【はじめに】
ムラサキツバメは温暖化と食樹(マテバシイ)の臨海公園への植栽によって、棲息域を北へ拡げている蝶のひとつとして注目されています。蒲郡においても2009年8月19日に初めて成虫1頭が観察され、その後幼虫や成虫の発生状況を注意して見ていますが、2012年になって、いまだ1頭の幼虫も成虫も確認できない状況が続いています。そこで、蒲郡緑地公園でのムラサキツバメの発生状況と気象庁のホームページより過去の蒲郡での気温の変化との間に何らかの関連があるのではと思い調べてみました。
【蒲郡緑地での食樹の状況】
蒲郡緑地公園は蒲郡港の港湾開発整備の進む中、港湾で働く人々の休息と安全を確保するために昭和48年12月から愛知県によって環境整備事業の一環として整備され、昭和53年3月に完成しました。
浜町緑地公園の常緑ブナ科
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これは以前調査したものですが、蒲郡緑地には36本のマテバシイがあります。
【蒲郡緑地でのムラサキツバメの発生状況】
ムラサキツバメは蒲郡では年に1回の発生であり、成虫は8月~9月に発生し、成虫で越冬します。
蒲郡緑地での初認ムラサキツバメ
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これは2009年8月19日に初めて蒲郡緑地で見たムラサキツバメです。
ムラサキツバメ♂(蒲郡緑地)
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ムラサキツバメ♀(蒲郡緑地)
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2010年は発生数が多く、1日に10頭近い成虫を確認出来たこともあります。
ムラサキツバメ幼虫(蒲郡緑地)
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ムラサキツバメの幼虫はマテバシイの若い葉を食べて、葉を少し裏側へ巻いて中に潜み、蟻が蜜を舐めに来ていますので、成虫よりも比較的見つけやすい。
2009年:成虫1頭のみの観察
2010年:成虫多数、幼虫多数
2011年:成虫2頭、幼虫も2~3頭
2012年:成虫0、幼虫0(2012年7月10日まで)
現在までのところ蒲郡緑地での越冬集団形成は観察されていません。
【最低気温の変動】
気象庁のホームページから過去の蒲郡での日ごとの最高、最低、平均気温を調べることが出来ます。そこで、2008年から、月ごとに0℃以下の最低気温の日が何日あったかを調べてみました。
| 年月 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 |
| 1月 | 6 | 7 | 7 | 14 | 8 |
| 2月 | 9 | 3 | 6 | 2 | 12 |
| 3月 | 0 | 0 | 1 | 5 | 2 |
| 4月 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 5月 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 6月 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 7月 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
| 8月 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
| 9月 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
| 10月 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
| 11月 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
| 12月 | 2 | 1 | 1 | 2 |
最低気温0℃以下の日数は2009年(2008年12月~2009年3月)が12日間、2010年が15日間、2011年が22日間、2012年が24日間でした。
【考察】
2009年からの観察ですので、その前の発生状況は判りませんが、発生の多かった2010年の冬は0℃以下の日数は15日間であったのに対して、発生の少なかった2011年は22日間と多く、発生が確認されていない2012年は2年連続で24日間もの低温日があり、不作であった2011年の翌年も低温日が長く、ここではムラサキツバメが越冬出来なかったのではないかと思われます。
【まとめ】
蒲郡におけるムラサキツバメは温暖化とマテバシイの植栽により進出してきた種であり、気候の変動により、まだ安定して発生を続けられる状況ではないと思われます。
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