ブログ版 南堀江法律事務所

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Bar UKからのお知ら… うらんかんろさん

2008/04/29
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カテゴリ: 判例、事件
東京都渋谷区の外資系金融社員の夫殺害事件、またの名を「セレブ妻バラバラ殺害事件」、妻の三橋歌織被告人に懲役15年の実刑判決が下りました(28日、東京地裁)。

この事件は検察側・弁護側双方の鑑定人が「心神喪失状態で責任能力がなかった」と結論しており、裁判官がこの鑑定結果をそのまま受け入れるのであれば、この被告人は無罪となるところでした。

心神喪失とは、「物事の善悪が分からない、または、善悪の判断に従って自分の行動を制御できない」状態のことを言います。そういう状態で罪を犯しても、法律上は「無罪」となる(刑法39条)。
(刑法39条の当否についてはここでも度々論じてきましたが、興味のある方は 過去の記事 を)

心神喪失であるかどうかは、裁判所が判断します。
この事件では、鑑定人2名の鑑定結果にもかかわらず、裁判官は「責任能力あり」という結果を出した。

責任能力があるかないかは法的な判断であって、医師の判断は尊重されるが、それに拘束されるものではない。これは従来からの判例であり、学生の教科書のレベルでも書かれていることですから、ちょっと刑法を勉強した人であれば、今回の判断に驚くことはなかったでしょう。

精神医学的なことは全く不勉強でよく知りませんが、おそらく医師は、目の前の「患者」に治療を施すべきか否かで判断する。そこにはたぶん、医師としてのヒューマニズムも働くのでしょう。


刑罰を科したほうがその人自身の更生のためになるのかという観点だけでなく、刑罰を科したほうが社会の秩序維持のためになるのかという観点も入ってくる。

夫をワインボトルで撲殺して切り刻み、稚拙ではあるが隠蔽工作をした、
そういう被告人を見て、医師は「精神的に疾患のある人で、治療が必要だ」と判断したが、裁判官は「こんな人を処罰しないことには社会秩序が保てない」と判断した、
ものすごく簡単に言うとそういうことだと思います。

量刑は、殺人プラス死体遺棄で懲役15年は少し軽いかな、とも思いますが、夫の暴力で精神的に参っていた点が考慮されたということのようで、その点では医師の鑑定結果も少し考慮されたということでしょう。





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Last updated  2008/04/29 10:22:41 AM


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