《櫻井ジャーナル》

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2013.03.26
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 バシャール・アル・アサド体制の破壊を目指しているアル・カイダ系のカーン・アル・アッサルが化学兵器で攻撃したとシリア政府は3月19日に発表、国連に対してすみやかに調査するように要求した。また、反体制派が化学兵器を使用したという情報をシリア政府から得ているとロシア外務省は発表、懸念を表明した。

 反政府軍は政府軍が使用したと反論しているが、双方の言い分を比較すると シリア政府の説明に説得力 がある。つまり、反政府軍が使った可能性が高い。ただ、強力な化学兵器が使われたわけでなく、塩素をベースとした物質が小型ミサイルで撃ち込まれたのだろうと言われているが。

 アサド体制を転覆させるプロジェクトが動き始めたのは2年前の春で、その当初からトルコにある米空軍インシルリク基地で反政府軍の兵士は訓練を受けてきた。教官はアメリカの情報機関員や特殊部隊員、あるいはイギリスとフランスの特殊部隊員だとされている。サウジアラビアやカタールは傭兵を雇い、武器を提供してきた。

 その当時、北アフリカのリビアでもイギリス、フランス、アメリカ、サウジアラビア、カタールなどの国々が アル・カイダの加盟組織LIFG を利用し、ムアンマル・アル・カダフィ体制を倒そうとしていた。

 カダフィ体制が2011年8月に倒れ、11月にNATOは戦闘の終了を宣言したが、その直後、ベンガジの裁判所にアル・カイダの旗が掲げられ、その様子は YouTube にアップロードされ、「西側」の メディア も伝えている。それを無視したメディアには説明責任がある。

アル・カイダの戦闘員は、武器を携えてシリアへ移動 するのだが、その際にリビア軍の兵器庫から武器を持ち去ったと言われている。また、 マークを消したNATOの輸送機もリビアからトルコの基地まで武器を運び、反シリア政府軍に渡された ともいう。このときに化学兵器がシリアへ運ばれた可能性がある。また、欧米諸国の中には、 トルコやヨルダンで反シリア政府軍に化学兵器の扱い方を教えた とも報道されている。

 シリアの場合、ロシアがNATOや湾岸産油国の軍事介入を阻止、アル・カイダを中心とする傭兵も時を経るに従って嘘と残虐さが広く知られるようになり、体制転覆はいまだに実現していない。そこでイギリスやフランスは反政府軍への武器提供を公言、アメリカでは「化学兵器」を軍事介入の口実にしようと活動している議員も多い。しびれを切らしたのか、イスラエルもシリアを空爆している。

 今回の化学兵器騒動はこうした軍事介入派にしてみると、絶好のチャンス。何とかして軍事介入に漕ぎ着けたいと思っているようだが、当然、ロシアはそれを察知し、国連に対して速やかに中立的な調査団を派遣すべきだと主張している。

 リビアとシリアに対する姿勢を見ると、アメリカよりもイギリスやフランスが攻撃的であり、アメリカではネオコンが積極的な姿勢を見せている。リビアの場合、アフリカを経済的に統一し、金貨ディナールで貿易を決済しようとしていた。欧米の金融支配からの自立を目指そうとしたのだ。その中心がリビアのカダフィだった。

 しかも、アフリカ諸国は中国をはじめとするBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)との関係も強めていた。ブラジルを含むラテン・アメリカ諸国もベネズエラのウゴ・チャベスを中心にアメリから自立しつつあり、中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンの6カ国で構成されるSCO(上海協力機構/上海合作)も影響力を強めている。つまり、アフリカ、中央アジア、ラテン・アメリカが結びつき、欧米の支配から脱しようとしていたわけだ。

 リビアへの攻撃は、こうした欧米からの自立を目指す動きを破壊することが主な理由のひとつ。チャベスの急死も欧米、特にアメリカの支配層にとって千載一遇のチャンスだ。

 BRICSやSCOに加盟している中国が経済的にアメリカとも深く結びついていることは事実だが、中国へ圧力を加えるベクトルも働いている。そうしたベクトルのひとつがTPP。これは決して「自由貿易」を目的とする協定ではない。

 例えば、ISDS条項によって企業活動や金融システムに対する規制、食糧の安全、環境汚染の防止、労働者の権利保護などを各国の政府や議会が決めることは困難になる。環太平洋をアメリカ資本の「領地」にしようとしているのだ。

 それだけでなく、NAFTAをEUに拡大しようという計画もある。アメリカを中心とする欧米の巨大資本が世界を支配しようとしている・・・そう考えざるをえない。TPPもそうだが、人の生活、命に関わるルールを国、つまり庶民から取り上げ、大資本のカネ儲けという尺度で全てを動かそうとしている。



 ところで、キプロスの経済的な混乱を引き起こした原因のひとつは、アメリカの傀儡だと言われるニコス・アナスタシアディスが大統領に選ばれたこと、そしてアメリカの軍産複合体の代理人として活動してきたクリスティーヌ・ラガルドがIMFの専務理事に就任したことだと言われている。記憶している人も多いだろうが、ラガルドの前任者はドミニク・ストロス・カーン。セックス・スキャンダルで失脚した人物である。

 日本でも国、社会、そして自然を破壊しようとしている「親米エリート」がいる。そうした人びとに限って「愛国」とか「道徳」とか言いたがるものだ。自分たちにないものを看板に掲げている。





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最終更新日  2013.03.27 05:11:41


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