(過去の発言集ファイル)は、私のPCがクラッシュして中身が消失してしまうまで、ずいぶんと長いこと、全ファイルを保管して、繰り返し読んでいた。一方、黎明期のワインサイトの中で、当時から光っていたのが、今も現役で活動されているワインサイトの大御所中の大御所、「安ワイン道場」だった。私もあのサイトのように、飲んだワインについての感想をビシバシと歯切れよく記したいという思いと、もうひとつ、「ワインエキスパート」受験時にあまりにソムリエ認定試験に関する情報が乏しかったことから、そうした情報を掲載したサイトを作りたいと切に願うようになった。■ ホームページを開設した頃の状況こうして正月休みを返上して、自分のHPを作成したのが2000年の1月のこと。(正式オープンは2月)ラッキーだったのは、たまたま当時、仕事でホームページ作りに関わったことがあり、ごくベーシックなHTML(ホームページ記述用の言語)なら扱えたこと、それまで電子手帳に書き溜めてあったワインの感想を転用することができたことだ。過去のデータを転用できたおかげで、開設当初としてはかなりボリュームのあるサイトとなった上、開設後1年ぐらいはほとんど毎日のように更新していたので、そこそこアクセスを獲得することができた。時期を前後して新しく立ち上がったワインサイトがいくつかあり、いつしかそうしたサイトのオーナーの方と横のつながりができて、オフ会などで会ったりするうちに、交友関係の輪が広がっていった。当時の更新の仕方はといえば、とにかく頻繁に更新することを第一義としていたので、毎日のように違うワインを飲み、律儀にメモをとって、飲んだワインの感想をすぐに掲載するという繰り返しだった。ワイン会で十本以上飲んだときも、翌日には必ずアップするようにしていたので、ワイン会の参加者からは半分感謝されつつ、半分は奇異の目で見られていたと思う。また、時としてHPを更新しなきゃいけないという脅迫観念に駆られて、夜中に突然ワインを開けたりとか、前日飲んでまだ半分以上残っているボトルの中身を惜しげもなく捨てて、新しいボトルを抜栓したりとか、今にして思えば、ワインを楽しむためにHPを更新しているのか、HPを更新するためにワインを飲んでいるのかわからないような時期もあった。■当時の典型的なワインサイト この時期のワインサイトの多くは今はすでに活動を止めてしまっているが、大抵、自分が飲んだワインについての感想のコーナーがあって、レストランやショップへの訪問記とか旅行記とかノウハウ集とかといった読み物のコーナーがあって、あとは「掲示板」があるというスタイルが多かったように思う。こうしたホームページへの来訪者が、掲示板上に挨拶や感想を書き込んだところから、サイトのオーナーとの交流が始まる。だんだん書き込みが増えてくると、今度は来訪者同士の交流が始まって、やがて常連のメンバーが出来始め、いつしか彼らを中心にした交流の輪が出来上がる。この当時の主だったワインサイトにはたいていこうした常連のグループを軸とした緩いつながりのコミュニティができていて、それらのメンバーはワインサイトによってかなりダブっていたり、あるいは全く異なるメンバーだったりして、それがまた面白かった。「Bad Vintage Club」や「CWFC(カリフォルニアワインのファンクラブ)」のような大規模なコミュニティサイトが活動を始めたのも概ねこの頃だったように思う。もうひとつ、この時期の特徴として挙げられるのは、ワインサイトに集う人たちにかなり偏りがあった(と思われる)ことだ。ワインサイトを持つことに対するハードルが今よりも高かったとか、そもそもネット自体が今ほど生活に密着していなかったとか、そういうことに因るのだろう。当時私がお会いしたワインサイト関係者は、圧倒的に理数系かIT系の方が多かった。すなわち、当時は『ネット上でアクティブに活動している愛好家=世の中の愛好家の縮図』では到底なかった。小学校のころ習った「ベン図」でいえば、ワイン愛好家の層と、インターネットを活用している層とがまだあまり重なりあっていなかった時代だったといえる。(そういえば、ホームページにアクセスしてくる時間も、夜間や週末よりも平日の勤務中と思われる時間の方が圧倒的に多かった。)■サイト運営者が直面する悩み しかし、HPを開設してしばらく経つと、ワインサイトのオーナーの多くは二つの大きな問題に直面することになる。ひとつは、モチベーションをキープしつづけることの困難さ。もうひとつは掲示板などのコミュニティの管理の煩雑さである。モチベーションをキープすることの難しさには、二つの側面がある。ひとつはワインサイトを続けていても、労苦のわりになんら実利を得られないという不毛感。 大体2~3年もすると、サイトオープン時のモチベーションは消え失せ、最初のうちは励みになっていた自サイトへのアクセス数もいつしかどうでもよくなって、サイトを続けることになんのメリットがあるのかというドライな気持ちになる。もうひとつは、矛盾するようであるが、目的を達してしまうことによる喪失感である。ワインサイトのオーナーに、『ホームページを持ってよかったことは?』と問えば、おそらく10人が10人、『ネットを通じて新たに知り合いが出来、コミュニケーションの輪が広がったこと』と答えるだろう。そう、それはそのとおりなのだが、ある時期を過ぎると、新たに仲間を作りだすことよりも、すでに知り合いになった仲間とのコミュニケーションが主体になってくる。ワイン仲間を増やす、という目的がすでに達せられてしまった以上、興味の対象は、ネット上の活動よりも現実世界のつきあいへとシフトしがちになる。加えて、人間いつもいつも適度な余暇と余裕があるとは限らない。仕事が殺人的に忙しい時期もあるだろうし、プライベートで人生の節目となるような時期もあるだろう。2年3年と続けるうちに、このようなライフステージの大きなうねりに飲み込まれて、継続を断念せざるをえなかったサイトも数多くあったように思う。それに追い討ちをかけたのが、「掲示板」の問題である。掲示板というのは、サイトのオーナーにとってはまさに諸刃の刃で、読者や来訪者との交流ができるという大きなメリットがある反面、発言の管理という責任がつきまとう。うまく回っているうちはいいが、ひとたび議論がヒートアップすると、半ば罵り合いになって収拾がつかなくなったり、サイトオーナー自身を誹謗中傷するような悪意の書き込みが増えたり、あるいはフィッシング系サイトへのリンクとか怪しげなサイトの宣伝とかが連続投稿されたりと、大いに管理者を疲弊させる。 実のところ、第三者から見れば大したことのないような誹謗中傷の書き込みも、当事者であるオーナーにとっては、結構コタえるものである。では、書き込みが少なければいいのかというと、それはそれで、ホームページ全体に閑古鳥が鳴いているかのようで情けない。私の場合、サイト開設2~3年後を境に、子供が生まれたり、職場が異動になったりと、身の回りが多忙になり、お決まりのようにサイト継続の意欲が大幅に落ちた。日々の更新だけはすっかり習慣化していたおかげで、なんとか続けてきたが、掲示板に関しては、こらえきれなくなって、ある時期を境に、やめてしまった。それと時期を前後して、掲示板を閉鎖したホームページのオーナーの方が何人かいらっしゃったようだが、たぶん彼らも同じような悩みをお持ちだったのだと思う。そもそもワインサイトを続けていくことの難しさに、対象がワインという『酒』だということがある。ワインを飲んでいるときは当然酔っ払っているわけで、そんな状態で飲んだワインの味わいをメモしたり、あるいは文章にして残せるほどきっちり覚えておくのって結構パワーがいることなのだ。今でもネット上を彷徨っていると、「最終更新日:1999年○月○日」なんていうような、タイムマシンにでも放り込まれたかのような過去のサイトの残骸に多く出くわすが、それらもきっとこうしたプロセスを経てのことなんだと思うと、そのサイトの主を責めるよりは、ひとことご苦労様と言いたくもなる。■ブログとSNSの台頭こうして、新しいサイトがポツポツと出来ては消えるという状況がしばらく続いていたが、それがこの1~2年の間で大きく様変わりした。表題のとおり、ブログの圧倒的な普及である。ブログとは、冒頭でも書いたが、ひとことでいえば簡易ホームページのこと。あらかじめレイアウトのフォーマット集が用意されているので、ユーザーは簡単に自分のサイトを持つことができて、掲示板に書き込むような感覚で気軽に情報を更新することができる。自分なりにいろいろカスタマイズすることもできるし、そこそこの検索性も備えているので、そサイト構築や管理の煩雑さや、更新のたびにFTPを利用しなければならない面倒くささとも無縁である。もちろん、より本格的なポータルサイトのようなものを作ろうと思えば、ホームページ作成ソフトを用いて一からサイトを構築する方が自由度も高く、応用が利くが、少なくとも飲んだワインの感想を整理したり、ちょっとした日記やコラムをつづるぐらいならブログで十分だし、カテゴリー分けを工夫すれば、データベース的なサイトにもなりえる。実際、私のサイト「S'sWine」でやっていることはすべてブログ上でできてしまう。さらに、ブログの場合、新しい記事が書き込まれれば、読者にもすぐわかるような設定にできる(RSSリーダー)し、携帯電話から閲覧してもきちんとそれ用にレイウアウトされて表示される。こうした点は既存の多くのホームページにもない機能である。とまあ、このようなわけだから、ブログが隆盛しなわけがない。とくにワインの場合、前述のように、ネット上で活動する層とワイン愛好家のマスの層に大きなズレがあったが、それが、ブログの普及によってかなり重なってきたのではないかと思う。今やワイン関連のブログはそれこそ星の数ほどあるし、その中にはスケールの面でも経験や知識の面でも、私など及びもつかないような方々も多くいる。今思えば、こうした方々は、私がそれまでホームページ上でエラソーなことを書いてるのを読んで、「この程度で何を偉そうに‥」と鼻で笑っていたんだろうなあと想像すると、こちらも赤面したくなる思いである。