偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2011.04.29
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カテゴリ: 智麻呂絵画展
第78回智麻呂絵画展

 智麻呂絵画展の開催であります。大型連休初日を飾る力作の数々をじっくり、ゆっくり、ご覧になり、コックリなども結構。どうぞ、ごゆるりおくつろぎ下さいませ。
<参考>他の智麻呂絵画展は下記から。
     ​ ​第1回展~第100回展
     ​ 第101回展~第200回展
     ​ 第201回展~ ​​

アセビ.JPG
(アセビ)

 これは、先のお花見の日に小万知さんがお持ち下さったアセビです。可愛い三輪車の花車です。アセビは馬酔木と書きますから、馬に引かせず三輪車で参ろうという趣向ですな。

 万葉では「あせび」ではなく「あしび」です。あしびの万葉歌の代表はやはりこれですかな。

磯の上に  ( ) ふる 馬酔木 ( あしび ) を  手折 ( たを ) らめど ​         見すべき君が ありと言はなくに (大伯皇女 巻2-166)​

 弟の大津皇子の死を悲傷しての姉、大伯皇女 (大来皇女とも書く) ​の絶唱である。大切な人を失った人の心に沁みて来る歌であるだろう。小生の高校時代の国語の女先生 (おばあちゃん先生と呼ばれていらっしゃいましたが) ​は涙を流しながらこの歌や有間皇子の歌などを授業の時に朗唱されました。そのことが懐かしく思い出される。思えばそれが小生と万葉との出会いであったのですな。彼女の授業の他の部分は全て記憶の彼方に消えてしまっているが、万葉の授業だけは今も鮮明に覚えている。​​

鮎 - コピー.JPG (鮎)

 これはお菓子の鮎。以前にも同じ題材の絵がこの絵画展に登場していますが、智麻呂邸訪問の際の偐家持の手土産に時々なってくれる「鮎」であります。
 万葉にも鮎を詠う歌が結構ある。20首位はあるだろうか。万葉では「年魚」と表記したりもする。ここでは大伴家持の歌を掲載しておく。

年のはに 鮎し走らば  辟田川 ( さきたがは ) ​          ( ) 八頭 ( やつ ) ( かづ ) けて 川瀬たづねむ (大伴家持 巻19-4158)​

 上の歌に出て来る辟田川については、富山県氷見街道筋の、泉川説、阿尾川上流説、雨晴海岸に注ぐ、紅葉川説、加古川説、小矢部川支流の子撫川説と諸説あって、一定しない。

けんちゃんへの兜.JPG
(けんちゃんの兜)

 これは、第73回智麻呂絵画展で紹介しましたが、智麻呂さんに手作りバレンタインチョコをくれた小学生、あのSちゃんの弟の「けんちゃん」のために描かれた兜です。3月3日にはSちゃんにお雛様の絵をプレゼントされましたので、弟のけんちゃんには5月5日に兜の絵、という訳です。けんちゃんも今年から小学1年生。お姉ちゃんと一緒に朝、智麻呂さんに「おはようございます。」とご挨拶して前の道を登校して行きます(笑)。

野芥子.JPG (野芥子)

 野芥子は、智麻呂さんはその葉の形状に興味が引かれたようでありました。ためつすがめつ葉を眺めて居られました。

ヒナゲシ.JPG (雛芥子・ 雛罌粟)

   力拔山兮氣蓋世  (力は山を抜き、気は世を覆う)
   時不利兮騅不逝  (時利あらずして騅逝かず)
   騅不逝兮可奈何  (騅逝かざるを如何せん)
   虞兮虞兮奈若何  (虞や虞や汝を如何せん)

 上は、「垓下の戦い」に於いて楚の項羽が漢の劉邦の大軍に包囲され進退極まったかと思われた時に詠んだ歌。脱出を図ろうとする項羽の足手まといになってはと、妃の虞妃は自刃する。その彼女の墓に咲いた花がこの花。よって人はこの花を虞美人草と呼んだ。
 小生は、この話を未だ知らなかった高校時代に読んだ夏目漱石の小説「虞美人草」から、長らく何故か紫の花をずっとイメージしていたので、それと知った時には失望とまでには行かないが、期待外れと言うか、予想外と言うか、意外な、道端でよく目にする朱色の花が虞美人草であったことに驚いたものでありました。美人と言うより可愛い花である。項羽は美人系よりもカワイイ系が好みであったのか(笑)。

牡丹桜.JPG (牡丹桜)

 八重桜。山桜に対して里桜とも呼ぶらしいが、花の形姿から牡丹桜ともいう。ソメイヨシノが散った後に数日遅れて咲く。奈良や京都の貴族はこの花を愛したようだが、兼好さんは桜は一重に限ると言って居られますな。小生もどちらかと言えばこの点については兼好さんに同感である。友人の凡鬼さんは八重も一重もいいと申されていましたな(笑)。では、百人一首から、

いにしへの 奈良の都の 八重桜
          今日九重に 匂ひぬるかな (伊勢大輔)

藤の花.JPG (藤の花)

 桜が散って、藤の花が咲き、その藤の花も散り始めている。季節の移ろいの何と早きことか。

藤波の 影なす海の 底清み
         しづく石をも 珠とそ吾が見る (大伴家持 巻19-4199)

妹が家に  伊久里 ( いくり ) の森の 藤の花
         今 ( ) む春も 常 如此 ( かく ) し見む (高安王 巻17-3952)

​ 伊久里の森についても、栃波市井栗谷説、新潟県三条市井栗説、奈良市説と諸説あるが、これも一定しない。大和説伊久里の森は当ブログで紹介済みですが、富山の井栗も新潟の井栗も訪ねなくてはいけませんな。​

(スノーフレーク、鈴蘭水仙)

 この花も智麻呂さんお好みの花の一つ。何度かこの絵画展にも登場している。

和菓子<蛙、ひよこ、鼠、兎>.JPG (和菓子の蛙、ひよこ、ネズミ、兎)

 これも、偐家持の手土産。和菓子を買っていたら、店先を通りかかった若い女性たちが「カワイイ~!」と歓声。見ると動物をかたどったお饅頭。これも追加で一箱いただく。これだけを単独で買う「勇気?」は偐家持にはありませんな。8個入りと4個入りがありましたが、絵の題材なら4個入りで十分ではないかと(笑)。
<追記・注> 「スノーフレーク、鈴蘭水仙」の写真が 横倒しの歪んだ画像になっていたので、2020年11月6日これを復元修正しました。
過去記事の写真が歪んでいたりすること ​  2020.10.12.






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最終更新日  2020.11.06 10:39:50
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