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愛しの名曲たち(3) “月曜日”といえば週の始まり。一方で、これを心機一転の週明けと捉える人もいれば、他方では、楽しいウィークエンドが終わり、またブルーな平日の始まりと捉える人もいる。端的に言えば、この曲のタイトルは明らかに後者で、サビの詞は“雨の日と月曜日はいつも私を幻滅させる”と来る。雨というものが身近な気候帯に住む日本人にとって、特に受け入れやすい曲かもしれない(実際、日本の歌謡曲には「長崎は今日も雨だった」、「雨の御堂筋」、「氷雨」等々、“雨”を主題とする曲が幾多ある)。この記事をアップしている今日はたまたま晴れでしかも週末ではあるけれど、今のように梅雨の時期の月曜日にはぴったりといったところだろうか。 「雨の日と月曜日は(Rainy Days and Mondays)」は、作詞ポール・ウィリアムズ、作曲ロジャー・ニコルスで、この人たちの曲でカーペンターズの曲としては、「愛のプレリュード(We've Only Just Begun)」などがある。「愛のプレリュード」は元々はCM曲だったそうで、それをカバーしようと思い付いたリチャード・カーペンターは卓見であった。そしてまた同じことは、この「雨の日と月曜日は」についても言える。 この曲は上記ウィリアムズ&ニコルスのコンビが別のグループ(コーラス・グループのフィフス・ディメンション)のために書いたものの、お蔵入りとなっていた。リチャードはそのデモテープを聴きつけ、カーペンターズで取り上げることを決めた。「愛のプレリュード」にせよ、この「雨の日と月曜日は」にせよ、本当にリチャードはアンテナが広かったのだろうと想像する。どんな曲を持ってきて、どういう風にアレンジし、カーペンターズの曲として完成させるか。それを歌うカレンの歌唱力あってというのはもちろんだけれども、それをセレクトしアレンジして形にするリチャードの才覚は相当なものだったろうと今さら感心する。 その上で、この曲である。カレン・カーペンターはポップな曲調もいけるが、憂いを帯びた歌唱もなかなか向いていた。ひょっとすると、フィフス・ディメンションが取り上げなかった理由はその辺りにあったのかもしれない。そしてまた、リチャードがこの曲をカーペンターズとして取り上げて成功させられた理由も案外そこにあったのかもしれない。 [収録アルバム]Carpenters / Carpenters(The Tan Album)(邦題:『ふたりの誓い』、後に『スーパースター』、現在は『カーペンターズ』) (1971年)。その他、Carpenters / Yesterday Once More (ベスト盤、1984年)などベスト盤類に収録。1971年、シングル・リリース。[関連過去記事] カーペンターズ~愛しの名曲たち(1):「涙の乗車券」 カーペンターズ~愛しの名曲たち(2):「遥かなる影」 【送料無料】【輸入盤CD3枚でポイント5倍対象商品】【輸入盤】 CARPENTERS / CARPENTERS 【送料無料】イエスタデイ・ワンス・モア/カーペンターズ・ゼア・グレイテスト・ヒッツ 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012年06月30日
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コニッツのアドリブが全開の好演 ジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)はニューヨークに生まれながらも、ウエスト・コースト(西海岸)・ジャズ、クール・ジャズで一世を風靡した。1952年からピアノレス・カルテット(ピアノ抜きの4人組)を形成し、当時まだ新進気鋭だったトランペット奏者、チェット・ベイカーと組んで活動した。そんな頃、1953年1月にアルト奏者のリー・コニッツを迎えてのセッションが行われた。詳しい録音の情報ははっきりわからない部分もある(特にスタジオ録音の一部はどこのスタジオかも不明)けれども、同年1月中に最初にライブ録音、続いて二度のスタジオ録音という具合で、合計3回の共演をした。その成果がまとめられたのが本盤『コニッツ・ミーツ・マリガン(Konitz Meets Mulligan)』である。収録曲の割り振りは、最初のライヴ演奏のものが1.~6.、その後の二回のスタジオでのセッションがそれぞれ7.~9.と10.~12.である。 一方、リー・コニッツ(Lee Konitz)は既にこの頃名の知られる演奏者となっており、タイトルからも分かるように、あくまでリー・コニッツが主役という位置づけのアルバムである。そんなわけで、マリガンがバリトン・サックスを吹きまくるとか、マリガンのカルテットに含まれているチェット・ベイカーのトランペット演奏がメインになっているというタイプの盤ではない。とりわけマリガンについては、演奏面ではすっかり裏方に徹しているといってもいいかもしれない。聴きどころは、タイトルに違わずリー・コニッツの演奏そのものにある。 リー・コニッツのアルトの真骨頂は、“華麗な舞い”にある。言い換えると、掴みどこがなくてある種不思議な浮遊感のようなものを伴っている。大雑把には、昔のコニッツは小難しくて分かりにくく、歳をとってからのコニッツの方が(良くも悪くも)シンプルで分かりやすい、と言われたりする。けれども、この独特のゆらり・はらりとした演奏スタイルは、昔も今もコニッツのサックス演奏の軸になっているように思う。[収録曲]1. Too Marvelous For Words2. Lover Man3. I'll Remember April4. These Foolish Things5. All The Things You Are6. Bernie's Tune7. Almost Like Being In Love8. Sextet9. Broadway10. I Can't Believe That You're In Love With Me11. Lady Be Good12. Lady Be Good (別テイク)[パーソネル・録音]Lee Konitz (as)Gerry Mulligan (bs)Chet Baker (tp)Carson Smith (b, 1.~9.)Joe Mondragon (b, 10.~12.)Larry Bunker (ds)1953年1月録音。 Lee Konitz リーコニッツ / Meets Mulligan 輸入盤 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2012年06月28日
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B・ゴルソンのアレンジによるブラスの宴 アート・ファーマー(Art Farmer)がリーダー名義の盤であるが、実質的には彼のソロを聴くという趣の盤ではない。おそらくはそれゆえに注目度が低い盤になってしまっているのが、本盤『ブラス・シャウト(Brass Shout)』である。1曲を除きピアノも入れないというユニークなブラス編成の演奏で、ファーマーがソロをとっているのもほんの2曲ほどに過ぎない。要するに、名義とは裏腹に、ブラス(トランペット×3、トロンボーン×2、バリトンホルン、フレンチホルン、チューバ×各1、ちなみに金管楽器にこだわるということで、金管楽器ではないサックスは入っていない)のアンサンブルを聴かせる作品。誰か個人のソロをじっくり聴かせるというよりも、トータルな作品として聴かせるといった印象である。 さて、本作の編曲はベニー・ゴルソン(Benny Golson)である。彼は、テナー奏者であると同時に作曲家・編曲家としての才覚のある人物である。本盤の少し後にはアート・ファーマー、カーティス・フラーとともにジャズテットを結成することになるが、本盤での“実験”もジャズテット始動の布石となったように見える。いずれにせよ、この盤ではB・ゴルソンがアレンジに専念し(おそらくは上記の理由からサックスは吹いていない)、スタンダードのオンパレードをブラスの大所帯でどう表現するかに集中している。 2.「枯葉」、4.「パリの四月」、6.「星影のステラ」などと有名曲のオンパレードで、これらはまさにゴルソンの腕の見せ所。特に聴きどころなのは、有名曲の「枯葉」である。マイルス・デイヴィス(名義上のリーダーはキャノンボール・アダレイ)の『サムシング・エルス』所収の「枯葉」が“静”の極致であるとするならば、本盤の「枯葉」は、同じくミュートを使いながらも、見事に“動”の演奏に仕上がっている。 その一方で、ゴルソンのオリジナル曲も2曲収められている。「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」と「マイナーヴァンプ」である。特に「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」は、この少し後(1週間ほど後)に録音したものが有名曲と化したこともあり(録音としてはこれが最初)、ゴルソンの抱いていたイメージはこういうものだったのか、という感じがよく伝わってくる。その出来上がり具合はと言えば、極上そのもの。スリリングな感じというよりは流れるような展開で、本盤でのゴルソンのアレンジ力のよさが特によく発揮された1曲となっているように思う。[収録曲]1. Nica's Dream2. Autumn Leaves3. Moanin’ 4. April In Paris5. Five Spot After Dark6. Stella By Starlight7. Minor Vamp[パーソネル、録音]Art Farmer (tp), Lee Morgan (tp), Ernie Royal (tp)Curtis Fuller (tb), Jimmy Cleveland (tb), Wayne Andre (tb)James Haughton (baritone horn)Jurius Watkins (french horn), Bob Northern (french horn)Don Butterfield (tuba)Bobby Timmons (p)Percy Heath (b)Philly Joe Jones (ds), Elvin Jones (ds)1959年5月14日録音。 【送料無料】JAZZ名盤 BEST & MORE 999 第2期::ブラス・シャウト 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012年06月26日
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大人になったら何になる? ミゲル・マテオス(Miguel Mateos)は、アルゼンチンのブエノス・アイレス出身のロック・シンガー。中南米(スペイン語圏)において母国語(スペイン語)でロックをやったムーヴメントの先駆者の一人である。その動きは、1980年代、「ロック・エン・エスパニョール(スペイン語のロック)」という呼び方で知られる。そうした中のヒット・シングルの一つが1986年のこの「クアンド・セアス・グランデ(Cuando seas grande)」。“大人になったら”(サビの詞は、“何になる?”と続く)というタイトルの曲である。とりえずは、オリジナルの録音ヴァージョン(音声)をお聴きいただきたい。 実は、アルゼンチン人で、若い頃、“ミゲル・マテオスが嫌いで仕方なかった”という人がいた。ロックの本場(米国、英国)の“外タレ”が貴重だった時代、国内で自前でロックが生産される中、“本物”と“模倣”の違いという見方から、国内アーティスト(つまりこの場合は自国アルゼンチンのスペイン語で歌うロック・シンガー、ミゲル・マテオス)を否定的に見るという感覚があったのは事実だったのだろう。いやなに、日本でだって70年代や80年代は洋楽の“模倣”がたくさんあったのだから、人気が上がる一方で、こういう感想を持つ当時の若者がいたことはある種、正常な反応だったと言えるかもしれない。 そうはいっても、往時のミゲル・マテオスには「孤独のアメリカ(ソロス・エン・アメリカ)」のような名曲・名唱もあり、筆者としては好きなアーティストの一人である。だが、その一方で、確かに“模倣”という部分はあったと思う。次のビデオなんかを見ると、確かに曲も声もいいのだけれど、雰囲気がいかにも“ギター・アイドル”的なのも否めない。 問題はその先である。時は流れ、目下、2010年代。1954年生まれのミゲル・マテオスも50歳代後半という年齢になった。上のビデオのような“尖った青年”を演じられる年齢ではない。で、どうなったのかといえば、いい感じに円熟したのである。2010年のメキシコで収録されたライヴ(『プリメラ・フィラ』としてライヴ盤化された)での演奏が以下の映像(スリムな尖った青年はすっかり見た目もおじさんになっているが、無論、同一人物)。 で、その“オヤジ化したミゲル・マテオス”なのだが、これがなかなかいい。というか、こういうオヤジになりたいとすら思う。曲の演奏や演出は今の時代、英米かラテンアメリカかというだけで差がつくものでもない。演奏と歌には、若いころほどの体力は亡くなっているにしても、貫録と風格がある。そして何よりもこの演奏と歌を本人が楽しんでいることがよく伝わってくる。こういう風に自然体で、もはや模倣とはいえないアーティストとなった彼の姿を見たら、先のアルゼンチン人はどう思うだろうか。[収録アルバム]Primera Fila Miguel Mateos/ZAS / Solos en América (1986年)←オリジナルのスタジオ録音Migeuel Mateos / Primera Fila (2011年)←2010年のライヴ音源 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012年06月22日
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26000アクセス達成!本ブログの累計アクセス数が26万に達しました。この場を借りて、ご来訪の皆さまに感謝いたします。気がつけばこのブログも来月で丸3年。平均すれば年9万HIT近くも閲覧いただいていることになります(実際には1年目は5万ぐらいだったように思いますが)。ともあれ、ここのところ「細く長く」を目標にしてます。決して無理はし過ぎず、でもあまり何日も放置しないよう、コンスタントに更新できればと思っています。今後とも、ご愛顧のほど、あらためてよろしくお願いします。 ↓下記ブログランキングに参加しています。応援下さる方はぜひクリックを!↓
2012年06月21日
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関東地方は台風が過ぎ去りました。爽やかな朝とはいかず、いろんなものが散乱した朝を迎えています。 INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編へ アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-L)へ → 分量が増えてきたので、2つに分けました。つづき(M-Z)はこちらです。 アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ にほんブログ村 : 人気ブログランキング:
2012年06月20日
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ハスキーで情感豊かなヴォーカルにK.O. 最近のお気に入り歌手の一人がスペイン人女性シンガーのマルー(Malú)。本名はマリーア・ルシーア・サンチェス・ベニーテス(María Lucía Sánchez Benítez)と言い、1982年マドリード生まれ。父はカンタオール(フラメンコ歌手)のぺぺ・デ・ルシーアで、かの有名ギタリスト、パコ・デ・ルシーア(パコ・デ・ルシア)の兄に当たる人物。つまり、マルーはパコ・デ・ルシーアの姪っ子というわけで、スペイン伝統の音楽一家に育ったということになる。 マルーのデビューは1998年。デビュー・アルバム『アプレンディス』発表後、スペインとラテンアメリカを回る世界ツアー、ディズニーの映画『ムーラン』の主題曲(「リフレクション」)をカバーして話題になる。その後も1~2年おきにコンスタントにアルバムを発表をし続け、これまで8枚のオリジナル作、2枚のライヴ盤、1枚のベスト盤をリリースしている。2009年のアルバム『ビベ』はリリースと同時にU2に次ぐ第二位につけるという好セールスを記録し、2010年の『ゲラ・フリーア』は初登場1位となるなど、スペインでは抜群の売れ行きを示している。 ここ1年ほど、何枚かのアルバムを徐々に入手し、少しずつ聴いているのだけれど、中でもイチオシなのがこの「アオラ・トゥ(今度はあなたが)」という曲だ。最初に聴いたアルバムはメキシコで収録されたライヴ盤(『インティマ・ゲラ・フリーア』)だった。この時点で、いい曲だなと思ったのと、根本的にマルーの歌唱力が素晴らしいということは実感できた。しばらくして、オリジナル・アルバム(『ゲラ・フリーア』)でのこの曲を聴いたのだけれど、筆者の中でのこの曲の評価はウナギ登りとなった。 スペイン・ポップスというと、どこか垢抜けないイメージを持つ人もいるかもしれない。80年代ぐらいまでは確かにそうだった(それはそれで個人的には好きなのだけれど)。けれども今時は、そしてこのマルーという人はすっかり垢抜けている。録音当時、20代後半だったマルーの声は、溌剌と言うよりも熟した大人の声をしている。そのハスキーがかった声でもって情感たっぷり、迫力たっぷりの歌いっぷりが、よく集約された曲の一つがこの曲のように思う。 父親や叔父がやっている音楽(フラメンコ)とは直接的には関係のない普通のポップ音楽をやっている彼女だが、“魂で歌う”という点はしっかり受け継いでいるといったところか。興味を持った方は↓こちらの映像↓でお試しいただきたい。 [収録アルバム]Malú / Guerra fría(2010年)Malú / Íntima guerra fría(2011年) 【輸入盤CD】【新品】Malu / Guerra Fria 下記ランキングに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2012年06月19日
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アーティスト、マドンナの株を上げたヒット・シングル 1982年にデビューしたマドンナ(Madonna)。当時のキャリアを少し振り返ってみると、彼女は、1984年の『ライク・ア・ヴァージン』でスターダムにのし上がり、勢いに乗って1986年に『トゥルー・ブルー』を発表した。同作からは次々とヒット曲が飛び出すこととなり、トップスターとしての揺るぎない地位を確立することとなった。 『トゥルー・ブルー』からの第1弾シングルが、この「リヴ・トゥ・テル(Live To Tell)」という曲だった。その当時は深く物事も考えずに、ぼけーっと聴いていたが、今から思えば、この曲でマドンナは新しい境地に足を踏み入れたのだと思う。それまでのマドンナは、「ライク・ア・ヴァージン」に典型的に見られるように、第一に女性シンガーであり、何よりも“踊れる”(あるいは“踊られる” )音楽をやるアーティストという印象が強かった。それが、ヒットを重ねる中で、正面切って重い曲調のバラードを、新作のファースト・シングルとして出してくるのは、ある種の賭けだったのかもしれない。 でも、この賭けは成功した。少し大袈裟に言うとすれば、“流行りの歌手”から“アーティスト”への移行を示すことになった。今までの売り(あるいは、少なくとも聴き手がそのように受け止めていた部分)は、ダンス・シンガーとでも言えるような位置づけのマドンナだった。このシングルは、そこから脱却し、アーティストとしての第一歩を踏みだしたように思える。 とか言いながら、筆者もその当時はそうは受け止めていなかった。後に編集盤の類でこの曲が再生されていくうちに、ひょっとしてそうだったのでは、と気付き始めた次第なのである。 ともあれ、懐かしい80年代の下の映像とともに、お楽しみあれ。 [収録アルバム]Madonna / True Blue (1986年) 【Aポイント+メール便送料無料】マドンナ Madonna / トゥルー・ブルー(日本盤CD) 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2012年06月17日
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愛しの名曲たち(2) カーペンターズ(Carpenters)の名曲を取り上げる不定期更新特集、第二弾は「遥かなる影((They Long To Be) Close To You)」(第一弾「涙の乗車券」はこちら)。作曲バート・バカラック、作詞ハル・デヴィットによるナンバーで、1970年5月にシングル発売され、その後、この曲のタイトルを冠したアルバム『遥かなる影(原題:Close To You,発売当初の邦訳タイトル:愛のプレリュード)』にも収録された。シングルは、全米ヒットチャートで4週間続け1位というセールスを記録し、年間通じても5位となった。 カレン・カーペンターの歌声は、1969年のデビュー時から完成されたものであった。かのポール・マッカートニーが“世界最高の女性ヴォーカル”と評したその声が、聴衆に受け入れられていったのは、まさにこの年のことだった。「遥かなる影」のヒットに続き、同じ1970年には上記セカンド・アルバムから「愛のプレリュード」が全米2位のヒット。さらには、年末に向けてリリースされた「メリー・クリスマス・ダーリン」というクリスマス曲もヒットし、有名ポップ・デュオとしての地位を確立した。 実はこの「遥かなる影」は、カーペンターズにとってある種の賭けだったようだ。1963年にリチャード・チェンバレン、1964年にディオンヌ・ワーウィックがこの曲を取り上げていたが、この曲をシングルA面として大々的に出すに際し、リチャード・カーペンターには不安があったという。リチャードは、ハーブ・アルパート経由でバート・バカラックを紹介された。リチャードの考えでは、バカラック・サウンドの甘ったるい部分が聴衆から大人気を得るか、さもなくば全く無視されるかのいずれかになるだろうと想像していたということである。結局、リチャードはピアノの奏法についての一定の条件の下に、自由に編曲できる権利を得てこの曲をレコーディングした。 その結果、「遥かなる影」は大ヒットとなり、カーペンターズにとって大きな飛躍の第一歩となった。この曲(そしてカーペンターズのアレンジ)は、その後も愛し続けられ、最近でも、日本では別の歌手によるヴァージョンがトヨタ・ホーム(noonによるカヴァー)や日本ゼネラルモーターズ(ANRIによるカヴァー)のCMに用いられるなどしている。 ↓今回の動画はこちら。1971年のライヴ映像です。↓ [収録アルバム]Carpenters / Close To You(邦題:『愛のプレリュード』、後に『遥かなる影』と改題) (1970年)その他、Carpenters / Yesterday Once More (ベスト盤、1984年)などベスト盤類に収録。1970年、シングル・リリース。 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012年06月16日
