Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2011/10/12
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 ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ(以下、「ヘレス」と略す)旧市街の中心にある「アレナル広場」に、僕らは戻ってきた。広場は市民の憩いの場でもある。一角には、「ティオ・ペペ」のロゴも入った小型の市内遊覧バス(と言ってもかわいい電車の形をしている)= 写真左 =の出発場所もある。s-IMG_9584.jpg

 広場につながる大きな通りの幾つかは歩行者天国。人間優先の思想になっているのが嬉しい。だから、広場周辺にはテーブルを出すバルやカフェも多い( 写真左下 )。パフォーマンスをする人、何かの抗議活動のためテント暮らしをする人も、みんな共存している。s-IMG_9576.jpg

 散策をしながら、友人への土産物に何か良いものかないかなぁと、商店街などを歩いたが、ほとんどの店が閉まっている。開いてるのは飲食関係の店くらい。聞けば、「シエスタ(昼休み)」で、2時頃から5時か5時半くらいまできっちり休むのだという( 写真右 =ヘレスの街の中心にあるシンボル的なビル)。

 マドリッドでもトレドでも、やはりシエスタをとる店は多かった。デパートなどは日曜・祝日はきっちり休む。スペインは今、ギリシャに続いて財政破たんしそうな国だと噂されているというのに…。s-IMG_9605.jpg

 日本人の働き過ぎも問題だが、スペイン人には「もっと働いた方がいいんじゃない?」と言いたくなる。とくにヘレスは観光で生きている街である。観光客がいる昼間に店を開け、カネを落としてもらわなくてどうする!と言いたい。

 さて、買い物もなかなかままならないので、カフェなどで時間をつぶした後、再び ボデガ(醸造所)「ゴンザレス・ビアス(Gonzalez Byass)」 写真左下 )へ向かう。そろそろ午後5時の見学ツアーの時間が近づいてきた。s-IMG_9588.jpg

 「コンザレス…」のチケット売り場付近に着くと、外国人観光客があふれている。その数計70~80人くらいか。「次の回に回されたらいやだな」と一瞬思ったが、見学ツアーはスペイン語、英語、ドイツ語の3つに分かれる。だから程よい人数に分散して、5時からツアー参加は幸い大丈夫だった。

 僕らは英語のツアーを選んだ。ツアーは言語とともに試飲の種類(2種か4種か)とタパスの付き・無しを選べる。僕らは晩御飯のことも考え、2種の試飲&タパス無しを選んだ( 写真右上 =「ゴンザレス…」の向かいに残るイスラム時代の城「アルカサル」)。Tio Pepe

 見学ツアーのことを記す前に、シェリーのことと、「ゴンザレス・ビアス」社のことを少し紹介しておく。シェリーとは酒精強化ワインとも言われ、アンダルシア地方のヘレスなど限定された地域で造られているものだけが「シェリー」と名乗ることができる。

 原料となるブドウの約9割はパロミノ種(日本ではあまり馴染みのない品種だが)。他に甘口用としてペドロ・ヒメネス、モスカテルという2品種も使われる。s-IMG_9622.jpg

 「ゴンザレス…」社は1835年、当時23歳だったマヌエル・ゴンザレス・アンヘル氏が創業。ゴンザレスは、「ティオ・ペペ」の名前の由来ともなった叔父の助力のもと、シェリー造りとその輸出に情熱を注いだ( 写真右 =見学ツアー客の待合所)。

 1844年この「ティオ・ペペ」を英国へ輸出すると、その素晴らしさを高く評価する英国人が現れた。ロンドンで貿易代理店を営んでいたロバート・ブレイク・ビアス(英語では「バイアス」と発音するという)。それまで英国では甘口のシェリーが主流だったが、ビアスは「ティオ・ペペ」のようなドライ(辛口)タイプは、折からの酒類のドライ志向にぴったりだと思ったのだ。s-IMG_9628.jpg

 ゴンザレスはまもなくビアスを共同経営者に迎えた。すると事業はさらに発展。1862年にはスペイン王室御用達のメーカーとなり、19世紀末にはすでに世界最大のシェリー醸造業者の地位を揺るぎないものとした。s-IMG_9632.jpg

 ゴンザレス社は現在シェリーのほか、ブランデーやワインも生産。ワイン造りでも、シャトー・マルゴーの元醸造責任者をアドバイザーに迎えたほか、2006年にはヘレスの北のラ・マンチャという地に新たなワイナリーを設立するなど、“攻め”の経営でさらなる成長を続ける。s-IMG_9635.jpg

