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著者の一連の超勉強法シリーズの集大成ではないだろうか。 日本の重い閉塞感や日本企業のパフォーマンスの低迷について、著者は「人材の劣化こそ基本原因であることを率直に認める必要がある」と言う。 この本で紹介されている様々なデータからそれは納得せざるを得ない。 残念な状況には違いないが、もしそうだとすると、我々一人ひとりがもっと勉強し、力をつけることで、閉塞感を破り日本を変えることができるはずだ。 著者が特に必要と考える英語、数学、問題解決法についてのアドバイスも参考になる。何より著者の「勉強」に対する哲学が熱く伝わってきて、勉強に対する意欲が沸いてくる。(この本を読み終えて、私はさっそく英語の再勉強をはじめた) 勉強に関心のあるすべての人に奨めたいが、特に若いビジネスパーソンや学生に読んで欲しい。 野口悠紀雄著 幻冬舎
2011/05/01
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こんな本を待っていた!お詫びやお礼、こんなときどう書く?頼みごとのとき、ちょっとした一言を添えたい、こんなときこの本の文例やヒントが役に立つ。文例はよくあるビジネス文書本と違って、センスと親しみを感じる。紙の選び方や文字を上手に見せるコツなど著者の親切心が詰まっている。ビジネスだけでなく、日常の生活や学生生活にも。文庫本なのもうれしい。(むらかみかずこ著 日経ビジネス人文庫)
2010/05/29
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「もしうまくいっているのなら、変えようとするな」「もし一度やって、うまくいったのなら、またそれをせよ」「もしうまくいっていないのであれば、(何でもいいから)違うことをせよ」この3つが解決志向ブリーフセラピーの中心哲学。それを軸にワークショップが展開される。それを本にしたもので、とても読みやすい。解決志向ブリーフセラピーとはどんなものか、それがどのようにクライアントに効くのか、そしてどうやるのか、それがわかりやすく紹介されている。ミラクルクエッションやスケーリングクエッションの失敗しないやり方などとても参考になった。著者のお二人のかけ合いもおもしろい。(森俊夫、黒沢幸子著 ほんの森出版)
2010/04/29
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オフビートの効いた時代小説中沢孝夫氏の「就活のまえに」という本の中で、学生に読ませる本の一部として、氏の推薦図書が紹介されていた。紹介されていた本は5冊だが、私はそのなかの一冊も読んでいなかった。この本はそのトップにあげられていたのと、著者の「たそがれ清兵衛」は好きなので、まずこれからと思って読んだ。読後感がしみじみとして、さすがにとてもよい小説だと思った。主人公の生き方や友情に感動する。特に主人公を慕う、ふくにこころを打たれた。文章がうまいのはもちろんだが、読んでいるとさまざまなイメージがうかんでくる。ドラマーの村上“ポンタ”秀一さんは、オフビートの大切さを説いているが、この小説はまさにオフビートが効いた小説だと思った。藤沢周平著 文春文庫
2010/03/28
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うつ病で会社を休まざるを得なくなった人の不安に懇切丁寧に応えている。例えば、リハビリ期に有効な方法として、身体活動量の客観的なチェックを紹介しており、そこでは、万歩計の選び方まで書かれている。このような具体的なアドバイスは特に一人でリハビリに励んでいる当事者の方にはありがたいものだと思う。当事者の方や家族はもちろんのこと、すべての支援者にもすすめたい。現役の精神科医だからこそ書ける善意に満ちた本。(吉野聡・松崎一葉著 秀和システム)
2010/03/19
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本屋さんでたまたま手にとって見てちょっと立ち読みしたところ、おもしろい。そのまま買って読んだ本。人間の気持ちや考えは、言語よりしぐさにむしろ正直に現れる。様々な実証例や写真などで納得できる。顔の表情より、手や足にそれは現れるというのは発見だった。非言語に注目することは、人とのコミュニケーションに豊かさと深さをもたらすと思う。ジョー・ナヴァロ他著 河出書房社
2010/03/14
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コミュニケーション力とはどんな力だろう。著者の藤巻幸夫氏は「より良い人間関係を形成できる力」と言い切る。なるほど!と思う。自分のとっているコミュニケーションが、相手が誰であろうと、良い人間関係につながっているか、その点から考えるようにしたいと思う。「コミュニケーションでいちばん大切なのはスキルではない、マインドだ」「コミュニケーションの場はもう与えられるものではない。あなた自身つくり出すものになる」「人と真剣にかかわろうとしている人ほど、挨拶を大事にしているもの」などうーんと考えさせられる。また、実践的なコミュニケーションの取り方や工夫も紹介されている。藤巻幸夫著 実業之日本社
2010/02/21
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文庫本で400ページ以上ある小説ですが、一気に読んでしまいました。定められた運命の中で、自らの生き方を選んでいく、主人公キャシー。そしてその友人たちとの関わりがとても丁寧に描写されています。静かでたんたんと流れる感じがありながら、スリリングで、悲しさや懐かしさ、希望などいろいろな感情が沸いてきます。深く、こころにジンとしみてきます。私自身の昔の友人たちのこと、そして、生と死について、考えさせられました。人は人の心の中で生きているのかもしれない、ふとそう思いました。カズオイシグロ著 早川書房
2010/01/30
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最近、単行本の新装版が出版されたが、私は絶版の文庫本をアマゾンで購入して読んだ。城山三郎が本田宗一郎に密着取材している。優れた経営者はたくさんいるが、私はその中でも、本田宗一郎はその発想力、人間性、先見性などから別格だと思う。この本のことばからもそれが十分感じ取れる。不眠がちだったということもこの本で知った。大胆でありながらも、細やかな神経の持ち主だったのだと思う。以下は、城山三郎との会話の中で、印象に残ったことばの抜粋です。「お互い、わかったというまで追い詰めてはいけませんね。人間関係すべてについて」「明日の約束をしないやつに、希望は沸いてこないんです」「会社は合理主義の権化かもしれんが、家庭とは非合理なものだ。非合理だから心が休まる」「(川を水質とか自然そっくりに作る。ただ何かが違う)」「洪水ですよ。年に1度か2度洪水を起こし、流れの石や岩をひっくり返して、ふだん落ちなかった汚れまで洗い落としてくれる。やはり洪水は必要」「人間にも会社にも洪水は必要」城山三郎著 講談社
2010/01/23
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著者はラグビーの平尾誠二氏と神戸大学の金井壽宏教授。お二人の対話の構成になっているので読みやすい。以前、平尾さんの講演を聞いたことがある。そのときに、「相手の受信機を高める」「効果的なアドバイスの方法」など、ひどく共感した記憶がある。この本にはその考えがもらさず紹介されている。おすすめ。平尾誠二・金井壽宏著 PHP出版
2010/01/17
