Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2011/10/10
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 今回のスペインへの旅では、5都市を回ることになっているが、そのなかでも個人的に一番楽しみにしていたのが、スペイン南部・アンダルシア地方のヘレス・デ・ラ・フロンテーラ(Jerez de la Frontera)という街である。

 ヘレス・デ・ラ・フロンテーラと言っても、スペインのことを少しは知っている人でも、「それってどこ?」と尋ねることが多いだろう。それほど、あまりメジャーではない観光地。s-IMG_9513.jpgしかし、うらんかんろにとっては、シェリー(酒)の故郷でもあり、シェリー好きとしてはいつか必ず訪ねてみたい「聖地」でもあった(ちなみに、スペイン語ではシェリーのことを「ヘレス」と言うのです)。( 写真左 =マドリッド・アトーチャ駅の行き先・出発ホーム表示板。上から4つ目の「カディス」行きが僕らの乗る特急)。

 ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ(以下、「ヘレス」と略す)は、同じアンダルシア地方にあるグラナダと同様、かつてはイスラム民族の支配下にもなり、街なかにはイスラム時代の城が今も残る。「フロンテーラ」という名はキリスト教国とイスラム教国の「境界」であったことに由来する。現在の人口は20万人ほど(ちなみに、ヘレスは、シェリーと並んでフラメンコ発祥の地としても有名で、市内にはフラメンコ学校が数多くある)。s-IMG_9520.jpg

 そんなヘレス訪問がようやく実現した。マドリッドからヘレスへ行くには、空路と鉄道、バスと3つの手段があるが、列車の旅が好きな僕らは、迷わず鉄道を選んだ。マドリッドからはアトーチャ駅からカディス行きの特急「Alvia」に乗り、約3時間半。しかし一日3便しか出ておらず、午前中は午前8時5分発1本だけ。

 しかも前回の日記「トレド編」で書いたように、途中駅での荷物の盗難(勝手に他人の荷物を持って降りる輩がいるらしい)を予防する意味でも、早めに列車に乗って、自分たちの車両のスーツケースの置き場にスペースを確保する必要がある。s-IMG_9535.jpg

 9月22日木曜日の朝、7時40分頃、出発ホームが表示されるや否や、僕らは改札とセキュリティ・チェックを済ませ、小走りに列車へ急いだ。そして、なんとかスーツケースを棚に置いた。

 友人のアドバイスに従って、棚の金属パイプとケースの持ち手をカギ付きの自転車用のチェーンで結ぶ( 写真右上 )。これくらいしないと安心できないのが悲しいけれど、スペインという国の現実でもある。sa-IMG_9537.jpg

 スペインの列車は、他のヨーロッパの列車同様、発車のアナウンスもベルもなく、発車時刻がくればいきなりドアが閉まり、動き出す。日本人としては、発車のベルくらいはあってもいいと思うのだが、サービス過剰なアナウンスが多い日本と比べると、これもまた新鮮に映る。

 特急列車の車両( 写真左上 )は近代的できれいだ。テレビも付いていて映画も上映している(デ・ニーロ主演の映画をスペイン語字幕でやっていて、イアホンも貸してくれる)。列車にはバー・コーナーのある食堂車も付いている。ただ、途中の車窓の風景はオリーブ畑かオレンジ畑、あるいは綿花畑ばかりで単調だ。

 途中、コルドバ、セビージャなど6つほどの駅に止まるが、唯一、「次は***駅」というアナウンスだけはある。ヘレスに着くまで、車内検札はなぜか一度もない。下車駅でも切符は回収されない(だから悪い輩がいれば、キセル乗車はし放題かもしれないなぁなんて思う)。

 カディス行き特急は午前11時45分、10分ほど遅れてヘレスに到着。ついに憧れの「シェリー(ヘレス)の聖地」へ第一歩だ! ここで降りる乗客は50~60人というところか。sa-IMG_9543.jpgもっと田舎の駅をイメージしていたが、駅のホームには大屋根( 写真右上 )もあって、駅舎もトレドと負けないくらい素敵で、立派な歴史的建造物っぽい= 写真左

 駅前から見たヘレスの街の第一印象も、「高い建物が結構多いなぁ」「意外と都会だなぁ」「車もたくさん走っているなぁ」というもの。田畑や牧場があちこちにある田舎の村のような風景を想像していた僕は、すっかり裏切られてしまった。しかし、「あるがままのヘレスを見ることこそが今回の旅の目的だ」と気を取り直し、とりあえず、駅からタクシーでホテルへ。

 ヘレスのホテルは、「Hotel Guadalete」という。プールもある4つ星ホテルだが、いかんせん市内北東部の住宅街に立地し、観光スポットのある旧市街までは遠すぎる。歩けば45分~50分はかかる(で、滞在中はもっぱらタクシーのお世話になった)。チェック・インした僕らは、荷物を部屋に置いて早速、お昼御飯を食べるため街へ向かう。s-IMG_9566.jpg

