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民王の続編。 シベリアウィルスという、感染したら性格が狂暴になる、みちのウィルスが日本に蔓延し…というストーリーですが、見事にコロナ禍における陰謀論の蔓延を皮肉っていますね。 池井戸さんの作品は、読後感が爽快になるので好きです。
2021年11月27日
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ヒマラヤを舞台にした山岳小説。自然の脅威との戦いを描いた読み応えのある作品でした。
2021年11月24日
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画鬼と呼ばれた父を持った、とよ。 絵師として母として、凛としながらも己の才に苦しむ彼女が、ようやくたどり着いた答えに、胸が熱くなりました。
2021年11月20日
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タイトルの意味が判った時、ラストシーンの湯川と草薙のやり取りに胸が熱くなりました。
2021年11月20日
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コロナパンデミックにより混乱した日本国を立て直そうと、AIで徳川家康、坂本龍馬などの歴史上の偉人たちを復活させるー 現在の政治家にはない政策や即断即決の迅速な実行力など、戦乱の世に生きた偉人達の姿にスカッとしながら一気読みしました。 主人公の理沙と龍馬の関係はまあ、どうでもいいのですが。 本当に、今の政治家には彼らの姿勢を見習って欲しいものです。
2021年11月17日
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最近話題となっている作品で、テンポ読めました。 興味深い設定で面白かったです。
2021年11月15日
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東日本大震災と、生活保護という大きなテーマを扱っている作品。 連続餓死事件のうらには、生活保護を受けられず餓死した老女の存在があった。 事件の真相はあまりにも残酷でせつない結末でした。
2021年11月15日
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何だか、後味が悪い結末を迎えましたね。アウトサイダーの正体がわからなかったというか、不気味でしたね。
2021年11月13日
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画像はコチラからお借りいたしました。「火宵の月」「薄桜鬼」の二次創作小説です。作者様・出版社様・制作会社様とは一切関係ありません。二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。一部残酷描写があります、苦手な方はご注意ください。「出て行け!」「出て行け!」 有匡が抵抗しないのをいい事に、子供達は憎しみと怒りで顔を醜く歪ませながら、次々と彼に向かって石を投げた。 一体、何が起きているのか、有匡にはわからなかった。 長州を京から追い出して感謝される筈なのに、逆に人々から罵られ、石を投げられている。「こら、何しとる!」 そう叫んで子供達と有匡との間に割って入ったのは、商人風の男だった。「あの子らは、親を火事で亡くした子どす。どうか、うちに免じてあの子らを許してやってくれまへんやろうか?」「貴殿は?」「大黒屋総右衛門と申します。」「土御門有匡と申します。」「土御門様・・もしや、スウリヤ様の息子はんどすか?」「母を、ご存知なのですか?」「へぇ。スウリヤ様には、よう店の手伝いをして貰うてました。」