《櫻井ジャーナル》

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2014.08.08
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカは侵略国家である。現実を直視すれば、そう言わざるをえない。植民地やファシズムに反対したフランクリン・ルーズベルト、あるいはソ連との平和共存を訴えたジョン・F・ケネディは例外的な大統領であり、巨大資本からは嫌われた存在だった。集団的自衛権の行使を認めるということは、そのアメリカの戦争マシーンに組み込まれて侵略に荷担することを意味する。

 第2次世界大戦後、アメリカでは情報操作のためのプロジェクト(モッキンバード)を開始、ウォーターゲート事件で有名になったカール・バーンスタインによると、1970年代にCIAのために働いていたジャーナリストは400名以上だという。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)

 1980年代から報道機関を巨大資本が支配するようになり、気骨ある記者は排除されるなど状況はさらに悪化、21世紀に入るとプロパガンダ一色になる。その一方で憲法は機能を停止、社会はファシズム化が急速に進んだ。現在のアメリカは民主主義国家とは言えず、メディアは言論の自由を放棄している。

 にもかかわらず、民主主義と言論の自由がある「西側」と独裁体制の「東側」という冷戦時代に刷り込まれたイメージから未だに抜け出せず、何度も騙されている「リベラル派」や「革新勢力」がいる。一種の保身術なのかもしれないが、そうした姿勢では結局、侵略戦争を推進するだけのこと。

 アメリカの戦争マシーンを動かしている戦略は、 1992年に書かれたDPG(国防計画指針)の草案(ウォルフォウィッツ・ドクトリン) に基づいている。潜在的なライバルを潰し、資源を支配し、「唯一の超大国」として世界を制覇しようというのだ。

 アメリカと安全保障条約を締結している日本もアメリカに連動して変化、1990年代に集団的自衛権へ向かって動き始めている。水面下の動きは不明だが、始まりは1995年にジョセフ・ナイ国防次官補が公表した「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」だと言えるだろう。

 1996年には「日米安保共同宣言」が出され、安保の目的が「極東における国際の平和及び安全」から「アジア太平洋地域の平和と安全」に拡大、97年にまとめられた「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」では、「日本周辺地域における事態」で補給、輸送、警備、あるいは民間空港や港湾の米軍使用などを日本は担うことになり、99年の「周辺事態法」につながる。

 この「周辺事態」とは、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」を意味し、「周辺」は「地理的なものではない」。つまり、世界中に展開する可能性があるということ。2005年になると「日米同盟:未来のための変革と再編」が締結され、日本は「日米共通の戦略」に基づいて行動するとされた。



 ウォルフォウィッツ・ドクトリンが作成される前年、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官はシリア、イラン、イラクを殲滅させると語ったという。これは ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官の話 だ。実際、2003年にアメリカは軍事侵攻、サダム・フセインを抹殺した。

 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターにそびえていた超高層ビル2棟に航空機が突入、同時に国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたが、間髪を入れずアメリカ政府は「アル・カイダ」が実行したと断言、そのアル・カイダと敵対関係にあったイラクを先制攻撃するという意味不明のことをしている。

 その意味不明の軍事行動を日本では政府もマスコミも賛成、戦争に反対する人びと、開戦の障害になりそうな人びとを激しく批判した。テレビに出演している人の中で唯一抵抗していた橋田信介は2004年5月、甥の小川功太郎と一緒にイラクで殺されている。

 2001年の終わりにジョージ・W・ブッシュ政権下の国防総省では、イラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンを攻撃する計画を作成していたと クラーク元最高司令官は語った

 また、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは ニューヨーカー誌の2007年3月5日号 で、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアはシリアとイランの2カ国とレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を開始したとしている。

 ウォルフォウィッツ・ドクトリンはソ連消滅、ロシア乗っ取りを受けて作成されたわけだが、その後、ロシアは「西側」の傀儡を追い出して再建、アメリカの強力なライバルになっている。中国も同じだ。あくまでこのドクトリンを実現しようとするならば、ロシアと中国を敵に回して戦争しなければならなくなる。日本が戦う相手は中国になる可能性が高いだろうが、そのときはロシアも敵側。その戦争では核兵器が使われると考えなければならない。集団的自衛権とは、そういうことだ。





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最終更新日  2014.08.09 03:08:51


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