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2014.11.13
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カテゴリ: 対中・対韓関係
中国船サンゴ密漁 海上自衛隊を出動できるか?


海上自衛隊と海上保安庁はどう違うのかをまず見ておきましょう。自衛隊は、外国からの攻撃など脅威を受けた場合に日本国の防衛を任務とする組織であり、そのために必要な装備を備えています。個人による違法行為は日本国にとっての脅威ではなく、したがって自衛隊が出動することはありません。これを取り締まるのは海上保安庁であり、海上での警察と考えてよいでしょう。このように国家の防衛と違法行為の取り締まりは別々の機関が担当することになっています。これは国際的に広く行なわれていることです。

海自出動すべきではない3つの理由
おびただしい数の中国漁船による密漁は海上保安庁だけでは手に余るとしても、海上自衛隊が海上警備行動として取り締まることについては強い疑問があります。第1に、中国漁船の行動は違法ですが、人命に対する明らかな危険があるわけではありません。したがって、自衛隊法の定める海上警備行動発動の要件を満たさないでしょう。
第2に、軍と海上警備隊を分別することは陸上での軍と警察を分けるのと同様、機能の違いに基づいており、装備も大きく異なります。また、国民との関係も違っています。それぞれの役割、機能に最適の組織をあてることは国家として必要なことです。
第3に、もし日本が安易に海上自衛隊を出動させると、将来日本の漁船が外国により取り締まりを受ける場合、軍の艦船が出てきても抗議できなくなります。
以上のように考えると、海上自衛隊による海上警備行動はあくまで例外的にのみ認められるべきことであり、海上保安庁の力では十分対処できないという理由だけで命令を出すべきでないと思われます。

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割合に冷静かつ妥当な論旨であるように思います。尖閣諸島を巡る問題でもそうですが、日本側は基本的に海上保安庁のみが対応しています。もちろん、これは前面に出ているのが海上保安庁という意味であって、背後では海上自衛隊も警戒はしているとは思いますが、前面には出てこない。それに対して、「自衛隊を出せ」と単細胞的に主張する人たちがいます。
しかし、尖閣諸島で日本側が護衛艦を出せば、中国側も確実に海軍の軍艦が出てきます。現状は、中国側も国家海洋局の海監(最近、海警局という組織に統合されたようですが)という警察組織の巡視船しか出してきていませんから、日本が海上自衛隊を出せば、日本側から事態をエスカレートさせた形になってしまいます。

小笠原沖のサンゴも同じで、こちらは中国政府も公式には漁船の密漁行為を非と認めているから、公然と「自国の漁船を救援するため」という名目で軍艦を派遣することはないでしょうが、日本が護衛艦を出して取り締まれば、別の理由をつけて(例えば、「わが国も取締りについて責任を取る」とか、そんな名目で)軍艦を派遣してくるかも知れません。何しろ、現場の海域は、日本の経済水域内ではあるけれど公海上ですから、そこに軍艦が入ってくること自体は国際法上なんら違法性はありませんから。
そういった事態のきっかけとなることを避けるためにも、自衛隊を前面に出すことは避けるべきでしょう。

加えて、自衛隊は非武装の漁船取締りを目的とする組織ではないし、護衛艦はそのような目的の船ではありません。実務上、そういった任務を自衛隊の艦艇が得意としているとは思えません。それは、日本に限った話ではなく、海軍とは別組織の海上警備組織を持っている国は、密漁船の取締りなどは海軍の仕事ではなく海上警備組織の仕事としているでしょう。
かつて、東西冷戦の時代には、北海道の漁船がずいぶん北方領土周辺の海で旧ソ連に拿捕されましたが、拿捕をしたのはソ連海軍の艦艇ではなく、国境警備隊の警備艦艇です。
米国の沿岸警備隊だってそうです。軍隊並みの武力を持つメキシコの麻薬マフィアを相手にすることもありますが、だから沿岸警備隊ではなく海軍が出てくる、ということはないでしょう。
陸上で類似例を考えてみると、よく分からない集団が大挙してかすみ網で野鳥の密猟をしています、というのを、警察ではなく自衛隊で取り締まれ、なんてことは、ありえない話でしょう。





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最終更新日  2014.11.13 23:56:55
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