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論文執筆が佳境に入っている。実は“佳境”と胸を張って書いてはいけない時期に来ていたりする。そんなわけで、今回も「清経」とはご縁がなかったようで、千駄ヶ谷には知り合いに行ってもらった。 今回の論文は栄養教諭という免許状に関わる内容の考察である。写本調査を基盤とした研究発表をする私を知っている方々は驚くだろう。やっている内容は結構面白いのであるが、この論文の先に控えている雅な方々の論文にとりかかるためにもこれを早く終わらせなければならない。
2006.11.30
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非常勤先に持っていくペンケースに入れている普段使いの万年筆。それはずばり、ペリカーノJr。スケルトンボディの紺、もちろんインクもブルーだ。今日、演習で向かい合ったとある学生が、 「あ、先生のと同じの持ってます」「えっ、何色?」「オレンジです」……んー素敵な会話だ。 このペリカーノJrは子ども向け万年筆で、最初に持たせるペンというコンセプトのもとに、指の位置が強制的に指定される。大の大人が持つのはどうよという気もするが、侮る事なかれ。万年筆ということもあり、あるべき姿で持たないとまったく書けない仕組みになっている。さすが、教育遊具の国ジャーマンである。日頃、おかしなペンの持ち方をしている人を多々見受け、「面白い持ち方ですね」と話しかけるが(←嫌みなのだが、気付かない人が多い)、確かにこの学生さんのペンの持ち方は立派だ。 こういう潤いというか、弾んだ会話があると、文芸研究もなんだか弾んでくる。文芸というのはやはり遊びの部分があるわけで、そういう心のゆとりというかちょっとしたタルミがなくちゃと思うのである。
2006.11.28
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宝生会秋の別会第2日、いつもの席にて鑑賞。 自分の中でしっかりとワキ方則久英志さんの存在を意識したのは、今から6年前の五雲会「加茂」であった。この時のシテは五雲会登場2年目の小倉伸二郎さんで、きりっとした神(シテ)と朗々とした神職(ワキ)に仕上がっていた。この頃ワキツレで頑張っていた大日方&則久ペア(ペアなのか?)に注目し始めたのだった。その則久さんが本日「張良」ワキで登場。シテよりもワキが重要な役回りのこの曲は初めてだろうか。そして同じ舞台にツレで伸二郎さんが登場。なんだか、そんな懐かしさで胸がいっぱいになる。 肝心の沓飛ばしは軌道が低く、「やばっ」と思った時には白洲へドボン……そのため龍神(ツレ)が袖の中に沓を隠し持っての登場となってしまった。前シテ退場の幕もちょっと……それと……(以下略)。いいのだ、この2人が別会で並んだ、それで大満足である。 そして、近藤乾之助さんの「姨捨」。三老女の残り2つ(関寺小町・檜垣)がほぼ上演されない宝生にあって、実質最奥となる曲ゆえの会としての気迫ばかりではなく、ちょっとただ事ではすまない舞台であった。先日の「姨捨」が前で良かった。今日の「姨捨」を観てしまった後であちらを観るのは酷というものだ。 前シテから澄んだ謡でひっそりとした秋の気配を出しつつ、姨捨山の景色が広がっていく。小鼓が幸清次郎さん、大鼓が柿原崇志さんで、抑えめの鼓がそれをさらに磨き上げる。そして後シテ、橋掛リで立ってこちらに向く時に、気品溢れる孤独さをまとった老女の霊そのままで、早くも涙腺が緩む(今思い出してまた涙目になった)。この一瞬で後半は決まったも同然。ごくごく少ない動きの中で月光が煌めき、宝生らしい謡がそれをくるんでいく(地頭は佐野萌さん)。そして序之舞、もはや何も言うまい、この場に居合わせてくださったことを神仏に感謝するばかりである。 最後は登坂さんの「山姥<杖之型>」。これもなかなか良い出来で、自分としては大変満足。「姨捨」から切り替えるにはもう少し時間が欲しかったところ。 さて、自分の研究課題とはまったく関係ない話に終始しているが、鞄の中には読むべき論文をちゃんと入れていた。というか、もはや提出締め切りが差し迫っている。でも、そんなものはどうでも良くなってしまう午後であった(ちなみに文学の論文ではない)。明日はその分頑張るぞっと。
2006.11.26
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淵野辺のキャンパスには教職員食堂がある。本部キャンパスと同様だが、あちらが地下であるのに対し、こちらは1階全面ガラス張りの明るい空間(学生食堂も同様)。これは移転前のキャンパスに似ている。今日、この教職員食堂に初めて入ってみる。 食堂メニューはガクショクと同じ。別に何が付いているとかいうことはない(当たり前か)。ただし人口密度が低く、配膳は食堂の方がやってくださる。ありがたい。あ~、やはりここのガクショクのご飯は美味しいなぁ。それを言ったら、私の本務校も結構、いやかなり良い線かもしれない。食器はほとんど陶磁器だし、ボリュームあるし(ありすぎか?)。 本当のガクショクで食べてみたい気もするのだが、周りの学生がほとんど顔見知りという小さな空間(うちのガクショク)に慣れてしまったせいか、見知らぬ学生がどどーんと居ると思うと、ちょっと腰が引けるかもしれない。……って、こんな話しか書くことのない自分にちょっと自己嫌悪。事務連絡:試験の日程が変更になります。詳細は来週の授業で。
2006.11.21
