ブログ版 南堀江法律事務所

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Bar UKからのお知ら… うらんかんろさん

2008/07/22
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カテゴリ: 判例、事件
旧長銀(日本長期信用銀行)の経営責任が問われた裁判で、元頭取らに対し最高裁が逆転無罪判決。

恥ずかしながらこの事件、裁判で何が問題になっているかを存じませんでした。
報道によると、長銀の破綻は平成10年(1998年)10月。私が司法試験に受かった年で、10月といえば最後の関門・口述試験を受けていた時期ですから、新聞を関心もって読む余裕はなかったでしょう。
当時は、何か銀行がエライことになってるなあ、くらいにしか思っていなかった。

それはともかく、この元頭取たちが何の責任を問われていたかというと、証券取引法違反や商法違反。不良債権の査定が法律の求める基準によって行われていなかったという責任が問われていた。

細かい話は省略しますが(私が理解していないため)、検察側が主張するところの「基準」というのは、当時、旧大蔵省が通達として示していたけど、一般的には普及してはいなかったもので、それに従わないことが直ちに刑事責任の根拠となるものではないということのようです。

会社や銀行の破綻に限らず、行政の不始末なんかでもそうだと思いますが、大きな問題が起こると多くの人は「真実の解明を」「再発の防止策を」と唱えます(それ自体は当然のことです)。

しかし、その真実の解明はいつの間にか「個人の刑事責任の追及」に話がすり替わって、何年か後に有罪の判決が下ると、「あの事件はあの人が悪者だったんだねえ」で終わってしまう。
(そういった世論を受けた「国策」としての捜査に限界があったと、日経なども指摘していました(19日朝刊))。



会社内の問題を公にしないままにトップを退いた人は「名経営者」と讃えられ、次の人はトップになって始めてその蓄積された問題を知らされ愕然とする。どこかでその問題の処理を誤って会社が破綻したりすると、その人が破綻のすべての「元凶」であるかのようにそしられる。
真山仁の小説「ハゲタカ」にも確か、そんなくだりがありました。

最高裁の判断は、個人の刑事責任について冷静で厳密な判断を下したものです。
これをきっかけとして、「じゃあ本当の問題はどこにあったのだ」ということが議論されていくほうが、再発防止のためにはよほど望ましいと思います。





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Last updated  2008/07/22 10:49:24 AM


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