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源氏の大臣が差し出される舞姫には、
今は摂津の守で左京の大夫を兼ねている惟光の朝臣の、
容姿がたいそううつくしいと評判の娘をお召しになります。
惟光は分不相応で迷惑に思ったのですが、
「按察大納言は側室腹の娘をお出しになるのに、
あなたが大事な娘を差し出したところで、何の恥かしいことがありましょう」
と、周囲の人に責められますので、いずれ内裏にたてまつるならば
舞姫でも女官でも同じことと思うのでした。
舞いの稽古は里で十分教え込み、娘の付き添いの女房を厳選し、
当日の夕方に二条院に参らせました。
源氏の大臣の所でも、
紫の女君や花散里の御方々にお仕えする童・下仕えの優れた者を比べていらしたので、
選ばれた者たちは相応に誇らしげです。
帝が事前に舞姫をご覧になるかもしれませんので、
前稽古として源氏の大臣の御前を通らせて付き添い役をお選びになります。
ところが皆とりどりにうつくしく、誰ひとり劣る者がありませんので、
お決めになることが難しく、
「もう一人の付き添い役を、この中からたてまつるとしようか」
と、お笑いになります。
挙措や態度に深いたしなみのある人を選ぶのでした。