私訳・源氏物語

私訳・源氏物語

PR

プロフィール

佐久耶此花4989

佐久耶此花4989

カレンダー

バックナンバー

November , 2025
October , 2025
September , 2025
August , 2025
July , 2025
June , 2025
May , 2025
April , 2025
March , 2025
February , 2025

キーワードサーチ

▼キーワード検索

April 7, 2012
XML
カテゴリ: 源氏物語

明石入道はいつものように喜び泣きしていました。
『生きた甲斐があった』と泣くのも、入道にとっては「道理なこと」と見えます。

明石でも五十日の祝いには所狭しとばかりに祝賀を用意していたのですが、
源氏の君からの御使者がなければ、
それも「闇夜の錦」のように見映えしなかったことでしょう。

源氏の君がお遣わしになった乳母も、
明石の女君が心に沁みるほど理想的な人でしたので、
日々の慰めの話し相手として過ごしました。

この乳母に引けを取らぬ身分の女房たちも、入道が都から迎え取って
明石の女君に仕えさせていたのですが、みなひどく落ちぶれて都には住めず、
人里離れた場所に住処を求めていたところを入道に拾われ、
そのまま明石に住みついている者たちばかりでした。

それに比べてこの乳母は格別鷹揚で気品がありました。

興味をそそられる都での話や、源氏の大臣の日々のご様子、
世にかしずかれていらっしゃること、帝からのご信頼のほどについてなど、
女のお喋りが限りなく話し続けますので、明石の女君は
『なるほど、源氏の君が御心をかけてくださるような姫を生んだ自分も、
なかなか大したものなのだわ』と次第に思うようになるのでした。

源氏の君からの御文も二人で一緒に見ます。

乳母は心の内で『ああ、こんなふうに思いもよらない幸運な宿世というものもあるのね。
それに引き換え、辛い人生なのは我が身の上だわ』としみじみ思うのですが、
源氏の君から「乳母はどうしていますか」など、ねんごろにお尋ねくださるので、
もったいなくて辛さも慰められるのでした。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  March 5, 2017 10:12:03 PM
[源氏物語] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: