inti-solのブログ

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2015.01.13
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テーマ: ニュース(95880)
カテゴリ: その他
元朝日記者提訴 言論の自由に反している


訴状によれば、植村氏は記事や論文などの指摘で社会的評価と信用を傷つけられ、ネット上の人格否定攻撃や家族への脅迫、勤務先大学への解雇要請などを招いた。こうした人権侵害から救済し保護するために司法手続きを通して「捏造記者」というレッテルを取り除くしかない-としている。
植村氏の解雇を求めた大学への脅迫については、産経新聞も昨年10月2日付主張で「言論封じのテロを許すな」と題して、これを強く非難した。同時に文中では「言論にはあくまで言論で対峙すべきだ」とも記した。
同じ文言を繰り返したい。
自身や家族、大学に対する脅迫や中傷と、言論による批判を混同してはいないか。
(中略)
大学や家族への脅迫を、自らを批判する記事や論文が招いたとする訴訟理由には首をひねる。
パリでは、イスラム教の預言者を登場させた風刺画などを掲載した週刊紙が襲撃され、編集長ら12人が殺害された。
テロの誘発を記事に求めることが認められるなら、広義ではパリの惨事も報道が招いたことになる。そこに言論、報道の自由はあるのだろうか。

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新聞・雑誌の報道に対して名誉毀損で損害賠償を求めることが「言論の自由に反している」というのなら、そもそも刑法から名誉毀損という罪を削除すべき、ということになります。
裁判を受ける権利は誰にでもあり、また名誉毀損による損害賠償の前例も、掃いて捨てるほどある。それを「言論人同士の記事評価をめぐって司法判断を求めるのは異様」というのはいかがなものかと思います。それこそ、「裁判を受ける権利の侵害」でしょう。
だいたい、他ならぬ産経新聞自身が、自らが原告になったわけではないけれど、百人斬り裁判、沖縄ノート裁判などで、本多勝一・朝日新聞・毎日新聞(百人斬り裁判)、大江健三郎・岩波書店(沖縄ノート裁判)を訴えた原告側を全面支援した前歴があります。
まさか、自分たちの名誉毀損提訴は良い提訴、元朝日記者の名誉毀損提訴は悪い提訴、だなどとは言わないよね。(いや、言い出しかねないし、少なくとも腹の中ではそう思っていそうですけど)

裁判に勝てるか否かは別の問題として(百人斬り裁判も沖縄ノート裁判も、産経が支援した原告側は前面敗訴したわけですが)、「裁判を起こすこと」自体を批判したってはじまらないのです。

「テロの誘発を記事に求めることが認められるなら、広義ではパリの惨事も報道が招いたことになる。」という言い分も、まったくおかしいと言わざるをえません。パリで起こったテロは、シャルリー・エブドのメッドの風刺画に反発するイスラム過激派が、掲載元のシャルリー・エブドを襲撃した、というものです。
植村隆氏の事例は、まったく逆です。この例に基づいて言えば、「シャルリー・エブドはけしからん、イスラムの敵だ」とイスラム過激派を煽った新聞か雑誌があったとして(実際に存在したかどうかは知りませんけど)それに対して事件の生存者か犠牲者の遺族が損害賠償を求めることが正しいか否か、というのに相当します。この事例に対して、産経新聞ならどういう態度を取るのかは、大いに興味ありです。やはりそれは「言論の自由に反する」というのでしょうかね。





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最終更新日  2015.01.14 00:42:13
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