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私は書評の類を読むことが好きです。著者の神田橋先生は、「追補 精神科診断面接のコツ」や「精神科薬物治療を語ろう」で知り、すごい洞察力とそれをことばにする力に惹きつけられました。なので、書店でこの本を見つけたとき、迷わず買いました。紹介されている本は精神医学・医療関係の本ですが、コメントにまた、吸い寄せられて、この本で紹介されている本をすでに3冊購入してしまいました。そしてその3冊はどれも期待以上のおもしろさで、それだけこの書評は私にとって価値がある本になっています。神田橋條治著 創元社
2010/01/09
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4年半の旅で取り続けたフランスの美しい村々の写真集青い空や海、美しい山々などの豊かな自然もすてきですが、個性豊かな住宅や開放感のあるカフェに惹かれます。私はフランスにいったことはないのですが、すみきった空気や香りまで伝わってくるかのようで、なぜかそこにいるような感さえ受けます。吉村和敏著 講談社
2010/01/03
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テーマは企業の中での学びと成長だと思いますが、読むとなにかやる気が出る本です。文献や研究の紹介も豊富です。例えば、共著の中原淳先生の実証研究の紹介で、日常業務において社員が大切にしているかかわり先として、もっとも回答が多かったのが、上司(ついで先輩、同期、後輩、顧客の順)にもかかわらず、上司からの内省支援(やる気を高める、自分自身を振り返る機会を与えてくれる、良いところを伸ばしてくれる)が少ない状況(つまりフィードバックが少ない状況)などが紹介されています。また、「同じ職場と社外にかかわり先をもっている若手、中堅は、成長感もモラールも高い」など興味深いデータが紹介されています。あと、研修のあり方やコーチングなども取り上げられています。中原淳・金井壽宏著 光文社新書
2009/11/15
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おすすめできるうつ病読本うつ病に関する本は非常にたくさんありますが、全般的な知識を、というときこの一冊だと思います。まず執筆人が良い。野村総一郎氏(基礎知識等)、秋山剛氏(働き盛りのうつ病)、井上和臣氏(認知療法)など。症状は典型的なうつ病から、双極性障害、非定型うつ病まで網羅し、治療法も薬物療法、認知療法、また、少しではあるが、通電療法、経頭蓋磁気刺激療法、断眠療法まで紹介されている。ページ数は100ページあまりで、図やイラストも多く読みやすい。かつ、内容は本格的なものだと思う。これ以上何を望む?(野村総一郎総監修 日本放送出版協会)
2009/05/30
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著者の津村記久子さんの本は今まで読んだことがなかったのですが、5月に掲載された日経新聞の彼女のインタビュー記事を読んでぜひ読みたくなりました。そのインタビューは、「人生の転機は突然やってきました」とミュージシャン中村一義さんのやはりインタビューを読んでから、本格的に小説を書くようになるまでの経緯が書かれていました。「才能の有無は意識しない」という、なにかふっきれたようなのびやかな印象にとても惹かれました。この本は時間があったのでちょっと立ち寄ったなんばのジュンク堂で先日、手に入れました。ラッキーなことにサイン本です。小説そのものも感情表現が細やかで、情景が思い浮かぶようです。中学生時代、主人公(?)のタケヤスの友人カジオが、老人の死亡に関わりがあったのではないかと商店街のメンバーから疑われます。タケヤスとその友人の妹で、「わたしらが思うことなんて、おとなにはどうでもいいんです」と話すアキとの公園でのやりたとりは胸にジンときました。一気に読みました。津村記久子著 朝日新聞社
2009/05/23
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いまや心理療法界を席巻している感のある認知行動療法。特にイギリスでは積極的な研究が進められており、著者も英国の有名な研究家。この本は対人恐怖(不安)とPTSDにフォーカスした認知行動療法を、そのワークショップから本にしており、わかりやすいというのが第一印象です。対人恐怖を持続させる要因として、1.社会状況→2.想定の活性化→3.(社会的危機に関する)自動思考→4.安全行動・不安、身体症状→5.自分自身に注意を向ける、という循環モデルが図で紹介されています。これを実際の例で当てはめると、1.スピーチやミーティング、他人に見られている作業など、2.他人の目を意識する、プレッシャーがかかる、3.「つまらないことを言っている」「役に立っていない」「ミスをしてはならない」、4.その状況を避ける、さっさと終らせる・ドキドキ、不安がますます高まる、5.他人に自分がどう見えているか、相手や対象に目が向かない、といった循環になりそうです。著者のクラーク氏は、まず、このモデルをクライアントに説明するそうですが、確かに納得感のあるモデルだと思います。この循環に介入することがこの認知行動療法のポイントになりますが、ビデオを使ったフィードバックや注意トレーニングなどが紹介されています。3.に対する思考記録表といった対応だけでないところが興味深く、注意トレーニングはいろいろ応用が利きそうなツールです。訳者の丹野、石垣両氏の解説による補完も理解を助けます。カウンセラーなど対人支援の臨床家にはおすすめの本だと思います。デイビット・M・クラーク、アンケ・エラーズ著 星和書店
2009/05/16
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圧倒的に不利な状況からリーダーはどのような戦略で巻き返し、逆転に持ち込んだか、有名な戦史から分析を試みている本。毛沢東の反「包囲討伐」戦、第二次世界大戦下のイギリスの対ドイツ「バトル・オブ・ブリテン」、ベトナム戦争など、がけっぷちからの反転の様子に引き込まれる。その中でも特に印象に残ったのが、エジプトのサダト大統領の限定戦争戦略だ。この戦争のねらいが、経済の立て直しと国民の尊厳回復にあったというところがとても興味深い。限定的に、できるだけ小さく、確実にやる。結果として手に入るものは、思いのほか大きいのだ、ということをこころにきざみました。野中郁次郎他 日経ビジネス人文庫
2009/05/09
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タイトル作品を含む短編が3つ。すべての働くひとに、という帯に惹かれて買った。どの作品も気持ちよく軽く、そして、何かこころにしみじみとひびく。タイトル作、やはり会社で親しい同期というのは、会社の付き合い以上の存在なのだと思う。すべてかなで書かれた「みなみのしまのぶんたろう」もおもしろい。繰り返して2回読んだ。これから社会に出て行く学生にもすすめたい。会社にはこんな世界もあります。と。絲山 秋子著 文春文庫
2009/05/03
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日本の優れた経営者の中でも、本田宗一郎氏は、別格であると思う。特に、ビジョンのスケールと現実主義のバランスにおいて。人間で手渡しした方が早いとして、コンベアをはずしてしまった話しや、いい工場かそうでないかを見分ける基準として、機械をそのまま使っているか、改造して使っているかにおいている話しなど、枠組みにとらわれない考え方がいたるところに現れている。ぼくの特に印象に残ったのは、「とにかく楽しみながら、どんな小さなことも観察していくこと」というくだり。「大きな故障ならシロウトでも発見でききるが、小さな故障は商売人でなきゃ駄目だ」「どこが悪いのかわからないというときには、(大がかりのジャッキとはいろんな道具でなく)、ドライバーとかスパナといった小道具ですんじゃう」その徹底した観察主義、現実主義に感心する。本田宗一郎著 PHP
2009/05/02
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優れたコーチングの本WBCで原監督率いる日本チームが見事優勝しましたが、この本の著者である渡辺久信氏が監督だったら、どんなチームをつくったか。とても興味があります。それだけこの本にはひきつけられます。著者は特に若い選手の力を引き出すことが巧みであると言われますが、この本を読むとそれがうなづけます。「とにかく、僕から話しかけること。それも『こまめに』『ちょこちょこ』です」「選手のメンタリティが変化しているからには、指導方法も変えていく必要があると思うのです」など、一般のビジネスでも当てはまるところがいっぱいあります。個々の選手の特徴を把握して、対応を変えているところ、目標を具体的に明確に伝えているところなども大いに参考になります。メンバーをまとめる立場にある人、指導する立場にある人に特にお薦めします。渡辺久信著 講談社
2009/04/12
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先日のサッカーアジア杯で日本がカタールと引き分けたとき、監督のオシム氏は、選手に対して、「おまえたちはアマチュア。おれはプロだから死ぬ気でこの試合にかけていたが、お前たちはそこまでいっていない」と激怒したとのこと。 その激しさに通訳の人が泣き出したらしい。 この本を読むと、オシム氏のこのようなことも、計算された行為であることがわかります。 その本では、選手の叱咤激励は細心の注意を払って行なっているということも良く理解できます。すごい人です。 (イビチャ・オシム著 新潮社)
2007/07/16
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新書版でとてもコンパクトな本ですが、メンタルヘルスについて、職場で気をつけたいポイントをわかりやすく解説しています。会社の人事部にいた頃読みたかったなぁと思います。著者の鈴木安名氏は産業医で職場の状況にも詳しく、アドバイスも実際的です。人事・総務担当者だけでなく、ラインの管理職にも是非、読んでほしい本です。企業でのメンタルヘルス研修も担当しておりますが、この本を参考にさせてもらっています。(鈴木安名著 労働科学研究所出版部)
2007/06/08
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かつて、出産では、十四、五人にひとりは、命を落としていた頃、母体を救う「回生術」をあみだした医師 賀川玄悦を描いた小説。母親の子どもへの愛情と、母体を救うということに執念をかけたひとりの産科医の姿が、リアルに描き出されている。この本を読むと、命の重みを感じないではいられない。人は生きているだけで価値があるのだ。全体に流れるのは、優しさだ。心が弱ったときにも読むといい。素晴らしい作品だと思う。(植松三十里著 講談社)
2006/09/23
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古本屋で目につき、購入。戦争前夜のまちの風景、50年代の東京、昭和のこどもたち、風貌、古寺巡礼、と土門拳の代表的な作品が納められており、何かとてもお買い得感があります。 私が特に好きなのは、こどもたちの写真です。 こどもの写真をとった写真家は多いし、多分傑作もいっぱいあるのだと思いますが、土門拳のとるこどもたちは、その中でも、イキイキ感、躍動感、群を抜いている感じがします。 「傘を回すこども」なんて、一回見たら、忘れることができません。 重森執氏が解説で、「こどもたちと土門拳には、距離感がない。たくみに彼は、こどものなかにとけこんでいくのである」 と書いています。 この本の終わりにアラーキーこと荒木経惟氏もコメントを寄せており、そこには「土門さんは、人間のおおもとを撮ろうとしている」と書いています。 そして、「こどもがすごくよく見えて、優しさに満ちている写真家」だと書いていますが、ほんとうにそのとおりだと思います。(京都文化博物館発行)
2006/09/10
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村上春樹の短編集5つの作品が収められている。テーマは、日常にある不思議な現象。著者自身の例として、ジャズピアニストのトミー・フラナガンが著者が心の中で望んだ二つの曲(かなりマイナーな曲らしい)を続けて、ステージの最後に演奏したことを書いている。私が特に好きなのは、「品川猿」という作品だが、どの短編もおもしろい。文章はやはりすごくうまいと思う。登場人物の台詞も魅力的だ。「かたちあるものと、かたちないものと、どちらか選ばなくちゃならないとしたら、かたちないものを選べ。それが僕のルールです」「女の子とうまくやる方法は三つしかない。ひとつ、相手の話を黙って聞いてやること。ふたつ、着ている洋服をほめること。三つ、できるだけおいしいものを食べさせること。それだけやって駄目なら、とりあえずあきらめた方が良い」「職業というのは本来、愛の行為であるべきなんです。便宜的な結婚みたいなものじゃなく」何度も読み返したくなる本。(村上春樹著 新潮社)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2006/08/10
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著者の大平健氏は精神科医。昔話、童話を治療に使うという。患者の疲れた心を癒すため。昔話や童話を語ると患者の目には少年少女時代と同じ輝きが戻ると言う。ねむりひめ、三ねんねたろう、ぐるんぱのようちえん、幸運なハンス、などなど実際に物語をとおして、患者が変わっていく姿が、描き出されている。ひきこもった青年に対して、著者は「三ねんねたろう」の話をして、次のように説明する。「人は一生の間内省的な時期と行動的な時期を交互に繰り返すものです。そのたびに人生に区切りをつけ新しい人生を歩むのです」「多くの人がとかく、悲しい目にあうと日常の活動でそれをまぎらわそうとします。内省的であるべき時期に行動に走ろうとするのです。それを防止するために多くの民族が長い喪の期間を定めています。人は新しい人生を生きるために、ときに内省的になる必要があるのです。失恋のあとや親しい人の死のあととは限りません。思い切った飛躍が必要なときはいつもその飛躍に備えなければならないのです」閉じこもった青年の引きこもりは、次の飛躍に備えてという意味が与えられている。物語が自分の物語になったとき、悩みの見方が変わる。とてもおもしろく、いっきに読んだ。(大平健著 新潮文庫)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2006/06/18
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創造的で偉大な心理療法家、ミルトン・エリクソンが、セラピストのために自宅で開いた教育セミナーを再現したもの。セミナーで語るエリクソンのことばや逸話はとても印象的で、惹き込まれる。「治療者は気候、天候を与えるだけである」。変化する力が患者の中に眠っていて、再び目覚めなければならないものであること、それを手助けするのが治療者の役目であることを気付かせてくれる。「ものを見るときは、じっと見なさい。患者の話を聞くときは注意深く深く聞き、その話の側面は何なのかを考えるようにしなさい」患者はひとりひとりが違い、患者を注意深く、じっとみることの大切さにがわかる。エリクソンが、ひとりひとりの患者のことを思うやさしさを感じることができる。具体的なノウハウを教えている本ではないですが、読むことによって、治療者にとってほんとうに大切なことが、知らずと育まれてくるような感じがします。500ページを越え、安くない本ですが、底知れぬ価値を持った本だと思いました。(ジェフリー・K・ゼイク著 星和書店)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2006/05/21
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コーチングの推薦本の中で、ビジネスコーチングの本が多くあげられている中で、ある方がこの本がを推薦していたので、読んでみた。薄くコンパクトな本だが、読んでみて驚いた。もし、人々のモチベーションを高め、勇気を奮い立たせることがコーチングだとすれば、この本は間違いなく、第一級のコーチングの本だ。著者は中学時代に全日本に選ばれるほどの将来を嘱望された野球選手だったか、高校で肩を壊し、コンディショニングの世界に入った人。バッファローズ、マリーンズのコーチを経て、メッツで日本人初のメジャーリーグのコーチを経験。本では、野球の話が多いが、ビジネスをはじめ、野球以外でも参考になることがたくさん紹介されている。「心が動いた人間は成功する」「納得すれば今の若者は伸びる」「指導者はとしては、『なぜ?』と訊きやすいように常日頃から努めないといけない」などは本当にうなずける。また、「メジャーのコーチの仕事の八割は、選手のモチベーションを上げること」とも書いている。経験絶対主義に疑問を投げかけ、日本のプロ野球の問題点も率直に指摘している。ただ、日本の素晴らしい監督、選手も紹介されており、特に仰木監督のすごさがよくわかる。仰木監督、近鉄バッファローズ、当時のメッツ、著者の親友たちへのオマージュにもなっており、感動的だ。「私たち指導する側の人間は、育て上げることは不可能なのだ。育つのは若者たち自身。そのための助走がうまくいくようにし、同じ目線に立って伴奏するのがコーチ、指導者の役目ではないだろうか」私がこの本で特に好きな言葉だ。自動車評論家の徳大寺有恒氏が以前、エンジニアが渾身の力を込めてつくった車を「性根の座った車」と表現していた。もし、性根が座った本があるとすれば、まさにこの本もそうだ。(立花隆司 講談社)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2006/03/01
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ユーザーの立場に立ったわかりやすいマニュアルをどう作っていくか、それを教えてくれる本。第3章「わかりやすい文」は特に参考になります。「~的」「~性」「~化」は使わない、文語調は口語調に言い換える(新たに→新しく)、漢字とかなの使い分け、接続詞の使い方など、わかりやすい文にするためのノウハウが、こと細かく紹介されています。わかりやすいマニュアルをつくるためのノウハウ本ですが、全体に「はじめにユーザーありき」の芯が通っているすごい本です。そしてこの本自体がとてもわかりやすい。マニュアル作りだけでなく、あらゆる文章作りに参考になる本です。この本は、最近、梅田のジュンク堂で手に入れましたが、出版社では品切れのようです。(テクニカルコミュニケーション研究会編 日経BP出版センター)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2006/02/25
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ここで紹介されている3分間セラピーは、アルバート・エリス博士による論理療法に基づいたもので、明瞭で、シンプルなエクササイズで、最大の恩恵を得ることができると言います。感情は、出来事に基づくものではなく、出来事に対する捉えかた(思考)からきているものとする考え方です。従って、捉え方を変えることが、解決に結びつくとするものです。解決のヒントは、その人が持つ「~すべき」「ねばならない」に対して、合理的に反論すること。例えば、請求書の処理を先延ばし行動をしているベティという女性については、「私は疲れている。請求書を処理するのは簡単であるべきだ」→反論「請求書を処理するのはなぜ、簡単でなければならないのか。簡単でなければならない理由はない。私は疲れているけれど請求書に向き合う」様々な状況で使える考え方だと思います。例えば採用の面接でも、「面接ではうまくしゃべれなければならない」「面接官は私を評価すべきである」など。これらは非合理的な考え方であり、面接を非常に窮屈なものにしてしまう可能性があります。この場合、「面接ではうまく話ができるにこしたことはない」というように、考え方を少し変えるだけで、気持ちにゆとりができそうです。臨床心理士である著者のエデルシュタイン氏が「痛み無くして得るものなし」と書いているように、論理療法は、その人の持つ、考え方や信念に真っ向から挑むカウンセリング技法という印象があります。(この本で柔道に例えているところがありますが、私にはK1のような迫力を感じます)様々な事例を紹介しながら、論理療法の有効性をわかりやすく紹介してくれている本です。(エデルシュタイン&スティール著 誠信書房)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング*この本は、プロコーチの野口嘉則さんのブログで以前、紹介されていたので、読んでみたものです。(野口さんのブログは、大変勉強になります)
2006/02/05
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著者は次の3つの条件が当てはまる人にこの本を書いたと言っています。1.夢や希望を持ち、その実現に向かって行動している人、あるいは、その第一歩を踏み出そうとしている人2.好きな仕事ができ、心の豊かさを保てるだけの「ほどほどの」収入を確保したい人3.雇われることなく、雇うことなく、自分のスタイルで仕事をしたい人この条件に当てはまる人にとっては、知りたいことがわかる、痒いところに手が届くと言った感じの、素晴らしく実践的な本だと思います。スマートな見積もりの出し方から、名刺やホームページについて、経理について、など、どれもとても参考になります。また、自宅のイスの選び方など、便利で快適な仕事空間のつくり方を紹介しているところは、想像するだけで、楽しくなります。(思わず、この本で紹介されていたメーカーのカタログをもらってきた)この本で特に共感できるところは、「ひとり仕事人、はひとりぼっちではない」「豊かな人間関係は、仕事が生まれる場として、お互いが切磋琢磨しあう場として、よきパートナーと出会う場としても、非常に大切です」というところです。著者は、リクルート出身で、2000年に独立され、「働き方・学び方・遊び方」をテーマに執筆活動を展開されている方です。また、この本は、多くの「ひとり仕事人」の方々、ライターや出版プロデューサー、弁護士、コンサルタント、編集者、漫画家、デザイナー、キャリアカウンセラー、コーチなどなど、の協力を得て出来上がったということです。(中本千晶著 バジリコ)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキングこちらのブログもつくりました。よろしくお願い致します。ことばとみかた研究所
2006/01/13
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ブリーフセラピーの解決志向モデルとは、その人がかかえる問題そのものに焦点をあてるのではなく、例外状況(クライエントがうまくやっていること)や解決後の未来を描き出すことで、クライエント自身が解決の主体となっていくモデル。非常にシステマチックでスマートなセラピー、というのがこの本を読んでの印象。この本で特に心がひかれたのは、実際にブリーフセラピーで活躍している臨床家によるケース(10ケース)の紹介。治療によるクライエントの変化の様子が印象的である。ケースで紹介されていたセラピストが「解決志向アプローチにおいてセラピストは診断名や病態水準に左右されることはありませんが、どうやってクライエントと協同できるか、そこに細心の注意を払います。どんなに小さなこともでも、クライエントと協同できることを見つけることができればそこを拡大していく」というところにも大いに共感した。このモデルについて、もっと勉強してみたい。(宮田敬一編 金剛出版)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキングこちらのブログもつくりました。よろしくお願い致します。ことばとみかた研究所
2006/01/08
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この本は、ひろくん1956さんのプログの紹介記事で興味を持ち、読んでみたものです。外国人力士は、他のスポーツ選手と比べて、日本語が確かにうまいと感じる場面があります。プロ野球選手はヒーローインタビューで、「さいこーやーっ」など少し話してくれるくらいですし、ジーコ監督が日本語で話していることをほとんど聞いたことはありません。一方、外国人力士は、インタビューなどで非常に流暢に日本語を話しています。それどころか、この本によると、標準語と関西弁を使い分けることができる力士もいるとのことです。なぜ、外国人力士が日本語がうまいのか、この本はそのことを明らかにし、日本語を学ぶ外国人や外国語を学ぶ日本人の参考になるよう書かれています。取材やインタビューなどを通じて、強い学習意欲、目標言語に漬け浸ること、ハングリー精神などが、上達のポイントとして紹介されています。私が著者の考えで興味深かったのは、「番付と日本語能力は比例する」というものです。強い責任感や自覚のせいだという。著者は、当時、幕内に上がったばかりの朝青龍に注目し、インタビューしています。日本語を覚えようとする努力や気配りなど、土俵とは違った面を感じさせてくれます。(宮崎里司著 明治書院)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキングこちらのブログもつくりました。よろしくお願い致します。ことばとみかた研究所
2005/12/23
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著者のマーク・ピーターセン氏は、アメリカのウィスコンシン州出身で日本文学を専攻。現在は、明治大学の教授。この本で著者は、冠詞や前置詞、完了形、関係詞、接続詞など、日本人が弱点としがちなところについて、どのように理解すれば良いか、どのように直せば良いか、英文例をあげながら、とても丁寧に教えてくれている。私が特にいいなあと思うのは、英語を支える論理的な面をもとに解説してくれているところ。私たちが教えられてきたのは、例えば the について「特定の国名。the United States of America,the Netherlandなど。ただし、Japan,Canadaはつけない」のようなことだが、著者は「この種の説明では、誤解を誘うのは当然だと思う」「本当は、U.S.Aにtheがつくのは固有名詞だから、あるいは国名だからではなく、普通名詞のstatesがあるからである」と教えてくれる。また、時制については、「英語にとっては行動と状態の時がもっとも大事であるが、日本語にとっては行動と状態の完了の程度がもっとも大事」として、英語にとっての時制の大切さを印象づけている。その上で、過去形を使うのか、過去完了形を使うのか、といった時間意識の考え方を、とてもわかりやすく説明してくれている。繰り返し読んで自分のものにしたいと思える本。同じ著者の「続 日本人の英語」も読んでみたい。(マーク・ピーターセン著 岩波新書)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキングこちらのブログもつくりました。よろしくお願い致します。ことばとみかた研究所
2005/12/12
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最初に著者は、「賢く考えなければ失敗することはわかっているというのに、私たちは考えるための手法を意識的に採用しようとはせず、あとになって、あのときあれに気がついていればよかったとか、あのときはこうすればよかったと後悔することが多いのです」と書いています。この本は、そのような後悔しないようにするために、「知覚を鋭敏にして考える」「熟考する」「システマチックに考える」「共感をもって考える」などの具体的な方法が紹介されています。例えば、「熟考する」で、ものごと(あるいは人)を正しく理解するためには、自分の判断を遅らせることが必要であるとして、次のように書いています。「人間の心には目に見えない扉があり、新しいアイデアを歓迎して開いているものも、締め出しているものもあります。扉は開閉自由で、理解しようとするときは開き、判断するときには閉じます。聡明な思考家は、正しい判断をするのに必要な関連情報を集めるのに十分な時間だけ心を開きます」「平凡にしか考えられない人は最初から判断し始め、本当に理解することと先入観とをよく混同します」興味深い具体的なケース(インテルやコカコーラといった実際の企業や戦争における意思決定のケースなどが紹介されています)の紹介や練習問題をやることによって、思考方法を自分のものに出来る工夫がなされています。著者のチャールズ・W・マイッコイ・Jr氏は、ロスアンゼルス高等裁判所の判事。思考や判断におけるプロ中のプロによって書かれた素晴らしい本だと思います。(チャールズ・W・マイッコイ・Jr著 ダイヤモンド社)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキングこちらのブログもつくりました。よろしくお願い致します。ことばとみかた研究所
2005/12/02
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「踊る大走査線」THE MOVIE2を題材に、組織というものを考える本。金井壽宏氏と田柳恵美子氏によるによる共著の形をとっているが、金井氏の主張や思いが随所に表れており、とてもおもしろく読めた。警察組織を例にとった本部(本社)と所轄(現場)、キャリアと一警察官、のそれぞれの立場、考え方などの対比によって、組織というものの理解が深まる。組織というものの本当の良さや強さ、その中でどのように自分らしさを発揮し、他人を助けていくか、組織を通じて、自分の仕事人生、キャリアについても考えさせられ、学べる本。また、リーダーシップやマネジメント、モチベーションについての参考になる考え方が多数紹介されており、勉強になる。例えば、「どうせ変わりっこないという無力感は最初からあるものではなく、環境の中で学習される(セリグマンの学習性無力感)」「モチベーションもキャリアも不調なときは、実はコミュニケーション不足が問題であることが多い」「『好き』に勝る内発的なモチベーション促進要因はない」「とはいえ、『好きなこと』を仕事にするからには、『好きなこと』を嫌いにならないよう、人一倍の努力が必要」「仕事に対して、『自分はこの仕事が好きだ』というパッションをもっていれば、むずかしい理屈や理論はとりあえず不要だ。実践の積み重ねの中で、パッションだけでは足りないところに、何となく見通しが出てきたら、それがビジョンである」などなど(金井壽宏、田柳恵美子著 かんき出版)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキングこちらのブログもつくりました。よろしくお願い致します。ことばとみかた研究所
