inti-solのブログ

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2012.10.23
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カテゴリ: 災害
科学者らに求刑上回る禁錮6年=地震警告失敗で有罪判決―伊地裁


裁判は技術的に困難な地震予知をめぐり、科学者らに責任を問えるかどうかが争点となった。世界各国の5000人を超える科学者らが「科学を裁くことはできない」「専門家は責任追及を恐れ地震リスク評価に協力しなくなる」と批判していた。
訴えられたのは、自然災害リスクを評価する政府市民保護局の委員会メンバーだった著名地震学者、地球物理学研究機関のトップ、同局幹部ら7人。ラクイラで続いていた微震のリスクに関し、地震発生6日前に「危険はない」と公表、住民が逃げ遅れるなど甚大な被害を招いたとして11年5月に起訴された。
検察側は7人が「不完全かつ的外れで犯罪に値する誤った評価」を行ったとして責任を追及。地震予知ができたかどうかが問題ではなく、中世の歴史的建造物が残るラクイラが地震に弱く、住民へのリスク警告を怠った責任があると主張していた。

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これが有罪なら、「原発は安全だ」と言っていた日本の専門家も禁固刑、ということで。
と、言いたいところですけど、しかしこれはさすがにどうかと思います。日本の話ではないので、決めるのはあくまでもイタリアの司法であり国民であるわけですが、これでは、地震の専門家は何も言わないほうが身のためだ、ということになります。
問題のラクイラ地震の規模は、マグニチュード6.3です。東日本大震災の1万分の1程度の、きわめて小さな地震です。もちろん、地震の規模が小さくても震源が浅くて、ごく近くに人口密集地があれば大きな被害を生じる場合があります。この地震もそういう例の一つだったようです。しかし、マグニチュード8クラスの東海地震でさえ、予測できるかどうか不確かなのに、マグニチュード6.3の地震を予測しろというのは無理な話です。

もっとも、 Wikipediaのこの自身に関する項目 を読んだところ、どうもこの裁判には別の背景が絡んでいる可能性がありそうです。
というのは、この地震の発生を、グラン・サッソ国立研究所の技師が予告していたのですが、それはデマであるとして、この技師は市民保護局から処分を受けていたようなのです。
「安全宣言」というのは、この「デマ」に対する対抗措置として出されたのでしょう。結果としては、この技師の「デマ」が正しく、対抗して安全宣言を出した市民保護局が間違っていたわけです。その技師を処分してまで安全宣言を出した以上、その間違いに対する責任を取れ、ということなのかもしれません。
ただし、このグラン・サッソ国立研究所というのは素粒子物理学の研究所だそうで、素粒子物理学で、はたしてどうやって地震の予測に成功したのかは分かりませんし、この技師の地震予測も、「近々に地震がイタリア国内で発生する」という、きわめて曖昧な内容だったので、予測が当たったというのも単なる偶然かもしれません。



いずれにしても、仮にそういう背景があったのだとしても、やはり地震予知に携わる科学者を、予測失敗を理由に刑事罰というのは、問題が大きすぎるように思います。





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最終更新日  2012.10.23 23:25:43
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