《櫻井ジャーナル》

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2011.08.26
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 NATO軍、つまりイギリスを中心とする侵攻軍はリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制を崩壊させることに成功、石油利権をめぐって「西側」企業の動きが活発化しているようだが、まだ戦闘は続き、フランスとイギリスの間で主導権争いが演じられているようにも見える。

 イタリアのジャーナリスト、フランコ・ベキスによると、リビアの内乱は儀典局長を務めていたノウリ・メスマリが昨年10月にパリへ亡命したところから始まるのだが、途中から主役はイギリスへ移っている。

 そうした主役の交代を象徴するような出来事が7月の終わりに起こっている。反政府軍の司令官を務めていたリビアの元内相、アブデル・ファター・ユニスが暗殺されたのである。その直前、暫定国民評議会の内部で解任劇があり、ユニスも粛清されていた。

 暗殺時にユニスは逮捕されていたのだが、誰が逮捕を命じたのかは明らかでない。この人物はフランスのエージェントだったとも言われているのだが、内乱劇の序章がパリで始まったことを考えれば、納得できる。

 こうしたフランスの動きをイギリスは座視していなかった。実際に内乱が始まった直後の3月2日、イギリスは2名のMI6(対外情報機関/正式にはSIS)オフィサーと6名のSAS(特殊部隊)隊員で編成されたチームをヘリコプターでリビア東部へ潜入させていたが、その後もイギリスは工作を続け、SASの隊員がリビアに潜入して活動していた可能性があると、5月31日付の デイリー・メール紙 は伝えている。

 ユニスを暗殺したのはムスリム同胞団だと信じられているのだが、この組織が創設される際、スエズ運河会社から資金が出ていることは本ブログでも指摘してきた。暗殺の内幕は不明だが、少なくとも表面的にはフランス系の要人がイギリス系の組織に消されたと見える。

 この解任劇のころから イギリス はトリポリ攻略作戦の準備を始めていたようで、数週間をかけて武器、通信機器、そして精鋭部隊をトリポリに送り込み、首都攻撃作戦も最終的にはMI6が作り上げ、さまざまなアドバイスをしていたという。そして、蜂起の合図は評議会のムスタファ・アブド・アル・ジャリルがテレビで行ったスピーチだったとされている。



 イギリスは8月中に首都を攻略したかったので積極的に動いたという話もあるが、それはともかく、カダフィ政権を倒したのはイギリスを中心とする外国の勢力だということは間違いない。つまり、NATO軍(イギリス軍)は今後、治安維持のために地上軍を派遣しなければならず、簡単に引き上げることもできないということになる。現在、 アラブ風の服を着たSASの隊員がカダフィ狩りをしている ようだが、それでカダフィ派を完全に押さえ込めるかどうか疑問だ。

 しかも、現在、反政府軍にはアル・カイダと親密な関係にあるLIFG(リビア・イスラム戦闘団)が存在している。状況によっては、リビアがアル・カイダ化しないとも限らない。姿を消しているカダフィ派がゲリラ戦を始める可能性もある。石油利権に浮かれていられる状況だとは思えない。イギリスにとってはリビア国内よりアフリカ中南部の利権が問題なのかもしれないが。





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最終更新日  2011.08.26 16:37:32


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