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稀代のメロディメイカー、ジェフ・リンの本領発揮作 洋楽(ロック・ポップス)の世界でメロディメイカーと言えば、誰を思い浮かべるだろうか。筆者は、トッド・ラングレンもしくはジェフ・リン、この二人が史上最強のメロディメイカーと言えるんじゃないかと思っている。 そのジェフ・リン率いるグループで、1970~80年代に人気を博したのが、E.L.O.ことエレクトリック・ライト・オーケストラ(Electric Light Orchestra)である。E.L.O.がレコード・デビューしたのは1971年。当初はストリングスを加え、クラシック的な要素を取り入れたユニークさが特徴であったが、70年代後半以降はシンセを多用した楽曲アレンジを得意とし、人気を博した。当初はロイ・ウッドとジェフ・リンの、いわば双頭体制であったが、ロイ・ウッドの脱退(1972年)の後は、ジェフ・リンが中心となり、ビートルズ的なポップな要素が次第に増していった。 この経緯でジェフ・リン中心のバンドになっていた点は、賛否両論あるかもしれないが、ある意味において成功だったように思う。その“ある意味”というのは、何よりも、冒頭に述べたジェフ・リンのメロディメイカーとしての素質が開花し、聴衆に受け入れられたことにある。 そもそもE.L.O.の起こりは、ポップ音楽の中にアンサンブルを持ち込むという実験的プロジェクトだった。クラシックよりからアプローチしようとしたロイ・ウッドとロック側から他ジャンルを取り込もうとしたジェフ・リン。どちらがよいかはともかく、クラシカルな味わいを消化しきったロック/ポップ音楽としてのE.L.O.のスタイルがいよいよ確立されてきたのが、1976年のこのアルバムの頃だった。そして、その完成度は翌年の『アウト・オブ・ザ・ブルー』、79年の『ディスカヴァリー』へとさらに精度を上げていくことになる(『ディスカヴァリー』以降は、楽器編成上の変容を遂げるが、これはまた別の機会に触れたい)。 ともあれ、本作はE.L.O.の勢いを決定づけるヒットとなった。アルバム自体は全米5位、全英6位を記録し、彼らにおって初のプラチナ盤となった。収録曲からは、4曲がシングル発売された。アルバム・リリース直後に6.「オーロラの救世主(Livin’ Thing)」、翌77年になってから、3.「哀愁のロッカリア」、8.「ドゥ・ヤ」、2.「テレフォン・ライン」がシングル・カットされた。うち6.(全米13位、全英4位)と2.(全米7位、全英8位)が目立ったセールスを記録した。 聴きどころは、全体通じてのジェフ・リンのポップ・センス/メロディメイカーとしての本領発揮という点だが、曲単位での個人的好みを挙げると、何よりもシングルヒットの2.「テレフォン・ライン」。ただし、一本調子のアルバムではないので、しっとり目の2.がアルバム全体のトーンというわけではない。他のシングルを引き合いに出すと、3.「哀愁のロッカリア」や8.「ドゥ・ヤ」のように勢いのいい曲もあれば、6.「オーロラの救世主」のように、ジェフ・リンらしさ全開の中庸なノリのポップ曲も含まれている。曲調にヴァラエティを持たせながら、全体のセンスは統一されているとでも言えばいいだろうか。 ところで、アルバム邦題の『オーロラの救世主』は収録曲6.の邦題(「オーロラの救世主、原題:Livin’ Thing」)から採られたもの。対して本来のアルバムタイトル『A New World Record』は、邦題と原語では食い違って、収録曲4.の副題(「ミッション、原題:Mission(A New World Record)」)である。そして、この“ア・ニュー・ワールド・レコード”というのは、録音当時オリンピックが開催されていた(1976年はモントリオール五輪)ためとも言われる。後年、ジェフ・リン本人の言葉によれば、“各曲が浮かび始め、しかもそのほとんどはあっという間に自分の中ででき上がっていった”と述べていることからして、次々に曲作りが進んだという点でも“世界新記録”の気分だったのかもしれない。 ちなみに、2006年の再リリース(筆者所有はそれ以前の盤なので未聴、下記商品リンクはこの再リリース盤)では、2.「テレフォン・ライン」の別ヴァージョンやインストヴァージョンなどを含め、6曲(うち4曲はそれまで未発表の蔵出し音源)が追加収録されている。[収録曲]1. Tightrope2. Telephone Line3. Rockaria4. Mission (A New World Record)5. So Fine6. Livin' Thing7. Above The Clouds8. Do Ya9. Shangri-La1976年リリース。 【送料無料】[枚数限定]オーロラの救世主/エレクトリック・ライト・オーケストラ[CD][紙ジャケット]【返品種別A】【smtb-k】【w2】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012年06月13日
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端正なギターが光るジェフ・ベックによるトリビュート盤 ジェフ・ベック(Jeff Beck)という人は、端正なギター演奏をするプレーヤーとの印象を持っている。ハードな曲を演奏をしても、ジャズ的なフレーズを弾いても、いい意味でも悪い意味でもピタッときまっている。好きな人にとっては、当然ながらそこが魅力の一つだし、その隙のなさに馴染めなくてファンじゃない人もいるのではないかと想像する。極端な論としては、彼の弾くギターは機械みたいだという批判がこれに該当する。けれども、当たり前ながら、ジェフ・ベックが機械でもロボットでもない。人間味溢れるルーツの一端を披露してくれたのが、この『クレイジー・レッグス(Crazy Legs)』という1993年のアルバムではないかと思う。 ジーン・ヴィンセント&ヒズ・ブルー・キャップスというのは、1950年代のロカビリー・バンドで「ビー・バップ・ア・ルーラ」(この曲はジョン・レノンの『ロック・アンド・ロール』所収のバージョンでも有名)のヒットで知られる。本作『クレイジー・レッグス』は、このバンドに敬意を表し、ジェフ・ベックが“ビッグ・タウン・プレイボーイズ(The Big Town Playboys)”と共に吹き込んだものである。そのようなわけで、本盤は、ジーン・ヴィンセントとブルー・キャップスに捧げられたアルバムである。ベック本人いわく、とりわけその初代ギタリストであったクリフ・ギャラップへのトリビュート盤であると言う。 アルバム名義からわかるように、ビッグ・タウン・プレイボーイズなるイギリスのR&B/ロカビリー・バンドとの共演。