「そうなのですか。」「詳しい話は、また後で。ほな、うちはこれで。」「はぁ・・」 男―大黒屋総右衛門は、そう言うと有匡に一礼して去っていった。「あなた、こんな所に居たのですね?さぁ、屯所に戻りましょう。」「あぁ・・」 有匡は、焼け野原となった町から去った。 その姿を、焼け焦げた柱の陰から一人の女が見つめていた。「スウリヤ様、お久しゅうございます。」「どうしてわたしだと気づいた?」「背格好でわかりました。」「そうか。」「さ、こないな所で立ち話でも何どすから、店の方へどうぞ。」「かたじけない。」 スウリヤは、『大黒屋』の中に入ると、被っていた頭巾を脱いだ。 すると、炎のような紅い髪がまるで波のように広がった。「見事な御髪どすなぁ。簪や櫛で飾ったら美しいでしょうに。」「おかしな事を言う。わたしの国では赤毛は呪われたもの、癇癪持ち、そして裏切り者の証だといわれている。美しいと言われたのは初めてだ。」「あなた様は、ご自分の美しさに気づいておられないようですな。」 大黒屋はそう言うと、スウリヤを見た。「そういえば、先程ご子息にお会い致しましたよ。凛々しい殿方でした。」「あの子と共に居られたのは、ほんの数年だけだったが、幸せだった。」「人にはそれぞれ、事情というものがあります。スウリヤ様には、ご子息をお捨てになられたのではないと思っています。」「そうか・・」 スウリヤは、江戸の土御門家で過ごした数年間の事を思い出した。 親から勘当され、有仁の元に駆け落ち同然に転がり込み、彼との間に二人の子宝に恵まれ、幸せな結婚生活を送っていた。 しかし、その幸せは長くは続かなかった。 スウリヤの父は、娘を殺害しようとしていた。 しかし、有仁はスウリヤを彼から守った。『スウリヤ、どうしても行くのか?』“済まない、子供達を頼む。” 有仁は、子を置いて家を出た自分に、恨み言ひとつ言わなかった。 有仁は、今どうしているのだろうか。「わたしは、あの人を裏切ってしまった・・」「旦那様に文を書かれてみては?口に出来ない想いを、文にしたためてみれば・・」「いいな、それは。」 江戸の土御門家では、有仁が風邪をひいて寝込んでいた。「旦那様、文が・・」「誰からだ?」「それが・・」 使用人から文を受け取った有仁は、その文の送り主がスウリヤだと気づいた。“愛しいあなたへ・・”「旦那様?」「済まないが、文机の一番下の引き出しから羊皮紙とインク、羽根ペンを出してくれないか?」「はい、かしこまりました。」 使用人が有仁に手渡したそれらのものは、スウリヤが自分の誕生日に贈ってくれたものだった。にほんブログ村
2021年11月11日
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大団円のラストでしたね。
2021年11月08日
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「薄桜鬼」の二次創作小説です。制作会社様とは関係ありません。二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。 千年前、京で悪逆の限りを尽くしていたその鬼の名は、風間千景といった。 彼はかの酒呑童子、茨木童子と並ぶ“三大鬼”の一つで民話の中で人々に言い伝えられてきたが、千景にとってあの鬼達はただの雑鬼に過ぎなかった。 千景を封印したのは、土方匡人―妖狐を異母弟に持つ、陰陽師だった。『お前は、そのまま眠っていろ!』 封印された時の事は、千年経っても忘れられない。 人里に下りる前、千景は美しく澄んだ鏡のような水面で己の姿を映すと、溜息を吐いた。 千年前の装束のままだと、変な輩に絡まれてしまうかもしれぬ―聡い千景はそう思うと、“人”の姿へと変わった。 紫のフロックコートと揃いのスーツ姿を見て満足した彼は、そのまま森を去っていった。「人が沢山居ますね!」「まぁ、今の季節は紅葉が映えるからなぁ。」 会津若松駅へと降り立った歳三と千鶴は、タクシーで飯盛山へと向かった。 昨年会津藩を舞台にした大河ドラマの影響なのか、飯盛山周辺は観光客で溢れ返っていた。「今年も、来ましたね。」「あぁ。」 線香を自刃した少年達の墓前に供え、彼らの冥福を祈った歳三は、かつて彼らと戦った日々の事を思い出していた。 あの頃、歳三は“土方歳三”という新選組副長の魂として生きていた。 いつの世も、人は些細な事で戦をする。 だが、あの頃―幕末に生きた頃の記憶は、千年前のそれよりも鮮やかに思い出せる。「あぁ、これは・・」「あなた?」 白虎隊資料館の中で、千鶴は夫がある展示物の前で立ち止まった事に気づいた。 それは、会津藩降伏の時に旧会津藩士達が悲しみの涙を流しながら切り取ったとされる緋毛氈だった。「帰ろうか。」「はい・・」 その日の夜、千鶴は宿泊先のホテルの部屋で、夫がうなされている事に気づいた。「あなた、どうかなさったのですか?」「逃げろ・・早く・・」 そう言った夫の額には、汗が浮かんでいた。 そっと彼の手に触れると、そこは燃えるように熱かった。(いけない・・) 千鶴は己の霊気で、歳三の熱を下げた。「風邪ですね。お薬出しときますから、安静にして下さいね。」「はい・・」 熱に浮かされながら、歳三は夢にうなされていた。 血と硝煙が立ち込める戦場で、彼は戦っていた。『土方君、我々は仙台へ向かう。』『それは、会津を見捨てるって事か?』『会津の降伏は、時間の問題だ。我々の戦いは、まだ終わっていない。』 会津から仙台、そして箱館へ・・歳三は、最後まで戦った。 そして―「あなた、大丈夫ですか?酷くうなされていましたよ?」「悪い夢を見ていた・・」「わたし達は、長く生き過ぎた分、色々と辛い思いをしてきましたね。でも、“彼ら”の生き方は間違っていないと思います。」「そうか・・」「あなた、ゆっくり休んで下さい。」「わかった・・」 歳三は、妻の言葉を聞いて安心した後、静かに寝息を立て始めた。「ほぉ・・九美の狐と鬼の夫婦とは珍しい。」「何者ですか?」 この部屋には結界を張っているというのに、それをいともたやすく破るとは。「俺はお前と同族だ。」「では、あなたが・・」「そうだ、俺はお前の夫の異母兄に封印された鬼だ。」「わたしに、何かご用ですか?」「いや。ただ、挨拶をしに来ただけだ。」 鬼はそう言うと、そのまま部屋から消えていった。 翌朝、歳三の熱は下がった。「心配かけて、済まなかったな。」「いいえ。」 東京へと戻った歳三達が帰宅すると、そこには彼らの“家”を守っていた狐達がやって来た。“お帰りなさいませ。”「ただいま。」「留守中、何も変わった事はなかった?」「はい。」「失礼致します。歳三様に、お客様がいらっしゃいました。」「客?こんな時間にか?」「邪魔するぞ。」「あ、兄上・・」 カランとドアベルが鳴り、中に入って来たのは、歳三の異母兄であった匡人だった。「どうして、ここがわかったかって?君の友人が、わたしをここまで案内してくれたのさ。」「トシさ~ん、会いたかったよ!」 そう言って歳三に抱きついて来たのは、伊庭八郎―伊庭家の御曹司だった。「お前ぇ、どうして・・」「トシさんに会いに来たかって?トシさんを、抱きに来たからに決まっているじゃない!」 八郎の爆弾発言に、歳三は飲んでいた茶を思わず吹き出しそうになった。にほんブログ村
2021年11月08日
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金曜ロードショーで録画していたので、ゆっくりみました。母親が娘に50年分の手紙をヴァイオレットに代筆依頼するエピソードには泣きました。映像と物語の美しさが合わさり、とてもいい作品でした。
2021年11月04日
