Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2005/12/01
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 今年もあと、1カ月を残すばかりになった。行く年を振り返り、来る年を思うにはまだ早いかもしれないけれど、先週末、再び出張で上京した際、帰途につく前、僕は、大都会のど真ん中にある墓地を訪れた。青山霊園

 東京にお住まいの方はよくご存じの「青山霊園(墓地)」(港区= 写真左 )。都営で、明治7年の開設。霊園には約12万人余の人が埋葬され、明治維新以降の歴史上の有名人も数多く眠る。だから、以前からずっと機会があれば一度訪ねてみたかった場所。

 地下鉄銀座線・外苑前駅で降り、南へ歩いて5分ほど。そこには、都心とは思えない静かで落ち着いた、広大な空間が広がっていた。霊園事務所でもらったパンフレットによれば、面積は約26万平方m。ということは、甲子園球場(約3万9600平方m)の約6.6個分の広さということになる。青山霊園内のイチョウ並木

 僕のブログの友人の 久里風さん によれば、ここは都心の桜や紅葉の名所なのだという。そんなことはまったく知らない僕は、盛りは過ぎたけれどなお美しい紅葉の空間に、感心することしきり。でも、霊園周辺のイチョウ並木( 写真右 )は、まさに黄色く色づき、例えようもなく美しかった。

 さて、霊園事務所作成の「霊園案内」なるパンフレットだが、これが不親切極まりない地図。区画(例えば「イー7」とか)は記してあるのだけれど、僕が訪れたい著名人の墓がどこにあるのかはまったく記されていない。大久保利通の墓

 もちろん墓地内でも、「**さんの墓はこちら」なんて案内はほとんどない。見て回った限りでは、乃木希典墓所、緒方家(洪庵?)墓所という石碑くらいしか見かけなかった(この点は戦国の有名な武将の墓が数多くある和歌山の高野山・奥の院の方が、案内表示は親切だったような記憶がある)( 写真左

 事前にインターネットでだいたいの場所は確認してきたつもりだったが、実際に来てみると、広大な墓地のなかで、探すのは至難の技。あちこち、うろうろと迷いながら散策していると、運がいいことに、墓地回りをしているタウンウォーキングらしきグループを発見。少し離れてその後に付いて歩くと、何人かの有名人の墓地まで、たどり着くことができた。志賀直哉の墓

 実際はもっとたくさんの有名人が眠っているのだろうけれど、僕が見て回れたのは、大久保利通、乃木希典、志賀直哉( 写真右 =他の志賀家の人たちとともに眠る。中央が直哉の墓)、吉田茂( 写真左下 )、犬養毅、市川団十郎、尾崎紅葉、忠犬ハチ公…。ほかにも沢山の明治、大正、昭和の文人、軍人、名優らが眠っているらしいが、たどり着くには時間が足りなかった。

 霊園はあくまで亡き人の魂が眠る場所であり、役所としては、「散策や観光の場所ではない」という立場であるのはよくわかる。でも、歴史的な有名人であっても、その墓地のなかには、おそらくは長い歳月のなかで血族も減って、今では誰も訪れた形跡のないような、荒れ果てた墓もあった。そんな光景を見るのは、あまりにも悲しい。吉田茂の墓

 都は、この地で霊園を維持管理している以上、やはり、有名人の墓がどこにあるかくらいの案内パンフレットは常備しておいてほしい。せめて、もはや身寄りの少ない歴史的人物の墓の整備(掃除)くらいはしてあげてほしい。そんな願いを抱くのは、僕だけだろうか…。

 青山霊園のもう一つの特色は、明治以降の日本の発展に尽くした外国人が数多く眠る「外人墓地」なる区画があること。ここには、明治学院や青山学院、それになんと関西学院(大学)の創設につくした教育者たち、さらに明治政府のために貢献したお雇い外国人たちがたくさん眠っている。忠犬ハチ公の墓

 墓石は外国風の独特の形で、この一角だけは、霊園内でも個性的な雰囲気を漂わせている。そんななかに僕が思わず注目したのは、イタリア人のお雇い外国人技術者(絵師)だった「エドアルド・キヨッソーネ」(Edoardo Chiossone、1833~1898)という人の墓( 写真右 =あの有名な忠犬ハチ公も、ご主人の上野英三郎博士と仲良く眠っています)。

 皆さんもたぶん、教科書で一度は見たことのある幕末や明治の元勲(政治家)たちの肖像画。その多くはキョッソーネが描いている。有名な西郷隆盛像も彼の筆。後に、明治政府が発行した数多くの紙幣の肖像画の原板も、ほとんどがキヨッソーネの作である(大学生になるまで、実は「清曽根さん」という日本人と信じ込んでいた僕(恥))。青山霊園内の外国人墓地

 「日本の紙幣の父」とも呼ばれるキヨッソーネは、そんなプロフィールもあって、僕の記憶に残るお雇い外国人の1人。あの明治の時代に、異国で最期を終えるっていうことは、本人はどんな気持ちだったのだろう…( 写真左

 さて、ひとしきり墓地の散策をした僕は、なだらかな坂を下って、地下鉄・乃木坂駅をめざした(途中有名な「青山葬儀所」の側を通り過ぎる)。そして再び、車の行き交う東京の街の現実に引き戻された。

 最後に一つ、私事になるけれど、11月に連れ合いの父が亡くなり、来年の年始の挨拶は喪中につき欠礼です。普段年賀状のやりとりをしている方には、もうお知らせしましたが、この場を借りて、ブログ仲間の皆さんにも「喪中欠礼」のご挨拶を…。

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Last updated  2005/12/01 08:17:36 AM
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