 さて、見学ツアーの話に戻る。ガイド役のスタッフは優しそうな中年男性( 写真右 )。まず貯蔵庫を数カ所案内された後、15分ほど「ゴンザレス…」社の歩みを紹介する映画を見せられる。そして、その後は赤い見学用カート( 写真左上 )に乗って場内を回る。

 場内には立派なぶどう畑(おそらくパロミノ種)= 写真右 =もあり、ちょうど実りの季節を迎えていた。s-IMG_9646.jpgカートを降りた後、さらに貯蔵庫を何棟か見学する( 写真左 )。古い時代の樽ばかり集めた貯蔵庫、王室御用達の樽、訪れた有名人がサインした樽を集めた部屋等々。

 面白かったのは、貯蔵庫の中に住みついたネズミのために、小さな梯子をかけたシェリーのグラスが、s-IMG_9666.jpgエサと一緒に床に置いてあったこと( 写真左 )。実際ネズミは梯子を上ってシェリーを舐めに来る(額に入れた写真が飾ってあった)。

 案内スタッフのおじさんは、日本から来た僕らにサービスしたいと思ったのか「このネズミは(シェリーを飲んで)酔っぱらうとフラメンコを踊ります!」と日本語で言って、笑わせてくれた。s-IMG_9669.jpg

 さて、1時間余りの見学も終わり、ようやく試飲タイム( 写真左下 )。僕ら一行は宴会場のような場所へ連れていかれた。他の外国人客はほとんどが4種類を飲んで、タパスも食べている。やはり胃袋や肝臓のつくりが違う! 盛り上がる外国人たちをよそに、僕らは2種類だけ試飲して会場を後にし、ショップであれこれお土産を探す。s-IMG_9684.jpg

 ボトルも買いたかったけど、これからまだグラナダ、バルセロナへと移動があるので重いから断念。あまりかさばらない物や軽い物を中心にお土産をたくさん買い込む。ゴンザレス・ビアスのスタッフの皆さん、温かいもてなしを有難う!またいつか来たいです!

 「ゴンザレス…」見学を終えた僕らは「シエスタ」あけの旧市街の商店街へ。雑貨屋さんも兼ねる酒屋さんでs-IMG_9691.jpgさらに少し土産を買った後、今夜の晩御飯を食べる予定の店へ。ここもブログの友人から教えてもらった店だったが、予想外の事態が待ち受けていた。

 教えてもらったお店 「レイノ・デ・レオン」 (Reino de Leon)はアレナル広場からすぐ近くにあったが、店の前に来てみると、なにやら張り紙がしてある。「CERRADO POR REFORMAS(改修中につきお休みしています)」。「まさか!こんなタイミングで!」と一瞬絶句したが、運が悪かったと思ってあきらめるしかない。

 仕方がないので事前に選んでいた候補店のうち、広場からも近い 「ファニート」 (Juanito)= 写真右 =というバル&レスタウランテを選んだ(店は「レイノ」から歩いて1分ほどとめちゃ近い)。s-IMG_9688.jpg飲み物は、いつものパターンでまず「ドス・セルベッサ!」、そして2杯目からはもちろん、シェリー。それにしてもヘレスで飲むシェリーは、なぜこんなに美味しいんだろう。「ヘレスの神様」に乾杯!

 この夜僕らが頂いたのは、牛肉と野菜(と言っても豆類が中心)の煮込み料理( 写真左上 )、そして、まだスペインに来てから貝を食べていなかったので、s-IMG_9693.jpgアサリのシェリー蒸し( 写真右 )。前者は、スペイン料理にしては珍しくカレー風味の味付けだったが、意外といけた。後者はニンニクとシェリー・ビネガーが効いてめちゃ旨い。シェリーがすすむ。料理は例によってボリュームたっぷりで、日本人の胃袋には十分だ。

 気がつけばヘレスの夜もすっかり更けているが、あちこちのバルから歓声が漏れ聞こえる。スペインの人たちにとっては、夜はまだまだこれからなのだろう。夜通し飲んで食べて疲れても、また翌日には長いシエスタがあって、疲れを癒せる(笑)。そうか! そのためのシエスタなのかと改めて実感。でも、観光客としては、交代で休みをとってでも、もう少しお店を開けてほしいなぁ…。

 明日は午前中、ヘレスでさらに2カ所のボデガを訪ねる予定。ギフト・ショップで何か素敵なお土産があればいいなぁと思う。午後からはいよいよ長距離バスでグラナダへ出発だ。


【ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ編<下>へ続く】

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うらんかんろ

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Comments

汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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