Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2009/09/14
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テーマ: 中国&台湾(3304)
カテゴリ:
 上海滞在3日目。この日は郊外にある江南水郷の代表的な町、 周荘 (ヂョウヂュワン=現地では「周庄」と表記されている)へバス往復での半日の旅を計画した(江南水郷ではほかにも朱家角、同里、西塘などが有名で、とくに西塘はトム・クルーズの映画「ミッション・インポシブル3」のロケ地になった)。s-IMG_5759.jpg

 上海西方の江南地方には、宋・元・明代の面影を今に伝える水郷の町や村が数多く存在する。12世紀頃から水運や商業の拠点として発展した周荘は、上海市中心部からほぼ西へ約80kmに位置し、バスで約1時間45分ほどの距離だ。

 周荘には昔の古い民家や伝統的な生活様式今もよく残り、素朴な暮らしが息づき、郊外の人気観光スポットになっている。街の建物や水路の6割以上が明・清代のものという( 写真左 =出発前にホテル前の大衆食堂で食べた「お粥定食」。これで10元=約140円=と信じられないお値段!)。s-IMG_5760.jpg

 水郷地域への観光バスは、人民広場駅から地下鉄1号線を南へ6駅行った「上海体育館」駅そばの観光バスセンター「上海旅游集散中心」から出ている。周荘までは、観光施設の入場料が込みになったお得な一日往復チケット(周遊券)があるとガイドブックにはあった( 写真右 =バスの車内風景)。

 しかし、バスの出発時刻や1日に何本出ているのかや、現地のどこに到着するのかなどの情報は、ガイドブックによってまちまち。どれを信用してよいのか分からない。とにかく行ってみれば何とかなるだろうと、バスセンターのチケット売り場に行って、周荘までの周遊券をほしいと口で言って、念のために紙に書いて見せた。s-IMG_5763.jpg

 窓口の女性はすぐに僕の言うことを理解してくれたのだが、行き(8時半発)はOKだが、帰りは僕らの希望する周荘午後2時半発ではなく、4時発になると言う。2時半のバスは満席なのかどうか分からないが、とにかく「4時発のバスしかない」というのだから仕方がない。とりあえず無事周遊券2枚をゲット(ちなみに1枚150元=約2100円でした)。s-IMG_5767.jpg



 周荘へ向かう途中の車窓からは、上海郊外の湖のほとりで建設中のリゾート・マンションやすでに完成済みの別荘をPRする看板があちこちに見える( 写真左 =周荘の街に入るゲート。ここで周遊券を見せる)。

 なかには、入り口のゲートに警備員もいるような豪華な一戸建て別荘もある。上海市内では路上暮らしをする労働者も多いのに、こんな別荘を買えるセレブな中国人も現実にはいるということなのだろう。s-IMG_5783.jpg

 日本も戦後の経済成長の過程で、貧富の差は広がったが、成長の恩恵もほぼ万人が平等に受けることもできた。ここまでひどい格差は生まれなかった。中国政府の経済政策がどこかおかしいと思わずにはいられない( 写真右 =周荘の狭い街路。観光客であふれていた)。

 さてバスは無事、周荘へ到着。しかし降ろされた場所がガイドブック(「地球の歩き方」)に書いてあった場所とは違う。どちらへ行けば、周荘にたどり着けるのかは分からないが、ここは中国人らしき観光客に付いていくに限る。上海市内もそうだが、案内板が少なくて中国の観光地まだまだ不親切だ( 写真左 =美しい水郷が自慢の周荘中心部)。s-IMG_5773.jpg

 駐車場から10分弱ほど歩くと、周荘の町のゲートに到着。町に入るのには入場料が要るが、僕らは周遊券見せればOK。周荘は想像通りの趣のある水郷の町だ。町というより村という感じか。蘇州同様、中国のベニスと言ってもいいかもしれない。

 早速僕らは、水郷巡りの遊覧船に乗る。遊覧船は1艘80元で、8人まで乗れる。これに乗って30分ほど、のんびりと町をぐるっと一周する。水面を渡る風が心地よい( 写真右 =僕らを乗せた遊覧船の船頭のおじさん。船頭はなぜか女性が多かった)。周荘風景

