私訳・源氏物語

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December 13, 2012
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カテゴリ: 源氏物語

 女君達は、彼岸のころにお移りになります。

御方々が一度に移るようにとお決めになっていらしたのですが、
それでは大騒ぎになろうという事で、中宮は少し延期なさいます。

例の、おっとりと穏やかで気どりのない花散里の君は、
その夜紫の上に付き添ってお移りになります。

春のお庭の様子はこの季節にはぴったりしないのですが、
うつくしさは際立っています。

御車が十五、前駆の者は四位や五位が多く、
六位の殿上人はしかるべき者だけをお選びになってお供させます。
それほど多いということはありません。

世間の非難もあろうかと簡素になさったので、
何事も仰々しく厳めしい事はないのです。

 花散里のご様子も紫の上に劣ることなく、
侍従の君が付き添ってお世話していらっしゃいますので
『ほんに、御子息として大切にお世話なさるからであろう』と思われました。

何よりも行き届いていてみごとなのは、お仕えする女房たちの細かな部屋割でした。

 五・六日過ぎて、中宮が宮中から六条院に退出なさいます。

この御儀式がまた簡素とはいうものの、たいそうなご威勢でいらっしゃいます。

すぐれたご幸運は申すまでもありませんが、
お人柄が奥ゆかしく重々しくいらっしゃいますので、
世間からの信頼も際だっていらっしゃるのでした。

 六条院の町々の仕切りには塀を設け廊などを造り、
互いに行き来できるようにして親しく打ち解け、
風流な間柄になるよう造られていました。






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最終更新日  August 20, 2017 04:00:21 PM
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