inti-solのブログ

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2015.02.17
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カテゴリ: 政治
「残業代ゼロ」法案提出へ 厚労省、来春の実施目指す

新しい働き方は「高度プロフェッショナル制度」と呼ばれ、導入のねらいについて、報告書では「時間でなく、成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズに応える」とした。
高度な専門知識や技術、経験を持つ労働者を対象にし、為替ディーラーやアナリスト、コンサルタントなどを想定する。
年収の条件としては、「1075万円以上」と省令に明記する。何時間働いても残業代や深夜、休日手当が支払われなくなる。企業で導入する場合は本人の同意を条件とし、年104日以上の休日取得など働き過ぎを防ぐ仕組みの導入も求める。
報告書には、労使で事前に決めた労働時間に応じ賃金を支払い、追加の残業代が出ない「裁量労働制」の対象を、営業職の一部に広げることも盛り込まれた。

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第一次安倍政権のとき、散々批判されて立ち消えになったホワイトカラーエグゼンプションが、衣を変えて再び出てきました。ホワイトカラー・エグゼンプションのときは、年収400万円以上が対象という無茶苦茶な話でしたが、そこは1075万円以上に引き上げられたので、対象者は大幅に減りそうです。
が、しかし、問題は二つあります。第一に、その金額は省令に明記ということです。法律に書かれるわけではないので、国会の議決を経なくても改正ができてしまいます。だから、最初は高所得層のみを対象にしているように見せて、後々年収条件をどんどん引き下げることが簡単にできるようになっています。
第二に、これとは別に裁量労働制の対象を広げるのだというのです。裁量労働制の拡大の方は、年収の条件がありません。裁量労働制も、実労働時間に関わらず、一定時間勤務したものとみなして賃金を支払う、という性質上残業代が出なくなる点はホワイトカラー・エグゼンプションとほぼ同質です。(みなし労働時間が残業込みで、定額の残業代が支払われている例もあるでしょうが、実労働時間がみなし労働時間を越えても追加の残業代が出ない点では同じです)
年収1000万円もある人の大半は管理職でしょうから、今の時点でもすでに残業手当が支払われている人は少ないでしょう。従って、ホワイトカラー・エグゼンプションの対象になる人は、今はまだごくわずかだと思います(将来、年収条件がどんどん引き下げられて対象者がどんどん増えていくんだろうけど)。しかし、裁量労働制の拡大による影響を受ける人は、年収条件がないだけに、非常に多いのではないでしょうか。
裁量労働制が新たに拡大されるのは

(1)法人顧客の事業の運営に関する事項についての企画立案調査分析と一体的に行う商品やサービス内容に係る課題解決型提案営業の業務
(2)事業の運営に関する事項の実施の管理と、その実施状況の検証結果に基づく事業の運営に関する事項の企画立案調査分析を一体的に行う業務

だそうです。何度読み返しても意味が頭に入ってきませんが、要するに営業職とか企画立案を行う業務も対象とする、ということのようです。

その実態

出退勤がどの程度本人に任されているかを尋ねたところ、専門型で働く人の42.5%、企画型では49.0%の人が「一律の出退勤時刻がある」と回答。「出退勤の時刻は自由だが、出勤の必要はある」(専門型37.4%、企画型34.9%)などを上回った。

というのです。その挙句に、裁量労働制なのに遅刻を理由に賃金カットされた例すらあるそうです。「裁量労働制」と言いつつ裁量ではない、偽装裁量労働とでも言うべき例が、全体の半分近くを占めているのです。
時間管理をしているのに「裁量労働制」という建前をとる理由は、そうすれば残業代なし(あるいは定額の残業代のみ)で済むから、であることは明らかです。そんな目的に裁量労働制が悪用されている例が半分近く、という時点で、制度として破綻していることは明らかです。それなのに、その裁量労働制を更に拡大というのです。

残業代ゼロ法案の推進者が表向き言っているのは、「残業代が出なくなれば、みんな残業しないで仕事を早く終わらせるようになるから労働時間が減るだろう」ということです。でも、裁量労働制の現状を見れば、そうはならないことは明らかなのです。
実質的にはこの法案は労働時間の短縮にはさほど結びつかないまま、残業代の圧縮には確実に結びつくことになります。そりゃ、経営者側にとっては、人件費を少しでも減らせれば万々歳でしょうが、働く人間の側にとっては冗談ではない話です。





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最終更新日  2015.02.17 23:32:04
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