《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2011.06.11
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 福島第一原発の事故が「リーマン・ショック」と重なって見える。ふたつの出来事は共通の問題を抱えているという気がするのだ。その問題とは「リスク」である。小手先の策でリスクを小さく見せても本質的な解決にならないことをふたつの出来事は明確に示している。

 世界でもトップクラスの金融機関と考えられていたリーマン・ブラザーズが倒産(破産法第11条の適用を申請)したのは2008年9月15日のこと。サブプライム・ローン(アメリカの低所得者向け住宅ローン)という仕組みが破綻し、その影響で経営不振に陥ったと言われている。

 サブプライム・ローンとは、「最優遇(プライム)」の「下(サブ)」の貸し付けということになるが、要するに高利の融資。問題の取り引きは不動産にからんでいる。通常なら住宅を買うことが難しい低所得者に高い金利でカネを貸し、そのカネで住宅を購入させていたのだ。

 勿論、そんなことをすれば借金地獄に陥ることは明白。暴力的な手段を使わない限り、返済能力のない人たちから貸したカネを回収することは困難だ。つまり、貸し倒れになる可能性が高く、ビジネスとして成立するようには見えない。この問題を解決したのが「上がり続ける相場」という神話だ。

 相場が上がれば不動産の担保価値が膨らみ、さらに融資を受けることができ、消費に使える。つまり価格が上昇し続ければ担保価値は膨らみ続け、限りなく消費することができるということになる。マルチ商法と同じ理屈。

 貸し手は債権を細かく区分けし、CDO(債務担保証券)と呼ばれる証券を作成、その証券を投資銀行へ売却し、投資銀行はそれを組み替えてヘッジ・ファンドへ売り、さらに「カネ余り」の投資家へ転売するという流れになっている。債務不履行になった場合に代弁済するため、モノライン(証券保険専門会社)も用意された。

 こうした仕組みでリスクを「無視できるほど小さく」するので安心だというのだが、相場が大きく下がれば成り立たない。値下がりが始まると売りが売りを呼び、システムは一気に崩壊する。相場が下がれば担保価値は収縮し、借金地獄が始まるわけだ。

 安全装置を幾重にも組み込んだところで、全てが壊れれば意味がない。計算上、リスクを小さくしても本質的な解決にはなっていないということだ。これは原発の問題と同じである。

 投機と同じように、原発は現実から乖離したマネーゲームという側面があるのだが、このゲームは庶民から富を搾り取ることで成り立っている。投機市場や原発利権が儲かるのは莫大な資金が流入しているからで、その源泉は庶民の懐。ゲームが破綻すれば、庶民が尻ぬぐいさせられる。



 こうした事態を招いた原因を考えると、「強欲」を善とする考え方がある。ウォール街やシティ、あるいは原子力村の住民が自らの強欲さを反省するとは思えない。彼ら個人ではなく、社会全体が「強欲」から「助け合い」へ考え方を戻さない限り、人類に未来はない。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011.06.11 14:44:25


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: