お茶かけごはん と ねこまんま

お茶かけごはん と ねこまんま

2005.11.27
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カテゴリ: 年寄りと暮らす
世代を超えて受け継がれる親子関係は、確かにあると思う。

夫と息子。

母と私。
私と娘。

だからしょうがない、とは思わない。
結局、運命は自分が作り上げるものだと思う。

残念ながら、夫は父親との良好な親子関係を築いたとは言いがたい。
そして、危うくわが子との親子関係も破綻しかねないところだった。


いわゆる
「腕白でもいい。たくましく育ってほしい」
というタイプ。

残念ながらうちの長男は、それとは著しく異なっていた。

最近知り合いの6歳の息子が
「広い意味で言うと、自閉症の枠のなかに入ると言ってもいい」
という診断を下された。
だったら、うちの子もじゃなかったの?
と、その子を見ながら思う。

小さい頃の息子は、昼間はドンと座ってニコニコしていた。
ただ、ニコニコしているだけ。

近所の人たちから
「まだバイバイも言わないの?」
「聴力の検査を受けたほうがいいかもしれない」
と言われて泣いた。

夜になると豹変し、泣き喚いて手がつけられない。

やっと眠っても夜中の12時になると起きて、
毎晩決まった手順で水を飲まなければならない。
ひとつでも手順が狂うと、狂ったように泣きそのまま眠らなくなる。

乳幼児健診でも引っかかり、保健所での個人面談で
「言葉は少し遅いですがアイコンタクトもできているし、まあ心配することはないでしょう」
とは言われた。
でも幼稚園に行くようになっても捉えどころがない感じ。
「空気のようだ」と私が言うと、幼稚園の先生が手を打って
「上手いことを言いますね!」

先生から言われるのはいつも
「ともくんは自分の世界を持っています」
それを複雑な気持ちで聞いた。

いつも心ここにあらずで何かを考えているように見えるが
何を考えているのか分からない。
夫は、そんな息子をなかなか受け入れることができなかった。
「ぼーっとするな!」
「シャキッとしろ!」
打てば響くような返事が欲しい夫は、それができない息子に苛立ち
手を上げることもしばしばだった。
父からいつも怒鳴られ、叩かれて萎縮しない子供はいない。
時と共に、夫と息子の緊張関係は強まり、家中をぴりぴりとさせていた。
夫が息子を責めるたびに、私は正面切ってかばった。
そうせずにはいられなかったのだが、それでますます空気は張り詰めた。

両親と同居して、なにが一番助かったかと言えば、
この関係にふっと風穴が開いたことだった。
長男は小学校4年生になっていたがまだ幼く、
じいちゃん、ばあちゃんが一緒に住むようになるのを素直に喜んだ。
じいちゃんも孫たちに囲まれた生活が始まるのがうれしくて、
なにかにつけて話しかけてきた。
息子は、じいちゃんが自分を必要としていると感じたようだ。
そのことが、自信の芽生えにつながったと思う。

夫も心理学を学ぶ機会を得て、それまでの息子への接し方を省みたようだった。
お互いに少しずつ成長して、二人の関係が緩やかに変化したのがはっきりと分かった。

今では息子にそんな頃があったとは想像しにくい。
野球部で真っ黒になり、勉強は試験の前だけがんばり、休みの日は友達と遊びに出かける、普通の中学2年生だ。

夫との関係は…いい距離感を保っている。
それでいいと思う。
夫も息子も当然ながら別の人格なのだから、仲良し親子じゃなくても別にいいじゃないかと思う。二人と接する私自身が揺るがなければそれでいいのだ。

相変わらず、こっちの質問にとんちんかんな答えを返すこともあるが、
私には、割といろんな事を話してくれる。
「母さんはオレの理解者だと思ってる」などと、ありがたい言葉も頂戴した。

もし同居を始めずに、緊張感に満ちた生活をあのまま続けていたら。
このことだけは、両親に心から感謝したい。






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Last updated  2005.11.28 00:37:38
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