2005/11/21
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哲学者、竹田青嗣氏と社会学者、橋爪大三郎氏による対談集。大勢の人間がどうやって生きていったらいいのか、自分をより良く活かすには、というテーマに添って、自己、国家、教育、環境などが語られている。対談は1991年に行われたものということだが、いろいろな見方を提供してくれており、古さを感じさせない。「自己というゲーム」の章では、竹田氏は「人間は誰でも知らないうちに自分のよしあし、善悪のルールを作り上げるけれど、社会のなかで生きる限り、他人のそれとうまく折り合わせていく必要がある」「自己中心的な『よしあし』のルールを固守している人は、当然、他人とのゲームをうまく運んでいくことが難しくなる」他人との良好な関係を築き上げる上で、自分の考え(思い込み)をチェックしてみることは、効果的だと思います。また、「教育」の章では、橋爪氏は、学校教育の一つの目的は、社会ルールを学ぶところとして、次にように言っている。(もう一つの目的は知識の習得)「学校は、いきなり社会に出てもやっていけない子供を保護しつつ、社会に慣れさせるための場所」「校則なども、社会のルールとなるべく似ていることが望ましい」社会に出てとまどったり、社会に出て行くことを逡巡する原因の一つは、ルールという面からの学校と社会のギャップではないかと思いました。その他人口減についての考え方なども示唆に富みおもしろい本でした。(竹田青嗣、橋爪大三郎著 径書房)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキングこちらのブログもつくりました。よろしくお願い致します。ことばとみかた研究所
2005/11/09
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ヘーゲルの思想を通して、個人と集団との関係を考えていくための本。「(人は)関係の悦びを求めるからこそ、『私にとって』だけでなく、『みんなにとって』という視点をもとうとする。自分の判断を、他者に向かって開こうとする」これが、ヘーゲルが「精神の現象学」で語ろうとしたことと著者の西研氏は言っている。著者は、「人間の自己は他者からの承認を求める」という。つまり集団の中であれば、その中で認めれることを求めるということ。そしてそのことによって、個人は自由を感じることができるという。人が他人から認められようとして努力する理由がよくわかる。その手段として、「言葉の力」が重要であると著者は次のように言っている。「相手のことばがわかること、相手を信頼できること、自分が受け入られていると感じること、関係の悦びを求めるからこそ、言葉を鍛える意味がある」個人の考え方や価値感が様々になっている今、個人と集団の関係を考えるための格好な本だと思う。(西研著 NHKブックス)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2005/11/02
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先週、出張中の飛行機の中で読んだ本。小説や映画、スポーツなどについての村上龍のエッセイ。1991年でももう14年も前になる。87年だと18年前だ。テニスでは、サントリージャパンオープン87のことが書かれている。レンドル、コナーズ、マッケンロー、エドバーグ。懐かしい。そして、F1。プロストとセナ。中嶋の活躍。村上春樹の「ノルウェイの森」についてのエッセイもあった。(ホットドッグプレスの87年9月25日号より)「ノルウェイの森」について、そこで、村上龍はこう書いている。「人間は他人によってしか自己を確認できないという重要なテーマが、簡潔な文章で表現され、読者は純度100%のメランコリーに浸ることになる。言うまでもなく、美しいメランコリーだ」当時のことが思い出され、また、新たに気付くこともあり、楽しく読めた。(村上龍著 講談社文庫)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2005/10/28
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セブン-イレブンの店舗発注システムなどから、コンビニエンス・ストアのイノベーションについての研究をまとめている本。日本のコンビニエンス・ストア研究がトヨタ生産方式研究に匹敵するほどの経営学的意味がある、ということがこの研究の前提になっているとのことである。論文をもとに本にまとめたということで、議論の展開が体系的でわかりやすく、何より出てくる言葉がきちんと定義されているのがありがたい。例えば。「本書でいうイノベーションとは『顧客が持つ問題の解決のための、新しい情報の利用』」「問題解決とは、『目標を達成するために何かをすること』である」「人がある特定の目標を持っていて、それを何らかの理由で直ちに達成することができない場合、その人は『問題を持っている』と呼ぶことができる」「知識は『人の心の中に、ある程度系統だった形で宿っているもの』」「情報は『それが系統だった形で整理されているかどうかに関わらず、人間の五感を通して得られる事実』」などなど。特に目標と問題解決の関連については、とてもすっきりくる。また、イノベーションと情報とは密接な関係があり、「外部の新しい技術情報を企業がどれだけ利用できるかは、当該企業が持つ、その情報についての事前の知識の量に依存している」、ということである。これも納得。知識のストックがものを言うという点では、企業も人も同じと言えそうだ。(小川進著 千倉書房)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2005/10/23
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軽やかな印象が残る本です。「起業パターンはそれぞれ」であり、「起業の動機も、何でも良い」という。「お金にせよ、お金以外の何らかのやりがいにせよ、自分の欲に基づいて起業するのであれば、それは正直な動機であり、正直な動機があれば、逆境にあっても簡単にくじけない力の源ともなります」とし、何人かの実例を紹介しています。起業をいつ考えるかについても「このままでは、自分の人生ちょっと不本意だな」と思ったときがはじめどき」という。でも、気をつけなくてはならないことは、身の丈にあったリスクをとることだと。「銀行も中小企業育成なんとかといってお金を貸してくれます」「日本の企業家が、アメリカと比較してどうも軽やかでなく、悲壮感がただようのは、実力以上にお金を借りることができてしまう日本の金融風土によるところ大でしょう」とも言っています。また、「起業して、しばらくやってみて、うまくいかない場合はサラリーマンに戻る」手もありだという。退路を断たず、「身の丈」で起業する、これがこの本の軽快感を生んでいるようです。(一橋総合研究所著 講談社現代新書)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2005/10/17
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別冊日経サイエンス(9月12日号)「脳から見た心の世界」は、脳科学と心の問題についての記事を集めて本にしたもの。17の記事はどれも興味深いが、私はシュワルツ氏(スワスモア大学心理学部教授)の「豊かさが招く不幸」が特に印象に残った。ここで著者は「米国のような豊かな社会では、選択肢や豊かさの増加に伴い実際には幸福感が低下している」と指摘し、さらに「抑うつ状態になる人が増えている」と言っている。その理由は、簡単に言うと、選択肢が増えることによって、チャンスを逃がしたことを悔しく思い、一方では、自分の選んだ結果に後悔する、ということからきているとの主張である。アメリカだけでなく、日本にも当てはまると思う。「選択できるということは人間にとって重要だが、それにも限度がある」という著者のことばには共感できる。この記事の他、「右脳の天才サヴァン症候群の謎」「恐怖と不安の神経科学」「前向きで成功できるか」など、興味深い記事が掲載されている。(日経サイエンス社)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2005/10/11
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斎藤孝氏による「話す力」をつけるための教則本。ここでいう「話す」は、大勢の前でのスピーチや面接やプレゼンテーションなど、公の場で「話す」ことである。著者は、企業の採用のシーンで面接が重視されるのは、「話す力を見れば、その人間のポテンシャルがわかってしまう」からだと言っている。また、面接の場以外でも「他の能力が同じような場合には、話す力がある人の方が評価される」とも言っている。つまり、話す力をつけることは、「自分自身の道は大きく変わる」ことになる。そして、著者は、話す力をつけるためには、単に場をこなすだけでは、場慣れするだけで、本当の話す力はつかない、そのためには、効果的なトレーニングが必要だと言っている。話す力は、1.話にどれだけ意味があるか、2.いきいきとしたライブ感があるか、3.ネタの豊富さ、4.声の張り、トーンといった身体性、以上4つのポイントが大事だとして、それぞれについて、トレーニング方法が紹介されている。例えば、ライブ感では、「頭を二分割して話す」という。それは、「今話している話に一つの頭を使うが、もう一つ頭では、次に何をするかを考える」。確かにこれができると、修正しながら話を組み立てていくことができるし、ゆとりも生まれそうだ。身につけたい技術である。話すための本は、いろいろでているが、付け焼刃ではない、本当に話す力を見につけるための、具体的なトレーニング方法が紹介されている。良い本である。(斎藤孝著 大和書房)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2005/10/07
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論理療法を利用し、自分の生き方を点検する本。論理療法とは、「人間の悩みというのは、ある出来事そのものが原因ではなく、その出来事をどう受けて止めるかが原因である」「したがって、悩みがあるときは、悩みを生み出している受け止め方(ビリーフ)を発見し、修正する」と言うもの。しばしば人は、非合理的なビリーフに支配されているという。例えば、「人を拒否すべきではない」「配偶者は優しくなければならない」というような。現実には、人生とは行動選択のプロセスである以上、拒否のない人生はないし、配偶者同士がいつでも、どこでも絶えずやさしさの情を出し合うことは難しい。つまりこういったビリーフをもっていると、思い通りにいかず、悩むということになる。非合理的なことに固執すること、著者は、そのことを「頭の使い方が上手でない場合に落ち込むのである」と言っている。(バートランドラッセルが「幸福論」で、「たいていの男女は思考をコントロールする能力に欠けている」といっていることにも通じそうだ)この本では、日本人が陥りやすい代表的なビリーフを「社会生活」「学習生活」「家庭生活」「職業生活」に分けて、紹介し、ビリーフの修正のヒント(そう望むことがいかに非合理であるか)を述べている。気付くところが多く参考になる。著者の國分氏の著作は以前この日記で、「カウンセリングの技法」「カウンセリングの理論」を紹介した。どれも歯切れが良く、説得力がある。(國分康孝著 講談社現代新書)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2005/09/25
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著者の木村剛氏は元日本銀行の人で、現在は株式会社フィナンシャル代表。金融庁のいろんなプロジェクトにも加わったことがある人。この本は2001年に出た本の改訂版。この本の最初に、ホリエモンによるニッポン放送株の買占めの高裁判決をとりあげ、「(わたしたちは)資本主義経済の中で生きている」、ということを忘れるなと言っています。株式投資を本格的に行う前には、資本主義経済に対する基本的常識を理解することが必要であること、そういう基本を無視して、短期的なトレーディングを行うことの危険性について伝えようとしています。その上で、投資の理論や金融商品の選び方、株の選び方、マイホームは持つべか、インフレへの備え方など関心の高いことがらについて、明解に答えています。著者の考えで一貫しているのは、堅実、冷静、論理的な投資、であり、共感するところが多々ありました。特になるほど、と思ったところは、個人投資家の基本エンジンは、「仕事からの収入」と「節約」であり、「株式投資」や「預金」ではない、支出をコントロールし、無駄遣いをしないこと、せっせと自分を磨くこと、それが個人投資家にとっての「投資の王道」と言っているところです。(木村剛著 アスコム)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2005/09/17
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著者は日本大学の教授で、10年以上にわたり、論文作成法の実践教育にあたっているという。それだけに、ツボを押さえた本になっている。やり方を教える本はこうでなくっちゃ、と思える本。レポート・論文を書き始めるときに最初にぶつかることは何か。著者は、動機やテーマなどの問題よりも、まず、もっと単純な「どんな形式で書くのか」「一行の文字は」「余白は」といった書き方の約束ごとである、という。この本は、そこからはじまり、テーマ設定、構成、計画のたて方、文献や資料の集め方、よい文の書き方と並ぶ。例えば、テーマ設定の方策について、著者は事典(百科事典)を使うことを推薦している。そして、その分野で、興味あること、基本的な事項、自分が知らない言葉、の3つに分けて考えるという。そして、自分の知らないこと・わからいことが有力なテーマの候補になるという。自分が興味あることは、いちばんつまらない恐れがある、興味あることは、テレビなどで小耳に挟んだことによってステレオタイプにつくられている可能性があるからだという。一例だが、このように初心者が悩むところ、陥りやすいところを、わかりやすい地図のように教えてくれている。大学生だけでなく、論文やレポートを書いてみたいと思っている人、書くことになった人、に広くお薦めできる本。(小笠原喜康著 講談社現代新書)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2005/09/11
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笑いによって、相手との距離がぐっと近くなるということをしばしば経験しています。かつての会社勤務のときのお客様との会話、今の仕事のカウンセリングやコーチングでも。この本では、笑いは、積極的に相手に食い込むためのツールとして取り上げています。そして、単にセンスの問題として、捉えることなく、技術として身につけることを狙いとしています。10万部以上売れている本ということもあり、評価もまちまちのようですが、私は素直に「おもしろい!」と思いました。ウケる会話を分解し、どこがおかしいのか、分析していることは、とてもユニークだと思います。なにより、取り上げられている会話例が、おもしろく、思わず、笑えます。また、「コミュニケーションはサービス」と言い切るところにも、なるほど、と思いました。この本を読むと、ウケる会話が身につくかどうかは疑問がありますが、(笑いはアドリブの要素がとても高いと思うので)、ユーモアやジョーク、笑い、そしてコミュニケーションについて、違った見方を与えてくれる本だと思います。(小林昌平、山本周嗣、水野敬成著 インデックスコミュニケーション)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2005/09/07
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ニートとは、「15歳から34歳の独身で学校に行っていない、働いていない、求職活動をしていない若者」。この本の著者の一人小杉礼子氏は、そう定義している。(「家事手伝い」の人を含めるかは、議論の分かれるところだとのこと)この本は小杉氏ともう一人の著者である玄田有史氏と、働けない若者の自立を支援するために様々な活動を行っている人々との対談が中心で、ニートの理解と議論のきっかけを提供している。この本を読むと、ニートの状況は様々であり、また、支援する人々の考え方、支援の方法も同様に様々であり、単純な問題でないことがわかる。玄田氏は、ニートへの対応の難しさを次のように言っている。「ニートは『やりたいことがない』と言います。突き詰めれば、大人が『やりたいとことをやれ』と言って来たことの反動でもあるのです。また、『つべこべ言わずに働け』『働かざるもの食うべからず』という大人もいます」「ただ残念ながら、そう言われて『そうかじゃあ働こう』というニートを私は見たことがない」宮本みち子氏は、ニート増加の原因に触れて次のように言っている。「社会全体として個人化がすすみすぎている。ちょっとつまずいたときに誰も手を差し伸べてくれない。社会に接着剤的な機能がなくなっている」小島貴子氏は、就業支援の現場から、就業の動機づけについて、「(就職支援の場に)来てくれている人たちというのは、どこかにスイッチがあって、そのスイッチを押せば動いてくれる」「感じて、考えたら、何をしようか」になる、という。長洲正明氏は、ニート増加の背景として「産業構造の変化であり、社会問題」だという。「雇用の構造がバブル崩壊以降まるっきり変わってしまった。ところが正社員で働くべきだとか、安定を求めるとか、その部分は変わらない」「さらにそれを助長しているのが、自分探しだとか、やりたいこと探し、自己実現といったものです。そんなことを考えたら、何をして良いのかわからなくなって当然です」と言っている。斉藤環氏は親のあり方に触れ、次のように言っている。「親から子に伝えられるのは、言葉の内容ではなく、姿勢だと思うのです。態度の部分でどう振る舞いをするかが大事」「口では『ニートはいかん』と言いながら、生活への面倒を全部見てあげるという矛盾があると一種ダブルバインド的な状況がおきて、なかなかそこから抜け出すことが難しくなってしまう」また、小杉礼子氏の以下の言葉は特に印象に残った。「ニートというのは、若者は職業社会に移行させるべき存在であるという基本メッセージを含んだ言葉。あるがままの彼らを認めましょうという教育の側、個人の側からの発想ではない。社会の側からの発想である」家族の役割とは、社会の役割とは、それを考えさせられる好著だと思う。(玄田有史、小杉礼子著 NHK出版生活人新書)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2005/08/31
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著者のブライアン・トレーシー氏は、高校を中退後、肉体労働、セールスマン、有力企業の重役を経て、現在はコンサルタントとして活躍。先日、日経新聞でこの本が紹介されている記事が目に止まり、購入。「現代人にとっていちばん不足しているのは時間である。誰もが不足しているからこそ、自分の時間を少しでも節約してくれる人間には高い評価や賃金を払うのだ」と最初に書かれているように、この本で著者が書いているのは、仕事において時間をどのように使うか。そのアイデアや方法が150ページほどのコンパクトな本の中で次々に紹介されており、参考になります。単なるノウハウ本ではなく、仕事や人生に対する著者のしっかりとした考え方が語られていることに好印象を持ちました。以下引用。「自分の人生哲学を身につけるうえで、時間そのものを管理することはできないと心にとめておいてほしい。人が管理できるのは自分だけである」「人生を変えるには4つの方法しかない。第1に『もっとたくさん』何かをすること。第2に何かを『もっと減らすこと』。第3に今はやっていない何かを『はじめる』こと。そして第4に何かを完全に『やめる』こと」「人生をふたつの大きな部分、仕事と家族に分けよう。このふたつに比べれば、ほかのことの優先順位は低い」「働くときは、時間いっぱい働こう」「家族といるときは、100%の時間をいっしょに過ごそう」全米ベストセラー、日本でも13万部を超えているということがうなづける内容だと思います。(ブライアン・トレーシー著 アスコム)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング
2005/08/24
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著者の塚原仲晃氏は「可塑性の塚原」として世界的に著名な脳科学者。1985年8月12日日航ジャンボ123便に乗り合わせ、51歳で亡くなられている。本書の原稿は事故後しばらくして未完の状態で見つかったものを研究室のメンバーが「何とか世に出したい」として出版されたものと言う。読んでみると、私のように専門ではないものにも、読みやすく、また、新鮮であり、何より脳に対する著者の情熱が感じられる。可塑性とは、脳の回路が様々な刺激に柔軟に反応して、その機能をととのえていく「柔らかい性質」のこと。そしてその可塑性によって、人間の脳は正常に発達していくのだと言う。著者は「人間の知的、社会的能力の正常な発達には、絶えざる人間社会との接触による学習が必要」と言っている。私が特におもしろいと思ったのは、第七章で、DNAの遺伝情報、脳の記憶情報、言語、文字による記憶情報などの進化の過程を考察している。ヒトはDNA情報を超える情報を蓄えるために脳を進化させたと言う言い換えれば書き換え不可能なDNA遺伝情報から書き換え可能な脳の情報量が多くなったのが、高等哺乳類だと言う。さらに、ヒトは、言語、文字という新たな記憶システムを持つに至っていると言う。その他、シナプスと記憶との関係、動物の記憶とヒトの記憶、運動性記憶と認知性の記憶、など非常に興味深い内容となっている。なお、「記憶をよくなる方法はないか」という問いに対しては、「苦労して頭を使いなさい」と著者は言っている。(塚原仲晃著 紀伊国屋書店)参考になりましたら、クリックよろしくお願いします!(クリック)↓人気blogランキング「少年の一年が心理的には50歳の1年より5倍長く感ぜられる」というジェネーの法則について、著者は次のように言っている。「脳の神経回路の可塑性の大小と関係しているようにみえる。すなわち、少年期には成人より可塑性が著しく大きく、多くの出来事が記憶に残りやすいのに反して、老人では可塑性が低く、出来事を多く経験しても、すぐ消え去って脳に痕跡となって残ることは少ない。言い換えれば、老人では、記憶による時間軸が著しく短縮しているのではあるまいか」若いときの経験は、人間にとって非常に価値があるものと考えます。
2005/08/20
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