お茶かけごはん と ねこまんま

お茶かけごはん と ねこまんま

2005.12.27
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カテゴリ: 年寄りと暮らす
今までに3人のお産経験があるので

だとたかをくくっていた。
助産婦さんも看護師さんたちも
「片桐さんはベテランだから―」
と、特に心配もしていないようだった。
ところが予想は大きく外れた。

最初の子を産んだとき、3階の病室から1階の診察室に向かうエレベーターの中で、私よりもずいぶん年上の産婦さんに会ったことがある。
すっかりやつれて、よろよろと壁に寄りかかり、立っているのがやっとと言う状態。直視するのが気の毒なほどだった。


出産後初めてトイレに行く許可が出て、看護師さんが迎えに来てくれたので立ち上がろうとしたが、目の前が真っ暗になりそのまま倒れこんだ。
その次は導尿が嫌でこっそり自分でトイレに行こうとして、手すりにつかまらなくては立てないことに気づいた。

壁にもたれてズリズリと足を引きずりながら向かうトイレの、なんと遠いこと。
廊下には手すりがあるが、途中病室のドアのところはそれが切れている。
その手すりの切れ目が恐ろしい。

体中の筋肉が弛緩してしまったようで、寝返りを打つのも一苦労。実家に戻って1週間すぎても、ほとんど状態は変わらなかった。
母が掃除機をかける間のたった10分間、赤ん坊を抱いて立っていただけで、その後半日は泥のように眠ってしまう。

実家に2週間とは言ったものの、回復の状態によってはばあちゃんの言うように1週間で戻れるかもしれないと思っていたが、身体はそれまでの出産では経験したことのない状態だった。
出産は回を重ねるに従って回復に時間がかかるし、年齢的なものもあるだろうが、やはり妊娠中にばあちゃんに意地を張って少々無理をしすぎた。
そのしっぺ返しだ。愚かなのは自分だ。

2週間目が終わろうとするころ、ようやく布団の上でしばらくの間座っていられるようになったが、立ち上がって家事をするなんてまだとても無理。

2日後終業式が終われば、子供たちを実家に呼び寄せることもできる。
後1週間、実家にいさせてもらえないだろうか―
ばあちゃんにそう頼もうと電話をすると、受話器から聞こえてきたのは弱弱しい声だった。
3日前から熱が下がらないと言う。近所の病院でした血液検査の結果を聞いて、看護師をしている私の妹は血相を変えた。
数値は、その病院の医者が「様子を見ましょう」なんて悠長なことを言っている場合じゃなかったのだ。


家にはじいちゃんがいる。
私は帰らないわけにはいかなくなった。









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Last updated  2005.12.28 00:34:58
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