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※BGMと共にお楽しみください。「薄桜鬼」の二次創作小説です。制作会社様とは関係ありません。二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。 止まない雨の中、一人の幼女は両腕に傷ついた狐を抱えていた。―まぁ姫様、黒い狐など不吉な・・―いけません、元の場所に戻していらっしゃい。「嫌です、今日からこの子はわたしの家族です。」 女房達や母親がそう宥めても、千鶴は頑として狐を離そうとしなかった。 結局、彼らは根負けして黒い狐を家族として迎えた。「これからは、ずっと一緒だからね。」 千鶴の声に答えるかのように狐は嬉しそうに鳴いた。 やがて時は過ぎ、千鶴は裳着を済ませ、入内する事になった。「父様、この子も連れて行っても良いですか?」「ならぬ。妖を宮中へ連れて行く事は出来ぬ。」「わかりました。」 千鶴は入内前夜、狐にこう告げた。「ごめんね、また一緒に暮らそうね。」 狐は、悲しそうに鳴いた。 その後、狐は彼女の帰りを待ったが、半年経っても、彼女は帰って来なかった。 入内して一年経った頃、彼女は帰って来た。 大きな腹を抱えて。「ここにね、新しい家族が居るの。」「まぁ、めでたい事。」「元気な御子を産むのですよ。」「はい、父上。」「何だか、すっかり大人になったな。“父様”とお前が呼んでくれた頃が懐かしい。」「まぁ・・」 千鶴は、元気な男児を産んだが、その子は何者かに毒を盛られて死んだ。 悲しみの余り、千鶴は床に臥せた。「大丈夫よ、きっと良くなるわ。」「ごめんね・・あなたを独りにしてしまう。」 狐は、悲しそうに鳴いた。“死なせない” 狐は霊力を使い、自分の“気”を千鶴に分けた。 すると、彼女の黒髪はたちまち美しい銀色へと変わっていった。「姫様!」「一体これは・・」「今まで、隠してきたというのに・・」「黒い狐の所為だ!」「黒い狐を殺せ!」“やめて!” 眠っていた筈の千鶴が目を覚まし、狐を殺そうとした男達の矢を阻んだ。「千鶴、貴様!」「この子は、わたしの家族よ!」「黙れ、この役立たずが!」 激昂した千鶴の父親は、千鶴の頬を平手打ちした。「お前など、もう娘ではない!その不吉な狐と共に消えるがいい!」「父上・・」“そうかい、ならばこの娘、貰い受けるぜ。” 黒い狐はそう言うと、人の姿へと変化した。「漸く会えたな、我が妹(つま)よ。」 こうして、千鶴と狐―土方歳三は夫婦となった。 歳三は、一族を追放された妖狐だった。「ん・・」「あなた、起きて下さい。」 歳三が目を開けると、そこには心配そうな顔をして自分の顔を覗き込んでいる千鶴の姿があった。「どうされたのですか、酷くうなされていましたよ?」「昔の事を、思い出していたんだ。」「まぁ。」「なぁ千鶴、俺達が夫婦となってもう千年か・・」「えぇ、そんなに経ちますね。」「千年、か・・俺達妖にとっちゃ、あっという間の事だが、人の世は変わっちまうものだなぁ。」「そうでしょう。わたくしは、あなたと夫婦になったのは運命だと思っております。」「・・そうか。」 歳三はそう言うと、千鶴を抱き締めた。「土方さん、斎藤です。」 烏天狗の斎藤一は、そっとドアを開けて部屋の中に入った。「何かあったのか?」「はい。会津の方で、何やら不穏な気配を感じて様子を見に行った所、封印された鬼が・・」「厄介な事になったな・・」「あなた、行くのですか?」「あぁ。」「では、わたしも参ります。」「わかった。」 こうして二人は、会津へと向かった。 その会津では、千年封印されていた鬼が、覚醒めようとしていた。「千年振りか、待ちくたびれたぞ。」 膝裏まである銀髪をなびかせながら、その鬼は破壊された洞穴の外へと出た。「さて、人里へと下りてみよう。」 鋭い牙を覗かせながら、鬼はそう呟くと笑った。にほんブログ村
2021年11月03日
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「薄桜鬼」の二次創作小説です。制作会社様とは関係ありません。二次創作・BLが嫌いな方はご遠慮ください。「はぁ・・」 仕事が終わり、会社を出たのは午後十時。 定時で帰るつもりだったのに、急に上司から仕事を押し付けられて、こんな時間まで残業していた。 今の会社に就職したのは、半年前。 大学在学中に必死に就職活動し、卒業と同時に就職してから、ずっと毎日朝九時から夜十時まで休みなく働いている。 食事はたまにコンビニで買う弁当やおにぎり。 偶に安売りスーパーでスナック菓子を爆買いしてはそれを貪り食う日々。(わたし、何の為に働いているんだろう?) ここ半年、仕事に追われてまともに食事や睡眠をとっていない。 その所為で、仕事の効率が下がり、毎日上司から怒鳴られている。 とぼとぼと自宅があるマンションまでの道を歩いていると、突然背後から男の荒い息遣いが聞こえて来た。「なぁ、ヤラせろよ・・」「嫌ぁっ!」 男に押し倒され、必死に助けを呼んだが、人通りが少ないこの場所では無駄だった。 もう駄目だ―そう思った時、突然自分の上に覆い被さっていた男が悲鳴を上げた。 彼の周りには、一羽の烏が旋回し、その鋭い爪と嘴で何度も男の両目を突いていた。「大丈夫か?」「はい・・」 目の前には、山伏のような恰好をした黒髪の美青年が立っていた。「立てるか?」「何とか・・」「行くぞ。」 覚束ない足取りで謎の美青年と共に向かったのは、ポツンと都会の片隅に建っているカフェだった。「いらっしゃいませ。」「土方さんを呼んでくれ。」「かしこまりました。」 二人を出迎えたのは、着物の上にエプロンを着けたおかっぱ姿の店員だった。「あら、どうしたの?」 とんとんと軽い足音が聞こえたかと思うと、美しい銀髪金眼の女性が二人の前に現れた。「千鶴様、お久しぶりです。」「まぁ斎藤さん、お久しぶり。あなた、酷い格好をしているわね。」「はは・・」 確かに、わたしの格好は泥だらけのスーツに破れたストッキング、折れたパンプスといった酷い有様だった。「こちらへいらっしゃい。そんな格好では出歩けないでしょう?」 女性はそう言うと、自分の部屋へとわたしを連れて行った。 そこには、美しい柄の帯と着物が広げられていた。「あの、みんな高級な物みたいだから、わたしには似合わないかも・・」「いえ、そんな事はないわ。あなたには、あなたにしか持っていない良さがある筈よ。」「はぁ・・」 女性にぐちゃぐちゃだった髪を黄楊の櫛で梳かれ、薄化粧をして貰った。 化粧なんて半年もしていないし、髪もぐちゃぐちゃのままだった。「これが、わたし?」「あなたは、生きる事に疲れているのでしょう?」「え・・」「千鶴様、失礼致します。」 コンコンとノックの音が聞こえたかと思うと、一階に居た店員が部屋に入って来た。「はい、これ。」 女性がそう言ってわたしの前に置いたのは、美味しそうな市松模様のクッキーだった。「頂きます。」 わたしがそのクッキーを一口食べると、たちまち口の中で程よい甘さが広がった。 五臓六腑にしみわたるとは、まさにこの事だ。「これは、幸せを呼ぶクッキーよ。あなたに、幸運がありますように。」 その後わたしは、一階で久しぶりにまともな食事をとった。「美味しい・・」「お代は要らないわ、気を付けて帰ってね。」「はい・・」「ありがとうございました。」 翌日出社すると、いつもわたしに仕事を押し付け、怒鳴って来る上司はいつの間にか居なくなっていた。「○○さん、どうしたんだろうね?」「あの子、S部長との事が奥さんにバレて、その上会社にもバレてクビだってさ。」「自業自得だね。」 会社からの帰り道、わたしはひっそりと都会の片隅に佇んでいる神社の前を通った。 わたしは賽銭箱に十円玉を入れ、神様にお礼を言った。“ありがとうございました。” 風に乗って、何処かで聞いたような声がした。「行ったみてぇだな。」「はい。」 去り行く女性を見つめていたのは、昨夜彼女が会った銀髪金眼の女性と、銀髪紅眼の男性だった。「では行きましょうか、あなた?」「あぁ。」 この二人は、平安の世から夫婦として長年連れ添って、令和の世ではある商売をしながら生きてきた。 チリン「ようこそ、華カフェへ。」にほんブログ村
2021年11月02日
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「さぁ、どうぞ。」「はぁ・・」「そんなに硬くならないで。」そう言って女王の妹であるヴィッキーことヴィクトリアは、歳三に優しく微笑んだ。「突然こんな所に連れて来られて、不安でしょう?」「えぇ、まぁ・・」「ヴィッキー、あなたこの方に聞きたい事があるのではなくて?」「あぁ、そうだったわ。トシゾウ様、私の子をご存知なの?」「はい・・」「あの子は、わたしの手で育てたかったのだけれど・・」「あなたに、あの子は育てられなかったのよ、だから・・」「姉様、やめて!」ヴィクトリアはそう叫ぶと、ティーカップを乱暴にソーサーの上に置いた。「落ち着きなさい、ヴィッキー。」「だって・・」「トシゾウ様、この子は興奮すると少し手がつけられなくなるの。」「はぁ・・」「ヴィクトリア様、大変です!」「まぁ、何があったの、そんなに慌てて?」「それが・・ヴィクトリア様にお会いしたいという方がいらっしゃって・・」「わたしに、会いたい人?」「はい・・」「トシゾウ様、申し訳ないけれどわたしはこれで失礼させて頂くわ。」「はぁ・・」何処か慌しい様子でヴィクトリアが女官達と共に部屋から出て行くのを歳三は戸惑いながら見送った。「あの子ったら、落ち着きがないのねぇ。」 エリーザベトはそう言って溜息を吐きながら、紅茶を一口飲んだ。「妹は、昔から落ち着きがない子でね、乳母達をいつも困らせていたわ。」そう言って笑みを零すエリーザベトの表情は、とても寛いだものだった。姉妹の関係は、いまいち歳三にとってはわからないものだが、彼女達のそれは余り険悪なものではなさそうなものだった。「どうか、あの子の事をよろしくお願いしますね、トシゾウ様。」「はい・・」ヴィクトリアの部屋をエリーザベトと共に出て行った歳三が廊下を歩いていると、自分を睨みつけていた金髪紅眼の男と擦れ違った。「調子に乗るなよ。」「レオンの事は、気にしなくてもいいわ。」「はぁ・・」「今日は少し疲れただろうから、部屋で休みなさい。」「わかりました。」「陛下、湯殿の準備が出来ました。」二人の前に、水瓶を持った女官が数人現れた。「そう。」「あの水瓶には何が入っているのですか?」「牛乳よ。牛乳は美容に良いの。」「そうですか。」「では、また夕食に会いましょう。」「はい・・」女官達によって用意された部屋に入った歳三は、そのまま寝台の上に寝転がった後、目を閉じた。「何という事・・」「そんな、陛下が・・」「これから、どうすれば・・」 外が急に騒がしくなったのは、夕方の事だった。(何だ?)部屋から出ると、何やら女官達が慌てた様子で湯殿の方へと走ってゆくのを見た歳三が湯殿へと向かうと、その前には人だかりが出来ていた。「一体、何があった?」「陛下が、血を吐かれて・・」「え?」歳三が湯殿の中に入ると、そこには浴槽の中で死んでいるエリーザベトの姿があった。(一体、どうして・・)先程まで、彼女は生きていたというのに。「陛下・・」「さぁ、陛下の遺体を外へ・・」女王の突然の死により、宮廷内は混乱した。「あぁ、陛下が・・」「姉様・・」エリーザベトの死因は、中毒死だった。「どうやら、浴槽の中に毒が仕込まれていたようです。」「まぁ・・」ヴィクトリアは、姉の解剖をした医師の言葉を聞いて絶句した。「トシゾウ様、これから一体どうすればいいのかしら?姉様の他に、この王国を治める人は居ないわ。」絶大な魔力とカリスマ性を持った女王急逝の報せを知った国民達は、大いに彼女の死を嘆き悲しんだ。彼女の葬儀には、全国民が参列した。「トシゾウ様、こんな時間に呼び出してごめんなさいね。」「いいえ。」「あのね・・こんな事をあなたに頼むもどうなのかと思うのだけれど、姉様の代わりに、この国を治めてくれないかしら?」「は?」青天の霹靂とは、まさにこの事を言うのだろうか。「どうして、俺が・・」「あなたから、姉様と同じ強い魔力を感じるの。」「魔力?」「ええ。魔力は人それぞれ違うけれど、あなたのそれは姉様と同じなのよ。