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僧都も、
「ああ、何の宿世があってこの厭わしい日本の末法の世に、
あのような清きお姿で生まれ給うたか。そう思うと、まことに悲しい」
と、涙をぬぐい給うのでした。
小さな姫君は、幼心地にも源氏の君を『すばらしいお人だ』とご覧になって、
「源氏の君は、父宮よりもご立派でいらっしゃるの」
と仰せになります。
「では、源氏の君の御子におなりなさいませ」
と、女房が申し上げますと、素直に頷いて
『それはきっと、たいそうすばらしいことに違いない』と、お思いになるのです。
お人形遊びにも、お絵描きなさるにも『源氏の君』を作り出して、
うつくしい着物を着せ大切にしていらっしゃるのです。