2006年02月22日
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カテゴリ: 旅行生活


バンコクぶらぶら滞在中だったワタシは、ちょうど前日に パッポンのぼったくりバーでちょっとだけ悲しい目に会ったので、 早々にバンコクを離れて南の島へと旅立とうと思い、必要な身の回りのものを買いに出かけた。

サイアムスクエアのあたりをうろうろしていると、ひとりのアジア人女性が「私は旅行で来てるんだけど、パレスホテルの場所、知らない?」などと英語で話しかけてきた。たぶんこの近くじゃないの?と言うと、「ありがとう。よかったら、一緒にお茶でもどうですか?」ときた。よく見ると彼女、胸元ちらリズムの露出度の高い服を着ていたのですぐに「ははん」と思った。恐らく、ガイドブックなんかによく載っている、ツーリストをターゲットにした典型的な美人局(つつもたせ)である。もちろん、タイ人である。

これでもし「いいよいいよ、ぼくヒマだしイクイク!」とか言ってアホみたいについて行くと、「どうせなら部屋にこない?」という展開になり、これまたホイホイついて行くと「先にシャワーでも浴びたら?」となり、うきうき気分でシャワーから出てくるとパスポートと現金とともに彼女も消えている、というパターンである。或いは、お姉ちゃんがいつのまにかこわーいオッサンに変身し、ベッドで煙草吸って待っている、というパターンである。「ボクはとても忙しいの」と、ややむかつき加減にお断りしてその場を立ち去り、近くのショッピングセンター「マーブンクロン・センター」に入った。

巨大な店内をあれこれ買い物していると、背後から「ハロー」とまた誰かに声をかけられた。今度はなんやねんと振り向くと、ちょうど当時のワタシと同い年ぐらいのタイ人青年がニコニコ笑って立っていた。「どこから来たの?日本人?よかったら、フードコートでバナナジュースでも飲まない?」ときた。むむむ、おとこ?ばななじゅーす?このパターンは聞いたことないぞ?と思っていると、「ボク怪しくないよ」と彼は笑った。それがヌンくんであった。

ヌンくんは、見るからにこざっぱりした服装で、童顔で育ちの良さそうな風貌であった。聞くと出身はチェンマイで、家は貧乏だったが今は自分でレンタカー店を起こして経営しているんだという。最近になって、バンコクにもレンタカー店の拠点を作り、この日はその仕事でバンコクに出てきているのだと言った。ヌンくんには年の離れた兄弟が何人もいて、この日はそのうちの一人を連れてきていた。「今は仕事がうまく回ってるからいいけど、いつまで持つかはわからないし、家族が食べていくのは大変なんだ」とぼそりと言った。

最後に彼は、「今はまだ外国に行く余裕なんてないけど、いつか日本にも行ってみたいな」と言い、本当にワタシのバナナジュースの支払いをしてくれた。ワタシは短パンにアロハでつっかけサンダルという小汚い格好をしていたので、たぶん金なんかないと思われたのだろう。「まだしばらくバンコクにいるから、何か困ったら連絡してよ」と、レシートの裏に自分のポケベルの番号を書いて渡してくれ、そのまま爽やかな笑顔で去っていった。

「なんだかわからんけど、どこの国にもいい奴はいるもんだなぁ」と思いながら、お陰でその晩ワタシは気分良く南国ビーチの島コサムイを目指して、スラーターニー行きの夜行列車に乗り込んだのであった。
(つづく。 かどうかはわからない) 






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最終更新日  2006年02月26日 19時43分02秒
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