てにをは

2006.08.28
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 自分そうやっていつもカリブーを待っていた。
老人と同じくらい、何週間も同じ場所で待っていたことがあった。ツンドラの彼方からその大群が現れたとき、震えるような感動があった。
が、それは老人が見たカリブーではない。
飢餓に襲われ、死期がもう目の前まで迫ったとき、原野の果てからやってきたカリブーをぼくは知らない。
きっと、老人が見たものはカリブーというものではなく、もっとぼんやりとした、自分自身とカリブーとの境も消えた大きな生命のながれのようなものではなかったか。

                   星野道夫「新しい旅」より





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Last updated  2006.09.06 09:30:00
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