Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2011/10/26
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◆スペインの治安は悪いのか
 旅行に行く前、ガイドブックやインターネットでは「スペインは治安が悪い。とくにマドリッドやバルセロナは世界中の大都市でも最も治安が悪い」「スリや置き引き、強盗が多い。首絞め強盗やニセ刑事というのも多発している」という情報を知らされた。何人かの友人にも同様のことを言われた。s-IMG_9541.jpg

 空港で出迎えてくれたHISの日本人担当者は、僕らにこう言った。「日本人旅行者は狙われやすいんです。髪が黒くて、カメラを提げて、いかにも旅行者ですという格好をしている。金を持っていると思われている。ニセ刑事にニセの警察手帳を見せられると、言葉も分からないから、体がすくんで何もできない。以前より減ったとはいえ、やはり被害に遭ったという話は聞きます」と。

 実際、在スペイン日本大使館のHPを見ると、スリ、置き引き等の邦人旅行者被害が毎月5~6件、コンスタントに出ている。やはり日本人はカモだと思われているのかもしれない。だからもちろん、今回の旅行中も、以下のような一般的な注意は常に心がけた( 写真左 =ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ駅舎の内部)。

(1)貴重品はできるだけ持ち歩かず、部屋のセイフティ・ボックスに入れておく。高額紙幣を持ち歩く場合は、腹巻ベルトに収めるs-IMG_9676.jpg

(2)首からさげるバッグは体の前側に持つ ( 写真右 =ゴンザレス・ビアス蒸留所には著名人も数多く訪れている。これはスピルバーグ監督がサインした樽)。

(3)空港、駅、ホテル、訪問先、バル等いかなる場所でも、自分の荷物からは絶対に目を離さない

(4)有名ブランドのバッグはできるだけ持たない。ブランドのロゴ入りの紙袋も持たない(もしブランド品を買っても、店を出たら商品はすぐに安っぽいエコ袋に移す)s-IMG_9939.jpg

(5)都市部では広い通りを歩く。治安の悪いエリアでは細い路地はできるだけ歩かない。深夜の街は歩かない(タクシーを利用する)

(6)地下鉄ではできるだけ座席に座り、ドアや車両の連結部分には立たない(※集団スリ対策として)( 写真左 =アルハンブラ宮殿の色タイルはどこまでも美しい)。

(7)街を歩いている時は、怪しい連中が付けてきていないか、定期的(10~15分に一度くらい)に周りを警戒する。万一付けられていると感じたら、路線バス(バスの中では犯罪はほとんどないという)に飛び乗って逃げる(幸い、今回はそこまでの事態にはならなかったが…)sb-sa-IMG_0271.jpg

 日本の都会を歩くよりは、確かに緊張する。そこは、外国なのだから仕方がない。在住の日本人の方は「彼らもそれ(スリや置き引き)で生計を立てているプロだから、どんなに対策をとっても、狙いを付けたら盗ります。要は、狙われるようなスキを見せないこと」と言う。

 しかし、「緊張感を持って、常に注意して行動していれば、マドリッドやバルセロナといえども、言われるほど危ない街ではない。少しオーバーに伝えられ過ぎているのでは?」というのが、今回の旅を終えた僕の率直な感想(意見)だ。

 これからスペインへ旅行される人は、一応、上記の注意事項を忘れずに、「情熱の国」を楽しんできてください( 写真右 =バルセロナの旧市街で阪神タイガースファンのスペイン人(?)カップルに遭遇)。s-IMG_0136.jpg

◆スペイン語は難しいけど、日本人向き
 スペイン語は一度も習ったことはなかった。しかし今回の旅では、約4カ月前から、スペイン語を特訓した。それは日記にも書いたように、「たとえカタコトでも現地の言葉でスペインの人々とコミュニケーションがとれた方が絶対に楽しいし、親近感も深まるから」という僕の信念にもとづく。

 特訓に使った教材は、DVDが2種、本が4~5冊。僕自身の過去の海外旅行経験から、実際に使う頻度が多そうな会話文や単語を、それらの教材から集め、持ちやすいサイズの手帳に書き写した( 写真左 =サグラダ・ファミリア外壁の印象的な彫像)。

 そしてできるだけ暗記した。DVDはウォークマンにダビングして、朝夕の通勤時でできるだけ聞き込み、ヒヤリングを鍛えた。旅行中はずっとこの会話手帳をジャケットの内ポケットに常に入れて持ち歩いた。s-IMG_0169.jpg

 スペイン語は基本、発音はローマ字読みすればいい(例外は、「H」は読まないこと、「j」をハ行で読むこと、「ll」という他の言語にない子音=「lla」は「リャ」または「ジャ」と発音する=が出てくることくらいかな…)。

 フランス語やドイツ語のような不規則な発音はほとんど出てこない。ある意味、英語よりも発音はやさしい( 写真右 =ガウディ設計の「カサ・ミラ」の一室には、当時のグラスが今も使える状態)。s-IMG_9476.jpg

 名詞や動詞のアクセントには一応ルールがあるが、そうややこしくはない。動詞や形容詞の語尾変化は、他の欧州言語と同様、複雑で覚えるのは大変だが、日常会話で出てくる変化形は限られる。だから、とりあえずはよく使う形を集中的に覚えれば何とかなると思う。

 なお、今回の旅でやはり、もっとしっかり覚えておけばよかったと思ったのは、基本単語のうちでも「数字、時間、方角・方向、色など」。それに料理や食材、調理法にあたる固有名詞( 写真左 =トレド駅のバル出入口付近のおしゃれな装飾)。

 こうした言葉ばかりは、知らないと街角やバル、買い物でコミュニケーションがとれない。市販の「指さし会話帳・バル編」の「切り取り付録:指さしバルメニュー(写真付き)」はとても役に立ったが、やはり、固有名詞はしっかり覚えるに越したことはない。s-IMG_0038.jpg

 それにしても、今回の旅で見ていて面白かったのは、スペインに旅行に来ていたイタリア人のおばあちゃんが、ホテルのスタッフに言いたいことが伝わらず、両方の言葉が出来る人に通訳してもらっていた場面。

 日本人にしたら、スペイン語とイタリア語って方言みたいなもんだと思ってしまうけど、意外と通じないものらしい。不思議な光景だった( 写真右 =グラナダの百貨店で見たシェリー売り場の棚)。

 加えて、バルセロナのホテルでは、テレビのチャンネルの半数がフランス語で、スペイン語は残りの3割程度。英語、イタリア語、ドイツ語放送も結構やっていたのには驚かされた。sa-IMG_9863.jpgフランスと国境を接するカタルーニャ地方って、スペイン国内でもやはり、少し違う文化風土を持っているんだと再認識させられた。

◆もはや闘牛なんて必要か
 スペインで闘牛は、バルやシェリー、フラメンコと並んで「文化」としての扱いを受けている。重要な観光事業の一つで、闘牛士は敬意を払われる存在でもあり、ステータスの高い職業のようだ( 写真左 =アルハンブラ宮殿内で出会った猫。ずっと木の上を見つめていた)。

 しかし、「闘牛は単なる残酷な動物虐待ショーでしかない」と考える僕は、今回の旅でも決して見に行きたいとは思わなかった。誤解をおそれずに言えば、「闘牛」とは元来穏やかな性格の草食動物である牛を怒らせ、闘牛士が何度も剣で刺し、苦痛を与えながら、徐々に死に至らしめるショーである(日本国内の闘牛=例えば隠岐や宇和島等=は単に牛同士の格闘技で、死なせることはないから、また別物である)。s-IMG_9729.jpg

 闘牛士も命がけかもしれないが、牛の目に視力を衰えさせるためワセリンが塗られたうえの対決である。牛は「名誉ある死を与えられる」と賛成論者は言うが、それは人間の勝手な理屈だろう( 写真右 =ヘレスの街で見かけたアパートの入り口。イスラム文化の影響が今も色濃く残る)。

 そんな時代錯誤な虐待ショーも、カネを払って見る人がいてこそ成り立っているが、最近は、闘牛への批判もあって観客は減少傾向にあるという(「日本からの団体見学ツアー客が多い」とかつて批判されてこともあるが、今はどうなのだろう?)。s-IMG_9980.jpg

 しかし、時代は変わりつつある。スペイン国内にも闘牛廃止論者は少なくない。今回の旅行中も、闘牛に反対する団体のデモをテレビニュースで見た。スペイン人すべてが、あの動物虐待ショーが好きだというわけではないのだ( 写真左 =スペインではオレンジ・ジュースはどこで飲んでも生搾りなのでめちゃ旨かった!)。

 バルセロナもあるカタルーニャ州議会が、今年を最後に州内での闘牛を廃止すると決めたというのも新しい動き。1991年のカナリア諸島に次いで2番目で、スペイン本土では初めての「闘牛禁止」の自治州となる(だからバルセロナでの闘牛は今年が見納め)。

 スペインに限らずその他の闘牛開催国でも、闘牛はそう遠くない時期(おそらく向こう50年以内)に、「文化」という扱いから「野蛮な見世物」へと人々の見方が変わり、廃止の声がさらに高まるだろう。21世紀の世界に、時代錯誤な動物虐待ショーは要らない。スペイン語文化圏のリーダーたるスペイン人の文明度がいま試されていると思う。


【スペインへの旅の報告はこれで終わります。ご愛読有難うございました】

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うらんかんろ

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Comments

kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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