KUROうさぎの『コンサートを聴いて』
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全1件 (1件中 1-1件目)
1
鑑賞日:2021年6月6日(日)15:00開演入場料:4,400円(D席 4階R2列)【主催】(財)東京都歴史文化財団 東京文化会館東京文化会館 舞台芸術創造事業〈国際共同制作〉 オペラ『Only the Sound Remains -余韻-』 カイヤ・サーリアホ作曲原作:第1部 能「経正」、第2部 能「羽衣」(英語上演/日本語字幕付)会場:東京文化会館 大ホールスタッフ指 揮 :クレマン・マオ・タカス演出・美術・衣裳・映像:アレクシ・バリエール振 付 :森山開次美術・照明・衣裳:エティエンヌ・エクスブライア音 響 :クリストフ・レブレトン舞台監督:山田ゆか出演<第1部:Always Strong>経 正:ミハウ・スワヴェツキ(カウンターテナー)行 慶:ブライアン・マリー(バス・バリトン)ダンス:森山開次<第2部:Feather Mantle>天 女:ミハウ・スワヴェツキ白 龍:ブライアン・マリーダンス:森山開次管弦楽 東京文化会館チェンバーオーケストラ バイオリン:成田達輝、瀧村依里 ヴィオラ :原裕子 チェロ :笹沼樹 カンテレ :エイヤ・カンカーンランタ フルート :カミラ・ホイテンガ 打楽器 :神戸光徳コーラス 新国立劇場合唱団 ソプラノ:渡邊仁美 アルト :北村典子 テノール:長谷川公 バ ス :山本竜介感想 フィンランドの作曲家カイヤ・サーリアホの作品は「遥かなる愛」をMETライブビューイングで鑑賞し、独特の音楽世界を持った現代オペラに興味を持ち、東京文化会館主催で能を原作とした公演があるとのことで、緊急事態宣言下の結構人出がある上野まで出かけた。 東京文化会館はいつも通り、カメラによる体温チェック、手をアルコール消毒、チケット半券を自らもぎり、プログラムをピックアップして入場。ロビーの座席はほとんど無く、2階より上階の廊下の椅子も全て取り払われていた。 客席は、前後左右に空席は設けられていないものの、1階席は左右、2階席以上は舞台近く側の座席を販売対象から外し、全体で50%以下になっている様だった。 オケピットの中には、フィンランド民族楽器のカンテレ、ドラ他数々のパーカッション、フルート奏者はピッコロ等の木管楽器を持ち替えてバスクラも演奏。コーラス4人もオケピットの中に。 指揮者は既にオケピットに座っており、客席暗転、音楽と同時に幕が上がる。第1部「経正」は舞台中央とその奥に白い幕が舞台上部から吊るされているだけのシンプルなもの。 その白幕には、舞台に合わせ紅葉や墨絵の文字が映写される。上下黒の衣装の行慶が登場し、法親王の命により、青山の琵琶を仏前に据え、討ち死にした経正を弔うため管弦講を行う。白い幕に人影が表れ、舞台袖で上下黒衣装の経正が歌うが、白い幕を破り髷を結った白い衣装の経正の亡霊役森山開次が登場し踊り始める。やがて戦を思い出し激しく苦しく踊るが、その身を恥ずかしく思い、見られまいと燈火を消し、破れた白い幕から暗闇に消え失せる。 最後、紺色のシャツを着たコーラス4人も舞台に上がり歌い終曲。 第2部「羽衣」は、舞台奥くまで開けて黒い壁に囲まれ、煙幕が炊かれた中、舞台左右から複数のスポットライトが照らされる。舞台中央には大きな布幕が吊るされ、これが羽衣となる。 コーラス4人が漁夫仲間として立っており、そこへ黒衣装の漁夫の白龍が登場。舞台中央の布幕の羽衣を見つけ持って帰ろうとする所に、白い衣装の天女が登場。羽衣を返すよう頼むが白龍は聞き入れず。 「それがないと、天に帰れない。」と悲しむ天女の姿に心を動かされ、天女の舞を見せれば返すと白龍は約束するが、「羽衣を返すとそのまま天へ帰ってしまうのでは」と躊躇する。 天女の「そんなことはしません。」言葉に、白龍が自らの浅ましい心を恥じて羽衣を返す。白い衣装を着た森山開次が天女役で加わり、春の三保の松原を賛美し舞い続け、舞台奥が開いて白い光が入り、彼方の富士山へ舞い上がり霞にまぎれて消えて行き幕。 音楽は、歌、楽器も各マイクで拾い、エコーやサンプリング等の電子加工がされてスピーカーから発せられる。そのため2階席正面は、ミキサー等の機材が置かれ全て操作されていた。 音楽としては無調で、例えばカンテレが琴、フルートが横笛、太鼓が鼓に聞こえたり、亡霊が出てくる不気味な音色なったり、天界の様な音になったりする。コーラスも、舞台上除き、風の音を出したり、言葉を繰り返したりするのみ。 こけおどしの大音量は入れず、それでいて音楽に統一感があり、英語の歌詞なのに日本的に感じてしまうのは、作曲、作品の素晴らしさでしょう。歌手の二人もカウンターテナーとバス・バリトンの響きで、見事に作品に溶け込んでいた。 唯一違和感を感じたのは森山開次のダンスで、あれほど激しく動き回る必要はあったのか。能のような動きの方がしっくりしたのでは。 第1部、2部とも約45分の長さで、25分休憩挟んで約2時間、現世とは異なった別世界の日本らしさを感じることが出来た素晴らしい体験だった。 カーテンコールは、出演者、演奏者に加え、スタッフ、作曲者も加わって、何度も行われ、その間客席からの拍手は途切れることはなかった。 今回の2作品の共通テーマである「自らの行いを恥じ、悔い改める」ことは日本古来からの文化、考え方と思うが、最近は自らの主張ばかりに固執し、他人を非難、中傷する場面に出くわすことばかりと言わざるを得ない。 このような考えに改めて気付かさされることは、本公演が正に音楽、芸術、文化だからでしょう。 End
2021.06.06
コメント(0)