そのメンバーは、マイク・サンチェス(ヴォーカル、ピアノ)、イアン・ジェニングス(ベース)、エイドリアン・アトリー(リズムギター)、クライヴ・ディーマー(ドラム)、レオ・グリーン(テナーサックス)、ニック・ラント(バリトンサックス)。ちなみにサックスとピアノは特定の曲のみで演奏されている(9.、12.)。また、これらメンバーやそれ以外が曲によってはバッキング・ヴォーカルを務めている。 結局のところ、ここでジェフ・ベックとビッグ・タウン・プレイボーイズが演っているのは、黎明期のロックンロール/懐古的なロカビリーそのものである。初めてこのアルバムを聴いたとき、筆者は、直感的に“ジェフ・ベックはふざけているのか”、あるいは“思わず調子に乗り過ぎたのか”と思った。“ギターにまたがる金髪おねーちゃん”のジャケットがその印象に拍車をかけたことは言うまでもない。けれども、本人はいたって大まじめだったようだ。若き日の彼を強くインスパイアーした上述のギタリスト、クリフ・ギャラップへのトリビュートで、カヴァー曲集というよりはコピー曲集といった方がいいような内容。そしてそのギター演奏が何とも生き生きしている。タイミングよくびしっと決まったジェフ・ベックのギターリフと、ツボを押さえたマイクのヴォーカルがうまく絡んでいる。 当然のことながら、これぞジェフ・ベックの代表盤という風には言えないけれど、ジェフ・ベックを“冷たい人間”と勘違いしている人には特に必聴のアルバム(!?)と言えるかもしれない。聴いていて何とも気持ちよくさせられるお勧めの一枚。[収録曲]1. Race With The Devil2. Crusin'3. Crazy Legs4. Doble Talking' Baby5. Woman Love6. Lotta Lovin'7. Catman8. Pink Thunderbrid9. Baby Blue10. You Better Believe11. Who Slapped John?12. Say Mama13. Red Blue Jeans And A Pony Tail14. Five Feet Of Lovin’15. B-I-Bickey-Bi-Bo-BO-Go16. Blues Stay Away From Me17. Pretty Pretty Bady18. Hold Me, Hug Me' Rock Me1993年リリース。 Bungee Price CD20% OFF 音楽Jeff Beck ジェフベック / Crazy Legs 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2012年06月11日
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愛しの名曲たち(1) 主に70年代に活躍し、数多くのヒットを残したカーペンターズ(Carpenters)。兄リチャードと妹カレンによるこのポップ・デュオは、1969年にデビューし、70年代に数多くのヒット曲を残した。80年代に入り、勢いは衰えるものの、摂食障害で1983年にカレンが死亡した後も、リチャードは編集盤や未発表音源の編集を続け、人気を博している。活動停止後のシングルのヒット・チャート上昇、90年代~00年代のコンピ盤の異常な多さはその人気が息の長いものであることを裏づけている。 さて、彼ら兄妹の代表曲は何かと問われると、選択肢が多過ぎて、正直、即答に困る。実際、ヒット曲を編んだベスト盤類も、上述の通り多数に及ぶ。そんな中で筆者がわりによく聴いたベスト盤はというと、活動当時に出された『ザ・シングルス』(1969-1973の1枚目と、1974-1978の2枚目がある)、それからカレンの死後まもなく出された2枚組の『イエスタデイ・ワンス・モア』。いずれも、カセットテープの頃によく聴いたアルバムである。数年前、この後者の方をCDで入手し、久々に落ち着いてシングル曲のオンパレードをベスト盤で聴ける環境になった。そこで今回の記事を思い立ち、何回シリーズになるかは分からないけど、不定期でカーペンターズのシングル曲を取り上げたい。 ひとまず第1回は、カーペンターズのデビュー・シングルとなった「涙の乗車券(Ticket To Ride)」。よく知られているように、原曲はレノン=マッカートニー(実質的にはジョン・レノン)作のビートルズの有名曲。ビートルズは1965年に9枚目のオリジナル・シングルとしてこの曲をヒットさせており、カーペンターズはこれをリメイクして1969年のデビュー曲とした。 大きな特徴は次の二点と言える。一つは、テンポが大幅に落とされ、バラード調な雰囲気になっていること。ドラムを叩きつつ、カレンはビートルズのヴァージョンのようにアップテンポで攻めるのではなく、しっとりと歌うという選択をとった。もう一つの特徴は、歌詞の内容が、女性が歌う仕様に若干変更された点。具体的には、歌詞の中の“girl”が“boy”に、“she”が“he”に変えられると言った変更が加えられている。 結局、この曲のチャート上の反応はいまいちで、全米チャートでは54位どまりに終わっている。けれども、詞を明瞭かつきれいに歌いこなす抜群の歌唱は既に完成されており、音楽シーンがロックな方向性を強める中、内容の良しあしとは裏腹に、簡単にはチャート・アクションに反映されなかったというところだろうか。 ちなみに、グループ(デュオ)名は、“カーペンターズ”で、A&Mの契約時に、兄妹は定冠詞の“The”をつけない(つまり、The Carpentersではない)という選択をしたとのこと。その理由は後に兄リチャードが“ザ・~ズ”じゃない方がカッコいいと思ったからと述べている。 ともあれ、カーペンターズの栄光の足跡はここから始まった。 [収録アルバム]Carpenters / Offering(後にTicket To Rideと改題) (1969年)その他、Carpenters / Yesterday Once More (ベスト盤、1984年)などベスト盤類に収録。1969年、シングル・リリース。[関連記事リンク]愛しの名曲たち(2)~「遥かなる影((They Long To Be) Close To You)」へ 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012年06月09日
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INDEXページを更新しました。 本ブログにはINDEXページを設けています。凝ったものではありませんが、ジャンル毎にアーティストのアルファベット順で過去記事をリンクにしたものです。お気に入りのアーティスト、アルバムなどを探し、古い記事に行けますので、お時間のある方はぜひお試しください。 INDEXページへの入口は、下のリンクのほか、本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)にもあります。 アーティスト別INDEX~ジャズ編へ アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-L)へ → つづき(M-Z)はこちらです。 アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナーをクリック!(1つでもありがたいですのでお願いします!) ↓ ↓ にほんブログ村 : 人気ブログランキング:
2012年06月08日
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ロッドの大ヒットの陰で…B・シーガーの「ダウンタウン・トレイン」 90年前後のロッド・スチュワートの話(前回記事の『ヴァガボンド・ハート』)となると、彼がトム・ウェイツの曲を歌って大きくヒットさせた「ダウンタウン・トレイン」を思い出さずにはいられない。 このロッドのレコーディングおよびシングル・ヒットと同時期、この同じ曲をレコーディングした別のロック系アーティストがいた。どうやらロッドのカヴァーが先に発表されてヒットしたことで、そのヴァージョンを出しそびれたようなのだが、その不運な役回りになったのが、デトロイトを象徴するアメリカン・ロックの雄、ボブ・シーガー(Bob Seger)である。 ボブ・シーガーは、くしくもロッド・スチュワートと同じ1945年生まれ。前回記事に書いたように、この頃のロッド・スチュワートがヴォーカリストとしていい感じの円熟具合を見せていたのと同様、この同じ時期のボブ・シーガーも実によい円熟具合を見せており、『ザ・ファイアー・インサイド』(91年作)などは、その典型例だと思う。 今回はそのボブ・シーガー・ヴァージョンの「ダウンタウン・トレイン」をお聴きいただきたい。まずは、オリジナルの(ロッド・スチュワートのヒットと同じ時期の)音源から。ロッドのものに比べ、同じようにロック調アレンジではあるが、トム・ウェイツのオリジナル・ヴァージョンに近い感じの雰囲気が残されている。レコーディング・ヴァージョン: もう一つは昨年(2011年)のライヴ映像より。すっかり白髪の老人のようなルックスになったものの、ハートの熱さは相変わらず。年齢を重ねて60代後半になっても、力のこもった歌いっぷりに好感が持てるように思うのは、筆者だけではないだろう。11年ライヴ映像: 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012年06月05日
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類まれなるシンガー二度目の充実期 ロッド・スチュワート(Rod Stewart)は、1945年生まれのイギリス出身のロック・シンガーで、独特のハスキー・ボイスで多くの人々を魅了してきた。彼は、ジェフ・ベック・グループやフェイセズを経てソロ・シンガーとしての名声を確立していった。とりわけ日本では[セイリング」のヒットで知られ、1970年代後半が彼の絶頂期ということになるが、筆者としてはもう少し違う受け止め方をしている。 私的にはロッドの充実期は二度あった。1回目はソロ・デビュー後の70年代前半から70年代半ばを過ぎる頃までである。作品で言えば、『ガソリン・アレイ』から、上述の「セイリング」を収めた『アトランティック・クロッシング』あるいは『ナイト・オン・ザ・タウン』あたりである。 そして、2回目のロッドの充実期は1980年代後半から1990年代に入る頃までだったと考えている。アルバム・タイトルで言うと、『ロッド・スチュワート(Every Beat of My Heart)』、『アウト・オブ・オーダー』、『ヴァガボンド・ハート』といった頃に相当し、トム・ウェイツをカヴァーしたシングル曲「ダウンタウン・トレイン」もこの時期に含まれる。前年に亡くなった父親に捧げたという本盤『ヴァガボンド・ハート(Vagabond Heart)』は、この時期を締めくくる集大成的アルバムであるというのが筆者の認識である。 とにかく曲とヴォーカルの質が高い。1.「リズム・オブ・マイ・ハート」や5.「ホエン・ア・マンズ・イン・ラヴ」はロッドの本領発揮のヴォーカルで、70年代のセクシーさは弱まっているが、その分、自信たっぷりの円熟ぶりがよい。ついでながら言っておくと、その“円熟ぶり”はまだまだ勢いのある円熟ぶりであった。やがて2000年代にザ・グレイト・アメリカン・ソングブック集というアルバム群をリリースするに至るが、この頃になると甲状腺癌の手術による影響もあってか、勢いは失われていってしまう。それに対し、この頃のロッドは円熟の境地に入りつつも、まだまだ勢いがあるヴォーカルを見せていた。その一方で、6.「ユー・アー・エヴリシング」や12.「イフ・オンリー」のようなバラード調も相変わらずの名唱であるが、注目を引くのは、カヴァー曲。そもそもロッド・スチュワートはカヴァー曲も多くヒットさせている人である。10.「ハヴ・アイ・トールド・ユー・レイトリー」はヴァン・モリソンの曲。また、3.「ブロークン・アロウ」は、元ザ・バンドのロビー・ロバートソンの曲だが、ロバートソンの元のヴァージョン(彼名義の1987年のセルフ・タイトル盤に収録)の数倍カッコいいと個人的には思う。 他に注目をひくところでは、4.「イット・テイクス・トゥー」は、ティナ・ターナーとのデュエットで二人の掛け合いがスリリングなのがいい。とまあ、この勢いで曲を思い浮かべていくと、全曲に触れなければならない勢いなのだが、実際、捨て曲のない、ロッド・スチュワートの長いキャリアの中でも名盤に含まれる作品だと思う。 ちなみに、日本盤は13曲入り仕様になっているようである(筆者の手持ちは発売当時の輸入盤)。この場合は12.がヒット曲(トム・ウェイツのカヴァー曲)の「ダウンタウン・トレイン」、本来の12.が13曲目になっているようだ。[収録曲]1. Rhythm of My Heart2. Rebel Heart3. Broken Arrow4. It Takes Two5. When a Man's in Love6. You Are Everything7. The Motown Song8. Go Out Dancing9. No Holding Back10. Have I Told You Lately11. Moment of Glory12. If Only1991年リリース。 Rod Stewart ロッドスチュワート / Vagabond Heart 輸入盤 【CD】 【中古】【CD】ロッド・スチュワート/ヴァガボンド・ハート 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012年06月02日
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女性版ツェッペリン? いやいや、見事な消化ぶりの好盤! アンとナンシーのウィルソン姉妹を中心としたバンドのハート(Heart)。デビューは1976年だが、バンド名やメンバーを変えながらもその10年程前から地道に活動を続けていた。デビューからしばらく、80年代半ばに大きく方向性を変えるまでのハートは、レッド・ツェッペリンに強く影響された“ハード・アンド・メロウ”な音楽性で人気を集めた。 デビューから現在まで既に35年。長く活動するなかで、当初のハートから80年代半ば以降はポップな方向性に、さらに21世紀に入ってからはバンドというよりは姉妹のプロジェクト的な性格を強くしながら現在に至っている。これだけ長くやっていると、どの時期のハートがよいかという話になりがちだけれど、筆者は初期の硬派なハートも好きだし、80年代の売れ筋も、その後もそれぞれに気に入っている。その中で、今回は初期の代表的作品である1977年のセカンド作、『リトル・クイーン(Little Queen)』を取り上げたい。 ツェッペリンの影響と言うと、とってもハードな音楽をやっているのかと誤解する人もいるかもしれないが、その当時のハートの音楽は、結構アコースティックである。これはハートの誤解とツェッペリンの誤解、二重の誤解が含まれる。 まず、レッド・ツェッペリン(参考記事『IV』)は、単なる“ハード・ロックなバンド”ではなかった点。実際には、レッド・ツェッペリンとは、フォーク・トラッドな音楽性に強く裏打ちされたハード・ロックなバンドだったのである。その誤解を払しょくした上で、ハートの音楽はどうだったのかと言うと、ツェッペリンの影響は濃いが、決してそのコピーとか、それを真似た“女性版”というのではなかった。アコースティックな部分を強く残しながらその上にハードな音楽が乗っかってくる。この特性を見事に消化した結果が、当時のハートの特徴であり、独自の消化の仕方をしていたからこそ、単なるまねごとやコピーに終わらない魅力を持てたんだと思う。 いちばんの聴きどころは、この時期のハートを象徴するナンバーで、本アルバムからの最初のシングルにもなった1.「バラクーダ」。リフといい、ハーモニクスの部分といい、とにかくギターがカッコイイ。だが、忘れてはならないのは、上で述べたアコースティックな部分。多少とっつきにくいかもしれないが、インスト曲の3.「森の詩(Sylvan Song)」から4.「狩人の夢(Dream of the Archer)」なんかは、そのよさが存分に出ていると思う。ほかにもお勧めの曲は複数含まれるが、あと2つだけ挙げると、ロック調ナンバーとして1.に次ぐ佳作の5.「キック・イット・アウト」、少し趣向の異なるところでは、小気味よい曲のキレが印象的な8.「セイ・ハロー」。 ちなみに、筆者は未聴だが2004年の再発盤では2曲のボーナス曲が追加された。1曲は本盤の2.のデモ・バージョン、そしてもう1曲は、アン名義で発表された「天国の階段(Stairway To Heaven)」のカバーだ。結局、ツェッペリンで購買意欲を誘うのか、と思うと微妙な気持ちになるけれど、ハートがツェッペリンをカバーした時の素晴らしさ(繰り返し言うが、コピーとして素晴らしいのではなく、ツェッペリンの音楽を自分たちのものとして消化している点が素晴らしい)ときたら見事なわけで、それはそれでいいのかもしれない。[収録曲]1. Barracuda2. Love Alive3. Sylvan Song4. Dream of the Archer5. Kick It Out6. Little Queen7. Treat Me Well8. Say Hello9. Cry to Me10. Go On Cry1977年リリース。[関連過去記事リンク] ツェッペリンを消化し、血肉としたアン・ナンシー姉妹 ~その1~(Heart / Rock And Roll) ツェッペリンを消化し、血肉としたアン・ナンシー姉妹 ~その2~(The Lovemongers / Battle of Evermore) 【Aポイント+メール便送料無料】ハート Heart / Little Queen (w/Bonus Tracks) (輸入盤CD)【YDKG-u】 下記ランキングに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2012年06月01日
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