 水はお世辞にもきれいとは言えないが、驚くなかれ、両岸では洗濯をしたり、野菜を洗ったりする光景が…。生活用水として使っているようだ。健康面で大丈夫かなぁ…( 写真左

 船を下りた僕らは今度は、町の中の狭い街路を散策。街路沿いには、土産物屋や食堂、食品店がぎっしり軒を連ねている。そんな中に、「姓名題詩」と看板に書かれた店がところどころに見かけた。聞けば、名前の漢字を使って即興で「七言律詩」にしてくれるという。s-IMG_5914.jpg

 周荘というか、中国の旅の記念にぴったりだと思い、そのうちの1軒に入って、お願いする。書家兼詩人の名人(?)はなにやら地元では有名な人らしいが、僕の名前の字を見て考えることわずか5分ほど(はやっ!)、早速まずペンを走らせ、さらさらと七言律詩を書き上げる。

 名人は、僕が少しは中国語が分かると思い、詩の意味を中国語で説明してくれるのだが、そんな詳しい説明は僕には理解不能(笑)。だが、詩の漢字を一字一字見ていたら、だいたいの意味は分かる。同じ漢字を使う民族同士で本当に良かった。s-IMG_5792.jpg

 ちなみに、 写真右 のように筆で書いてもらって額装する場合は200~400元=約2800~5600円=くらいとられます(※詩をペンで紙に書くだけなら10元です)。

写真左 =は外せない(豚足肉と言っても足先ではなく、膝から腿にかけての肉らしい)。肉はプリプリでコラーゲンいっぱい。甘すぎない、辛すぎないちょうど良い味付けで、白ご飯が進みます。他に「阿婆菜」というお漬け物、魚のすり身団子のスープ、青菜炒め、ビール1本をいただいて、130元=約1800円=也。s-IMG_5811.jpg

 周荘の街には、お茶を楽しめる茶館(カフェ)が何軒かある。せっかく中国に来たのだから、本物の中国茶を味わいたいと思い、これも上海ナビに出ていた 「三毛茶楼」 にお邪魔する。僕らはおすすめの「龍井茶(ロンジンチャー)」をいただく。s-IMG_5812.jpg

 龍井茶は杭州付近で生産される中国二大緑茶の一つ。初めて飲んだが、とてもまろやかで味わい深く、気に入ってしまった。帰りにお土産で買って帰ろうっと( 写真右 =お茶は湯飲みのフタをしたまま、フタを少しずらして葉が入らないようにしていただくのが作法だとか)。s-IMG_5808.jpg

 茶楼店主の老夫婦はとても親切で、あれこれ飲み方を教えてくれて、「好きなだけお湯を足して飲んでいいよ」と言ってくれた。僕らが茶をいただいた二階には、開放されたたくさんの窓から心地よい風が吹き抜ける= 写真左

 周荘の町を心ゆくまで楽しんだ僕らは再び、バスで上海へ戻る。帰途のバスは定刻より12分も早く、何も言わずに出発した。「おい、おい、積み残しはないのか?」と僕はつぶやく( 写真右 =「三毛茶楼」の2階の窓から下を見下ろせば…)。s-IMG_5798.jpg

 チケットは原則として事前予約とは言え、運転手が出発前に乗客の数を確認していた様子はない。何かにつけて、いい加減な国民性が見えてしまう。

 上海に近づくにつれ、夕方の渋滞がひどくなる一方。結局、バスセンターへの到着に約2時間もかかってしまった( 写真左 =周荘の街に入る正門。僕らが入ったのは裏門だったようだ)。

 周荘など江南水郷の町や村には、上海市内では絶対体験できない、古い時代(宋~元~明)の雰囲気に心ゆくまで浸れ、長い中国の歴史の奥深いところを垣間見ることができる(上海だと再開発も進んでいるので、せいぜい清の時代までだろう)。もし上海へ旅をされるなら、ぜひ半日でも、郊外の水郷エリアへ足を伸ばすことをお勧めしたい。





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Last updated  2009/09/17 08:14:52 AM
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うらんかんろ

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汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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