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さてクリニックを休診して9月24日(金)~26日(日)に福岡市で行われた、第21回日本緑内障学会に参加してきました。 今回の学会はアクロス福岡という会議場で行われたのですが、会場が広くて移動が結構大変でした。それと参加人数が多かったのも印象的でした。緑内障学会というのは我々眼科専門医にとってはややマイナーな学会の一つで例年はもう少し人が少ないのですが、今年は博多開催ということもあって凄い活気でしたね。 ↑ これが学会のプログラムです。各会場毎に色々なテーマ別で熱い発表が行われており、毎日朝早くから夜までびっちりと勉強が出来ます。 勉強した内容は細かくメモを取り、後でこのように写真を撮って全てデジタル化して何度も復習して覚えこんでいきます。 勉強するとお腹が空きますが、朝にはモーニングセミナー、お昼にはランチョンセミナー、夕方にはイブニングセミナーという、ご飯付きの講義がたくさんあるので心配ありません。 ↑ またこの弁当がえらく旨い。 学会場には本屋さんも出張してきていて、たくさんの眼科の専門書を購入することができます。 私は今回は下記の4冊の本を買いました。八幡浜に戻って昼休みなどに少しずつ読み進めて行くのが楽しみです。 このように学会というのは、我々医者にとっては非常に勉強になる大切なものなのです。これからもたまに学会出張のための臨時休診があるかとは思いますが、全国レベルの最新で安全な眼科医療を提供し続けるためにはどうしても必要なことなのでご了承下さいね。
2010.09.27
夏の間に伸び放題になった草を刈るのに便利な草刈り機。 非常に役立つアイテムですが、使うときには必ず保護めがねをかける必要があります。 ↑ ちなみにこの保護めがねというのは、大きなホームセンターにいけばまず売っています。 ところが、保護めがねを持っていない、持っていてもするのがめんどくさい、暑くて不快なので嫌、めがねをかけると汗で曇って作業しにくい、などの理由で目を保護せずにそのまま草刈り機を使って思わぬ目の怪我をしてしまう方が最近後を絶ちません。今日は保護めがねをせずに草刈り機を使うとどのような怖いことになってしまうのか、その一例をお見せしましょう。 もうずいぶんと昔のことですが、「朝から保護めがねをかけずに草刈り機を使って作業をしていた。そのときに小石が跳ねて目に当たった。それからどうも目が開かなくて激痛があるし、妙に熱い涙が出る し、どんどん見えなくなってしまった」との訴えで患者様が来院されました。早速目を拝見すると、 石が角膜(黒目)を直撃して破れて目に穴が開いてしまっています。そして目の中を流れている房水という水と虹彩(茶目)が目の外に脱出してしまっています。患者様が感じた「熱い涙」というのは、この目の中の水が出てしまっていることによる危険信号だったのです。 これは 「穿孔性眼外傷」 といって、緊急手術が必要な状態です。破れた角膜を縫い合わせ、目の中に石ころが入り込んでしまっていればそれを摘出し、水晶体が傷ついてしまっていればそれも取り出し、という大きな手術が必要です。傷が目の奥の網膜にまで及んでいると、網膜はく離などの重篤な合併症を生じて失明に至ってしまう事さえあります。保護めがねさえしていればこのような悲劇は未然に防ぐことが出来たのです。 こういう怖いことにならないようにするために、皆様も草刈り機を使用するときには、保護めがねを忘れないように気をつけて下さいね。
2010.09.17
このところめっきり涼しくなりましたね。今年は異常な猛暑ということもあって夏は非常に患者様が多い日が続きました。汗が入って充血したり目やにが出たりプールでなんか貰ったりと、気温が高いと目のトラブルが出やすいんですね。 眼科というのはスギ花粉症が始まる2月の中旬くらいから患者様が増え始めて、流行り目やブタクサ花粉症がほぼ収まる9月中旬くらいまでが忙しいオンシーズンになります。逆に言うと10月から2月上旬までは患者様が比較的少ないオフシーズンということになります。内科や小児科とちょうど患者様の動態が逆になるんですね。 今年も今週に入って明らかに来院される患者様の数が減ってきました。その分ゆったりと時間をかけて診察させて頂ける状況になってきていますので、目で気になることのある方は是非気軽に御来院下さいね。
2010.09.16
さて先日当院では、国産のトプコン社の「3D OCT-2000」という新型の検査機械を導入したわけですが、この機械を使うと患者様に一体どのような良いことがあるのでしょうか?今日はその1例をお示ししたいと思います。 さてこのOCT、実に様々な検査ができます。検査のメニュー一覧画面をちょっと見て戴きましょう。 このメニュー画面で最初の4つは目の底の網膜(眼底、特に黄班部という大切な部分に異常が無いか?)、次の3つは視神経(緑内障が無いか?、もしくはある場合どの程度の進み方か?)、次の1つは隅角という目の中の水の出口の状態を見るものです。 今日はこの中で、「緑内障」という病気に絞って見てみます。緑内障と言うのは目の視神経の数が減って見える範囲(視野)が欠けてくる病気です。進行すると失明してしまうこともある怖い病気です。 OCTでは、まず「3次元視神経乳頭解析」をします。 ↑ これが実際の緑内障患者様の検査結果ですが、上の写真の水色の矢印部分、視神経の下側が減ってしまっているのが分かります。減ってしまっている部位は赤色、もしくは黄色で表示されます。 この同じ患者様で、今度は「黄班部緑内障解析(通称GCC検査)」をすると、 GCCと呼ばれる「神経節細胞複合体」というものが減ってしまっていることが手に取るように分かります。減ってしまっているところは上の写真の水色の矢印で示した濃い青色の部分です。 これまでの緑内障検査と言うのは、我々眼科専門医が視神経を実際に見て「これは神経が減ってるぞ!緑内障が怪しいぞ!」と見当を付けると、「えっ、私緑内障なの! もしかして失明するの??」と動揺した状態の患者様自身が暗い部屋に入ってドキドキしながらボタンをピコピコ押すというような、やや不正確な自覚的な検査である「視野検査」しかありませんでした。 また、目の神経と言うのは生まれたときには120万本あるのですが、この「視野検査」では大体視神経が半分の60万本以下にならないと異常が検出できないので、初期の緑内障はなかなか発見できないという致命的な弱点がありました。 ところがこのOCTがあれば、視神経がどの程度減ってしまっているのかを、まるでCTやMRI画像のように分かりすく他覚的検査結果として表示することができるので検査結果の信頼性が高く、かつ視野検査ではまだ検出できないレベルの初期の緑内障の段階で病気を発見できるのです。更に「視野検査」と較べると検査自体が短くかつ楽チンであるということも大きなメリットです。 まとめると、怖い病気緑内障に対して 「精神的・肉体的に楽な検査で、早期発見、早期治療ができる」 これがこのOCTによる緑内障検査の最大の利点と言えるでしょう。 もちろんこのOCTは非常に新しい機械なので、その検査結果をどう読み切っていくか、私も毎日猛勉強を続けています。
2010.09.10
さて数カ月にわたって機種選定を進めてきていた、さまざまな病気の診断・治療に大きな威力を発揮する、OCT(Optical Coherence Tomography: 光干渉断層計)という新しい検査機械ですが、ついに購入マシンを決定しました。 悩んだ末に最終的に購入したのは、日本のトプコン社の「3D OCT-2000」です。 このトプコン社のマシンのどこが良かったのか?、以下に箇条書きにして示したいと思います。 1. 何といっても汎用性が高い。OCT画像と同時に通常の眼底写真も撮ってくれて、実際の眼底写真とOCT画像を同時に見て戴きながら分かりやすく病状を説明することが出来るので患者様に大好評である。 2.マシン本体がコンパクトで設置場所を取らない。眼科と言うのはとにかく検査機械が多いので非常に助かる。またデザインも流麗で洗練されていること、タッチパネルで操作性が抜群に良いこと、各撮影モードがしっかりと考えて作り込まれていることも魅力である。 3.前眼部(角膜や隅角という眼の表面に近い部分)の撮影がしやすく、かつ画像のクオリティが極めて高いこと。この前眼部OCTというのは使って見ると意外に重宝する(他科の先生方から、緑内障がある患者様への投薬の可否に関してコンサルトされた場合に、分かりやすいOCT画像付きで紹介状の返事を作成できる等)。 4.実はこれが一番大きな決め手となったのだが、このトプコンのOCTはバージョンアップが頻繁でどんどん機械としての洗練度、ソフト内容が良くなってきていること。おそらくこの機械はトプコンにとっての「勝負マシン」で、開発費をゴボッと潤沢に投入しているのだろうと思う。私が最後にデモさせて戴いたバージョンでも、数ヶ月前に体験したマシンとは「まるで別物」というくらい良くなっていたが、今後も更なる改良が予定されているとのことで非常に楽しみでもある。 さて今回のOCT購入選定に当たっては、医療機器ディーラーのアーガス様、吉田メディカル様、またトプコン、ニデック、カールツァイス、中央貿易産業など各機械メーカー様に大変お世話になりました。心から感謝しています。 今後、私及びスタッフ一同、この新しいOCTという機械を得て、更に分かりやすく安心感のある眼科医療を提供していけるように頑張っていきたいと考えています。
2010.09.08
9月24日(金)~9月26日(日)に福岡市で開催される 第21回日本緑内障学会 出席のため、9月24日(金)及び9月25日(土)は休診とさせて頂きます。 緑内障に関しては、OCTという新しい機械による診断技術の劇的な進化、2種類の目薬が1瓶に入った配合点眼剤の多数の登場、主に海外でですが新しいデバイスの登場によるインプラント手術の進化など、たくさんの新しい話題があり、私も眼科専門医としてその診断・治療技術の進歩についていかなくてはなりません。 そのため、クリニックを休診してでもしっかりと最新の知見を学んでくることが、これからも八幡浜地域の皆様に信頼して戴ける施設であり続けるために必要なことだと考えています。 なお、9月27日(月)からは通常診療となりますので、よろしくお願い致します。
2010.09.05
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