《櫻井ジャーナル》

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2015.10.20
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シリアの領空を侵犯しようとしたイスラエルの戦闘機をロシアの戦闘機が10月18日に要撃、追い返した

 今回は偵察飛行だったとされているが、イスラエル軍はこれまでIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、ダーイシュなどとも表記)などシリアの体制転覆を目指す戦闘集団を助けるため、政府軍側に対する空爆を繰り返してきた。

 例えば、 今年1月18日にはISを追い詰めていたシリア政府軍とヒズボラの部隊を攻撃してイラン革命防衛隊のモハメド・アラーダディ将軍を含む幹部を殺している 。イスラエルが負傷した反シリア政府軍/ISの兵士を治療しているとも伝えられている。

 1991年12月にソ連が消滅、翌年の初めにアメリカの国防総省では世界制覇を目指すビジョンを描いた。アメリカを「唯一の超大国」と位置づけ、潜在的なライバルを潰すと同時に新たなライバルを生み出すエネルギー資源が眠る西南アジアを制圧しようと考えたのだ。そして DPGの草稿 が書き上げられる。その作成で中心的な役割を果たしたポール・ウォルフォウィッツ国防次官の名前から「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。

 この草稿を危険視する人が政府内にもいたようでリークされ、書き換えられたが、その考え方は生き残る。2000年にネオコン系シンクタンクPNACが「米国防の再構築」というタイトルの報告書を発表しているが、その考え方は「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」に基づいている。

 DPGはウォルフォウィッツのほか、I・ルイス・リビーやザルマイ・ハリルザドらが書いたようだが、PNACの報告書の執筆陣の中にもウォルフォウィッツとリビーは含まれている。そのほか、ウクライナのクーデターを現場で指揮していたビクトリア・ヌランド国務次官補の結婚相手であるロバート・ケイガン、イラクへ軍事侵攻する前に偽情報を流していたOSPの室長だったエイブラム・シュルスキー、さらにステファン・カムボーン、ウィリアム・クリストルといったネオコン/シオニストの大物たちが名を連ねていた。2001年にはじまるジョージ・W・ブッシュ政権はこの報告書に基づく政策を打ち出していく。

ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカの先制第1撃で破壊できる と書いている。

 ロシアをイスラエルも軍事的に締め上げようとする。例えば、 2001年からイスラエルのガル・ヒルシュ准将が経営する「防衛の盾」がジョージア(グルジア)へ予備役の将校2名と数百名の元兵士を教官として送り込んで訓練、その一方で無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなども提供 した。ロシア軍のアナトリー・ノゴビチン副参謀長によると、 イスラエルの専門家は2007年からジョージアの特殊部隊を訓練し、重火器、電子兵器、戦車などを供給する計画 を立てていたという。

 2001年は歴史の大きな転換点だった。この年の9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたのだが、それから間もない段階でドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンを攻撃することを決めている。そして2003年、ジョージ・W・ブッシュ政権はイラクを先制攻撃、サダム・フセイン体制を倒した。

 2003年にはジョージアで「バラ革命」があり、アメリカ支配層を後ろ盾とするミヘイル・サーカシビリが実権を握り、04年から05年にかけてはウクライナでも同じことが行われ、やはりアメリカ支配層を後ろ盾とするビクトル・ユシチェンコが大統領に就任した。両政権は新自由主義的な政策を推進、富が一部の人間に集中して「オリガルヒ」と呼ばれる富豪が誕生、その一方で庶民は貧困化していく。

 WikiLeaksが公表した文書によると、2006年にアメリカ政府はサウジアラビアやエジプトと手を組み、宗派対立を煽ってシリアを不安定化させる工作を始め、 2007年3月5日付けニューヨーカー誌に掲載されたシーモア・ハーシュのレポート によると、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの「三国同盟」がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始した。その中でサウジアラビアと緊密な関係にあると指摘されているのがムスリム同胞団とサラフ主義者。この延長線上に2011年に始まったリビアやシリアへの軍事侵略はある。(下へ続く)





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最終更新日  2015.10.20 21:46:02


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