姉様の魔力と同じ物を持っている人は、珍しいの。」「珍しい事なのか?」「はい。あぁ、勿論ずっと姉様の代わりをして貰うっていう話ではないのよ。暫くの間だけ・・」「わかった。」「ありがとうございます、トシゾウ様・・」「俺が、これからどう女王の身代わりをすればいいのか、教えて下さい。」「わかりました。」葬儀の後、歳三は京に居る仲間達に宛てた文を書いた。「これを、京に居る仲間達に。」「かしこまりました。」(これから、忙しくなるな・・)「土方さん、暫く帰って来られないみたいですよ。」「そうか。」「鬼副長が居ない間に、色々とのんびり出来ますよね。」「それはどうかな・・何せ、トシの代わりに俺が色々と事務仕事をしないといけないからなぁ・・」勇はそう言うと、副長室の机に積まれている書類の山を思い出し、溜息を吐いた。「はぁ・・」ヴィクトリアから頼まれ、歳三がエリーザベトの“代役”として女王を務める事になったのだが、余りの仕事の多さに彼は息つく暇がない程忙殺される日々を送っていた。女王の仕事量は、膨大且つ多岐にわたるものが多い。「毎月の衣装代や美容代にこんなに金使うのかよ・・使い過ぎだろう。てか風呂は一日一回位でいいだろ・・」そう呟きながら、歳三はエリーザベトの私室で彼女の帳簿を見ていた。「陛下、よろしいでしょうか?」「いいわよ、入りなさい。」「失礼致します。」そう言って部屋に入って来たのは、レオンだった。「一体、何の用かしら?」「貴様、一体何のつもりだ?何故、陛下の身代わりをしている?」レオンはそう言うと、腰に帯びている長剣の切っ先を歳三に向けた。「お前ぇの主の妹に頼まれたんだよ!」「嘘を吐くな!」「本当よ、レオン。」「ヴィクトリア様・・」「剣をおさめて、レオン。」「何故です・・何故、こんな男に陛下の身代わりをさせるのです!?」「この方は、姉様と同じ魔力の持ち主だからよ。一部の、特に“あの人達”に姉様の死を知られてはならないの。だから、暫くの間この方に、姉様として振る舞って貰う事になったの。」「そうですか・・」「レオン、あなたにも協力して貰うわ。あなたは、姉様の懐刀的存在だからね。」「わかりました。」ヴィクトリアの言葉を聞いてレオンは渋々彼女の提案を受け入れたが、歳三の事を余り信用していないようだった。「陛下、ハノーヴァー伯爵がお見えになります。」「わかったわ。」(誰だ、それ?)「ハノーヴァー伯爵は、姉様に媚を売ろうとしている貴族よ。きっと、異端審問官の事で話があるんだと思うわ。」「異端審問官って、なんだ?」「教会が管理している所よ。主に、魔力がある子供達を国中から集めているわ。」「へぇ、厄介な奴らなんだろうな。」「ええ。だから、彼らと話している時は気をつけて。」「わかった。」歳三は女官達に身支度を手伝って貰い、華やかなドレスとティアラを身に着けると、そのまま“謁見の間”へと入っていった。「陛下、床に臥せられておられたと聞いておりましたが、ご快復されて良かったです。」そう言って歳三に向かって笑みを浮かべたのは、ハノーヴァー伯爵だった。「伯爵、あの後どうなっているの?」「相変わらず、教会は異端審問官の横暴を許しております。陛下、このままでは・・」「わたしが教会へ直接出向きましょう。」「それはありがたい!」「陛下、イリウス司教がお見えになりました。」「そう。」「ご機嫌麗しゅうございます、陛下。」「イリウス、先程ハノーヴァー伯爵から、あなた方が異端審問官の横暴を許していると・・」「お言葉ですが陛下、わたくし共は、“正しい事”をしているだけです。」「“正しい事”ですって?」「はい、わたくし共は、魔力を持たぬ子供達を育成しているのです!」イリウス司教は、そう言って歳三を見た。「魔力など、神に背くものです!」「それをわたしの前で言うのですか?」「ひっ・・」歳三から睨まれ、イリウス司教は恐怖の表情を浮かべていた。「魔力を持たぬ子を育成する、ですって?それは、この国を、そしてわたしを否定する事になるのですよ?」