Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2007/04/20
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カテゴリ: 各地のBAR巡り
札幌の2日目。天気は小雨、時々みぞれも混じる。気温は2~3度と大阪から来た僕にとっては体感温度は零度近い。でも、旅先で「無駄な時間は過ごさない」のが僕の主義。で、2日目のBAR巡りまでの時間、僕はニッカ余市蒸留所( 写真左 余市蒸留所

 札幌から快速に乗り、小樽で各停に乗り継ぎ約1時間。目指す余市に到着。天気が悪いとあって、駅前にはそれらしき観光客はまばら。前回訪れた時も思ったけれど、蒸留所内外の環境(雰囲気)は素晴らしい。蒸留所内には白樺の林も残る。

 今から73年前(1924年)、創業者・竹鶴政孝氏がウイスキーづくりを始めた頃はもっとのどかな農漁村だったのだろうが、今も余市には、ゆったりとした時間と清々しい空気が流れている。

 さて、前回(2年前)蒸留所内をひととおり見学した僕は、一直線で試飲もできるウイスキー博物館へ。早速、試飲コーナーで余市25年と竹鶴21年を飲み比べる= 写真右 テイスティング15mlずつのショットで計1300円なり。出来たて(?)のモルトを蒸留所で飲む幸せ。これだけは大阪では味わえない。

 試飲を終えた僕は、ギフトショップでお買い物。「Sherry & Sweet」と名付けられた180ml瓶入りのカスクを何本か。そしてピンバッジ、ネクタイ、ウイスキー漬けの甘納豆、ウイスキーの入ったキャラメル等々を買って、宅配便での発送を頼む( 写真左下 =博物館でも限定カスクは買えます)。

余市蒸留所2で、選んだのは蒸留所内のレストラン。そのメニューのなかでとくに惹かれたのは「ウイスキー&白ワインによるラムしゃぶ定食」=

 文字通り、薄切りのラム肉をウイスキーと白ワインでしゃぶしゃぶして味わうのだが、これが想像した以上に旨い。ボリュームも結構あって、これで1200円は安い! あたりまえだが、アルコール分も入っているので、いい気分にもなる(メニューには「車で来られた方はご遠慮ください」とあった)。

 さて、余市での予定を消化した僕は、次なる目的地・小樽へ。駅から再び各停に乗り、20分余。まだ午後4時すぎ。余市蒸留所・ランチBARが開くまでにはまだ少し時間もあるので、運河方面へ歩いて、有名な「北一硝子」のお店に向かう。

 「北一硝子」の「クリスタル館」という少し高級な製品を売っている店を覗いたが、僕の探しているカクテルグラスは1点もない。ワイングラスやシャンパングラス、ロックグラスは素敵なオリジナル製品がいろいろあるのに…( 写真左下 =余市駅前の魚屋さんの店先で。見よ、この安さ!)。

 すると、「クリスタル館」の斜め向かいに「北一アウトレット館」という看板が目に入った。ダメモトで覗いてみると、なんとカクテルグラスじゃないけれど、アンティーク風のデザインのリキュールグラスがあった。かきざき商店しかも1個1350円!「試作品なので、少し気泡が入ったりしていますが、お求めやすい値段になっています」とお店の方。見た目は全然問題ない。嬉しくなってつい2個購入。

 さて、小樽の夜のとばりも下りてきた。BAR巡りタイムのスタート。まず1軒目は、2年前に行きたいと願っていてお邪魔できなかったBar・HATTA( 写真右下 )。

Bar Hatta

 1983年のオープン。来年で四半世紀を迎えるから、小樽では老舗の部類に入るだろう。オーナーは店名と同じ八田さん。「大阪からやって来た」僕に対して、八田さんはもちろん、2人の従業員の方もしっかり笑顔で迎え、歓待してくれた。

 当たり前だが、余市に近いこともあって、HATTAでは余市限定のカスクがすべて味わえる。せっかくだから、蒸留所では飲まなかった「カスク25年」をいただく。Mr Hatta and me奥行きと、なめらかさ、そして上品な甘さ。ニッカは本場スコットランドに決して負けない。そんなことを改めて確信する( 写真左 =八田さんとのツーショット)。

 昨晩の札幌のBAR巡りの話や、八田さんが親しい大阪キタのバーテンダーFさんやMさんらことなどでひとしきり盛り上がったが、札幌へ戻るまでの間にあと2軒をこなさないといけない僕は、涙をのんでHATTAを後にする。

写真左下 )へ。Bar Donjuan
ここは僕の友人も「小樽へ行ったら、必ず行くべし」と言っていた。マスターのYさんは、全国にもその名を知られた「怪バーテンダー」。

 8時頃お邪魔すると、「Donjuan」のマスター、Yさんはカウンター内の隅っこでお食事中。一見こわもてのスキンヘッドだが、実は優しくて、豪快な喋り方(トーク)で客のハートをすぐつかんでしまう( 写真右 =多彩なYさんの見事なボトル彫刻)。

 Yさんに自己紹介すると、「腹も減ってるだろうから、一杯食べてよ」と、いきなりどんぶり鉢いっぱいの「アンコウのもつ鍋」を前にど~んと置いた。涙が出るほどの凝縮した旨さ! 胃が喜ぶ声が聞こえる。食い干した僕に、「これも旨いから」とでかいタラバの足2本が乗った皿を差し出す。う~ん参った!Bar Donjuan2

 何の酒を飲んだかよく覚えてないほど食い物の印象が強烈だった「Donjuan」だが、これだけ頂いて、お勘定は信じられないようなお値段。北海道のバーテンダーは、なんで旅人にこんなに気さくで優しいんだろう。Yさん本当に有難う! 御歳70歳というが、まだまだエネルギッシュなので、またいつか会えそうな気がする。

 さて、札幌帰りの電車の時間を気にしながら、小樽の夜最後のBARへ向かう。オーセントホテル小樽内にある「Captain's Bar」のNさんに会うために。ここも、「小樽に行ったら、Nさんのところへぜひ」と大阪のあるバーテンダーから厳命されていた。ゆきあかり

 Nさんは数々のカクテルコンペで優秀な成績をおさめている、小樽きってのバーテンダー。だから、Nさんが仕切るBARが素晴らしいことは言うまでもないが、何よりも彼のオリジナル・カクテルを飲みたかった。

 早速オリジナルを頼む。Nさんが選んだのは「ゆきあかり」というカクテル( 写真右 )。シャンパンベースで、ジン、ベネディクティン、コーディアル・ライムジュース。

 ビターでしめらせた角砂糖を広口のシャンパンの中央(底)に置き、その上から、前記のカクテルを注ぐ。グラスの外側は粉糖でうっすらと覆われ、まるで霜のよう。味わいはきりっと爽やか。「旨~い!」としか言葉が浮かばない。Mr Suga of Nikka Bar

 「また札幌に戻るので、時間があまりなくてごめんなさい」という僕に対して、「いえいえ、時間がないのにわざわざ寄って頂き、こちらこそ有難うございます」とNさんは嬉しいお言葉。「また必ず来ます」。帰り際、僕はBARの玄関でNさんと固く握手して、再会を誓った。

 さて、快速電車で札幌に戻った(36分で着きます)僕。時刻は夜10時半頃。でも土曜夜のススキノも相変わらず賑わっている。僕には札幌でもう1軒行っておきたいBARがあった。

 ススキノ交差点角のビルの2階にある「The Nikka Bar」。全国にNikka Barは多くあるが、「The」が付くのはここだけとか。スープカレーニッカのモルトやブレンディドの品揃えの豊富さは言うに及ばず、お値段もとても良心的な酒場である。

 ここには業界でもその名を知られた菅(すが)さん( 写真左上 )という有名なバーテンダーがいらっしゃる。御歳80歳といい、札幌ではあの山崎達郎さんに次いで長老格という。しかし白いバーコートをおしゃれに着こなし、てきぱきと客をさばく姿はとても80歳には見えない( 写真右 =北海道で人気の「スープカレー」。結構ハマリます)。札幌・千歳空港間の車窓から

 とくに僕が驚いたのは、洗い物なども率先してされている姿。若い従業員は5~6人はいる。しかし菅さんはたまったグラスを黙々と自分で洗う。普通、80歳の店長のすることではないが、そんな姿勢にただただ感銘を受けた( 写真左 =帰途についた15日は雪模様だった)。

 生き甲斐があれば人は歳をとらない。肉体的な衰えは誰にも訪れる。しかしその衰えは生き甲斐のない人よりは緩やかになり、精神的にも若くあり続けられる。そんなお手本が、僕には菅さんや山崎さんのような気がする。

【Bar HATTA】 小樽市花園1-8-18 電話0134-25-6031 【Bar Donjuan】 同市花園1-12-21 電話25-1399 【Captain's Bar】 同市稲穂2-15-1 オーセントホテル2F 電話27-8100 【The Nikka Bar】 札幌市中央区南4条西3丁目、第3グリーンビル2階 電話011-518-3344





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Last updated  2023/10/25 09:44:22 PM
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うらんかんろ

うらんかんろ

Comments

汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。 ▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。

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