 なお、今回訪ねたスペインの各都市では、ヘレスに限らずどこでもタクシー料金が安いことがとても嬉しかった(基本料金はだいたい1.4~1.5ユーロ。車で10分ほどの距離を乗ってもチップも含めて6~8ユーロくらいで済む。運転手も概して愛想がよかったし、快適だった。

 さて、ヘレス最初の食事は 「ラ・カルボナ」(La Carbona) という名のレストラン= 写真右 。ブログの友人に教えていただいた店だ。街の中心部に比較的近い、住宅街の中にあるおしゃれな店で、キャパも広い。s-IMG_9563.jpg

 我々が店に着いたのはお昼の営業が始まってすぐ1時すぎ。開店早々、東洋人カップルが訪ねてきたので、店のスタッフも少し戸惑っているようだったが、そこはスペインである。「オラ!(こんにちはー!)」のひと言で、すぐ打ち解ける( 写真左 =La Carbonaの店内風景)。

 飲みものはもちろん、まだ陽が明るいけれど、ヘレスに来たからにはシェリー。僕はフィノ、連れ合いはマンサニージャを頼んだ。「マンサニージャ ポル ファボール」と伝えた際、スタッフの顔が一瞬、怪訝な表情に見えたような気がした。s-IMG_9550.jpg

 実はヘレスで造られているシェリーは、シェリーのなかでも辛口の「フィノ」、中口の「アモンティリヤード」、中口&甘口の「オロロソ」、甘口の「クリーム」「ペドロ・ヒメネス」などと言われる種類。同じ辛口でも「マンサニージャ」という種類のシェリーは、ヘレスの隣のサンルカール・デ・バラメダという町で造られている。だからヘレスの人々には、少し対抗意識があるんだとか(しかし、もちろん遠来の客からの注文なのでもちろん、スタッフはすぐ笑顔に戻り、無事2種類のシェリーが出されてきた)。s-IMG_9553.jpg

 料理の方は、お昼のコースで頼むかどうか悩んだが、やはり量の多さが心配だったので、単品で頼む。僕らが頼んだのは、ジャガイモのアリオリ・ビネガーソース( 写真右上 )、サーモンのタルタル風( 写真左 )のほか、注文を取りに来たおばさんお薦めのタイの炭火焼( 写真右下 )、Tボーンステーキ。

 最初は、4種類も頼むつもりはなかったけれど、おばさんに乗せられて、ついつい。でも、どれも上品な味わいで、実に美味しい。とくにサーモンのタルタル風は、サーモンを細かく刻んだものに、アボガドや玉ネギ、ケイパー、香草などを刻んだのも交り、抜群の旨さ。はっきり言って、ヘレスのような地方でここまでレベルの高い料理を食べられるとは思わなかった(失礼!)。s-IMG_9558.jpg

 またまた腹いっぱいお昼を食べてしまった僕らは苦しいお腹をさすりつつ、とりあえず市内を散策しようと、てこてこと歩いて旧市街の中心地「アレナル広場」を目指す。途中、訪問予定のシェリーのボデガ(醸造所)「エミリオ・ルスタウ」の前に立ち寄る。正面の門は閉まっており、案内板が貼ってある。

 読んでみると「見学時間は午前9時半~午後1時」とある(大手なのに、ちょっと商売っ気がないなぁ)。ルスタウは明日の午前中お邪魔することに。引き続き、今回のヘレス訪問で最も楽しみにしているボデガ「ゴンザレス・ビアス」へ向かう。途中、見かけた酒屋さんはまだ昼間だというのに立ち呑みバル状態。ヘレスらしくていい(笑)= 写真左 sa-IMG_9573.jpg

 「ゴンザレス・ビアス」はヘレス旧市街の南西部にあり、ヘレスでは最大手のボデガ(酒造会社)。おそらくは世界で最も有名なシェリーの銘柄「ティオ・ペペ(Tio Pepe)」(フィノ・タイプ)の造り手でもある。そしてフィノ・シェリーだけでなく、アモンティリヤード、オロロソ等の各タイプのシェリー、さらにブランデーやワインも造っている。

 ボデガは広大な面積(甲子園球場の10倍くらい?)を持ち、なかには貯蔵(熟成)庫や工場のほか、ブドウ畑、庭園、結婚式にも使えるホールまである。「ゴンザレス…」の建物の壁はまぶしいくらいの美しい白。隣には、イスラム時代の城「アルカサル」もある。

 見学ツアーを予約しておこうと、チケット窓口に行くと閉まっている。何やらお昼休みらしい。門のそばにいた守衛のおじさんに聞くと、「ツアーは午後5時再開だよ。その時またおいで」「予約は要りますか?」と僕が尋ねると、「大丈夫、大丈夫」と笑うだけ。どうやらこの9月下旬の季節は、そんなには込んではいないようだ。仕方がないので、5時まではヘレスの街の散策を続けようと、僕らは再び踵(きびす)を「アレナル広場」方面へ返した。



【ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ編<中>へ続く】


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汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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