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2012.09.05
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カテゴリ: 環境問題
再処理稼働へ 「原発ゼロ」は青森への背信だ(9月5日付・読売社説)


1993年に着工し、2兆円以上の建設費が投じられてきた。高レベル放射性廃棄物を安定保管するため、ガラスで固める工程が最終試験段階で難航していたが、ようやく試運転に成功した。政府の安全確認などを経て完工する。
ウラン資源の有効活用や放射性廃棄物の減少に貢献する施設である。早期の稼働が求められる。
懸念すべきは、政府・民主党の「脱原発」論議の迷走だ。再処理工場を稼働させられるかどうか、それ自体が問題になってきた。
政府のエネルギー・環境会議で有力選択肢に浮上している「原発ゼロ」になれば、使用済み核燃料の再利用の道は閉ざされ、工場を動かす意味がなくなる。
再処理工場に全国の原発から搬入された約3000トンの使用済み核燃料は行き場を失うだろう。
青森県は、日本原燃と交わした覚書を踏まえ、工場を稼働させない場合は、すべてを各電力会社が引き取るよう求めている。
そうなれば、各地の原発は戻された使用済み核燃料で満杯となり、交換用の新たな核燃料を持ち込む余地さえなくなる。これでは、立地自治体も、原発を再稼働することに同意はすまい。
将来の「原発ゼロ」どころか、直ちに混乱しかねない。
青森県の三村申吾知事は先月、政府に対して「現実的に実行可能な方針」を示すよう求める要望書を提出し、「原発ゼロ」に疑問を呈した。核燃料サイクルについても「資源に乏しいわが国を支える重要な政策」と述べた。
政府・民主党が安直に「原発ゼロ」政策に転換しないよう、クギを刺したものだろう。当然の見解表明と言える。政府は、青森県に誠実に対応すべきだ。
再処理技術は、核拡散に敏感な米国が日米原子力協定で日本に特別に認めた権利でもある。この権利が「原発ゼロ」で失われる。
無論、これまで培ってきた原子力の技術が衰退し、新たな人材も育たなくなる。
使用済み核燃料を、厳しい管理の下で確実に再利用することは軍事転用を封じるのに役立つ。
中国、韓国などは原発利用を拡大している。「原発ゼロ」は日本の発言力を低下させるだけだ。

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「脱原発は非現実的だ」と叫んでいる原発推進派が、その実どれだけ非現実的か、ということがよく分かる文章です。

「原子力発電所から出る使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」政策の実現を目指している。」とありますが、核燃料サイクルはすでに破綻しています。

先送り主義の結果としての核燃料サイクル
何故、このときに撤退しなかったのか


「夢の核燃料サイクル」を実現するはずの高速増殖炉は、とても実用化できるような代物ではありません。それなのに再処理によってプルトニウムの在庫が増え続け、仕方がなくはじめたのがプルサーマル、つまり通常の軽水炉にプルトニウムを混ぜた燃料を使うことです。ところが、日本が抱えているプルトニウムは、プルサーマルで使いきれるような分量ではありません。だから、再処理をやめない限り、プルトニウムはどんどんたまっていく一方です。

「再処理工場に全国の原発から搬入された約3000トンの使用済み核燃料は行き場を失うだろう。」ともありますが、使用済み核燃料が行き場を失うのは、早いか遅いかの問題に過ぎません。 数日前の記事に書きました が、六ヶ所村の再処理工場の貯蔵施設は、3000トンの収容能力に対して、すでに97%が埋まっています。これ以上使用済み核燃料を受け入れる余地は、ほとんど残っていない。
それに対して、各原発の燃料保管プールは、合計20630トンの保管容量に対して、残り容量は6400トン程度だそうです。原発が通常どおり稼動している場合、年間で全原発合計1000トン程度の使用済み核燃料が発生するので、今までどおり原発を稼動させるとするなら、あと6年分しか空き容量はないのです。

再処理工場が稼動したら、何かが解決するのでしょうか。
何も変わりません。使用済み核燃料から、新たに生成されたプルトニウムと燃え残りのウラン235を抽出するのが再処理工場ですが、そのあとにはもちろん危険な高レベル廃棄物が残ります。


で、高レベル廃棄物の最終処分場がまだ決まっていないのは周知のとおりです。地層処分、つまり地中深くに保管するわけですが、受け入れる自治体はありません。再処理工場のある六ヶ所村も、最終処分地になることは激しく拒否しているので、上記の社説にあるように再処理工場が稼動しない場合は使用済み核燃料を各電力会社が引き取るという取り決めになっているわけです。

世界的に見ても、最終処分場が決まっている唯一の国はフィンランドで、それ以外の国はどこも決まっていません。あの広い米国ですら決められない(いったんはユッカマウンテンに決まったが、白紙に戻された)のだから、狭くて人口密度の高い日本で容易に決められるわけがありません。
残念ながら、もうすでに高レベル廃棄物は存在するので、最終処分場はどこかに作るしかありませんが、そうそう簡単に決まらないのは明らかです。

先に、今までどおりに原発を稼動したら6年分しか燃料貯蔵プールの空き容量はないと書きました。仮に半分だけ稼動(つまり、原発15%案)としても12年分です。今から12年以内に最終処分場が決まり、工事も完了し、高レベル廃棄物の受け入れが始まっている可能性は、果たしてあるのでしょうか。
私には、とても無理のように思えます。どう考えたって間に合わないでしょう。まして6年は論外です。上記の社説にあるように、燃料貯蔵プールがいっぱいになれば、もうそれ以上新たな核燃料を原子炉に入れられないのですから、原発は稼動できなくなります。否応なく原発ゼロになります。

なお、核燃料プールの空き容量は各原発ごとに差があり、3年以下の残り容量しかない原発も相当数あるようです。まあ、こっちの原発からあっちの原発へと使用済み核燃料をやり取りすれば、ある程度均等化できるかも知れませんが。

というわけで、「トイレのないマンション」である原発は、すでに排泄物の置き場がなくなっている状態で、今までどおり原発を稼動したいといったって、近い将来そんなことは不可能になるのです。そのあたりについては、読売新聞はいったいどう考えているのでしょうか。最終処分場については頬かむりで、ただ原発を動かせというほうが、脱原発派より、はるかに非現実的です。





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最終更新日  2012.09.05 22:43:15
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