私訳・源氏物語

私訳・源氏物語

PR

プロフィール

佐久耶此花4989

佐久耶此花4989

カレンダー

バックナンバー

November , 2025
October , 2025
September , 2025
August , 2025
July , 2025
June , 2025
May , 2025
April , 2025
March , 2025
February , 2025

キーワードサーチ

▼キーワード検索

August 28, 2012
XML
カテゴリ: 源氏物語

[源氏物語] ブログ村キーワード

藤壺入道の宮は、三十七歳でいらっしゃいます。


帝は「残念で悲しい」とご覧あそばされます。

「お慎みになるべき厄年でいらっしゃいますのに、
ご気分がすぐれないままお過ごしになったことに加えて、
精進や祈祷などを熱心におやりにならなかった事をひどく悲しく存じます」と、
帝は後悔あそばされるのでした。

帝はつい近頃になってようやく母宮のご病気にお気づきになり、
さまざまな加持祈祷をおさせになっていらっしゃいます。

今まではいつものご病気かとばかり油断していましたので、
源氏の大臣も深く悲しんでいらっしゃいます。

限りがありますので、帝はほどなく内裏にご帰還あそばすのですが、
悲しいことが多いのでした。

藤壺の宮はたいそう苦しくて、はかばかしく物も仰せになれません。御心内では、

『先帝の四の宮として后腹に生まれ、国母となり中宮として
世に並ぶ人もない栄誉を得たけれど、
源氏の大臣との秘密という苦しみも常に胸の中にあって、
何事につけても人にまさる人生だったわ』

と思い知られるのでした。

帝の御夢の中にもこの秘密をお知らせ申さないことがさすがに心配で、
この事だけは死んでもお胸のなかで解けがたく、
この世に執念として残りそうな心地がなさるのでした。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  March 4, 2017 11:10:35 PM
[源氏物語] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: