Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2007/04/16
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カテゴリ: 各地のBAR巡り
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 北海道・札幌市。日本有数の大都市であり、「ススキノ」という大歓楽街を抱え、歴史と伝統のあるBARも多い。札幌ススキノ

 日本全国のBAR巡りを続けている私だが、大都市の中でも、まだほとんど足を踏み入れてなかった街だった( 写真左 =札幌最大の歓楽街「ススキノ」のシンボル、ニッカのヒゲのおじさんのネオンサイン)。

 そんな札幌に、先週末お邪魔してきた。札幌を訪れるのは3度目だが、過去の2回はBARを巡る余裕がなかった。「この地のBARを訪れずしてはBARフリークとしての名がすたる」。そんな思いを長年ずっと抱いてきた。海鮮丼

 で、満を持しての札幌のBAR巡りである。1軒目として選んだのは泊まったホテルからも程近い、Bar・Adonis(アドニス)= 写真左下

 マスターのTさんは、同じススキノの「ラルセン」という老舗BARで修業された後、1991年に独立された( 写真右 =BAR巡りの前にはまず腹ごしらえ。豪華な海鮮丼で腹一杯!)。BarAdonis

 聞けば、僕同様、全国のBAR巡りが好きな友人とも顔見知りで、僕が大阪でよくお邪魔するBARのマスターとも親しいということで、親近感がぐっと沸く。

 BAR巡りのスターターの一杯はいつものように、ジン・リッキー。旨いジン・リッキーは気持ちを爽やかに、そして気分を高揚させてくれる。

 「今夜は何軒回るの?」と聞かれて、「少なくとも5軒が目標です」と言うと、「頑張ってね。札幌の夜を楽しんでよ」との優しいお言葉。迷わないようにと、行く予定の店々の地図まで書いてくれた。BarAdonisの樽スピーカー

 店内の「音(音楽)」が温かい感じだなぁと思っていたら、真空管アンプだという。「お客さんが作ってくれたんですよ。その棚の上の樽のスピーカー( 写真右 )も」とマスター。

 なるほど道理で、普通のアンプの音ではないと思った。「いいBARにはいいお客さんが集う」ってことの証かも。BarPROOF

 2軒目。Adonisからそう遠くないビルの5階。迷わずにたどり着けた(Adonisのマスターの地図に感謝!)、目指すBARの名は「PROOF」= 写真左

 優しい笑顔が自慢のマスターのNさんは、札幌の老舗中の老舗BARである「やまざき」のご出身。大阪からBAR巡りに訪れた旨を告げ、きょう訪れる5軒のBARの名を口にすると、「5軒の中に選んでもらって光栄ですよ」との嬉しいお言葉。BarPROOFの壁には…

 Nさんも独立されたのが90年で、Adonisとは1年違い。しかし、わずか17年で風格ある本格BARに育てあげられた( 写真右 =Bar PROOFの壁に掛かる油絵はなんとBarやまざきの山崎さん作)。

 時間が早く、客は僕一人だったこともあって、Nさんはずっと僕の相手をしてくれたが、とにかくよく喋る、喋る。客をとことん歓待しようというホスピタリティにあふれた人だ。Barやまざき

 「Nさんはどちらかと言えば、大阪のバーテンダーっぽいですよね」と言うと、嬉しそうに笑った。気さくな人柄に馴染んで、時間を忘れそうになったが、まだ予定があるので、後ろ髪を引かれる思いで、店を後にする。

 さて、3軒目。そろそろ8時過ぎ。先ほど少し触れた札幌を代表する老舗BAR「やまざき」( 写真左 )にお邪魔する。Barやまざき・山崎達郎さん

 1958年(昭和33年)の開業。マスターの山崎達郎さん( 写真右 )は御歳、87歳だが、とてもそんな歳には見えない。耳は少し遠いけれど足腰は丈夫で、歩くスピードは40代の男性と変わらない!

