心のポテトサラダ

2006/12/01
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
子供へのクリスマスプレゼントにいいなと思う本の紹介です。

「34丁目の奇跡」 ヴァレンタイン・デイヴィス 片岡しのぶ訳 あす
なろ書房
私の勝手に書籍採点は、星3個の最高得点です。

素晴らしい同名の映画を観たことがあります。
この映画に原作があるとは思っていませんでした。
さらに驚いたことに、1947年というから戦後すぐに製作された映画で、その脚本家が封切りと同時に小説化にしたそうです。
私の観た映画は、そのリメイク版だったようです。
この小説も、戦後すぐに書かれた作品を忠実に再現した英語版を翻訳したものだそうです。


ニューヨーク近郊の老人ホームに、サンタクロースにそっくりな老人が暮らしています。
名前をクリス・クリングルと言い、本物のサンタさんと名前まで同じです。
ある日、担当のお医者さんから、もうここにはいられないことを聞かされる。
ここのホームは、心身ともに健康な人が入所する施設で、痴呆のあるホームに移ることを奨められる。
または精神病院に入院するかです。

クリスは、各種の検査でも心身健康と診断されているのだが、ただ一点、自分をサンタクロースだと信じている妄想癖のあることが、ネックになっている。
施設を出ることにしたクリスは、大通りのクリスマスパレードを見ていた。
ニューヨークの2大百貨店の1つが毎年行うパレードです。
サンタ役の人のムチの振り方がぎこちなく、クリスはその使い方を教える。
でもそのサンタさんはうまく出来なかった。
寒さもあるのだろうが、ポケットからアルコールのビンを出して、ちびちびやっているからのようだ。


しかし、サンタさんがいないクリスマスパレードなんて・・・と、横にいたクリスが目に入る。
「サンタさんの仕事をしないか?」
雇用書類に書き込まれる名前を見て、?と思うが、パレードの出発時間は迫っている。
クリスのサンタさんは、とてもよく似ていると評判で、そのまま百貨店のサンタ役に雇うことにした。

翌日からクリスは、サンタの衣装でサンタの椅子に腰掛け、百貨店で働き出す。

クリスは、サンタの事、おもちゃの事をとてもよく知っていた。
このメルシー百貨店で売っていなかったり、品切れだったりしたら、それを売ってる他店の場所や値段まで教える。
それに気づいたドリスは、自分をサンタクロースだと言う妄想癖のこともあり、クリスを解雇しようとする。
でもお客さんの評判はすこぶるよく、社長は大喜び。

ドリスは、一度結婚に失敗している。
夢物語を信じることをやめ、目に見えるものしか信じず、仕事でのキャリアを積むことと、娘のスーザン
の子育てが生き甲斐です。
幼いスーザンにも、現実をきちんと教えるので、友達がみんな幼く感じて、1人で遊ぶことが多い子になっている。

ドリスには、弁護士のボーイフレンドのフレッドがいる。
彼は、ドリスの現実主義を少しでも変えようとするが、うまく行かない。
寝場所のないクリスは、フレッドの家に居候するようになり、スーザンに変化の兆しが見え始めた。

自店の私欲から離れた子供のためを思ったクリスのサンタの評判は、うなぎのぼりで、社長がクリスの接客方法を全店舗で推奨するように号令をかける。
これにマスコミが飛びつき、2大百貨店同士のお客さんの紹介し合いがきっかけに、ニューヨーク中に広がっていく。

これはお店同士だけではなく、足を踏まれても、笑顔で返すなど、日常のこまごましたいさかいの元が、ことが解く笑顔で解決していく社会現象にまで発展していく。

でもクリスを良しとしない人もいた。
メルシー百貨店の警備責任者は、いつかこの痴呆老人は、ひどいことをしでかすと考えていた。
そこでクリスを騙して精神病院に入れてしまった。

フレッドがクリスを精神病院から救い出すために立ち上がる。
多くの子供達・親達の声援、マスコミの感心を集めた法廷闘争が始まる。

気に入った所を引用しておきます。
あまりに有名な、ニューヨークサン新聞の社説に似てるかな?

『フレッドはすっと立ち上がる。
「信じる気持ちは常識を超えるはずだ。きみって、常識を捨てられない人なんだ」
「私だけでも常識を捨てなくて良かったわ。常識は役に立つのですから」
「ねえドリス。何を恐れている?何故クリスのような人を信じる気になれない?この世には、目に見えない善いものがいっぱいある。愛とか、喜びとか、幸せとか・・・そういうものをもっと信じようじゃないか」』

『さて、クリスマス当日。朝早く目覚めたスーザンは、こっそり居間に行ってみた。ツリーの下には、かわいいパッケージがいくつも置かれていたが、クリスに頼んでいたものは、なかった。
ドリスが起きてきたとき、スーザンは泣いていた。クリングルさんはやっばりサンタクロースじゃなかった。
ドリスは、娘を抱きしめてやったが、スーザンはその腕をふりほどいた。
「ママが言ってたとおりよ。あたし、よくわかった。サンタクロースなんて、いないんだ」
ドリスは、以前の自分のセリフを開かされた気がして、悲しくなった。
「ママが問違ってたわ。スーザン、クリングルさんを信じなくちゃ」
とはいえ、どうして信じられよう? 百貨店で働く貧しい老人が、クリスマスの願いをかなえてくれるサンタクロースだなんて・・・!
「信じる気持ちは常識を超えるのよ」
それはフレッドの言葉だった。言いつつ、ドリスは、今、その意味を噛みしめた。だが、スーザンにはそんな難しいことはわからない。
「心から信じなかったら、なにも実現しないわ」
ドリスは、つらい経験から、それを学んでいた。万事順調にいっているときに信じるのは簡単だ。けれど、なにがあろうとも信じてこそ、本当に<信じる>と言えるのだろう。
「スーザン、あなたがクリングルさんに書いたあのお手紙のおかげで、ママはとっても勇気が出たの。今度は、ママがあなたに勇気を分けてあげる番みたいね」
スーザンはしばらく考えていた。それから、はっきり言った。
「ママ、わたし信じるわ」』





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006/12/01 05:35:34 PM
コメント(10) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Archives

2025/11
2025/10
2025/09
2025/08
2025/07

Category

カテゴリ未分類

(1382)

yacht

(85)

moter bike

(290)

bicycle

(113)

travel

(31)

movie

(3)

trekking

(8)

family

(39)

books

(3)

Profile

のりまきターボ

のりまきターボ

Favorite Blog

「日常を超えた世界… New! 森の声さん

福島へ New! 岡田@隊長さん

子供と共に育つ "共… モアイ2463さん
イワンノバックの回… 紅の豚8734さん
蘇る金狼さん
遥への手紙:かっこ… mon-pereさん
丸くとも一角あれや… 双葉学習院の村松さん
エレファントピア ねぴゅうさん
うれしいこと いー… ほわほわ (-o-)さん
里山暮らし、ときど… rimin(リミン)さん

Comments

のりまき@ Re[1]:引越し の巻(06/10) ものぐさ父さん 日記の内容変化もあり、…
ものぐさ父 @ Re:引越し の巻(06/10) いつの間にか、お引っ越しされていたので…
のりまきターボ @ Re[1]:引越し の巻(06/10) ハッピーサクセスゆみさん 長い間ありが…
ハッピーサクセスゆみ @ Re:引越し の巻(06/10) 久々に、訪問したら最後のご挨拶でびっく…
のりまきターボ @ Re[1]:引越し の巻(06/10) モアイ2463さん こちらこそ、長い間あり…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: