《櫻井ジャーナル》

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2011.09.02
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 まだリビアは内戦状態だ。NATOと反カダフィ軍(アル・カイダを含む)の連合軍が優勢ではあるが、カダフィ軍は降服せず、殺し合いが続いている。そうした中、「西側」はシリアを次のターゲットに定めて動き始めた。すでにシリアも内戦状態で、多くの死傷者が出ていると伝えられている。シリア内戦も単純な「民主化運動」ではなく、西側の思惑が強く反映されている。

 現在、シリアの大統領はバシャール・アル・アサド。アメリカのバラク・オバマ大統領やヒラリー・クリントン国務長官などはアサド大統領に対して退陣を求めているのだが、シリアの体制転覆を目指す秘密工作をアメリカ政府が本格化させたのは、遅くとも2005年のことである。 米国務省がシリアの反体制派に資金を提供していたことを示す外交文書 が存在するのである。

 この件についてはすでに本ブログで取り上げているので詳細は割愛するが、シリアの反体制派は「MEPI(中東協力イニシアティブ)」や「民主主義会議」なる組織を通してアメリカから資金を得ているという。アメリカの外交文書によると、2005年から10年までに1200万ドルが流れている。

 2005年といえば、イラクからサダム・フセインを排除してシリアとイランに矛先を向けた頃。レバノンでは、この年の2月には大きな出来事もあった。ラフィク・ハリリ元レバノン首相が暗殺されたのである。国連国際独立委員会のデトレフ・メーリス調査官は早い段階からシリアの情報機関が犯行の黒幕だと決めつけ、別の可能性を示す証言や証拠を無視していた。

 2005年12月にはアブドゥル・ハリム・カーダム元シリア副大統領がハリリ暗殺とアサド大統領とを結びつける発言をしているが、このカーダムを中心とする勢力はパリを拠点として反政府運動を展開してきた。カーダムと並んでシリアの反体制派として注目されているのは、バシャールの伯父にあたるリファート・アル・アサドを中心とする勢力だ。ムスリム同胞団の存在も無視できない。

 2005年10月にメーリス調査官はこんなことを言っている:「ラフィク・ハリリ元首相の殺害がシリアの治安機関幹部の許可なく、またレバノンの治安機関内部の共謀なしに実行されることはありえないと信じる有望な根拠がある。」

 とにかくシリアが怪しいと言っているだけだが、このメーリスが行った調査は杜撰で、例えば、暗殺に使われたとされている三菱自動車製の白いバン(キャンター)がどのように調達されたかも明確にされていない。2004年10月12日に日本の相模原で盗まれ、アラブ首長国連邦のドバイを経由してベイルートに運ばれたというのだが、その間に誰がどのようにして運んだのかは示されていないうえ、本来の所有者が誰なのかも不明だ。

 メーリス調査官が採用した証人の信頼度に疑問を投げかける人も少なくない。例えば、ドイツのシュピーゲル誌によると、同調査官の重要証人であるサイド・サディクは有罪判決を受けた詐欺師であり、この人物を連れてきたのはシリアの反体制派リファート・アル・アサドだというのだ。サディクの兄弟によると、メーリスの報告書が出る前年の夏、サイドは電話で自分が「大金持ちになる」と話していたという。



 また、アーマド・アブ・アダスという人物が「自爆攻撃を実行する」と宣言する様子を撮影したビデオをアルジャジーラは放送しているのだが、この人物が本当に実行犯ならばメーリス調査官のシナリオは崩壊する。そこで、アブ・アダスが途中で自爆攻撃を拒否したのでシリア当局に殺されたということにされた。

 ヒズボラの指導者、 ハッサン・ナスララー は今年の8月9日、暗殺前にイスラエルのスパイ機がハリリについて調べていることを示す映像などを公表し、イスラエルが暗殺に関係していることを示唆しているとしている。

 実は、アル・カイダのメンバーが2006年にハリリを暗殺したと証言している。2005年12月と翌年1月にアル・カイダのメンバー11名をレバノン当局が逮捕、いずれもすぐに暗殺を認めたと報道されているのだ。

 後に「拷問による自白」とされたが、この拷問話に疑問を持つ人は少なくない。逮捕した内務省の幹部にとってアル・カイダが実行したとする話は都合が悪く、実行者にしかわからない情報が含まれ、調書を読んでも拷問があったとは思えないということだ。

 それでも国連の調査はアル・カイダに関する情報を無視する一方、2007年にリチャード・チェイニー米副大統領(当時)はジョージ・W・ブッシュ米大統領(同)に対してシリア爆撃を進言した。この話はチェニーが自叙伝の中で明らかにしている。





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最終更新日  2011.09.02 21:40:56


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