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2009.06.20
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カテゴリ: 対中・対韓関係
たまたま、航空自衛隊の戦闘機選定問題についてのコメント応酬の中で、東シナ海のガス田問題がちょっと出てきたのですが(最初にふったのは私ですが)、どうも「国士様」連中の間には、東シナ海のガス田問題に関して中国側は全面的に悪い、日本側の主張は一片の非もなく正しい、という考え方が定着しているようです。


国連海洋法条約は、原則的に各国の沿岸から200海里(約370km)を排他的経済水域と定めていますが、これだと日中両国の排他的経済水域が重複してしまうのです。そのため両国の境界線をどこに置くかが問題となるわけです。
日本側は、「日中中間線」つまり日本と中国の中間までが日本の経済水域だと主張し、中国は沖縄トラフまでが中国の経済水域だと主張しています。(厳密に言うと、日本側の主張は、「日中中間線が境界線だ」というのではなく、「日中中間線を基に両者の境界線を定めるべき」つまり中間線はとりあえずの暫定ラインであるということのようです)



↑wikipediaから引用しました。
黒線が日本の主張、赤線は中国の主張です。

問題がややこしいのは、この海域にガス田があることです。日中ともに少しでも資源のある海域を自国の経済水域にしたいわけです。

他の条件をまったく知らずに、上記の図面だけを見ると、日本側は「公平に」日中の中間線を境界にしようとしているのに、中国はずっと日本側に食い込んだ境界線を主張している、なんて図々しい、と思えてしまいそうです。
しかし、実際にはそうではありません。



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第77条  大陸棚に対する沿岸国の権利

1 沿岸国は、大陸棚を探査し及びその天然資源を開発するため、大陸棚に対して主権的権利を行使する。
2 1の権利は、治岸国が大陸棚を探査せず又はその天然資源を開発しない場合においても、当該沿岸国の明示の同意なしにそのような活動を行うことができないという意味において、排他的である。
3 大陸棚に対する治岸国の権利は、実効的な若しくは名目上の先占又は明示の宣言に依存するものではない。
4 この部に規定する天然資源は、海底及びその下の鉱物その他の非生物資源並びに定着性の種族に属する生物、すなわち、採捕に適した段階において海底若しくはその下で静止しており又は絶えず海底若しくはその下に接触していなければ動くことのできない生物から成る。
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この文面に従えば、中国側の主張の方に理がある、ということになります。
ただし、全面的に中国側の主張が正しいかというと、そうとも言えません。大陸棚の切れ目がどこかが問題となります。つまり、中国沿岸から続く大陸棚が、沖縄トラフで終わっているか、沖縄まで続いているかということです。沖縄まで大陸棚が続いていると考えれば、日本もまた、大陸棚に対する権利を持っているということになるのです。
「大陸棚」は、国連海洋法条約の中での定義は、水深2500m以下の海域となっています。そして、沖縄トラフの水深は、最深部では2500mより深い。その限りでは沖縄トラフは大陸棚ではない。ただし、沖縄トラフで2500mより深い部分は限られています。だから日本側は、沖縄トラフは海溝ではなく「くぼみ」である(だから、大陸棚は沖縄まで続いている)、と主張しています。それに対して中国側はもちろん、沖縄トラフは海溝である(だから、そこで大陸棚は切れている)と主張しているわけです。
果たしてどちらの言い分が正しいのかは、なんとも言えません。


一方、日本側の主張である「中間線」という規定は、実は国連海洋法条約のどこにも書いてありません。その限りでは、むしろ日本側の主張の方が理にかなっていない、とも言えるのです。ただし、ではまったく無根拠というと、そうでもありません。同じく国連海洋法条約はこう定めています。

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第83条  向かい合っているか又は隣接している海岸を有する国の間における大陸棚の境界画定

1 向かい合つているか又は隣接している海岸を有する国の間における大陸棚の境界画定は、衡平な解決を達成するために、国際司法裁判所規程第38条に規定する国際法に基づいて合意により行う。
2 関係国は、合理的な期間内に合意に達することができない場合には、第15部に定める手続に付する。

4 関係国間において効力を有する合意がある場合には、大陸棚の境界画定に関する問題は、当該合意に従って解決する。
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この規定に基づけば、日中間の境界線は、「衡平な解決」を計らなければなりません。平衡=中間線と考えれば、日中中間線という考え方もまた正しい。
ただし、国際法上、必ずしも平衡=中間線ではないようです。つまり、小さな島と大陸の間で「中間線」じゃ不公平だろうということです。このような場合、海岸線の長さに比例して境界線を定めたりするようです。もっとも、沖縄には島がたくさんあるから、海岸線の長さの比較をしたら、中国の東シナ海沿岸と、案外いい勝負になるかも知れません。それでも、まあ半々ということはないでしょう。おそらくは、やっぱり沖縄の海岸線の方が短いだろうと思います。

というわけで、結局のところ中国側の主張する「沖縄トラフ」、日本側の主張する「日中中間線」いずれも正しいとも言えるし、いずれも間違っているとも言えます。どちらか一方が全面的に正しい、ということはあり得ません。
私も日本人なので、できることなら日中中間線で解決してくれたらいいなとは思いますが、現実にはそれはなかなか難しい。結局のところ、もし両者の境界線を確定させるとしたら、双方の主張の中間のどこかで、双方痛み分けの形で決着するしかありません。

ところで、中国側はすでに東シナ海のガス田に櫓を組んでガスの採掘を始めています。そのことを指して「盗掘だ」と言う国士様がいるようですが、中国側は日本側の主張する境界線(日中中間線)より中国側でしか開発はおこなっていません。
日中中間線の向こう側が中国の経済水域であることは何ら異論のない事実なのですから、そこでガスの採掘をおこなうことは盗掘でも何でもありません。沖縄トラフまでは自国の経済水域と主張はしつつも、日本の主張に対して配慮はしているのです。
もちろん、そのガス田が日中中間線をまたがって日本側(日本の主張によれば)まで広がっている可能性はあります。しかし、実のところそんな例は世界的に見ていくらでもあるのです。そのような場合、両国間で話し合いがまとまればよし、まとまらなければ結局は「早い者勝ち」です。
有名な例として、湾岸戦争の際、イラクがクウェートを侵略した理由として、両国間にまたがっている油田でクウェートがイラクの石油を「盗掘」したことをイラクは挙げていました。
しかし、そのようなイラクの言い分に理解を示す国はなかったことは周知のとおりです。

現実的な解決策としては、とりあえず境界線は棚上げにして、係争中の海域での資源開発は共同開発にするしかありません。そして、実際にそうなりました。去年、福田内閣のときに日中間で東シナ海ガス田の共同開発に合意したのです。
この合意は、日中間で係争中の海域(中間線のこちら側)だけでなく、日本側も認める中国の経済水域のガス田でも共同開発をおこなうという、中国側がかなり譲歩した内容でした。ただし、中国側経済水域で共同開発が合意したのは1ヶ所だけですが。
この合意は非常に喜ばしいことです。私は自民党は嫌いだけど、共同開発を合意した福田政権の業績は(他の政策はともかく、このことについては)大いに評価したい。
ところが、日本でも中国でも、この合意は「国士様」連中に不評だったようです。きっと、彼らは中国と(中国の国士様は日本と)対立し続ける方がよくて、関係改善なんかしたくないのでしょう。
で、国士様御用達の産経新聞が、「合意を破って中国側がガス田を採掘」なんて報じているようです。(Wikipediaの記事による)でも、よく読むと、それは日中中間線より中国側の海域で、かつ共同開発に合意していないガス田でのことです。そこで採掘をおこなうことを合意違反とは言えないように思うのですが・・・・・・・・。

もう一つ、より根本的な話で、実はこの海域のガス田の埋蔵量はそれほどのものではないようです。採掘しても、とても採算がとれるものではないらしい。
とすれば、あまり目くじらを立てても始まらないように思います。
もちろん、この海域にはガス田だけではなく油田もあります。だけど、油田の方も、通説では埋蔵量1000億バーレル以上でイラクに匹敵する量などと言われ、私もついつい信じてしまいましたが、この記事を書くに当たって調べてみたら、どうもこの通説には明確な根拠がないようです。日本政府の公式見解では、推定埋蔵量は44億バーレル程度ということです。

上記の数字は↓参照
http://d.hatena.ne.jp/hagakurekakugo/20080507/p1

追記
補足 元石油資源開発取締役の猪間明俊氏によると
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日本の国内法では鉱区境界から百メートル以上離さなければ井戸を掘ってはならないという法律がある。逆に言えば百メートル以上離せば、井戸を掘っても良いことになっている。ガス田や油田では地層の中で、ガスや石油の移動を防ぐことが出来ないから、チューチュー吸われても文句が言えない。
国際的な共通ルールはないが、多くの国で同様の国内法が制定されている。 まして中間線から五キロも離れた、日本政府も中国側水域と認めてきた海域での開発を止めろと云うのは、国際的常識からして通用しない。
経産省では今頃になって民間会社に試掘権を与えようと云っているが、試掘権は有効期限がたったの二年、延長が二回認められているが、トータル六年で失効する。試掘権が認められると六十日以内に作業する義務があり、同時に鉱区税納入の義務が生じる。
中国との合意が出来ぬと井戸も掘れない状況で、鉱区税だけ払う馬鹿はいない。おまけに一つの経済性のある油ガス田を掘り当てる確率は、過去の統計から見て何十件に一件しかない。
日本はデータを見せろと主張しているが、石油・ガスの探査には、膨大な資金を要し、しかも掘ってみなければ存否が分からないという大きなリスクを背負っている。そのようなリスクを背負って得た地下データは、企業にとって最高の企業機密であり、見返りもなく見せろと云うのは非常識も甚だしい。
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とのことです。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~korea-su/korea-su/jkorea/sonota/0507.html





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最終更新日  2009.06.21 14:13:04
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