 「やまざき」の名物は、山崎さんの特技でもある「顔のシルエットの紙切り絵」。白い画用紙をはさみ1本で巧みに切り抜き、客の横顔の造っていく。シルエットの切り絵

 シルエット絵は2枚重ねの紙で切り抜かれ、1枚は黒い画用紙の台紙に張って客にプレゼントしてくれる。

 そして、もう1枚はお店のアルバムに保存される。アルバムに張る1枚には「名前を書いといてね」とペンを渡された。僕の横顔( 写真左 )が「やまざき」の歴史の1ページに残されると思うと嬉しい限り。インバネス

 最近はほとんどシェーカーを振らないと聞いた山崎さん。だが、この夜は、「オリジナル・カクテルを何かお願いします」と頼むと、「インバネス」という名のカクテルをシェークで作ってくれた。

 スコッチウイスキー・ベースにドライ・ベルモット、アクアヴィット、ブルー・キュラソーを加え、ボディのしっかりした爽やかな味わい。滅多に振らない山崎さんのシェークを間近で見られた僕は幸せ者かも。

 山崎さんはこの夜、すこぶる機嫌が良かったのか、カウンターの上で、もう一つの特技(僕は知らなかったが)であるトランプ手品まで披露してくれた。札幌のバーテンダーはとにかく客を喜ばせる術を知っている。BarKOH

 幸せな気分に包まれながら、次なる酒場に移動へ。4軒目は、ススキノのメインの交差点角のビル8階にある、Bar・コオ(KOH)= 写真左 。ここも老舗BARの1軒と聞いていた。

 扉を開けると、週末の夜9時半すぎとあって、超満員の賑わい。従業員の皆さんも大忙し。幸い、カウンターに1席空いたとのことで、腰を落ち着けることができた。きょうはどこを回ってもツイている。

 73年のオープンで、ススキノの盛衰をずっと見てきたマスターOさんは、白いバーコートがよく似合う、柔和な感じのベテラン・バーテンダー。店も明るい雰囲気で、ノーチャージというから嬉しい。ドゥ・エルミタージュ

 この夜は超満員とあってかマスターのOさんは接客で忙しく、あまりお話はできなかった。帰り際、「お構いできなくてすみません」と見送ってくれた。まぁ、BAR巡りをしているとこういうこともある。「コオ」の雰囲気を味わえただけでも良かった。

 さて、札幌の第一夜の締めのBARは、「やまざき」出身で、バーテンドレスでもあるNさんが開く「ドゥ・エルミタージュ」へ( 写真右 )。ドゥ・エルミタージュのNさんと

 82年に独立されたNさんは、おそらくは、札幌のバーテンドレスのなかでも先駆者だと思うが、身のこなしでも、風格があふれる。もう夜の11時近くだが、ここもほぼ満員( 写真左 =Nさんと記念のツー・ショット)。

 「タクシーで帰っても千円くらいのところにみんな住んでいるから、安心して飲めるんですよ」と、あるマスターが言っていた。地方都市なら分かるが、札幌は大都市なのに、羨ましい限りだ。エルミタージュでのモルト

 店は「コオ」とは逆に、ライティングは極力抑えた、大人のムード。カウンター席にはだから、カップルも多い。そんな中で、僕はこの夜の締めの1杯目にまず、モスコー・ミュールを頼む。

 Nさんに「大阪から来て、BAR巡りをしてまーす。5軒目です」と言うと、「5軒も!凄いですね。お酒強いですね」と笑って一言。自分では、顔にも出るし、決して「強い」とは思わないが、結構長くしぶとく飲めることは飲める。

 2杯目にはアイラのヴァッディド・モルト( 写真右 =モルトも充実!)を飲みながら、Nさんと、お師匠である山崎さんのことや、ご主人が営むという仙台のBARの話などで盛り上がって、夜は更けていった。三極の味噌ラーメン

 札幌のバーテンダーの皆さんはとにかく、気さくで親切。ひと言で言って、旅の人間をもてなす「ホスピタリティの固まり」という人たちばかりだった(お値段も随分サービスしていただいて感謝感激!)。

 翻って、銀座や大阪・北新地のBAR(バーテンダー)はどうだろうか。他の土地から訪れた旅人たちに、「いい思い出」を持ち帰ってもらう努力を十分やっているだろうか(老舗でも、不快な印象を与えがちなBARもある)。札幌の業界人に学ぶところが多いと思った夜でもあった( 写真左 =最後の締めには、やはり味噌ラーメン。「三極」というお店。結構好みの味でした)。

【Bar Adonis】 札幌市中央区南四条西5丁目、第4藤井ビル4F 電話011-219-0456 【Bar PROOF】 同南三条西3丁目、都ビル5F 電話231-5999 【Bar やまざき】 同南三条西3丁目 克美ビル4F 電話221-7363 【Bar コオ】 同南四条西3丁目、すすきのビル8F 電話531-2801 【ドゥ・エルミタージュ】 同南三条西4丁目、南3西4ビル10F 電話232-5465(営業時間、定休日等は各店へお問い合わせください)

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Last updated  2023/10/25 09:36:23 PM
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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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