ぐぅみぃ

ぐぅみぃ

Sep 23, 2003
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
今日は美香子の一周忌だ。

一年前の今日、美香子は亡くなってしまった。
一年前、子供達の運動会の翌日、家族で穏やかな休日を過ごしていた。
車が汚れていたので、近場の洗車場に家族で向かった。
あたしは車を運転し、夫はバイクを運転し、子供達はそれぞれの自転車に乗って。

家族4人で騒ぎながら、とても爽やかな秋晴れの中、車を洗い、バイクを洗い、自転車を洗っていた。
不意に携帯電話が鳴った。
弟からだった。弟から電話が来ることなど滅多に無い。

「…高坂さんが亡くなったんだ」
と言う。
信じられる筈もなく、聞き返した。
でも弟も
「亡くなったんだ」
と繰り返すだけ。
動揺しながら事の次第を確かめるべく、
「どうして?何が原因で?」
と尋ねるが、弟も
「解らない。
 高坂さんのお姉さんから電話が有って…お姉さんも動揺してるし…」

あたしはその後、電話を切ったのだろう。そのあたりは全く記憶に無い。
夫に向かって
「友達が死んじゃったの」
と告げたように思う。
とにかく車を洗い終わって、帰宅しないといけなかった。他に色んな情報が入る筈だから。

今は車を洗わないと。
そう思った。

「大丈夫か?」
と、夫に声を掛けられた。
あたしは洗車のシャワーを出しっぱなしで握りしめ、立ち尽くして居たらしかった。

*****************************

美香子は中学一年の一学期、あたしとあたしの双子である弟が転校した先の札幌市内の中学校で知りあった。
中一の頃は、あたしが美香子と同じクラスだった。
弟とあたしは離れた場所にいても、同じような事の起こっていることが多く、部活やクラブ活動や委員会などが、示し合わせていなくても一緒になることが多かった。
中二になって図書局員となり、委員会活動に出向くと、そこには違うクラスで選出されて来た美香子と弟の顔が合った。
そこから始まった。半永久的な付きあいとなって行く、十数名との出会いが。

美香子は優しかった。大人だった。我慢強かった。
一見地味なようだけれどカンは鋭く、人の心を驚くほど見抜いていた。
当時思春期真っ盛りのあたしには、彼女に見透かされることがカンに触ることも有って、彼女の前では強がっていた。

中学三年になっても、あたしたち十数名は同じ委員会活動を続け、卒業後も連絡を取り続けた。
彼氏や彼女が出来たり、就職や進学があったり、結婚や転勤があったりで、それは折々に姿を変えながらも続いていった。

20代で結婚したあたし達が子育てに追われている頃も、独身札幌在住組は「別口」で遊んでいたらしい。
弟と美香子は高校だけで無く大学も一緒で、しかも同じく「小学校教師」となったから、共通の話題も多かったようだ。
子育てに追われている頃は誰もが思うことだろうが、あたし達は
「子供の手が離れたら、またみんなで遊ぼうね♪」
と、言い続けていた。
だけど、あたし達が子育てが楽になって来た頃、美香子は結婚し、そしてママになった。
毎年あたしが帰省して、仲間内で集まって、そこに美香子の姿の無いことが多かった。
「子供の手が離れたらね」
と、今度は美香子がそう言っていた。

昨年のお正月、ついに美香子は「飲み会」に出てきた。
下の子がまだ十ヶ月だと言っていた。一歳足らずの愛らしさを、皆で語り合ったっけ。

*****************************

帰宅すると留守電が点滅していた。
普段は連絡する事など滅多に無い、札幌の着信ばかりだ。

普段は皆の「妹的存在」で、甘えてばかりで何もしないミドリが、しっかりした口調で電話を掛けてきた。
病名も葬儀についても、みどりは克明に話す。弟とはエライ違いだ。
同じ立場でありながら、みどりに励まされ、しっかりしなきゃと思った。
友達が亡くなっても、あたしが「二児の母」であることには変わりない。自失してる訳にはいかない。

遠いけれど、子供達の問題もあるけれど、どんな事をしてでも葬儀に出ようと決心した。
美香子が結婚したとき、あたしは次男を出産したばかりなのを理由に、披露宴を欠席した。
この「葬儀」は、美香子の最後の「式」だから、それにだけは絶対に出席したいと思った。

*****************************

今日は若い正社員のYさんが
「エクセルって解んな~い!」
と、困り果てて言っていた。
「あたしが勤め始めた頃なんて、Windousなんて言葉もありませんでしたよw」
と笑って言うと
「あーそっかぁ♪」
とウケて居た。
みんなそれぞれ、辛いことや悲しいことなんて、口にしたり顔に出したりしていない。
どんな世代にだって、胸に秘めた苦しい事は有るはずなんだ。
でも、あたしが彼女の年齢の頃には、美香子は確かに生きていた。
そんなどうしようも無いことを、若い彼女の笑顔を見ながらこっそり思った。
持っている過去の時間の少なさを、今日は羨ましく感じてしまう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Sep 23, 2003 06:55:52 PM
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Comments

maguro2002 @ Re:日記4(03/03) しばらくです~~~ 元気でしたか? た…
ぐぅみぃ @ Re:ごぶさたです~~(07/11) >maguro2002さん おひさしぶりで…
maguro2002 @ ごぶさたです~~ お元気でしたか? 函館もツユみたいな、…
きらり510 @ こんにちは。 読ませていただきました。 またお邪…
ぐぅみぃ @ Re:県立前期。(02/01) 連絡有り! 無事終了です。 やはり願書…

Favorite Blog

みやりんファミリー たけジジおくちゃんさん
まいにち まいにち… maguro2002さん

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: