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しばらく前のことですが、「ちょっとの時間だからと思って保護メガネをせずに溶接の仕事をしていたら、目に激痛が走って涙が止まらなくなった」との訴えで患者様が来院されました。 早速眼を拝見すると、 黒目(角膜)の表面に細かい傷がたくさん入ってしまっています。これは電気性眼炎(でんきせいがんえん)といって、電機溶接の人工光源から出るUVC(波長が非常に短くて眼に有害な紫外線)によるものです。 紫外線にはUVA(長波長)、UVB(中波長)、UVC(短波長)の3種類があるのですが、このUVCは太陽の光には含まれていないものの一番有害なのです。 治療は混合感染予防のための抗菌薬や抗炎症薬の目薬で行い、元々自然軽快傾向があることもあってすぐに改善することがほとんどですが、治るまではかなり強い眼痛を伴います。なので、皆様も溶接の作業をする時には必ず保護メガネをするようにして下さいね。
2010.11.29
しばらく前のことですが、国際ニュースAFPBB Newsが、ドイツ発・網膜の下に埋め込む最新式「人工眼」を伝えています。 以下にその記事を引用します。 この「人工眼」はドイツ企業"レティナル・インプラント"と独テュービンゲン大学眼科研究所が開発したものです。 進行性疾患で中途失明した被験者3人は手術で「人工眼」を装着しました。術後には物の形状を認識でき、1人は部屋を歩き回る・時計を読む・7段階にわけられた15%の濃度差しかない灰色のグラデーションを見分けることができたそうです。 失明者20万人の目に希望を 従来の「人工眼」はカメラがとらえた光を電気信号に変え、網膜に埋め込まれた人工器官→視神経→脳へ、といった方法で映像を見せていましたが、今回の最新式「人口眼」はさらにすすんだ技術で作られているといいます。 1500個の光センサーからできたマイクロチップを、網膜の下に装着することで目の水晶体を自然に通ってきた光をとらえ、視神経を通じて脳は38×40ピクセルという極小の映像を受信するのです。 学術専門誌"英国王立協会紀要"にこの最新「人工眼」の発表論文を掲載した英国王立協会は、「電気視覚人工器官における画期的な前進。網膜色素変性によって視力を失った世界の20万人の生活に革命をもたらすだろう」といった賞賛コメントをよせています。 引用終わり。 この人工眼は言わばデジタルカメラのCMOSセンサーを網膜に埋め込むようなものであり、「見える仕組み」にとって非常に違和感のない方法です。これからマイクロチップが進化すれば、「失明してしまった人が再び視力を取り戻す」日が近い将来来ることになるでしょう。 ただ、この人工眼はすでに視神経が傷んでしまっている方には無効なので、網膜色素変性症や各種黄班(おうはん)疾患で失明してしまった患者様も決して諦めず、未来に備えて視神経を温存するための治療を今から受けておいた方がいいでしょうね。
2010.11.24
日本人の国民病、「ドライアイ」をその根元から改善する画期的な新薬、ジクアス点眼液ですが、 ついにその本物のサンプル品を戴けました。 画期的な作用を持って、日本で全世界で最初に発売されるわけですが、 薬は実際に使って見てナンボ、効かなければ何の意味もありません。今回は超大型新薬と言うことで、院長の私はもちろん当院スタッフもほぼ全員でチャレンジしてみました。 その結果は、、、、、、 点眼してしばらくすると目が涙のベールで覆われるようで気持ちいい。 さし心地が良く、入れてすぐに効果が実感できる。 不快感が無く、うまく言えないけどなんか目の調子が良くなった。 目がみずみずしく潤う感じで、超イイ!。 と絶賛の嵐でした。 もちろん私自身も、その効果をはっきりと自覚できました。 ジクアス点眼液、名薬の予感がプンプンします。 眼科専門医としての私の予想では、これは大ブレイク濃厚ですね。 発売は来月の初め頃と言われていますが、きっと患者様に大喜びして戴けるでしょうし本当に楽しみです。待ちきれないですね。
2010.11.22
眼科の世界というのは極めて進化が早く、手術方法にしても検査機械にしても常に少しずつ改良されどんどん良くなっていっていきます。 今日はそんな中、カールツァイス社というところの「IOLマスター500」という、白内障の手術前検査で使う新型の機械(眼の長さを計る機械)をデモで借りることができました。これからしばらくの間実際に使用させて頂きます。 実はこのIOLマスターに関しては1年ちょっと前にも旧型機をデモさせて戴いたことがあったのですが、 元々完成度の高かった以前の機種に較べても、更に測定方法が改善されており、より正確に測定できる感じです。また画面表示もより分かりやすく洗練されていて使いやすいです。 どの程度進化したのか、これから実際に楽しく体験していきたいと思っています。
2010.11.22
この1ヶ月間お借りしてデモさせて戴いていたトプコン社の次世代型レーザー装置、パスカルですが、 デモが終了し、トプコン社からのお迎えが来ました。 これからトラックに乗って東京に帰ります。 とっても良いマシンでした。いつの日か実際に購入できる日が来たらいいなあ、と思っています。
2010.11.18
私の地元八幡浜は、かんきつ王国愛媛の中でも最もみかん栽培の盛んな地域の一つです。今はみかん山の仕事が最も忙しい時期のため、「みかん山で作業をしていて目を突いてしまった」という訴えで来院される患者様がたくさんいらっしゃいます。 みかん山で目を突くとどのような症状が出るのか、具体的に少し見てみましょう。 ↑ みかんの枝で黒目を突いてしまった方。 ↑ みかん山で目に虫が入り、虫が足を目に刺して絶命していたために取れなくて痛みで苦しんでいる方。 色々なバリエーションがありますが、ほとんどの患者様は軽症で収まります。ただ、稀にみかん山外傷で黒目(角膜)に傷ができていったん治った後、また再発をくり返す「再発性角膜びらん」というやっかいな病気に進行してしまうこともありますので、皆様もみかん山での作業中には目の怪我をしないように十分に気をつけてくださいね。
2010.11.16
昨日の夜は、地元八幡浜の行きつけの美味しいお寿司屋さんで御鮨を食べていました。本当は現在神戸で開催されている「日本臨床眼科学会」に行きたかったのですが、この半年くらい全国各地の眼科学会に行きまくって外来をお休みすることがあり、患者様から「せっかく頼りにしてるんだからもっと地元にいなさい。」とお叱りを受けることが多くあって、今回だけはちょっと我慢したのでした。 私の地元八幡浜は四国有数の漁港で、とにかく抜群にお魚の美味しい街です。激ウマでしかも値段もリーズナブルなお寿司屋さんがたくさんあるのですが、今日行ったのはその中でも私がトビっきりと思うお店でした。 料理は何も言わなくても職人肌の大将が「その時に一番うまい」と思うものを次から次へと出してくれます。 とろけるようなお刺身を食べていると大将が、 店内の水槽からハギを捕まえてそのままお刺身にしてくれます。 ↑ また、この肝がふんわりと甘くとろけるほどクリーミーで異常なほどに美味しい。 ↑ 塩サバも「何でこんなに脂が乗ってるんだろう?」と思うほど尋常じゃなくうまい。 パクパク食べていると、いつの間にか目の前にはお寿司が登場します。 ↑ アナゴもでかくてパリッと香ばしく最高。 ↑ 八幡浜では近くの大島というところでウニが採れてこれまた絶品です。 ふー、今日も大満足でした。何の気なしに店内の水槽を眺めていると、 たくさんのハギの下にお寿司で戴いたヒラメがいっぱい寝そべっています。良く見ると、 なぜか黒いヒラメが一匹だけいます。私が「なんでこの一匹だけ黒いんですか?」と質問すると、大将が、 「ヒラメは器用な魚で周りの色を見てすぐに安全な保護色に色を変えるんじゃけど、その子は目が見えんからまわりが黒いと思って黒くなっとるんや。」と教えてくれました。 私はその瞬間、「そうか、お魚にとっても目というのはこんなに大切なものなんだな。ましてや人間にとっては目はもっと大事なもの。これからも毎日、八幡浜の皆様の目の健康を守るために頑張らなきゃいけないな。」と痛感したのでした。
2010.11.14
さて先日の日記の続きです。日本人の国民病、「ドライアイ」をその根元から改善する画期的な新薬ですが、いよいよ近日中に日本が世界に誇る点眼薬会社、参天製薬から発売となります。 ↑ これがその新薬、ジクアス点眼液です。その特徴は、 世界初のP2Y2受容体作動点眼剤であることです。 具体的には、目の表面の「水分」と「ムチン(粘膜を潤して損傷を防ぐことによって目の表面を守っている、例えて言えば納豆のようなネバネバ物質)」という2つの大切な物質の分泌を促進することによってドライアイを改善してくれます。 ↑ またこのジクアス点眼液は、従来型のドライアイの治療薬のヒアルロン酸ナトリウムに対して有意差を持って症状を改善する!という抜群のデータも出ています。専門的に言うと特にBUT(Breaking Up Time:涙液破壊時間)短縮型のドライアイに対して良く効くと言われています。 発売はおそらく来月かな? きっと患者様に喜んで戴けるでしょうし、実際に処方できる日が早く来て欲しいです。待ち遠しいですね。
2010.11.12
今や我々日本人の「国民病」とも言われるドライアイ。その症状は目が乾く、ゴロゴロする、まぶしい、疲れる、痛いなど多彩ですが、眼科を受診される患者様の17%がドライアイ確定例、疑い例まで入れると36%の方がドライアイであるというデータもあり、とにかく患者様の数は膨大です。 ↑ これがその実際のドライアイの患者様の目の写真ですが、黒目(角膜)の表面に細かい傷がたくさん入っておりこれが様々な不快な症状を引き起こしています。 ドライアイの治療は今までは主にヒアルロン酸ナトリウムの目薬を点眼して症状を改善するというものでしたが、これはドライアイという「結果」に対する治療で、その根本原因を解決するものではありませんでした。 このドライアイを根本から改善する目薬がずっと以前から開発されていたのですが、今年の夏に眼科の雑誌を見ていると、 「ジクアホソルナトリウム」という画期的な新薬が承認された!というニュースが載っており、私はドライアイ治療医としてその発売を今か今かと首を長くして楽しみにしていたのでした。 そして、いよいよ、、、、(続く)
2010.11.11
当院では患者様にいつでも気軽に受診して頂きたいとの思いから、外来では予約制は採用しておりません。そのため患者様から良く「外来はどの時間帯が空いているんですか?」という質問を戴きます。 外来が空いている時間帯というのは季節によってもかなり異なるのですが、寒くなってきた今の時期だと午前8時30分の外来開始から10時くらいまではまずまず空いています。検査までの待ち時間が15分を超えることは少ないだろうと思います。 ところが、午前10時を過ぎて気温が上がってくると急に混み始める事が多く、その混雑は外来受付終了のお昼の12時まで続くことも多いです。 午後は当院は15時30分からなのですが、16時30分くらいまでは通常かなり混雑します。ところが17時を過ぎて外が暗くなると患者様の数は急に減少します。なお外来終了は18時となります。 なので比較的空いている時間としては、8時30分から10時、もしくは17時以降ということになります。 また、例年この季節はみかんの作業の時期なので、愛媛県有数のみかん産地の我が町八幡浜では多くの方がみかん山に入って作業されている関係もあり、全体的には外来は空いていることが多いです。受診時の参考にして頂ければ幸いです。
2010.11.08
「ブルーベリーって目にいいんですか?」、「ブルーベリーが緑内障に効くって本当ですか?」、「どのブルーベリーのサプリメントがいいですか?」、このようなブルーベリーに関する質問を毎週のように患者様から戴きます。 今日はそのブルーベリーの話をしてみましょう。 ブルーベリーには「アントシアニン」と呼ばれる紫色の色素が含まれています。このアントシアニンには専門的に言うと「ロドプシンの再合成を助ける」作用があります。ロドプシンというのは目の視細胞の中にある光を感じる力のある物質で、光に当たるとビタミンAに分解されます。アントシアニンはこのビタミンAがロドプシンに再合成されるのを助けるので、夜暗い所で物を見る力を改善する作用が期待できます。 またこのアントシアニンには毛細血管の保護・強化作用や強力な抗酸化作用もあるので、体に良い物質であるのは間違いありません。 ただ、このアントシアニンが緑内障に効くかと言われると、直接的な効果はないですし、サプリメントの中にはアントシアニンを化学合成しているものもありますので、どうせなら生のブルーベリーを食べるのが一番目に良いだろうと考えています。
2010.11.05
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