《櫻井ジャーナル》

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2017.07.08
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カテゴリ: カテゴリ未分類
ドナルド・トランプ米大統領とウラジミル・プーチン露大統領はG20出席するためにドイツを訪問、ふたりは7月7日に会談した。アメリカ国内ではアメリカとロシアとの関係修復を嫌う勢力がバラク・オバマ政権の時代から有力メディアを使い、ロシアを「悪魔化」するキャンペーンを展開してきたが、予想以上に友好的な雰囲気で始まった。今回の会談を壊すことはできなかったようだが、アメリカとロシアとの間で軍事的な緊張が高まっている状況に変化はない。

ところが、その宣伝をしていた有力メディアのひとつ、CNNのプロデューサーなどロシアの選挙介入を宣伝していた人々の本音をプロジェクト・ベリタスというグループが隠し撮りで撮影、自分たちの番組がインチキだということを語らせている。( ココ ココ ココ ココ )また、 CNNをチャカしたGIF がインターネットに流れるとCNNはその制作者を特定、脅して逆に問題化した。隠し撮りされたプロデューサーは視聴率のために偽報道をしていると口にしているが、その視聴率はここ1カ月の間に急落している。

CNNと同じようにアメリカとロシアとを対立させようとしている ワシントン・ポスト紙 はすでに「ロシア疑惑」のキーパーソンがジョン・ブレナン前CIA長官やジェームズ・クラッパー元国家情報長官だということを明らかにしているが、このふたりは公的な席で嘘をついてきたことで有名。自分たちの報道が信頼できないことを自らが明らかにした。



サウジアラビア国内が不安定化した最大の理由はムハンマド・ビン・サルマン皇太子の好戦的な戦略。この人物はネオコン/イスラエルの強い影響下にあり、リビアやシリアだけでなくイエメン侵略も主導したと言われている。経済的には新自由主義に心酔している。

リビアやシリアの侵略には手先としてサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心に編成された傭兵集団、つまりアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を使っていたが、こうした武装勢力はロシア軍が介入してから敗走、総崩れの状態。

そこでアメリカ軍がその幹部を救出していたが、ダーイッシュを率いているとされるアブ・バクル・アル・バグダディは5月28日にロシア軍がラッカ近くで実施した空爆で殺害された可能性が高まっている。

次のリーダーはサダム・フセイン時代にイラク軍の軍人だった人物だとも噂されているが、その一方、バグダディの死を口にしたダーイッシュの幹部が拘束、あるいは処刑されているという情報を流れている。アル・バグダディの死は侵略軍の内部を動揺させているからだと見られている。

さまざまなタグをつけたアル・カイダ系武装集団にしろ、ダーイッシュにしろ、アメリカ、サウジアラビア、イスラエルと中心とする勢力の傭兵にすぎない。ひとつのプロジェクトが駄目になったら、別のプロジェクトを始めるだけいのことで、実際、シリアでもそうしたことが試みられているが、そうしたことが行われても、アメリカ側が厳しい状況にあることには変化がない。

これまでサウジアラビアと一緒に傭兵を雇っていたカタール、あるいはシリアを侵略する拠点を提供してきたトルコが侵略勢力から離脱したことも侵略勢力にはダメージだった。シリア周辺の拠点はヨルダンとイスラエルくらい。そうした状況に対処するため、アメリカ軍はクルド軍を支援するだけでなく、自国の特殊部隊や海兵隊を地上部隊として投入、シリア政府軍の進撃を止めようとしている。

それに留まらず、アメリカの好戦派はシリア領内に侵入させた地上部隊、地中海や周辺国に配置した戦闘機などを使ってアメリカ軍/NATO軍にシリア政府軍を本格的に攻撃させようとしている。そのために流されているのが「政府軍による新たな化学兵器の使用」というプロパガンダ。イラク攻撃の前に宣伝された大量破壊兵器の話と同じ。2013年にも同じようなことをしていたが、すぐ嘘だということがばれている。

それでもシリアを破壊した勢力は「政府軍による新たな化学兵器の使用」を演出、本格的な戦闘を始めると脅している。トランプもこれに同調するような発言をしていたが、プーチンとの会談でどうなるかが注目されていた。

アメリカ政府は証拠を示すことなく、シリア政府軍が4月4日に化学兵器を使ったと主張して4月6日夜に駆逐艦のポーターとロスから巡航ミサイルのトマホーク59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射させ、少なくとも数機は目標へ到達したと言われている。

しかし、4月6日早朝、マイク・ポンペオCIA長官はトランプ大統領に対してシリア政府側は化学兵器を使用していないと説明していたと伝えられている。攻撃の直後、 ロバート・パリー がCIAの内部情報として伝えたほか、6月25日に シーモア・ハーシュ

ハーシュによると、4月4日に聖戦主義者の幹部が会議を開くという情報をつかんだロシアとシリアは攻撃計画を立てたのだが、その内容をアメリカ側へ知らせている。CIAにも直接、ロシアから攻撃に関する情報が伝えられていた。そこでアメリカ側は攻撃前から監視していたはずで、CIAもシリア政府軍が化学兵器を使っていないことを知っていた。

この一件はCIAの内部にも危機感を呼び起こした可能性がある。事実に基づかずに戦争へ突入する危険性が高まったということだ。そしてまた、トランプ政権は「政府軍による新たな化学兵器の使用」を演出、本格的な戦闘を始めると脅していた。

それに対し、ロシア軍は6月23日に地中海の東側にいるロシア海軍の2フリゲート艦と潜水艦から発射された6機のカリバル巡航ミサイルでダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)の司令部や兵器庫を破壊、7月5日にはハマにあった侵略軍の司令部をTu-95長距離爆撃機から発射されたKh-101巡航ミサイルで攻撃した。カリバルとKh-101は新型兵器で、アメリカ軍が警戒している。カリバルは2015年にロシア軍が攻撃を始めて間もない頃、カスピ海に浮かぶ艦船から26機が発射され、1500キロメートル離れた11のターゲットへ正確に命中、アメリカ軍を震撼させた。

アメリカ支配層の内部で危機感が広がれば、ロシアとの戦争が回避できるかもしれないが、好戦派はそれを受け入れられないだろう。中東や北アフリカだけでなく、東アジアから南アジアにかけての地域でダーイッシュ的な武装集団を暴れさせるかもしれない。そうした兆候は見られる。





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最終更新日  2017.07.08 04:00:31


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