私訳・源氏物語

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November 12, 2010
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カテゴリ: 源氏物語

藤壺の御殿で管弦の御遊びをなさいますのはいつものことながら、
帝が若宮をお抱きあそばしてお出でになりました。

「私にはたくさんの御子たちがあるが、
このような幼い頃より朝夕見ていたのはそなただけだ。

そのせいだろうか、若宮はたいそうよく似ているように思えるのだよ。
小さいうちはみな似ているように見えるのだろうか」

とて、可愛くてしかたがないとお思いでいらっしゃいます。

 源氏の中将ははっとして、顔色が変わるような心地がなさいます。

恐ろしくも、もったいなくも、嬉しくも、申しわけなくも
様々な思いが去来して涙が落ちるほどです。

若宮がお声をたててお話しなさりお笑いになる様子が、
恐ろしいほどにうつくしくいらっしゃいますので、
我が身ながら『自分が若宮に似ているとしたら、可愛がられて当然』
とお思いになるのは、自惚れというものでございましょう。

 藤壺の宮はいたたまれぬ思いで、冷や汗を流していらっしゃるのでした。

源氏の中将は若宮との対面を切望しておいででしたけれども、
今では反って御心がかき乱されるような心地で退出なさいました。






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最終更新日  March 6, 2017 10:00:03 PM
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