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数日前、フリーページに熱田能楽殿ページを立てたのだが、そのことをまったく記入していないことにようやく気付いた。 半年くらい前から、ここの能舞台がなくなるという話を書いていながら、結局閉館まで最後の訪問を果たせなかった。名古屋の能楽堂といえば現在は名古屋能楽堂があるわけだが、その前はやはりこの熱田能楽殿が格・雰囲気いずれも高い地位にあった。自然光の入る能舞台で、周りの雰囲気も落ち着いていて、(多くの舞台を観ているわけではないけれども)かなり好きな舞台だった。この度閉館となってまことに残念である。舞台鑑賞の帰りに、神宮内できしめんを食べるのももうできない(涙)。しいて言えば、ご近所目黒の能楽堂ですら2階席での鑑賞をしたことがないのに、ここの能楽堂は正面・脇正面・中正面・2階正面といずれの方向からも鑑賞した体験があるということである。 画像は楽天仲間のやるまいぞさんご提供で載せることができた。こんなことなら、もっと写真に撮っておくべきだった……
2006.11.16
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仕事を終えて定刻に大学を出て渋谷へ……と思っていたら、月曜日の授業のことで相談に来た学生がいた。無碍に断るわけにも行かず、あれこれ相談しているうちに時間があぁ。 当初の予定では野村四郎さんの「木曾<願書>」(能の方々はこの曲を“曽”と異体字表記することが多い、なぜだろう?)に充分間に合うはずであったが、わずかに遅刻。そのため会場に入るのを止め、明日朝行こうと思っていたギャラリートム(観世能楽堂の奥の方)まで足をのばし「東野芳明を偲ぶオマージュ展」を鑑賞。昨年亡くなった東野氏は、私にとってはシュールレアリスム関係の批評家というイメージしかないのだが、タマビの教員として様々な分野で活躍していたらしい(無知でお恥ずかしい)。本務校の美術関係の非常勤の先生がここの門下生であることから、今回の展示を教えていただき、行こうと思っていたものである。 “偲ぶオマージュ”ということで、氏の影響を受けた作家が1点(または数点)ずつ小ぶりな作品を出していた。有名どころとしては横尾忠則とか四谷シモン、三宅一生などの参加があった。現在の非常勤の先生の出展作品は「わぁ~、…………(←この点は一体?)」。そして前に来ていただいていた先生の作品も。こちらの先生のものは何度かギャラリー展示を観に行っていたので、なんだかちょっと懐かしい。 モダンな展示を観たあと、道すがら戸栗美術館へ。こちらは現在古伊万里の意匠について行なっている。この夏、“鍋島焼”を知らないということで笑われた私は、ここの美術館に初めて入る。ある意味、松濤にふさわしいこの美術館を一度も訪れたことがないというのは恥ずかしいことだと気付いた次第。かの鍋島焼についても、かつて祐徳稲荷神社に写本の調査に行った際に知ったはずのことさえも忘れていたのであり、恥の上塗りを自覚する。 ささっと鑑賞して出ると、修正予定通り休憩時間に入っていた。後半のメインは「道成寺」の披キ。アイも囃子方も、そして謡も良かった(ってシテは?)。
2006.11.11
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今日から稲城の大学でも演習がスタート。これまでの1ヶ月はトレイニングというか、2年生向けの基礎演習ということもあって全体での作業だった。今日から、『伊曾保物語』のある段を翻刻し、言語学的な問題点(こちらの授業では音韻と表記を中心に)を考えていく。 専門的な演習は初めてということであったが、発表用に学生の用意した資料は誠に見事だった。こちらが要求したよりも気配りの感じられる発表資料。あぁ、こういう美意識の感じられる資料は佐藤のツボだわ…… 発表者に対しての質問や考えも結構出て、2年生の演習としては好スタートを切った。この後、段々難しくなる中でも頑張って欲しい。 講義のほうは同じく『伊曾保』を用いて、文語と口語、そして音便。こちらは前半の講義をふまえて全体作業に入る。なんだか和気藹々として和やか。 昼で授業が終わり、午後はお手伝いしている会の編集作業最終段階。刊記は来月。今回は私の趣味が入り、ゴージャスな絵が掲載される。予告をしておくと、上村松園(表紙・カラー)、鏑木清方(表紙裏・モノクロ)、そして神坂雪佳(本文解説中・モノクロ)の絵が入る(題は内緒)。私個人としては神坂雪佳のそれが一番好きなのだが、表紙映え・表紙のサイズから上村松園を使わせていただき、一番好きな絵を自分の側(←オイオイ)に置いた。 トップページでお知らせしている12月の公演で購入できる(宣伝か?)。 なんだか室町な1日であった。
2006.11.10
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相模原では『信生法師日記』のページに入った。ついにテキストもここまで来たか……と感慨深い。勢いよく日記と日記文芸について話した後、作品に入る。こういう物を通して、日記文芸に興味を持つ学生が居てくれたらなぁ。 もうひとつの授業の方は『新古今集』の演習。自分が学部の時は文芸学ばりばりな演習であったけれども、幸いにも私は違うスタイルの和歌の演習も大学院で経験できたので、それを配合した演習になっている。勿論学部の2年生なので、本格的な演習まではいかないけれども、それでも質問は出るし、和歌の知識を吸収しているなという手応えはある。
2006.11.07
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