もうひとつ、大きなトピックは「mixi」(ミクシィ)に代表されるSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の台頭だろう。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)をひとことで説明するのは難しいが、人と人のつながりを重視する、会員制の総合コミュニティサービスのようなもの。 例えば日本におけるSNSの代表的なサービスである「mixi」の会員になるには、既会員による紹介が必要だ。会員になれば、ミクシィ上で日記を書くこともできるし、さまざまな「コミュニティ」に参加することができる。あくまで紹介により入会してきた会員だけの閉じた世界であるから、無秩序なインターネットの大海の中にいるのに比べれば、いろいろな意味でリスクが減少する。たとえば、ワイン仲間を集いたい場合、あるいは、ワイン会を通じて知り合いになった仲間同士が連絡を取り合う場合など、あえて第三者に筒抜けになる一般の掲示板を利用する必然性はないわけで、これらはSNSの中でコミュニティを作って活動することにすればすべて解決してしまう。そういう意味で、ワインサークルなどの活動とSNSは極めて親和性が高いと思う。 現時点ではあまねく普及しているとはいいずらいし、まだまだ発展途上という感もあるが、いずれワイン関連の多くのコミュニティがmixiを初めとするSNSを活動の拠点に据えることになりそうな気がする。■若干気になる点も‥このように、今、ワインにおけるネットのトレンドは、個人の手作りサイトから、ブログやSNSへと大きくシフトしているように思う。ただ、気になる点もある。ブログはたしかに便利だが、運営母体がそれぞれ囲い込みに走っているようで、たとえば某大手ショッピングモールが運営するブログは、同じ運営者のブログ同士なら、コメントを書き込めば自動的にリンクが張られる仕組みになっているが、それ以外の来訪者に対しては、URLの記入欄すらない。こういうのは、インターネットの精神に鑑みた場合、如何なものかと思う。また、アフィリエートの仕組みなどもずいぶん露骨だよなあと思ったりもする。まあ、これほどの仕組みを無料で提供しているわけだから、それなりのメリットを目指すのは企業としては至極当然なことではあるけれども‥。さらに老婆心かもしれないが、ブログは始めるのが簡単な分、継続についてはあまり深く考えずに始める人も多いのではないか。たしかにブログは一般のホームページに比べればずっと更新の作業が楽だけれども、モチベーションの維持という本質的な問題に関しては新しい側面はほとんどない。数年後にネットを検索すると、1年以上も更新されていないワインブログの廃墟ばかりがヒットする、という寒い事態が今から想像できてしまう。また、個人の日記の延長のような感覚でブログを始める人もいるとは思うが、一般に公開する以上は、例えば著作権や肖像権、商標権などに関して免罪されるものではない。たとえば、テレビのOA画面をキャプチャーした画像などを使用することは明確に違法であるし、気軽に撮ったワイン会の写真をアップしたりすると、場合によってはトラブルのもとになりかねない。そうした部分の最低限のマナーや知識は知っておいたほうがいいだろう。■最後に正直、私は最近のブログの隆盛を、ある種の嫉妬心を以って眺めている。今まで7年間、苦労してきたHPの更新が、ずっと簡単にできてしまうというのもあるし、ネット上のワインに関する情報が激増して、自分のサイトの相対的な埋没感は免れないということもある。とはいえ、私は自ら情報発信をしているのと同じくらい、いやそれ以上に熱心な読者でもある。読者の立場でみれば、日々巡回するサイトの数が圧倒的に増えたのは嬉しい限りだし、これほど毎日多くのビビッドなワインの情報に囲まれて生活する日がくるとは、自分がHPを始めた当初には想像できなかった。ということで、最後にこれからブログを立ち上げようと考えている人にひとつアドバイス。ワインブログといっても、プライバシーを詮索されない程度に、日常のこともさりげなく記しておくとあとあと役に立つ。私のサイトにはそれほど日常のことは書き残していないが、それでもたとえば、5年前になにがあったか、ワインの記録をみれば、ああ、これは実家に子供をつれて泊まったときに飲んだワインだなとか、仕事が一段落して記念に飲んだワインだとか、いろいろな附帯状況が鮮明に思い出されるし、会食時に飲んだワインの銘柄を覚えておけば、それが一体いつのことか、日にちをたどることもできる。たとえば、徳丸編集長と初めて飲んだときのワインはエマニュエル・ルジェのヴォーヌロマネで、それは2001年6月13日だとか。これだけでも、ホームページを続けてきた甲斐があろうというものだ。
2021年05月01日
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