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2014.09.23
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カテゴリ: カテゴリ未分類
アメリカ軍が親米イスラム国を引き連れてシリア領内を空爆

 攻撃のターゲットはIS(イスラム首長国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)の拠点で、B-1爆撃機のほか、F-22、F-16、F-15、F/A-18などが参加、紅海から巡航ミサイルも撃ち込んだと報道されている。サウジアラビア、ヨルダン、バーレーン、アラブ首長国連邦も参加したという。アメリカをはじめ、攻撃したのはISを創設、支援、訓練してきた国々だ。攻撃情報がIS側へ流れていたとしても不思議ではない。

 こうした国々はシリアのバシャール・アル・アサド体制を倒そうとしてきた。体制打倒のプロジェクトを顕在化させた2011年春、トルコにある米空軍インシルリク基地でアメリカの情報機関員や特殊部隊員、あるいはイギリスとフランスの特殊部隊員らが訓練していたのはFSA(自由シリア軍)。この戦闘集団もシリア国民に支持されていたわけでなく、体制転覆は実現できなかった。

 同じ頃、リビアでは アル・カイダ系のLIFG(リビア・イスラム戦闘団) がNATOの地上軍としてムアンマル・アル・カダフィ体制の転覆を目指していた。LIFGの創設は1995年だが、その中核メンバーは1980年代にアフガニスタンでアメリカ政府の傭兵としてソ連軍と戦っていた。

 リビアではNATOの空爆が実現、LIFGとの連携で2011年10月にカダフィの殺害に成功してプロジェクトは一段落、武器や戦闘員の多くはシリアへ移動した。その際、 マークを消したNATOの輸送機が武器をリビアからトルコの基地まで運んだ とも伝えられている。

 リビアから武器を運び出す拠点になっていたと言われているのがベンガジのアメリカ領事館。2012年9月に襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使を含むアメリカ人4名が殺された場所だ。そこから流れ出た武器の一部がISへ渡ったことをアメリカ空軍のトーマス・マキナニー中将も認めている。



 AQIが作られたときのリーダーはヨルダン出身のアブ・ムサブ・アル・ザルカウィ。ソ連軍が撤退した後にアフガニスタンを訪れ、そこでサウジアラビアの富豪一族に産まれ、アル・カイダの象徴的な存在になるオサマ・ビン・ラディンと知り合ったとされている。

 このアル・カイダとは、 ロビン・クック元英外相も言っているように、CIAが雇い、訓練した数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル(データベース) にほかならない。なお、この事実を新聞に書いた翌月、クックは保養先のスコットランドで心臓発作に襲われて死亡している。享年59歳。

 ビン・ラディンと同じようにザルカウィもCIAとつながりがあるわけだが、この人物は2006年に殺され、アブ・アブドゥラ・アル・ラシド・アル・バグダディとエジプト在住のアブ・アユブ・アルーマスリが引き継ぐ。このふたりは2010年にアメリカとイラクの軍事作戦で殺され、現在はアブ・バクル・アル・バグダディ(イブラヒム・イブン・アッワード・イブン・イブラヒム・イブン・アリ・イブン・ムハマド・アル・バドリー・アル・サマライ)が率いているとされている。

 2013年にジョン・マケイン上院議員がトルコからシリアへ密入国して出席した会議には、FSAのイドリス・サレム准将やISのアブ・バクル・アル・バグダディも同席していたとされている。FSA、IS、そしてネオコンは会議に同席するような関係にあるわけだ。

McCain-IS

 今回、アメリカ軍が本気でISを攻撃したとしても、アメリカ政府にはサマンサ・パワー米国連大使のように、バシャール・アル・アサド政権を倒すことが目的だと公言する人物がいる。これはマケインやイスラエル政府と同じ姿勢であり、今回の空爆を突破口にしてシリア攻撃、体制転覆を実現しようと目論んでいる可能性が高い。

 この攻撃の中、イスラエル軍がゴラン高原でシリアの戦闘機を撃墜したと報道されている。イスラエルがシリア軍機を撃ち落としたのは1980年代以降、初めてのことだ。





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最終更新日  2014.09.23 22:49:31


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