「も、申し訳ありません!」「わかればよろしい。これ以上、あなた方の横暴は許しません。」「ははぁっ!」“謁見の間”から出た歳三は、大きな溜息を吐いた。「お疲れ様でした。」「ったく、疲れたぜ・・」歳三は寝台に横たわると、そのまま着替えもせずに眠った。「陛下は?」「お部屋でお休みになられております。」「そうか。」「何か、気になる事がおありなのですか?」「陛下の様子が、少し変わったように見えないか?」「はぁ・・」「ヴィクトリア様に少し探りを入れてみる事にしよう。」イリウス司教は、そう言うと闇の中に消えていった。「誰だ?」歳三が目を覚ますと、部屋で微かに人が居た気配を感じたので、彼は寝台の近くに置いてあった愛刀を取ると、黒衣を纏った刺客が襲って来た。(何なんだ、こいつ!?)「そこまでだ!」「はっ!」「何だ、てめぇは?」「エリーザベト女王陛下は剣の達人だと聞いておりましたが、まさかここまで腕が立つとは、聞いておりませんでしたなぁ。」そう言って笑いながら歳三の前に現れたのは、イリウス司教だった。「貴様、何のつもりだ」!?」「それはこちらの台詞ですよ。姿形は女王陛下と同じだが、偽者だ。さてと、我々と一緒に来て頂けませんかな?」「断る、と言ったら?」「それは、困りますなぁ・・では、力ずくで・・」イリウス司教が手を叩くと、部屋に刺客達が入って来た。「やれるもんなら、やってみやがれ!」 歳三はそう言うと、刺客達と斬り結んだ。「トシゾウ様!」「ヴィクトリア様、来ないでください!」「イリウス司教、一体これはどういう事なのです!?」「こやつは陛下の偽者ですぞ!」「落ち着きなさい!わたくしがトシゾウ様に陛下の身代わりを頼んだのよ。」「何故、そのような事を?」「“彼ら”の目を欺く為よ。」「“彼ら”って、一体誰の事だ?」「それは明日、お話致します。」「わたしは認めませんぞ、このような紛い物の女王など!」イリウス司教はそう吐き捨てると、その場から去った。「お休みなさい。」「お休みなさい、ヴィクトリア様。」(これからが、色々と大変だな・・)歳三は再び寝台に横になると、そのまま朝まで眠った。「おはようございます、陛下。」「おはよう・・」「さぁ、お召し替えを致しましょう。」「着替えは、自分でする。」「そうは参りません。」女官達によって髪を結われた歳三は、寝台の柱に掴まり、コルセットを締められていた。「なぁ、締め過ぎじゃないか?」「いいえ、これ位致しませんと!」「そうですわ!」(苦しい・・)「陛下、どうなさったのですか?」「いや・・じゃなくて、いいえ・・少し胸が苦しくて・・」「まぁ、それはいけませんわ!」「誰か、お医者様を!」コルセットを締め過ぎて、歳三は軽い貧血を起こしただけだった。作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2021年11月02日
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ここ一週間ほど、右目だけが充血し、痛みやかゆみはないものの、一向によくならないので近所の眼科へいきました。そしたら、結膜フリクテンという珍しい病気でした。主に真菌、ブドウ球菌などによるアレルギー性のものだという事です。視力に問題なかったので良かったのですが、特にアレルギー性質でもないですし、原因は汚い手で目を擦ったことでしょうかね。それとも、断水の間に洗顔が一度も出来なかったからそれが原因なのかもしれないかと・・まぁ、原因を考えても無駄ですから、点眼薬でじっくりと治す事にします。
2021年11月02日
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最初から最後まで目が離せない展開でした。 完結までこのシリーズを読み続けたいなと思いました。
2021年11月01日
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